こんにちは、母さんのレビュー・感想・評価
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後味がいい作品。大泉洋起用予想以上にいいね!
山田洋次流、令和の家族模様、日本社会を的確に描いていた。 令和の家族模様を作品に取り入れつつどこか昭和のにおいを下町を舞台にしたところはさすが。 吉永小百合はさすが。問題は大泉洋の演技だが、予想以上にピッタリ合っていた。山田洋次監督さすがでした。
母はいつも強しではない
吉永小百合の年齢無視した異次元の綺麗さは相変わらず。 お母さんに好きな人ができていつもより綺麗にしてる… 大泉洋演じる息子が明らかな拒絶反応を示すがその気持ち分かる笑。自分だったらむず痒くて耐えられないよ。 なんとなくセリフだったり仕草だったり客層がシニアだからか大げさだったり違和感あったりもするが、分かりやすくて良い。 下町のあったかさが伝わってみていてほっこりする。 永野芽郁の服装だけグレてる感じで結局凄くいい子なのが違和感だったがまあいいや。 なかなか事実としては辛い結果になったが、真実は母親讃歌のかなり希望のあるラストで幸せな気持ちになった。
心がほんわか。
吉永小百合ファンの母(75歳)が 見たい〜!!という事で一緒に鑑賞。 吉永小百合(福江)をはじめ、 (息子昭夫役)大泉洋、(昭夫の同僚役)宮藤官九郎、 (福江の恋する神父役)寺尾聰、 (昭夫の1人娘)永野芽郁、 (福江の友達)枝元萌、YOU、 (昭夫に密かな恋心を抱いている)加藤ローサ… 全ての人物がとても魅力的でした。 サスペンスの様な、ハラハラドキドキはなく、 1つの家族を中心とした、全体的にとても 優しい世界のお話でした。 監督の年齢(母よりも遥かに上の年齢)に びっくりしました。凄いですね…。
小百合愛
老齢になってからの山田洋次は、家族映画の中により色濃く時事問題を挟むようになったが、今作もリストラ、夫婦の離婚、ホームレス、老人介護という、様々な社会問題を提示している。そして、それら問題に対するリアクションが相変わらず昭和的オーバーアクションなのが気になる。更に社会問題に目を向け過ぎた分、高齢者同士の恋愛という肝心なテーマが少し希薄になってしまったのが残念だ。 しかし、近年の山田映画の中ではなかなかの良作だ。 山田監督世代には永遠のアイドルである小百合愛に満ちており、いつもは違和感を感じてしまう吉永小百合の老人役が、今作では本人の年齢に沿った美しさがぐっと醸し出されている。着物姿で庭先のビルの谷間に打ち上がる花火にはしゃぐ横顔は、かつて「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」での若い歌子(吉永小百合)の姿を彷彿とさせる。 脇を支える俳優陣も良く、衣装のヘボさは気になるものの、孫役の永野芽郁のおばあちゃんとの絡みもなかなか自然な好演だし、特に会社と家庭の問題を抱える人事部長を務める息子を演じる大泉洋の演技は主役の吉永小百合を食う勢いだ。 吉永小百合の台詞、 「死ぬのが怖いわけじゃない。人の世話になる事が辛い」 という言葉は、監督自身を含めた多くの高齢者の声を代弁しているかのようだ。
母さん
こんにちは、母さん
素敵すぎる吉永小百合さん
恋をして乙女な吉永小百合さん
失恋で屍になる吉永小百合さん
色んな吉永さんを拝める
現代の家族物語
離婚状態の夫婦
人生に詰まった大学生の娘
就活中のUber配達員
リストラ勧告を受けた同期
自らホームレスになる人
懐かしく、でも現代
温かさと瑞々しさ
正直、見るつもりのなかった一本。 寅さんシリーズ、映画「学校」シリーズのファンとしては最近の山田洋次作品に物足りなさを感じていたから。さすがに歳をとって守りに入ってしまったのかな、と。今回は大女優、吉永小百合礼賛映画なのかな、と。 それが映画評論家、秋山登氏絶賛の評を読み、映画館へ。 見事に裏切られた。 山田洋次監督、健在! 秋山登氏の言う「古き良き時代への郷愁がほのかに香り、芸も品もあって、爽やかに私たちの心を和ませる。」 まったくもって同感。 吉永小百合はやはり吉永小百合。艶やかな存在感を放つ。息子の大泉洋をはじめ、中心にいる人も、それを囲む人もそれぞれに美しい。一人として監督の温かな眼差しが注がれない人がいない。 寅さんもそうだった。脇役の1人に至るまで丁寧に、愛ある描き方をされ、嘲笑、蔑みが一切ない。「こんにちは、母さん」もその世界だった。 有名俳優の演技はもちろんのこと、とくにホームレスの男性イノさんを演じる田中泯が素晴らしい。吉永小百合と同い年、78才。戦争の記憶を今も引きずるイノさんに託した監督の深い想いが伝わってくる。 良い作品に出会えて幸せ。
吉永小百合と大泉洋が…新鮮!
これまでの吉永小百合+山田洋次監督による母シリーズ3弾…。
吉永小百合と大泉洋の親子が…新鮮でやり取りがコメディっぽく面白く最高でした。永野芽郁がすごく可愛かったです。
天才!!山田洋次監督、もう一度観たい作品
山田洋次監督って本当に天才だと思う。
どこにでもある普通の日常を、どうしてあれ程までに笑いと涙を誘えるのだろうといつも思う。
映像や、演出、俳優さんたちの演技力はもちろんなのだけど、本作を改めて観て思ったのだが、山田洋次監督って「詩人としても天才」なのですね。
また、本作は「男はつらいよ」でもお馴染みの朝原雄三さんとの共同での脚本なのですね。
ここから少しネタバレ。
主人公の昭夫(大泉洋さん)の母である福江(吉永小百合さん)が、思いを寄せている牧師(寺尾聡さん)にひどいことを言うときの吉永小百合さんの怒った顔がスンゴイ可愛い!!
孫の舞(永野芽郁さん)が福江に「先生に言ったの?好きだって」といったときに、「言ってもらうまで待つの」というときの吉永小百合さんがスンゴイ可愛い!!
先生との失恋の後に、家でお酒を飲んでいるときの吉永小百合さんがスンゴイ可愛い!!
また牧師さんが軽トラで駅まで?空港まで?送ってもらうときのボランティア仲間に送ってもらうときのやり取りがちょっと涙ウルっと来ました。
「男はつらいよ」ファンの私としては、北山雅康さんや神戸浩さんが出ていたのは嬉しいですね。
今日も山田映画で、癒されました(^^)
下町風情
「男はつらいよ」の現代版という感じでしょうか。以前、柴又を散策したことがありますが、向島もそれに似て、昭和な感じがいいですね。令和の時代だって人情はある、そんな山田洋次監督の矜持が感じられました。吉永小百合さんも美しければ、寺尾聰さんもカッコイイ!あんな老人になりたいなって憧れてしまうような作品でした。「男はつらいよ」では、車寅次郞と渥美清が自分の中で完全に一人の人物になっていますが(笑)、今作の大泉洋もそんな感じがしました。大泉さんの役は寅さんではなく、博に近いのかな~。寅さん的なところは宮藤官九郎が担っていたような…。当て書きされてたのかもしれませんが、まんま大泉洋でした。そういう意味では、YOUさんもそのまんまでしたね(笑)。
これぞ松竹映画だね
何気ない日常を巧みに切り取り、そこに息吹を感じさせる。昔ながらの松竹映画を見せてもらいました。好かったです。 生きることの悩ましさが感じ取れる、誰にでもある心の機微を笑いのオブラートに包んで表現しているところは最高ですね。 山田洋次はやっぱりさすがでした。 弱くて、脆くて、崩れやすい人間に寄り添う目線を見失ってない。 令和の時代に古臭い人情喜劇なんか見せられてもなあ〜と思って公開されても暫く足が映画館に向かなかったのですが、鑑賞したところ、ちらほら令和の会社の所作に違和感は感じたもののそれを覆すだけの人の心の襞を一枚一枚ていねいに剥ぎ取りながら魅せるのは、いやぁ、あっぱれ!! あと何本見れるかわかりませんが山田洋次の次回作、期待してます。
現実だったら大変だけれど
映画っていいですね もう実現できない事を疑似体験させてくれる 母親を早くなくした だから娘がいる50の息子が母親と話すなんて体験は、とても心地いいんです しっかり家族している 娘との会話にしてもそう 働き出した上、実家に住むんだったら少しは家にお金を入れなさいと行ったんですが、全く守らないので勘当してます たったの2万円ですよ もちろん、家計も助かりますが、社会人として自覚してほしいんですよ 血の繋がりとか、あまり重視しないんで、生き方の合わない人間に用はない いつ出ていってもかまわない 自分の人生から抹消することにしている だから、何やかや言いながら繋がっている家族にはあこがれる ただ、老人の恋愛については冒険しませんね だから、山田洋次とも言えるけど 少数より多数が要求する生き方だから、安心感があるんでしょう 僕は不満ですけどね 家なんか放り出してついて行けばいいのに 愛より自分の存在意義が勝るなんて古すぎますよね 結末はある意味清々しいですが、これが現実だったら大変ですよね 大会社で部長をやっていたといっても、人事ですよ スキルも何も無い50歳の男にそうそう仕事はありませんよね 永野芽郁は山田洋次に気に入られたようです 山田ファミリー入りですね 気になったのは、彼女のファッション 身体の線の見えるニットにジーンズ まるで色鉛筆みたいなんだけど 流行ってるのかな? このあたりは、田舎者のオッサンにはさっぱりわかりません
よくわからないけど、昭和っぽく、ほっこり
大泉洋と永野芽衣が観たく、鑑賞。 そして、大女優吉永小百合の映画、初めて観た汗 なんとも若々しい。。。 そして、あの歳で恋愛か、素敵です。 私は大泉洋の年代に近いので、自分の母を思い出しながら鑑賞。 あ、母は健在です笑 ただ、遠方に住んでいるため、コロナ禍は一度も会っておらず。 大都会東京、高層ビルの会社を描いたかと思えば、 下町の昔ながらの風景を描いてみたり。 何が言いたいのかさっぱりわからなかったけど、ほっこり。 寅さん、観たことないけど、こういう世界観なのかな。。。
間違いなくオススメ! 母親とその息子が織り成す人間模様が良かったです。
足袋屋を営む母親、そして家業を継がず大企業の人事部長になった息子の周辺の人間模様が、巧に描かれていました。 「こんにちは、母さん」というタイトルは、大人しい控えめな印象ですが、ほのぼのとした人間味のある、暖かな内容の映画として、私には秀逸な出来映えだと思いました。 名匠・山田洋次監督、そして、吉永小百合さん、大泉洋さん、寺尾聰さんなど、実力派の俳優陣が勢揃いし、とても見応えが有りました。 また、音楽は千住明さんが手がけ、妹の千住真理子さんによる名器ストラディバリウスのヴァイオリン演奏が、この作品に華を添えています。 エンディングに流れる、打ち上げ花火も、とても美しいです。 「最近は、中身の無い、つまらない映画が量産されるようになった」と思い、映画館から遠ざかっている方は、是非この作品を観て、映画の良さを実感して欲しいと思いました。
庶民を描き続けてきた山田監督の「下町」へのノスタルジーであり、レクイエムです。
■先ずは語らしてくれぇ~(^^ゞ 懐かしい『寅さん』の世界が帰ってきました。 「男はつらいよ」から変わらぬ下町の人情描写も、今やファンタジーめいてしまいましたが、ある種の理想郷として羨ましいものです。そして、作り込んだセットといいメリハリを利かせた演出といい、なくしてほしくない日本映画の粋が凝らされているのが本作です。 下町とは元々、城下町のことだという説があります。しかし、今では「庶民が暮らす町」との意味で使われています。そのイメージを作り上げた一人が山田洋次監督といっていいでしょう。山田監督は、庶民の町としてある意味ユートピア的な「下町」を描き続けてきました。新作の舞台も、隅田川沿いの「下町」です。東京スカイツリーがそびえ立つ東京・向島です。 そして 日本の監督で《品格》といえば、まず山田監督があげられることでしょう。なにより芸術家を気取らないし、職人ぶるより観客の視線を忘れない監督さんです。 これは、その山田監督の最新作です。今月13日で満92歳、これが監督作90本目という。そんな老大家が、このような巧緻で瑞々しい作品を手掛けるとはただただ感嘆するしかありません。 ■ストーリー 主人公の昭夫(大泉洋)は、丸の内にある大企業の人事部長。同期の友人がリストラされると知りながらどうにもできず、会社勤めがほとほと嫌になっています。妻とは離婚協議中で、家を出てひとり暮らし。大学生の娘(永野芽郁)との関係もうまくいっていません。 ある日、昭夫は向島の実家を訪ねます。そこには母の福江(吉永小百合)が、細々と足袋店を営みながらひとりで住んでいました。ところが福江は以前と違い、髪を染めておしゃれをしていました。恋愛までしているようなのです。 時が止まったような福江の店には、様々な人々が集まってきます。ホームレスを支援するボランティア団体の仲間たち。そのグループのまとめ役の牧師、荻生(寺尾聰)がそのお相手。昭夫は母親の変わりように大慌てです・ 実家には、他に昭夫の娘で大学生の舞(永野芽郁)が、家出して福江の元に身を寄せにやってきます。さらには、リストラを宣告された会社の同期まで、昭夫に文句を言いにやって来てひと暴れするのです。 ■解説 『男はつらいよ』を彷彿させるドタバタ劇を、山田監督は江戸落語のようににぎやかに、テンポよく語かけてくる本作は、寅さんファンとして凄く心地いいものでした。 日本の母親を山田監督が描くのはこれで三作目。下町の人情を背景に福江の恋模様を描くコメディーですが、それだけではありません。山田監督は現代社会に強いまなざしを向けて、企業の非情さや働くことの意義、老いの不安、戦争の傷痕まで織り込んだのです。 ・福江と教会の牧師との高齢者の恋と下町情緒 メインとなるのは、ぎこちなくお互いを思いやる福江と教会の牧師との高齢者の恋。切々と描かれます。そして寅さんが福江に乗り移ったかのような、恋の結末。山田監督ならではですね。 そんな福江の日常を描く下町情緒にも抜かりがありません。例えば、鍵をかけずに留守にした福江の家に、ボランティア仲間が勝手に上がり込み、お茶を飲んでいたりするのは下町ならではでしょう。 そこかしこのユーモアの程もいいです。俳優の扱いもうまいものです。昭夫が重役に“啖呵”を切るくだりの、大泉のなんとかっこいいことでしょうか。福江が荻生に告白めいたことをほのめかして“冗談よ”と言う場面の、吉永のなんとかわいいことでしょう! ・人員削減に悩む息子~大きな組織の非情 つぎの要素としては人事部長という立場と友情の板挟みとなる昭夫の苦悩が描かれます。昭夫は、会社では人員削減の責任者として悩んでいました。そこに学生時代からの親友で同期入社の木部(宮藤官九郎)も対象となっていることが判明し、木部からから何とかならないのかとにじり寄られるのです。 昭夫は、人事部長として人を切る側となります。しかし福江はこう言うのです。「切られるほうが良かった」。息子は「切る」仕事に疑問を抱きはじめます。母に近寄ったかに見えますが、そうではありません。 この件で、山田監督の演出のいいところは、リストラを大企業の横暴と断罪しないことです。ひたすら昭夫を悩ませ、人を切る側の辛さを滲ませることで、大きな組織の非情を観客に感じ取らせようとするのです。 ・母と息子の関係性 さらに全体を通じて描かれるのが、一人前に社会人となった息子と、年老いた母の関係性です。 人の生き方とは何か。90歳を超えた山田監督は、これまで長きにわたって、そのことを描き続けてきました。本作は、そこから一歩も二歩も踏み出しています。母と息子の関係性の中に、ちょっとした距離があるのです。うまくかみ合わない、修復されたように見えて、そうはならないのです。象徴的なシーンは、後半の酔った母が本音をぶちまけるところ。昭夫は深く考えず、微妙な態度を見せます。グサッとくるシーンです。 またリストラのことでどうにもならず追い込まれていた昭夫に、「ここは母さんの出番だね!」と福江が立ちあがるところでは、たとえ何歳になっても、母親は母親なんだと思わせれてくれました。 映画を見た人はご自身のことを振り返るのではないでしょうか。母と息子の双方にまたがって、ご自身の生き方を痛切に思われることでしょう。受け止め方は年齢、性別によって違います。心が引き裂かれる人もでてきましょう。わたしも、そうでした。わが母のことをよく分かっていませんでした。それは正直辛いことに感じたものの、映画を見る幸福がはここにあると思います。 映画が終わった帰りの道すがらも涙が止まりませんでした。映画に関連して、近年亡くなった自分の母のことを思い出したからです。もっと多くの人が本作に接してほしいものです。 ・滲ませる現代社会に強いまなざし 山田監督の作品には、社会的な問題点を間接的に浮かび上がらせる演出に長けています。例えば本作でも、お上の世話になりたくないと生活保護を断るホームレスに、庶民の意地とプライドを語らせます。もはや町からは消えた東京大空襲の記憶を、唐突によみがえらせたりもします。 それでも表向きはあくまで人情コメディーの領域をちゃんと守っているのです。しかしどこか不穏な空気が漂っています。 ・「下町」へのレクイエム 昭夫は「下町」から隅田川という「境界」を渡り、出世しましたが、庶民の心情を捨てきれていませんでした。エリートの世界になじめず帰ってくるのです。福江の足袋店を映し出す映像は、端正で美しいのですが陰りがあります。セットは生活感を見事に表現しているのに現実感が薄いのです。 そこにたたずむ母も、スターのオーラをまとう吉永が演じていることもあり、過去の亡霊のようです。終盤、福江は老いへの不安を延々と語ります。消えゆく「下町」の運命を嘆くように。 庶民が「持たざる者」であるなら、今や東京で暮らすのは難しいことでしょう。「下町」は失われつつある記憶の風景なのです。しかし、分断の時代にわたとたちが帰る場所は、そこしかないのではないでしょうか。 これは庶民を描き続けてきた山田監督の「下町」へのノスタルジーであり、レクイエムでなのです。 ■感想 吉永が「どっこいしょ」と立ち上がるなど、端々におばあちゃんらしさも漂う役を演じて好感です。ラストの晴れやかな笑顔にサユリストもご満悦では。山田監督もいわばサユリストのひとり。成島監督でさえ、主演する吉永に忖度する映像を見せつけたものですが、本作でもどこか吉永への配慮を感じるものがありました。息子の葛藤や対応には現実感が薄く、なんでそうなるかと疑問符の連打。 また祖母の引き立て役でしかない孫娘にも一波乱ほしかったです。
可もなく不可もなく…
何か事件が起きるわけでもなく、下町のある家族の日常を淡々と綴った内容。 ある意味、予定調和といえば予定調和だが、それ以上でもそれ以下でもない。 最終的に何を伝えたかったのかもよく分からなかった… 試写会だから観たけど、お金を払って観るかと言われたらそれはないかな。
スカイツリーと屋形船
東京在住の方々には、やはり『スカイツリー』と『屋形船』には並々ならぬ思い入れがあるのでしょうか。本作なかでは「乗れなかった屋形船」「遊びに行けるスカイツリー」と今昔対極のように年代分けがされているのが印象的でした。そして片や恋人ができ、片や離婚し職も失う… 昭和と平成の差もあるのでしょうか。
ただ、ラストはお互いの世代を越えてみんなで江戸から続く花火を楽しんでメデタシメデタシと爽やかな締めでした。時代は続いていくのだよ。
牧師の荻生さんが福江さんに気持ちを打ち明けようとしたとき本編で初めて「母さん」のフルネームが出てきて「やっぱり荻生さん意識していたんだねぇ」と思うと共にそれにより母さん(福江さん)が一人の恋する女性に変わっていくところは粋で素敵でした。
そうですね最近はどこも『粋』が少ないですかね。
鑑賞後はスッキリした気持ちで劇場をあとにすることができました。
濃い味の映画もいいけれどたまには良い素材で作ったお茶漬けなんかもサラサラ食べるの感じもいいのかもと思いました(こればかりでは飽きますけれども…)
今回いちばん印象に残ったのは『田中泯』さんの軽やかでいて力強い演技でした。橋の上での昭夫とのやり取りは引き込まれました。
さっぱりしたキャラの役者さんたちの中でひときわ異彩を放っておられ、今回イチのお気に入りでした。格好良かったです!
最後に、こういう作品は当分出てこないのかなと少しばかり思いさみしくもなりました。
それぞれに頑張って、苦労があって、でも幸せ
山田洋次監督の作品は、どうしても見たい。吉永小百合さんもそうだ。となると、それだけで見てしまう。大泉洋さんは何をしてても笑えるツボがある。 山田監督に家族を描かせたら、問題が起きるけれど平和的に解決する。いや、解決なんてその人の気持ち次第だということに気づいてしまう。泣き、笑い、あっという間に終わってしまった。 人事部長職を捨て、この後どうするまでは描かれなてないが、人生は自由でいいんだと後を押してくれているようだ。
素晴らしかったです^_^
御年92歳の山田洋次監督。最初に拝見したのが子どもの時見た半世紀前の作品「家族」でしたが、その後も一貫して市井に生きる人々の泣き笑いを濃密に描かれていたように思います。しかし描き方は多分その時々の最新の技術やテーマを貪欲に取り入れていて、作品に新しいいのちを吹き込んでいるように思いました。 例えば、昭夫が働く丸の内の巨大なビルを捉えるシーン。無数のしかし整然と並ぶひとつひとつの窓は、高密度映像で映写されていて、手でひとつひとつ触れられるような感触でした。巨大な組織の中で組織の論理として動かざるを得ない昭夫の様子を象徴する映像で見事でした。 また、夕方暗くなってきた部屋で、電気も付けずに福江がお酒を飲んでいるシーン。畳を僅かに照らすばら色の光や夕陽に照らされて燃えるように輝く庭の菊の黄色が、歴史ある下町の温かな雰囲気をよく象徴し、それが福江の心を静かに包んでいるようで、とても美しいと思いました。あの色は10年前には出せなかったのではと思います。 ちなみに、永遠の清純派が高齢にして恋をする役を演じる。そんなのあり?と思ってしまいますが、でも御年78歳にしてはあまりに美しい吉永小百合という大女優を前にすると「すみません」と頭を垂れるしかありません。 「貞女二夫を見ること果たして敗徳ならば、貞男(ていだん)もまた二婦を見るべからず。彼に厳にして此に寛なり、偏頗(へんぱ)の甚だしきものと云うべし。」(「福翁百話」)。福沢諭吉が100年以上前に女性の再婚について触れたエッセイの一部です。山田洋次監督が「未亡人」という言葉が大嫌いと仰っているのを、キネマ旬報の特集で読みましたが、多分同じ趣旨だと思いました。「やもめ」は男女とも使いますが、「未だ亡くなってない人」は男性には使いませんからね。希有の存在である吉永小百合という奇跡のような大女優を得て表現したかったのは、男性も女性も年齢にかかわらず、自分の感情に嘘をついて生きるのはやめ人間らしく生きようよということだったのかもしれないと思いました。これはジェンダーや多様性という今日的なテーマでもあるよなと思った次第です。 何はともあれ、素晴らしい作品でした。
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