落下の解剖学のレビュー・感想・評価
全306件中、261~280件目を表示
確かにカンヌとかで評価されそう
面白かった。外国人率高し。
孤立した雪の中の山荘的な家で起きる死亡事故。
作家同士の夫婦の夫の落下死。妻にかかる疑い。
二人の間にいる息子(視覚障害)。夫婦の言語であるフランス語とドイツ語と共通語としての英語、そして裁判はフランス語、というのもポイント。
もう犯人が誰かというより、妻がやったか事故なのかのどっちかしかない裁判の進む先に炙り出される夫婦間の秘密、と、妻にしかわからない人間関係、息子にしかわからない人間関係。その割にはどうなるのかまったく終わりが見えないのは息子の設定だろうな。
この映画の面白味は、そのリアリティに尽きる。
現代ならではの人間関係と嫉妬、不安、など、そういう焦燥感を使うか〜という新鮮味。
そういえばフランスの法廷もあまりみてないから検事と弁護士の服装やら法廷的職能演技がまた嫌味があったなぁ。
裁判から、狭い人間関係が公の面前に見せ物のように立ち現れ、その際に参加している人々の顔、顔、顔、をかなり写して、観客もその裁判に立ち会わせるような演出になる。ここでも最終的には息子がブラックボックス。思い出した父の思い出は少年目線で観客に見せるが、もちろん少年にはその顔は見えてないはずなのだった
これがアカデミー賞ならなんの文句もございません
こんなに色々な観点から書きたくなる映画は久し振りです。もしかしたら、あの『女王陛下のお気に入り』以来かも。
死んだ夫、疑いをかけられた妻、ダニエル‼️
その3人はもちろんのこと、弁護士も検事もダニエルの付き添い人も、どの登場人物についても、それぞれについて自分だったら何を思い、どう振る舞うか。目まぐるしく考えながらスクリーンに釘付けとなります。
などと言いながら、まずは夫婦喧嘩について。
相手のいうことに気持ち的に納得なんかできなくても、一応論点が共有できていたのはさすがに頭のいい人同士という感じ。子どもの受験や進路の話をしてるのに、なぜか相手の人格攻撃になってる、みたいな喧嘩よりは余程マシでした。
夫(男)のプライドの崩壊や才能ある妻への嫉妬。それだけでもしんどいのに息子の事故についての取り返しのつかない後悔の念。肯定でも否定でもなく、ただ、人ごとではないやるせなさが分かるだけに辛い。
作家にとって最大の武器である表現力。それを母国語のドイツ語ではなく、英語(たぶん作品は英語で発表)やフランス語(法廷や日常生活)でしなければならないストレス。最近の日本語で言うならば、たとえば『ヤバくね?』という言葉のニュアンスをその使われる文脈ごとに使い分けて伝えるのは、TOEIC800点の人だって、英語圏の人に上手く出来るとは思えません。
妻は自己表現におけるそんな根源的なストレスを抱えたまま、仕事や家庭生活を送っている。そう思うと彼女の抱えている不安や不満、人間関係におけるもどかしさからくる苛立ちの感情も、決して肯定はできないけれど、仕方ないとも思うのです。
ダニエル君。君はなんて理性的で勇気があって健気なんだ❗️
参審員だって人の子、自分の記憶という曖昧なものに誠実な態度で向き合う君に対しての信憑は高まるのが当然です。
人間というのは不思議なもので、いざという時には、経験で学んできたさまざまな事象から導かれる、合理的でかつ熟慮を重ねた判断よりも、その時の感情や直感による判断を優先してしまうことがよくある。つまり、自然界において人間は極めて非合理的なことをしでかす厄介者。
裁判において被告の言動は、常に『合理的に考えれば、こういうことになるではないか』と検察から責められる。
本人にとっては必然に思えても、他人から見れば非合理的にしか見えないような言動は、往々にして本人も言葉では説明できないことが大半。
だから、警察や検察から強要された自白は合理的に見えさえすれば通ってしまう。
人間の非合理性とそれにより引き起こされる不可解な営みを描くのが小説や映画なのだと思うし、この映画はまさにそれを描いていたように受け取りました。
仏蘭西対独逸では勝負は決まっている
お仏蘭西の旦那、
主夫でいいじゃないですか?
主人は誰か?
息子も犬も分かっていらっしゃる。
カミさんに、
あれだけ言われたら漢はへこたれます。
あそこまで言わせないのが肝要ですな。
それにしても、
お仏蘭西の女性監督だけに仏蘭西男に、
更に強く打ちましたなぁ
つまり、この事件は自殺なんだけど、不本意に主夫となった旦那をあそこまで完膚無きまで打ちのめされたら、これから先、生きてはいけないのが凡夫たる主夫なのだ。
これって、悪意ハラスメントでもある。
他人なら殺意あるイジメだね。
まずは、
オスカー間違いなし!にときまひょ⁈
( ^ω^ )
落下の解剖学
劇場公開日:2024年2月23日 152分
これが長編4作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけ、
2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンサスペンス。
視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、
死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、
登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いた。
人里離れた雪山の山荘で、
視覚障がいをもつ11歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見し、
悲鳴を聞いた母親が救助を要請するが、父親はすでに息絶えていた。
当初は転落死と思われたが、
その死には不審な点も多く、前日に夫婦ゲンカをしていたことなどから、
妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられていく。
息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラだったが、
事件の真相が明らかになっていくなかで、
仲むつまじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦のあいだに隠された秘密や嘘が露わになっていく。
女性監督による史上3作目のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
主人公サンドラ役は「さようなら、トニー・エルドマン」などで知られるドイツ出身のサンドラ・ヒュラー。
第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされた。
落下の解剖学
劇場公開日:2024年2月23日 152分
そこまで評価されている理由が分からない。
福山雅治が出てきそうなタイトルですけど、
そういう映画のつもりで見たら、肩透かしです。
なんの謎解きもないし、驚くべき真実も露呈しないし、
なんのどんでん返しもないから、判決聞いても「あ〜そうでしょうね」。
きっと、最後には〜?と思ったけど、本当に何もない!
(犬の演技がすごすぎただけ!!)
逆にいうと「フレンチアルプスで起きたこと」とか「ザ・スクエア」とか、
そういう淡々と終わる映画が好きな人は、きっと大好物なはず。
ごめんなさいヨーロッパに暮らしたことないので。
きっとその土地の空気感とかそういうの込みで見たら、分かる世界なのかな。
奥さんの言ってることは正論で、夫は隠し録りしてたり逆に怪しすぎる。
ただ正論だからすべて解決する訳ではない、理屈ではどうしようもないものを
見せられた気はしましたが。
言い争いは、大概なすりつけ合い
家族の中にあるドラマを立体的に描いていき、判決間近のある証拠で、そこで「起こっていた像」が明確になる。夫婦間の再帰性。途中も引き込まれながら見ていたが、そのシーンでつながって腑に落ちる感がすごかった。あの自分の抑圧したものを相手になすりつけ合い争う感じ、人間は(つまり自分は)これをやるよねと思わせられるところ満載で胸が痛くなる。
ダニエルはエディプスだったのか。それとも象徴的な意味において誰もが殺し合うこの家族の深層の中で彼は「ファクトで判断する」メンタリティを得てここを脱出する道を選んだのか。この謎を残すことこそが、其々が自分の現実を生きているという事実を表現してるのかな。噛みごたえのある映画だった。
犬が可愛いくてすごいに1票🐕
すごい不思議な映画だった
自分だったらと思うと…
期待していた方向とはまた別の方向で、
なかなか考えさせられる映画でした。
ストーリーは、
落下の…という題名からも分かる通り、自宅である家から人が落ちて死ぬところから始まります。
落ちたのは夫、家に居たのは妻。
もちろん妻に容疑がかかる。
やがて裁判が始まるのですが、
法廷での、主観と客観のせめぎあいに思わず唸ります。
やがて妻のプライベートや心の内まで暴露されることになり、
もし自分だったら…と思うと恐ろしくて恐ろしくて。
だって、心の中で考えていたことまで知られてしまうのですよ😱
おまけに第一発見者だった子どもまで様々な犠牲に。
自分の無実を認めてもらうために、
それらのもの全てを差し出さなければならないことへの矛盾さえ感じました。
アメリカ映画で法廷ものはよくありますが、
さすがフランス映画。
今まで観てきた法廷ものとはひと味もふた味も違います。
いや、これは法廷を舞台にしていて実は法廷ものではないのかも。
【興味深かったよ❗️】ただし、刑事裁判の本質はついてるが ❓❓❓の嵐 【面白くはなかった。】
昔から 私が シロウトである 映画の世界においては
「潜水艦ものと 法廷劇 に不作なし」と聞いている【伝聞】
その意味に於いて 観客は 法廷劇を観に来ている知的大人だから 本作は期待に応えている。
まあ 興味深かった。知的 人間のドラマ
ただ、申し訳ない 俺 刑事法裁判捜査関係 シロウトでは無いから
【ただし フランス司法制度は知らんがな❗️】
はてな❓❓❓の描写が多すぎ。
ただし 刑事裁判の本質はついている
つまり guilty or not guilty というのは 実は現行犯でも無い限り 神様しかわからないのだ。
ただし 客観的証拠及び 裁判で証拠認定される供述調書 等を通じて ほぼ蓋然性が高い
場合に コレは有罪を選択が妥当 と判断するのだという事
だから 私は 再審請求事案等で いきなり 悪人から無実の可哀想な人 に書き換えるマスメディアに不信感大きい。
それって 蓋然性or疑わしきは被告人の利益に だから と言いたい❗️
つまり 本作中 裁判に勝った負けたと言及セリフあるが
実はそれは 刑事裁判の本質なのね❗️その意味でこの作品は好作品
ただし 捜査手法 身柄 等細かい点は❓ 自由の国フランスよ それで良いのかい❓良いのかカモ🦆
気になったのが 法廷で 主観ばっか議論してた❓
まあ その点は 皆さん 作品を映画館で観てご判断下さい。映画ファンの方必見。ただし 堪え性はある程度必要
でも ワシの最大の感想は パルマドック賞🏆あるの❓だかのボーダーコリー中型犬が 不細工だけどカワユし😍
最後に この作品は動物に危・・を の 邦訳字幕欲しかったがな❓
いずれにせよ 中型犬 大型犬イッヌ様 🐕 は 綱吉公並に大好物❤️なのだ❗️パルムドックって有料🈶パンフ記載
メッシちゃん❗️
あとどうでもイイけど 主人公サンドラ役をドイツ🇩🇪出身の【ザンドラ🟰有料パンフ表記】
旦那役サミュエルをサミュエルさんが 演じてたズラ。 弁護士役は違った。
夫の職業 教師❓主夫❓なんやねん というのは言わないお約束
またLGBTQですか わかってますよ 多様性ね❓と言いかけたが まあ観客それぞれ見方があるよね
予告編動画は英語ですが 多言語 そこも注目点
音楽大音量 セゲン 女衒【検索🔍してください】有料パンフ🈶受け売り
羅生門とか 桐島くん 想像するかも でも【似て非なる作品】だから ネタバレでは無いよ。
意外と 耐えきれた152分
それだけ 秀作 ということカモ🦆でも ホアキンさんのボー と違って
わざわざ3連休初日に本作観にくる知性派は 覚悟が違うから とも言えます。
有料🈶パンフは コラムとコラムらしきもの合わせて4本で論点明快❓知性派ならコラムも読まんとね❓
【皆さんの自己判断、or 懐具合によりますね❗️】
多分 秀作なんだけど 私の結論は お犬様🐕かわゆい😍【小型犬は適用除外】でした。
法廷劇に不作なし【伝聞】かどうか❓皆さん確かめてみて❗️上映回数少ないけど❗️
結構 お客さん入ってて 知性派の熱気ムンムンでした。
【ハイキュー】とは客層違うかも でも 【大人の意地で「ハイキュー観ない」】だけで
俺的には ハイキューの方が愉快だったかも と衝撃🫨の本音 で 悦に入るジジイであった。
ハイキューと鬼滅と ウルトラマンブレザー【綴り違ってたら見逃して】3連チャンで観たい❗️と未練を残し
劇場を去るジジイであった。明日も 俺一人で行くよ っていうか家族から放任されてる 最近
あっ❗️本作は映画館で無いと、映画館必見。 なぜなら 倍速使ってしまうから【長文お粗末様です。】
ドキュメンタリー映画
文学作品観たような気分です。
人間模様のドキュメンタリー映画みたいな。
息子と犬が可哀想だったなぁ。
サスペンス好きの私なので、謎解きや真犯人探しとか、そんなのを期待してたので、途中何度か寝てしまいました。
裁判とはこういうものなのでしょうね。
知られたくないことをさらけだされてしまう。
観て損した気分ではないです。
最優秀助演ワン優賞!
サスペンスかと思っていたらそうでもなく、夫殺害の容疑者となった人気作家の妻の裁判の中で明らかになる夫婦生活の実態は…という内容でした。
裁判シーンが長く、眠くなることもありましたが、夫婦の言い争いシーンで眠気は吹っ飛び、リアルな本音の応酬に愕然という感じでした。
身勝手で見苦しい両親の姿を知った盲目の息子が可哀想で、健気な証言シーンも印象的でしたが、何よりも心に残ったのが家族に寄り添う愛犬・スヌープの名演技です!
瀕死の中毒シーンをはじめ演技にもビックリしますが、表情豊かで愛嬌たっぷり、登場人物も観客も思わず笑顔にしてくれる救いの存在でした!
長めのセリフが多めの会話劇でスクリーンに引き込まれる映画。 本年度ベスト!
本作の邦題が秀逸!
自分は転落死した死体を解剖して事故の真実を究明して行く作品と思って鑑賞したけど全く違った(笑)
だけどタイトルに偽りは無かった!
この邦題を考えた方に座布団10枚差し上げたい(笑)
転落死した旦那の容疑者として妻のサンドラが法廷で戦う感じのストーリー。
視覚障がいの息子と愛犬、弁護人などが加わり終始緊張感のある作風がとても良かった!
本作は裁判で事件の真実を解剖する様に展開する感じ。
裁判で証言する登場人物達のセリフに引き込まれる。
長めのセリフが多めでドキュメント番組を観ていると錯覚する程にリアル。
裁判で提出される証拠品の数々が生々しい。
特にUSBに残されたサンドラと旦那の会話がリアル。
サンドラの隠された秘密が裁判で明かされて行くシーンが辛い。
被告人になるとあんな感じで秘密が皆に知られてしまうのが恐ろしい。
サンドラの子供の演技も素晴らしかった!
事件の真相は究明されずに終わってしまったけど終始スクリーンに引き込まれた感じは最近観た映画の中でも一番かも!
個人的にペットの犬に助演動物賞を差し上げたくなりました( ´∀`)
「神の視点」が入らない。まさに解剖学的法廷劇
「解剖学」から連想するのは検屍解剖。傷の場所、大きさ、深さなどから、いつどのような凶器が使われたか明らかにする。でも、誰が、なぜ、といったことまでは当然ながら解剖所見だけでは踏み込めない。つまり「解剖学」というタイトルをつけた意味は、客観的事実だけ映像化して観客と共有します、そうじゃない部分は映像化しません、中の人たちと同様に推理してください、とメリハリをつける宣言だったのだろうなと思っている。
まず、雪の上の死体。この映画の代表的イメージである。解剖所見などから建物から落ちたことは明らかなので落下死体の映像として出てくる。だけど落下自体は誰も見ていないので落ちるところは映像として出てこない。屋根裏部屋から落ちたのか、3階のベランダから落ちたのかさえ最後まで明確ではない。
そして圧巻が、法廷に証拠として提出される夫婦喧嘩の録音である。録音にのっとりサンドラと夫の喧嘩が映画のシーンとしても再現される。
でも殴る音、ものを投げつける音が出てきた時点で映画のシーンも止まる。どちらがどちらを殴ったのか、誰が何を投げたのかが録音では特定できないからである。
つまり、我々は、法廷の人々と全く同じ情報に基づきこの事件を観ている。
いわゆる「神の視点」で観客だけにもたらされる伏線的情報はない。
そういう意味では枠組みとしては優れた法廷ドラマだったと思う。映画の最後で結審する。そしておそらくは判事や陪審員と同じ判断を、観客も感想として抱くだろう。それを覆すようなどんでん返し的なストーリーも用意されていない。それはそれでよかったと思う。
ただ登場人物の造形については、やや甘ったるい。サンドラと夫の関係やそれぞれの心境は類型的だし、弁護士についても彫り込みが浅い。ダニエルもいい子過ぎるし。
優れた法廷劇だということだけで、カンヌのパルムドールに値するとはちょっと思えないのだけどね。まあアカデミーはじめ賞を取るか取らないかなんてどっちでもいいのかもしれないけど。
小説一冊読み終えたような感覚
家族劇です
この主題はやり尽くした感
オープニングが圧巻だよね。綺麗な映像で描写して事件が起きる。
それでタイトルまで静止画でつなぐけど、その静止画(写真)のレベルが高い。
映像に気を使う監督なんだろうなと思ったよ。
圧巻なのは、ここまでって感じだったんだよね。
「実験は間違えない。間違えるのは我々が与える考察だ」と著名な科学者が述べたという話を聞いたことがあるんだけど、この作品の主題はそれに近いと思うの。
実験結果だけあっても、どうしようもないんだよね。それに考察がつかないと。それで考察するときに間違えることもあるの。
この作品でも、事実は出してくるんだよね。でも、その事実を並べるだけでは何も分からない。
だから色んな人が、その事実を解釈して因果関係をつけようとするんだけど、本当のところは誰にも分からないね。
主人公が殺したか殺してないかは、主人公だけが分かるの。仮に殺してないとして、では旦那が事故で死んだのか自殺で死んだのかは、厳密には死んだ旦那しか分からない。
なのでいくつかある仮説から、信憑性が高いと思うものに決めるしかないね。
ということを、二時間かけて述べる作品かなと思ったの。
それでも、人が不審な死に方をしているから、決着をつけないといけない。
「国家は不審死は看過します」となったら、不審死に見せて殺す人が出るから、国家が混乱するからね。
なので裁判やるね。
それで裁判は、真実を明らかにする場ではなく、ディベートで結論出そうという場なんだよね。
そこが描かれてる気がするの。
裁判って「誰かが罪を犯したら、誰かがその罪を贖わなくてはならない」って考え方だと思うの。罪を犯した人と贖う人が同一なのが最善だと思うけど、国家の安定考えたら、別に同一じゃなくてもいいんだよね。全体の安定のためにある程度の個人の犠牲はやむを得ないという考え方。
そんなのに巻き込まれたら大変だから、ディベートで勝てるように弁護側がんばるの。
夫婦間の事情では、奥さんをバイセクシャルにしたり、ジェンダーの役割を逆転させたりといった工夫もあるんだけど、どの主題も既に語られている感はあったな。
色々と盛り込んで面白くまとめたのはすごいと思ったけど、それ以上のものはないと思ったよ。
自殺?事故だったのかも
何を信じるかはあなた次第
"人間"を炙り出す家族ドラマ in 法廷モノ=求心力のある法廷家族ドラマ。裁判で肝心なのもストーリーテリングで、一種の"ショー"。そして、本作は視点を変えるとカミングオブエイジ成長モノでもある。
"信頼できない語り手"的な主人公と視点人物となる息子。脚本監督ジュスティーヌ・トリエと主演ザンドラ・ヒュラーの力で引っ張られる、幾分か長すぎるが。夫婦間のパワーバランスに創作や表現できる者とできない者の差、夢で飯を食えない凡人。"子は鎹"ならぬ子は邪魔?いやいや、家族は"赤の他人"ではないが、結局のところやはりただの他人だということを痛感させられるようだった。
真実は一つ、事実は人の数だけ。先入観は禁物だが、物事(世の中)は残酷なほど主観で回っている。個人の感じ方と選択に委ねられた十人十色それぞれの"事実"、その曖昧さ。そこから何を選び取るか?疑いの目と決心。"人生は選択の連続"だとよく言うが、白にも黒にも転ばない灰色の世界を"己の正義"でどちらかに決めきる。少年はそうやって煮えきらない思いを抱えながら、また一つ世界を知っては大人に近づいていくのか。捻りのきいたプロットにある程度予想のできる形の落とし所ではあるが、真実は闇の中…。
"性差"。主人公がバイセクシャルという設定に、ネチっこくてどこか前時代的な"オカマ"っぽさも感じさせる検察官。最近の作品で言えば、同じく今回のアカデミー賞はじめ賞レースに絡んでいるブラッドリー・クーパー監督主演によるNetflix映画『マエストロ』を思い出した(そして更に同じ方向で引いて考えれば『TAR/ター』も?)。つまり、表現者であれば"芸の肥やし"として浮気(不倫)も許されるのか、と。そして、いい言い方ではないが、その中で同性愛も時に利用して。
ピアノ
彼は構想ばかり
勝手に関連作品『マエストロ』『TAR ター』『羅生門』
設定ひとつでこれだけのものが作り上げれる
愛犬スヌープ
「裁判は真実を明らかにするものではない」それは解っていても、法廷物の映画やドラマを観ていてその「真理」を巧みに利用している作品に出合うと心が奪われます。
当然、ネタバレは絶対に許されないので書き様に悩みますが、私、結構女性作家や監督の作品の「物怖じのないストレートな感じ」が好きで、本作のジュスティーヌ・トリエ監督、私この方の作品初鑑賞ですが、登場する男性たち(対象複数)に対するキャラクター設定や演出に若干の意地悪さを感じ、それがまた芯を喰っていて(男の私も)むしろ気持ちがいいです。
本作、導入から不穏さを感じさせる状況から始まり、その後に「事(こと)」が起こります。目撃者もなく、物的証拠に乏しいことから疑いをかけられるザンドラ(サンドラ・ヒューラー)ですが、それは鑑賞者から見ても怪しく見える言動が「彼女に対する第一印象」のため、起訴されて裁判に掛けられるところまでは「至ってよくありそうな展開?」かと高をくくりそうになります。ところが、撮影方法なのかそれとも編集なのか、なんだか違和感を感じさせる映像が不意に挟み込まれたりの微細な演出は、あたかもサンドラの心理的な緊張感や動揺が伝わってくるように感じますし、また巧みな脚本はそれぞれの「主観」を交えることで、いつしか反転して「冤罪」を疑い始めている自分に気づくシームレスさにとても夢中になります。
また、本作非常に「重要な役割」を果たす愛犬スヌープが本当に素晴らしい。帰宅して調べればなんとこのメッシ君(ボーダーコリー)、本作でパルム・ドッグ賞(カンヌ国際映画祭で優秀な演技を披露した犬に贈られる賞)を受賞していると。「さもありなん」と納得します。そもそも、作品始まって最初に顔が見えるのもスヌープですから、やはりこういうところにも監督の緻密な計算を感じます。
上映時間152分と、尻込みする方もいらっしゃると思いますが、とても見応えがあり決して「長い」とは感じません。お勧めです。
全306件中、261~280件目を表示