劇場公開日 2023年11月10日

正欲のレビュー・感想・評価

全269件中、1~20件目を表示

4.0そのひと、ひとりじゃなかったらいいね

2024年6月25日
Androidアプリから投稿

結局のところ、人は誰にも明かすことのできない嗜好があるのだと思う。そしてそれは説明できない類のものであることが多い。
わかってほしいのだけど、わかったふりはしてほしくない。ひっそりと自分の嗜好とともに世界の片隅で、息を潜めて行きて行くことが自分が傷つかずに済む方法だとわかってはいるのだが、「共感」「理解」の幻影に騙されて淋しさに押しつぶされそうになる。
自分だけが違うと思って生きている人も世間一般の常識で生きていると思っている人にもそんなに差はないと思う。「生きる」ことをどの角度から見ているかが違うだけ。でも手に持ってる「信頼」とか「愛情」とかってプラスのアイテムをいくつ持ってて、それがハイスペックなものかどうかで「生きる」ことは受け入れやすくもなるし、受け入れがたくもなる。生きにくさこそが普遍的なものかもしれない。
多様性を語ると実は答えはシンプルなものになるのではないだろうか。
生きていくうえでの苦しみや辛さはひとりで抱え込めないからオーバーフローしちゃう。
もし奇跡的に「同志」が見つかったときは、いなくならないでほしい。お互いに。
普通に生きていく事がほんとはレアなのだから。
集中力のある構成で、佳作だ。これは日本でしか作れないタイプの作品。

八重子役をされてた東野絢香がいいと思った。「貞子」感溢れる動きや仕草、眼差しが印象的。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
イズボペ

4.5今作られるべき映画

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

発売当時に原作小説を読んで凄い作品だと思っていたが、まさか映画化されるとは思わなかった。この性的欲望に映像でいかに説得力を持たせるのか、この作品が描くものはシンプルなエロスではない。あまりにもレアで多くの他社に理解されないがゆえの苦悩を描く作品だが、まさに多くの観客にとって普通に提示されても理解が難しい題材だ。
現代社会のキーワードに「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)」がある。ポリティカルとコレクトネスと2つの単語が構成されているこの言葉は、「ポリコレ」と省略されて使われることが多いが、2つの単語から成るものだと意識した方がいい。
コレクトネスという観点で本作を観ると、本作で描かれた人々を犯罪者扱いするのは「正しくない」はずである。しかし、ポリティカル(=政治)な議席の数には限りがある。全員がその椅子に座れるわけではない。政治を社会をスムーズに営むための統治で多数決を原則とするなら、多くの人が理解できない性癖の持ち主は排除されるべきとなりかねない。この作品に描かれたものは、ポリティカルとコレクトネスに引き裂かれており、この単語の矛盾を的確に指摘している。
多様な人間が暮らす現代社会は、多数決の原則で動かざるを得ない政治的な正しさだけでは包摂しきれない。だから、マイノリティは政治運動を展開し、政治的なパワーを得ようと努力してきたわけだが、現実問題として、どんな属性でも政治的なパワーを持つことが可能かというと、そんなことはないかもしれない。皆が平等になるのが正しいが、政治の椅子の数は決まっている。今作られるべき映画だったと思う。

コメントする 1件)
共感した! 19件)
杉本穂高

4.0透明感のある生々しさ。現代社会を捉えたひとつの写し鏡として。

2023年11月26日
PCから投稿

不思議な、得体の知れない手触りを感じさせる作品だ。透明感のある生々しさは「水」のイメージからくるものだろうが、水と言っても、澄み切ったものから濁りきったもの、澄んでいるけれど危険なもの、さらには性的なものまで実に様々だ。おそらく我々はこの「かっこ」的な部分に自分なりの様々な要素を当てはめて捉えることができる。「自分を理解してくれる人なんて誰もいない」という孤独感や、同じ嗜好性を持った誰かと奇跡的に出会うことの喜び(およびその反作用)は何も今に始まったことではないが、しかし本作はあえてギリギリの淵に立った者たちの繋がりに焦点を当てる。その上で、共に気づきや安らぎを重ね、いつしかふと相手を愛おしいと感じたり、守りたいと感じたり、つまりは知らぬ間に壁が融解し、「私」が「私たち」となっていく過程に寄り添おうとする。新垣の徐々に変わりゆく表情に心奪われる。それは対極的な軸を担う稲垣においても同様だ。

コメントする (0件)
共感した! 11件)
牛津厚信

4.0欲望や嗜好に“正しさ”はあるのか

2023年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

高校を舞台にした「桐島、部活やめるってよ」、就活生たちの関係を描いた「何者」といった具合に、映画化された朝井リョウの代表的な小説を並べてみると、作家としての成長に並走するかのように登場人物らの年齢層が上がり、描写される内面もまたより深くより複雑になっている。さらにこの「正欲」では、小学生の息子を育てる夫婦、かつて中学の同級生で15年後に再会した30がらみの男女、大学生らといった具合に平均年齢が一層上がり、マイナーな性的嗜好、価値観の相違、対人関係の悩みといったテーマが交錯する群像劇となっている。

水をめぐる性的興奮と快感を鮮烈に描くシーンがいくつかある。たとえば、ベッドに横たわる夏月(新垣結衣)が水に浸されていく心象風景(映倫区分がGで大丈夫か、親が未成年の子と観たら気まずそう、などと余計な心配をしてしまった)。交通事故に性的快感を覚える人々を描いたデヴィッド・クローネンバーグ監督作「クラッシュ」や、ヘイリー・ベネットが異食症の女性を演じた「Swallow スワロウ」のように、特殊な嗜好を観客に想像させる一面はあるものの、より強い印象を残すのは、ある事件の事情聴取を行う検事・寺井(稲垣吾郎)と夏月との“かみ合わなさ”だ。自分に理解できない嗜好を否定し常識で物事を決めつけようとする寺井を反面教師に、さまざまなレベルでの多様性を受け入れるには想像力と柔軟性が必要だと映画は示唆する。他人に迷惑をかけたり法を犯したりしないことが大前提とはいえ、欲望や嗜好に正解も間違いもないのだ。

コメントする 1件)
共感した! 19件)
高森 郁哉

3.0マイノリティの気持ち

2024年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

稲垣吾郎扮する検事寺井啓喜は息子からユーチューバーになりたいと言われたが子供だからと否定した。
吾郎ちゃんも老けたね。稲垣吾郎はじめ新垣結衣などオムニバス方式で展開されていく。最後で繋がるか否かも分からずちょっと苦手な展開だ。不登校でユーチューバーなんてね。新垣結衣もどうして頭にきてるのか分からない暗い設定だったな。映画のテーマは重要なんだろうが、身内ならともかく所詮マイノリティの気持ちを理解したいとは思わないな。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
重

2.0水が好き

2024年9月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ふーん。そういう人もいるのか。
難しい問題なんだね。
普通の人のフリをして生きていくしかないのか。
辛いね。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
千恵蔵

4.0「普通」ってなんですか?

2024年9月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

性的マイノリティの2人が惹かれ合う話。

普通ってなんだろうとか、
多様性ってなんだろうとか、
を突きつけられる話。
とてもよかったです。

自分が普通かは分からないけど
人に「あなたは普通じゃない」と言うのは
よくないことだとはっとされられます。
ラストはある意味スカッとします。

あと価値観やものの考え方が似てる人と
一緒にいることが幸せだなと改めて感じました。
人の目や世間体を気にせず生きたいけど
自分も結局「普通」に囚われていると思った。
観た後はいろいろ考えさせられます、、

劇中の授業風景に金子みすずさんの詩が出てたのも
「みんな違ってみんないい」という
隠れメッセージが込められてたのではないかな。

出身である広島弁を喋るガッキーがとてもいいです!
吾郎ちゃんもハマり役でした!

コメントする (0件)
共感した! 0件)
マスノブ

3.5えっこれで終わり?!

2024年8月25日
iPhoneアプリから投稿

エンドロールに入った瞬間なるほど‥と唸ってしまった。多様性の時代。目に見える性別云々は分かりやすいが、見えない部分の多様性もある。ここでは性癖ということだが、彼らにとっては、普通にセックスすることが滑稽なのだ。再現シーンでは確かにおかしいよな、と思ってしまった。こちらが想像もできないフェティシズムをもった人たちが、この世にたくさんいることを理解しなければならない。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いつこ

4.0変化する社会概念と変わらない意識

2024年8月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

新垣結衣、稲垣吾郎、磯村勇斗
みんなの気持ちはよくわかる。
私は多分多数派。
この作品、新垣結衣の睨みが全てと思う。
前半の頑なさが後半柔らかくなる
新垣結衣さんの新境地となる素敵な作品です

コメントする (0件)
共感した! 0件)
マコト

4.5物語が上手くまとめられていて、引き込まれる作品

2024年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

「正欲」って本当に人それぞれの欲があって、3大欲求の「食欲、睡眠欲、性欲」が一般的だが、自分が当たり前に思っている欲が実は当たり前ではなかった時、それを人に言えない辛さってその人にしかわからないことだと改めて感じた。
誰しもが人には言えない秘密を一つは抱えていると思うが、自分の視野の狭さを痛感する映画でもあった。
視野を広げることができただけでも、とても価値のある作品で、たくさんの人に届いて欲しいものだと思った。
理解をすることは簡単ではないけど、「そういった感情もあるよな」と少しでも思える人になりたいと強く感じた。
「普通」に生きるってとても難しいもの。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
msk

3.5正欲

2024年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

綺麗に感じた
リアルではないだろ、など不思議と思わなかった

コメントする (0件)
共感した! 0件)
げんた

5.0明日死にたくない人の為のもの

2024年7月26日
iPhoneアプリから投稿

何度も見返しました。

そういうところもあるし、そうではないところもある。
だけどどうしようもないじゃない。そうなんだもの。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
トロイメライ

3.0オチが綺麗。

2024年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

気持ちが一定のままスーッとボーッと見れる映画でした。

何も考えずにただスッと。
ちょっと感想が上手く出てこないけど…

自分の思う普通は自分以外の人から見ると普通ではない。
ただそれを描いているのかなと。
共感をしたかもしれないし、共感もできないかもしれない。
深いような、深くないような、上手く言えないですが、
ただ最後まで見て思ったことは、オチが綺麗でした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
むっちん。

2.0繋がりたいけど繋がれない私達に向けた物語

2024年7月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

単純

興奮

内容は、主要登場人物の五人が織りなす立場と性癖と人間模様の中で、それぞれの小説をミステリー形式で最後にまとめ上げる作品。
 印象的な台詞は『1人でないとええね。』桐生が佐々木に話す言葉。お互いの性癖に辟易している2人が共感覚を大切に思いやる場面が方言もあり温かく印象に残った。
 印象的な場面は、主要人物の若さが気になりました。若気の至りとも思える其々のキャラクターの原風景はそれ程ひた隠しにするものでもない様な気持ちになりました。しかし自分もそうですが若い時は視野狭窄になりやすいので仕方ないですが、もっと内省的な心の機微がみたかったです。
 印象的な立場は、三幕構成の三段目にいきなり矢部陽平という小学校の先生を持ってきてオチに向かう所です。その間ミスリードのオンパレードで、くどすぎました。子供が好きな先生が、好きな子供と遊ぶのはいつもの事ですが時代が悪かった。現代ぢゃなきゃ大丈夫だったのに世の中の流れに羨むばかりです。
 大多数の人が、少数派に分け入る様な構図の物語。普段と逆の見方が出来る作品は面白いと感じますが、少し短絡的な感じが否めず熱い芝居が逆に引いてしまいました。
 最後の終わりにも扉に正面に向かう検察官の寺井を映しながら扉が音を立てて閉まる場面は、分かり合えない人間の描写で、視聴者に考える余韻を与えない寂しさが、後味を悪く変えてしまった様に思えてなりません。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
コバヤシマル

1.5かなりガッカリ

2024年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

寝られる

良い書き込みに釣られて観たが、ガッカリ。
原作は未読だが、確かに難しいテーマを描いていると思うが、それにしてもあまりにも淡々と進み退屈。そして、色んなシチュエーション(特に家族)が、あまりにも嘘臭い。セリフ、芝居、動き。観ていて、舌打ちしてしまうぐらい、偽物感(作った感)が満載。久し振りに、酷い作品を見た。
唯一救われたのは、ガッキーの芝居かな。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
hagechabin

4.0枠外の者たち

2024年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

人生のテンプレートに当てはまらないと生きにくい。
誰からも強要されてないし、好きに生きればいいと思っていても日常の中に潜む棘が歩くたびに少しずつ傷をつけていく。

なぜ逮捕されたのか、そんなもんなのかもしれない。
水がどうとかそんなやり取りを見たところで、そのうちの一人が児童買春の犯罪者ならお前らもそうなんだろって。
水の繋がりより、小児愛者の繋がりの方がテンプレートにはめやすい。
分からない人にはどうしたって分からない、だから誰にも迷惑はかけないからそっとしておいて。
私達はそうやって生きていくから。
そんな感情が最後の新垣結衣の演技に表れていた気がした。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
アポロン

3.5画一性と千差万別の難しいテーマを扱った作品

2024年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

「分かり合える人と暮らしています」のセリフが泣けた。
普通といわれる世の中に混ざれない感覚を疑似体験できた。
娘にチャンネル権を譲らない我儘な母親や、息子と妻を思い通りにしようとする不機嫌な父親には憤慨した。
桐生夏月(新垣結衣)と佐々木佳道(磯村勇斗)が初セックスをしようとするシーンが素敵で泣けた。
マイノリティ同士の絆の強さも描写していて、希望を感じる。

コメントする 1件)
共感した! 26件)
Don-chan

4.0観る人全てに問いかけるよう

2024年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

採点3.8
生きづらさを抱えてる人達の偶像劇。
フェティズムに翻弄される様が静かで丁寧に描かれ、何だか見入ってしまいました。
主演の磯村勇斗とガッキーは中々に良い組み合わせで、ブラックなガッキーの芝居も見応えがありました。
ゴローは(個人的に)正直微妙でしたが、そこを宇野祥平がうまくフォローしてたように見えました。でも役所にはすごくマッチしてましたね。
そんなゴローの「綺麗なのは奥さんが頂くと良いですよ、ご主人に黙って」この一言に作品の色々が詰まっていた気がしました。それくらいハッとしたシーンでした。
ラストは重いものが残ったまま、正しさとは何か?と観る人全てに問いかけるような作品でした。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
白波

4.0炙りだされる価値観

2024年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

嗜好と簡単に言葉で括るには、あまりにも人格が多様であると謳われている時代。
LGBTQのように安易にカテゴライズして理解しようというのが、今の流れなのだろうが
残念ながら他人の嗜好など理解できるはずもない。
いや、正確には認識や理解はできるが、それを受入れたり共感したりすることとはまた別なのだ。

今作ではマイノリティーであることの生きづらさが、非常に薄い氷の上を歩くかのような危うさと共に全編に散りばめられている。
時代はマイノリティーであることを半ば強制的に共有させ、理解できる形で消化しようと促すが、それは果たして誰が得するのだろうか。
本当の意味での理解や「分かる」というところはまだまだ先である。

その上で今、この映画が生まれて広く世に知らしめたことは、本当に意味のあることだと思う。
ただ他人と違う。それがどれだけ深い意味を持つのか。
そこに生きづらさを感じたことのある自分からすると、今作は大きな光に感じ、
安らぎにも似た感覚を覚えた。

いびつな話ではあるが、他人が他人を理解しようなどと考えること自体が、そもそもおこがましいとさえ思うのだが。
それでも尚、殺人犯を含む犯罪者の嗜好や倫理観を共有したいと思うのが、日本人らしい。
この国の裁判では、他国に対して類を見ない「動機」が裁量に関係するのだから。
結果に対して原因を見て、判断をする。そんなことが本当に人間にできると思っているのだから、ちゃんちゃらおかしな話である。
作中の検事が社会性の代表として描かれる中、理解することの難しさはさておき、そこに対する努力や歩み寄りを感じたいと思うのが、人間であり日本人などだろうと改めて感じた。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
fujitaka1217

4.0多様であることと社会的生き物であること

2024年5月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

今世の中で多様性がよくうたわれている。
思っちゃいけない感情なんてない。作品の中でそんな言葉があった。一方で、不倫であったり、発言であったり、社会が監視する目は日に日に厳しくなっている気がする。
社会でいきていく中で、他人に迷惑をかけるような行動は規制せざるを得ない。これは人間が、過去の歴史から積み上げてきた経験値だと思う。一方で、社会と個人の間にある法律ではなく、倫理と言うものがあまりにも曖昧で、何がよくて何が悪いのか、これを規定できるものはないんだろう。
そういった難しさを最大限表現できている気がする。
インターネットはそういったマイノリティを繋ぐこともあれば、孤独を感じさせるものにもなったいるのだろう。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
sdfghjkl