正欲のレビュー・感想・評価
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多様性が謳われる現代では様々な考え方が理解されやすくなってきたと思...
多様性が謳われる現代では様々な考え方が理解されやすくなってきたと思う。それでも周囲に理解されない人がいるのも確か。常識とか価値観が人によって違うということを改めて感じる作品だった。
プロポーズの言葉が良かった!!
現代日本の生きづらさを詰め込んでいて、他の映画にはない空気感がありました。実際の、不登校小学生YouTuber「ゆたぽん」は、ヤンキーの父親がやらせていたので、あまり持ち上げるのは良くないと思いました。「手を組みませんか」という、プロポーズの言葉が良かったです。稲垣吾郎は、ほんの少し前の父親像を演じて適役に感じましたし、二組のカップルの明暗が分かるラストが印象的でした。
純水
被害度合いを高めて世間との壁を必要以上に高く築き、自分たちは美化してピュアに描き、傷を舐め合うようでもある。ぼっちはフェチではないし、フェチだから犯罪者でもない訳で、こういうテーマの作品であればより配慮すべきところが欠けているように思える。
夜中に人の家のガラスを割るのは犯罪であるし、子供の動画配信を家にあがり込んでまで支援するボランティアと家にあげる妻というのもどうかと思える。出てくる食事の粗末さは意味を含めているのだろうか?
正欲=イナクナラナイデ
大昔からいたと思う。
こういった、作中「普通」と称される、学校を楽しみ社会人を楽しみ恋愛結婚出産育児して種を残す地球人とは、嗜好の異なる人間が。大量に。
それは集団嫌いかもしれないし対象が同性だったり子供だったり水だったり、多岐に渡る。
その、少数の人達の、同種を見つけにくい生きづらさを、「社会のバグ」「ありえない」と一蹴して、孤独に追いやりたいとは思わない。
一方で、異性愛でフラれる確率以上に、対象と両想いが存在する確率が低い嗜好の時、孤独と共に、一方的加害が存在しやすいのもまた事実だと思う。
この作品は、
・どんな嗜好や思考であれ抱く寂しさや孤独
・1人でない、仲間がいると思える安心
・それが一方的な場合に被害者が生まれる
という複数の視点で、マイノリティに対する意識を問いかけてくる。
長い長い目で、人類を生物学的な種族としてみた時に、成人異性愛でない嗜好は、種を残す可能性が低く、人類という目線では淘汰される運命にあるのかもしれない。
でも、「俺たち、藤原悟チルドレンだったんだ!」と作中で水が好きな偽装夫婦が話すように、マイノリティな人達も繋がりを求め、時代を超えて存在している事実もまたある。
仲間が見つかって、良かったなと思える。
反面で。
今度は、
この水好きの対象が子供だったら、つまり小児性愛だったらどう思いますか?と投げかけられる。
作中、「普通のど真ん中」の思考で法に基づき人に刑求する検事を演じる稲垣吾郎の普通の生活は、学校に行きたがらない息子をめぐって簡単に揺らぐ。
そして、普通ど真ん中な男の息子は、YouTubeに顔を出し、すぐそこに小児性愛の狩りの目があるところに生きている。
嗜好などで分けずとも、多数派にも少数派にも、自分勝手で害のある人はいて、そのような人達とは、お互いに自由の名の下に、共存も隔離も難しいが、どのようにすれば良いのか。
答えが簡単に見つからないからこそ、できた作品なのだと思う。
普通ど真ん中役の検事が、小児売春男児を見て、「されたことを理解するより前」と話すのが印象的だった。稲垣吾郎が言うからこそ、そうだよねそのような事態にいたと後から理解したとしても深い傷を負うのだから、そのような環境に子供を置いてはならないと心底からの警鐘になっていたと思う。
昔の被害のトラウマを抱える大学生女子の、やっと言葉にできた悲痛な叫び。それを、狡いと捉える人。どう受け取っても、言葉も表現も感情も嗜好も自由だけれど、それだけの深い傷がある人と話して、自分も人を傷つけていないか気をつけようと思う心だけは、共通であって欲しいなと思う。
「いなくならないよ」のガッキーのセリフに、どんな人でも最後はそこだよねと思った。
理解されて、そばに居たいと思ってもらえる。
これはなにもマイノリティやLGBTQに限った話ではなくて、作中の「普通」の人でも、案外難しいことだと思う。
子供達が不登校をしながら始めるYouTubeチャンネルにNPOとして支援を入れてくる右近さんが実は小児性愛者だったらどうしようと、途中まで怖かった。
検事の危機意識を持つ夫と、子供が楽しそう、子供を理解していたいという気持ちで顔出しYouTubeチャンネルを楽しむ妻では、合わなくて当然ではないか?夫のコミュニケーション不足もかなりあるとは思うけど、ちゃんと話しても、取り調べみたいとか怖いとか言う妻には、伝わらないよね多分。。と、なーんで結婚したのこの2人?と思った時に、「いなくならないで」の感情だったんだろうなぁと思った。
孤独の心細さは、結婚すらさせる力がある。
結婚しているだけで、あらまこんなに独特な方でも、理解者がいて家族を築けているのねという、見方をされる。実際理解者がいる安心感だけで、まとう雰囲気が変わったりする。
それだけ大きなことだから、誰だって、家族を欲しがるよね。打ち明けられる家族なら。
それは種の存続に繋がる、人間としての本能でもあると思う。
そしてできるだけ多くの種を存続させようとしたら、傷つけ合わない平和のために、「社会」が必要になる。
社会の基準として、「法律」ができあがる。
法律を侵してなくても、法律にそぐう生き方をしようと思ったら、大多数の「普通」ができあがる。
そうするとこの文の振り出しに戻る。
とても難しい。
でも、どーーーーんな生物でも、
イナクナラナイデという欲があって、それは独房にでも入れられない限り許される、正しい欲。普通。
そこは嗜好が異なるどんな人にも共通なんだなと啓蒙する作品。
自分の内側にある欲求
世間の常識とは異なった欲望があるということがテーマだったと感じた。
何を思うか、何を感じるかは自由である一方で、それを受け入れるかどうかは他人の尺度に任せられる。そこが生きづらさを感じるポイントなのかと感じた。
受け入れる側である寺井は、子どもの不登校とYouTube活動に歩み寄りを見せなかったことで家族との仲が破綻したように、相手を自分の価値観に当てはめずに理解する姿勢が重要だといえるのではないか。
多様な性…
水フェチ、確かに初めて聞いたし、発想自体ないが当然犯罪ではない。異性同性に限らず、人には無関心だが、水に性的なものを感じる異常性に生きることの苦しさを感じている人々を描き、ラストは児童への性犯罪と間違えられてしまい、中途半端に終わる。全体的に暗い。
ラストで勝ち誇る夏月の笑みの凄み
原作が好きすぎて、映画館では観なかったんですが、Netflixのラインナップに入ったので鑑賞しました。
映画化にあたり省かれてしまったものが結構あり(長いし複雑ですからね)、まずは残念な気持ちもあったことをお伝えします。
でもでも!
ラストで寺井が「調停中」とぼそっと言った後に、夏月が佳道への伝言として「普通のことです」「いなくならないから」と言うときの新垣結衣さんの微かな、でも確実な笑み、そしてそれに呼応して、愛の次元において己の敗北を悟っていく稲垣吾郎さんの消沈していく感じがとてもよかった。
このシーンは小説を読んでるときにもっと劇的なイメージを持っていたのですが、この演出とおふたりの演技には圧倒されました!!
あと最後に。
冒頭と中盤で、夏月と大也が自慰するシーンありますけど、そこで性器(の周辺?)を触ってると想像できる演出しちゃうのはいただけないです。
だって、それだと佳道と夏月の、真似事セックスの泣けるほどの切実さ・滑稽さが台無しに感じられちゃうからです!
難しい
一番初めに思った事は
単純にガッキーってこんな表示して出来るんだ!
と言う驚き。
そこから一気に引き込まれたのだけど、
話が進むにつれて自分は分からなくなった。
自分はどこまで行っても、社会によって作られた普通の中で生きて来て、普通にバカ話で性欲、性癖もぶちまけるような雑な青春を送って来たので、
ここで描かれたキャラクター達の性癖が、そこまで
生きづらくさせてる物が何なのかが分からなかった。
その分からなさが彼女らを生きづらくさせてる事は
分かったのだけど、
問題が難し過ぎて心がズンっと重たくなってしまった。
共感と理解は違う。
異質なものを理解しようとすることはできるはずだ。
しかし共感をすることはそうそうできるものではない。
だからこそ、理解できないもの・異質なものに出会った時にはとにかく理解しようと努力することが我々には必要なのだと思う。
そう気づかせてくれる作品。
新垣結衣の死んだ目がすごく良い(褒めてます)
不思議な感情
自分の知らない世界がここにありました。
題名の感じからLGBTQに関してのお話だと勝手に思い込んで見ていたので、水に性欲をいだいているお話だということに驚きましたが、この映画を見て、人には理解してもらえない人、自分だけが疎外感を感じて生きている人は、この世に沢山いるんだろうなと考えさせられました。
生きづらい世界の中でも光を見つけて、理解し合える人と生きている2人は素敵な関係でした。
あの学生の男の子は、男性が好きなのかと予想してみていましたが、水フェチだったんですね。
学生の女の子も、兄からのトラウマ(?)で男の人が嫌いだけど、それでも男性を好きになってしまう。
唯一藤原くんと話せたのは彼が女性に対して性的な感情が無いことを、彼女なりの本能から気づく感覚的な安心感があったのでしょう。
わりと冒頭で、新垣さんが寝ていてベッドに水が溢れ出てくるシーン、性的興奮を表現する絵の撮り方なのはなぜかなぁ?と思ってみてましたが、あとになって理解できました。
最初はよくわからず、水でうなされてるのか?けどなぜか性的シーンに見えるけど、どういう表し方なのだろうって見てました。
思い返せば食事から帰ってきてすぐに滝の動画を見ていたり、コップから水が溢れ出ているのにその水を止めないシーンがあったり。
全て分かった上でもう一度見返すと、より一層ところどころで色々な感情を汲んで見ることのできる作品だなと思いました。
学生の女の子の役者さんの演技力が群を抜いて素晴らしくて驚きました。初めて見てお名前を存じ上げませんでしたが、すばらしかったです。
ここにいていいって言われてる気がすると新垣さんが映画中何度も言っていました、SEXの擬似体験をしてみたいや、いとおしいとおもう気持ちや、(ふつう)なことを経験してみたいということも、なんだか胸に刺さりました。
覆い被されたあと、新垣さんが感じた気持ちの中には、愛おしさもあったんじゃ無いかって思えました。
けどそれは私がそう思うだけで、本当に水フェチの人はあの状況でも、理解し合える人を失いたくないや、ここにいていいって言ってもらえてる気持ちのみだったのかもしれません。
正しい欲って、なんでしょうね。
普通ってなんですかね。
あなたの普通はその人にとって普通じゃないし、
理解できなくても、理解しようとする気持ち自体の大切さや、歩み寄る心が欠落していた稲垣さんがこの世界の世間の目を表しているように思えました。
私は滝を見るのがすごく好きです。
ですが性的に興奮したことがなく、例えば同じ動画を好きで見ている人同士でも、着眼点や視点が違ったり、全く同じ見え方をしていなくて、もしかしたら真反対なことを見ていることもあるのかもしれないなと思いました。
色んな人がいるってより思う作品だったとともに
自分を、自分の感性や気持ちを、すごく大切にして生きていきたいって思いました。
明日を生きるためのものしかない、
そうじゃないひとのものがないとか、
なんだか、色々考えさせられる作品でした、見てよかったです。
人気アイドルや俳優を使って注目を得る事がデフォルトで、結果、おざな...
人気アイドルや俳優を使って注目を得る事がデフォルトで、結果、おざなりな演出に陥りがちな日本映画の限界か・・。
きっと原作は、もっと面白いのだろうと思えるので読んでみよう♪
ゴローちゃんの目が一番普通じゃないところが良かった😀
まず映画とは何かを考えさせられました(テーマとはもう一段深いというか、関係ないところですが!)。一つ一つの映画が一人一人の人間、もしくは人間たちの物語に例えられるとして、それら映画の面白さや面白く無さは映画自体の存在になんら影響を与えないのではないかと。
と、、回りくどくなってしまったがこの映画解像度が低い?のか高すぎるのか?単に私の波長に合わなかったのかのめり込めなかった。
正常と異常というテーマの難しさ、いやシンプルだからこそ、深みのある議論がむつかしいのかな。いやこのテーマで深みのある映画は多々あるではないか(以下省略)。
ところでこの映画、日本の田舎の風景描写がなかなか良かった。主人公の男の住んでる道路沿いの山の麓の一軒家とかとても良かった。
また、やはり吾郎さん、ガッキー、磯村さんの華、もしくは俳優力(人間力?)で最後まで見てしまった。でもこの淡々とした脚本は故意か?いやそれは当たり前か、でもこのお三方の芸風?(=演技指導?)にとても合ってた。それはテーマの"水"のようにということかもだが、ぼーっとこの映画を見てたらそれはそれで心地良かった。
途中まではよかった
今の世相を色濃く映した内容で、新鮮さもあり、まとまりもあった。ただ、ラストがもう少しみたかった。どう終わるのかと期待してしてしまっていたので、最後肩透かしな印象で終わってしまった。
「理解する側だって思うなよ」
っていうセリフが刺さった。
あぁそっか、「理解する」って思ってる時点で、自分はマジョリティの立ち位置なんだな…。
正直、自分は「明日、死にたくない方の人間」なので、苦しんでる佐々木や桐生や諸橋には「思いつめすぎなんじゃないのかな…」と言いたくなるのだが、そんな自分の中にも「無事に死ぬために生きている」とか「(自分の中の)正直な部分が終わってる」と思う部分はある。
それがあっても、今こうやって生きていられる(しかもマジョリティの立ち位置のつもりになって…)のは、「自分をわかってくれている人がいる」って思えているからだろう。
そういう点で、劇中の彼ら彼女らそれぞれに、わかってくれる存在ができていく展開に救われる思いだった。
対比的に、世の中的には、結婚もし、子どもにも恵まれ、出世もしている寺井は、我が子に対して四角四面な対応しかできないことによって、関係が崩壊していく。
彼が、自分の考える明確な正しさをもとに「知らないと思うが」と前置きしてまで正論で断じてしまうのは、検事という職業柄ゆえか、それともエリートとしての成功体験がベースなのか。
彼の言動を通して、世の中の「普通」や「当たり前」や「正しさ」の曖昧さや危うさが、ズバズバと投げかけられてきた。
それ以外にも、劇中では、人を傷つける呪いの言葉が至る所で出てくる。しかも、一見、それらは呪いの言葉らしく見えないところがタチが悪い。
とにかく「ありえない」と平気で言えるような奴にならないように生きたいと思った次第。
おもわず書き留めたいセリフも多く、役者たちの演技も素晴らしい。彼ら彼女らの表情だけで、深い思いが伝わってくる。
全体として、とてもいい映画だった。
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