寺尾聰、父の“戦友”北林谷栄さんに思い馳せる
2010年5月7日 21:11

[映画.com ニュース]第19回日本映画批評家大賞の授賞式が5月7日、東京・青山スパイラルホールで行われ、「さまよう刃」で主演男優賞を受賞した寺尾聰、「今度は愛妻家」で主演女優賞を受賞した薬師丸ひろ子ら総勢約20人の受賞者が出席。同賞は故・水野晴郎さんを発起人として1991年に設立された。
寺尾は、「さまよう刃」で愛する娘を奪った少年犯に自ら制裁を加えようと奔走する男を熱演しての受賞。「うれしい反面、複雑な気持ちもある。実はこれまでで一番腹立たしい思いを残した作品だった」と心情を吐露した。もっと面白い作品になるはずだったといい、「現場で意見交換するべきだったが、僕がケンカの仕方がヘタなのか、若い人たちが逃げてしまうのか。とても歯がゆい思いだった。今後は、もっともめながら面白いものを作りたい」と決意を新たにしていた。
また、「阿弥陀堂だより」で共演し、4月27日に肺炎で死去した女優・北林谷栄さんについて「現場ではわがままばかりで、マイペースな人だった」と述懐。北林さんと寺尾の父・宇野重吉さん(享年73歳)は、劇団民藝を立ち上げた“戦友”でもあるため「僕にとっては生まれる前から知り合いみたいなもので、同業者という感じじゃないですね」と話した。北林さんは生前、「聰が出るなら出てあげる」と「阿弥陀堂だより」への出演を決めたそうで、今回の訃報を「単に悲しい、残念という気持ちじゃなく、きっと仲間が待つ天国でまたお芝居しているんだろうなって」と偲んだ。
寺尾、薬師丸をはじめ、助演男優賞は石橋蓮司(「今度は愛妻家」)、助演女優賞は八千草薫(「ディア・ドクター」)、新人賞はAKIRA(「ちゃんと伝える」)、満島ひかり(「愛のむきだし」)、岡田将生(「ホノカアボーイ」)が受賞。作品賞には大森寿美男監督の「風が強く吹いている」が輝いた。
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