劇場公開日 2023年11月10日

正欲のレビュー・感想・評価

全341件中、1~20件目を表示

4.5今作られるべき映画

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

発売当時に原作小説を読んで凄い作品だと思っていたが、まさか映画化されるとは思わなかった。この性的欲望に映像でいかに説得力を持たせるのか、この作品が描くものはシンプルなエロスではない。あまりにもレアで多くの他社に理解されないがゆえの苦悩を描く作品だが、まさに多くの観客にとって普通に提示されても理解が難しい題材だ。
現代社会のキーワードに「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)」がある。ポリティカルとコレクトネスと2つの単語が構成されているこの言葉は、「ポリコレ」と省略されて使われることが多いが、2つの単語から成るものだと意識した方がいい。
コレクトネスという観点で本作を観ると、本作で描かれた人々を犯罪者扱いするのは「正しくない」はずである。しかし、ポリティカル(=政治)な議席の数には限りがある。全員がその椅子に座れるわけではない。政治を社会をスムーズに営むための統治で多数決を原則とするなら、多くの人が理解できない性癖の持ち主は排除されるべきとなりかねない。この作品に描かれたものは、ポリティカルとコレクトネスに引き裂かれており、この単語の矛盾を的確に指摘している。
多様な人間が暮らす現代社会は、多数決の原則で動かざるを得ない政治的な正しさだけでは包摂しきれない。だから、マイノリティは政治運動を展開し、政治的なパワーを得ようと努力してきたわけだが、現実問題として、どんな属性でも政治的なパワーを持つことが可能かというと、そんなことはないかもしれない。皆が平等になるのが正しいが、政治の椅子の数は決まっている。今作られるべき映画だったと思う。

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杉本穂高

4.0透明感のある生々しさ。現代社会を捉えたひとつの写し鏡として。

2023年11月26日
PCから投稿

不思議な、得体の知れない手触りを感じさせる作品だ。透明感のある生々しさは「水」のイメージからくるものだろうが、水と言っても、澄み切ったものから濁りきったもの、澄んでいるけれど危険なもの、さらには性的なものまで実に様々だ。おそらく我々はこの「かっこ」的な部分に自分なりの様々な要素を当てはめて捉えることができる。「自分を理解してくれる人なんて誰もいない」という孤独感や、同じ嗜好性を持った誰かと奇跡的に出会うことの喜び(およびその反作用)は何も今に始まったことではないが、しかし本作はあえてギリギリの淵に立った者たちの繋がりに焦点を当てる。その上で、共に気づきや安らぎを重ね、いつしかふと相手を愛おしいと感じたり、守りたいと感じたり、つまりは知らぬ間に壁が融解し、「私」が「私たち」となっていく過程に寄り添おうとする。新垣の徐々に変わりゆく表情に心奪われる。それは対極的な軸を担う稲垣においても同様だ。

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牛津厚信

4.0欲望や嗜好に“正しさ”はあるのか

2023年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

高校を舞台にした「桐島、部活やめるってよ」、就活生たちの関係を描いた「何者」といった具合に、映画化された朝井リョウの代表的な小説を並べてみると、作家としての成長に並走するかのように登場人物らの年齢層が上がり、描写される内面もまたより深くより複雑になっている。さらにこの「正欲」では、小学生の息子を育てる夫婦、かつて中学の同級生で15年後に再会した30がらみの男女、大学生らといった具合に平均年齢が一層上がり、マイナーな性的嗜好、価値観の相違、対人関係の悩みといったテーマが交錯する群像劇となっている。

水をめぐる性的興奮と快感を鮮烈に描くシーンがいくつかある。たとえば、ベッドに横たわる夏月(新垣結衣)が水に浸されていく心象風景(映倫区分がGで大丈夫か、親が未成年の子と観たら気まずそう、などと余計な心配をしてしまった)。交通事故に性的快感を覚える人々を描いたデヴィッド・クローネンバーグ監督作「クラッシュ」や、ヘイリー・ベネットが異食症の女性を演じた「Swallow スワロウ」のように、特殊な嗜好を観客に想像させる一面はあるものの、より強い印象を残すのは、ある事件の事情聴取を行う検事・寺井(稲垣吾郎)と夏月との“かみ合わなさ”だ。自分に理解できない嗜好を否定し常識で物事を決めつけようとする寺井を反面教師に、さまざまなレベルでの多様性を受け入れるには想像力と柔軟性が必要だと映画は示唆する。他人に迷惑をかけたり法を犯したりしないことが大前提とはいえ、欲望や嗜好に正解も間違いもないのだ。

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高森 郁哉

1.0極端過ぎやしませんか

2024年4月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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かーむ

4.0マイノリティと性加害は違う

2024年4月24日
スマートフォンから投稿

生きづらさを抱えてる人間同士の心情を優しく描き、繋がって助け合っていける世の中になるなら幸せだなと思って観ていたら、最後ガッカリ。

小児性愛と一緒に描いたら、それはごっちゃにしちゃダメだろ、ってなった。
小児性愛者にも同じ種の苦しみはあるのかもしれないけど、それは誰かの一生の傷を残す犯罪だから少しも肯定できない。

ガッキーの演技すごい!

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mai

4.5普通のこと

aさん
2024年4月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

「普通」ってなんですか

「普通は〜、、」って言う人って
「自分は普通だ」と思って生きている

全員普通じゃないのにな
「普通」な人なんてどこにもいないのに

比較的多くの人がそうってだけで
普通なんてものはない

世の中にはどこかの誰かが決めた基準が「普通」と
されているのかもしれない。
基準があることも大切なことだけど
すべてにおいて「普通」が「正しい」とは限らない

そんな「普通」に苦しんできた彼女が
「普通」を言い張る刑事に
「普通のことですよ。」と彼への伝言を頼むシーン

それが今の刑事にとっては「普通」ではなくて
モヤっとがスカッとジャパンされました。

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a

4.0誰でも一度は経験する気持ち

2024年4月7日
iPhoneアプリから投稿

多様性とか少数派とか
言われ過ぎて違和感
そもそも、みんな違うのに

でも、こんな厭世的な疎外感、
少数派じゃなくても
経験する気持ちだと思った

結局1人じゃ寂しいってことかな
誰かと一緒にいて、誰かと抱き合っていれば
大したことじゃなくなるのかな

でもガッキーも磯村くんも
そんなに暗くなる必要ないかな笑
今の世の中だったら
もっと受け入れてもらえるよ

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おんこ

4.0上から目線で言うと

2024年4月3日
スマートフォンから投稿

自分に置き換えて彼 彼女らを見るとその心の有り様は苦しく閉ざすのはよくわかる

そこから離れて上から考えてみるに
自分を受け入れてくれない人を
自分もまた受け入れられない
という様相と苦悩なんですね。
「わからないことはわからない」と理解出来れば人への怒りや閉塞は和らぐのではないかなと思います。
つまり自分で問題をつくり苦しみを生み出している ということ。これもまたわかればわかるし わからなければわからないということ。ただ自分に付き合うしか手立てがないのが歯がゆいですが。

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タウマゼ

1.0秀逸なカメラと破綻した物語。

2024年4月1日
iPhoneアプリから投稿

カメラと照明は、立派ですね。この光の撮り方は精密で手堅いし、きちんと同時代の記録になりおおせているとも思います。ここは大きなプラス要素です。

しかし、物語が支離滅裂。演技もそれを支えていない。おそらく物語構造そのものがダメなのではなく、演出がヘタクソすぎるのです。部下から新聞記事を渡されて声に出して読んでみる検事、いるか? 会話の撮り方も、ほぼ全滅です。オープニングのベッドでの自慰シーンも、悪いけど水が満ちてきたから何?としか思わない。そもそもショット割りが下手すぎて自慰だかなんだか分からない。「インティマシー・コーディネーター」が入ってコレなら、もうどうしようもないのでは。

こんな作品を評価してしまうというのは、つまり「映画」というものを真面目な芸術形態ではなくて、中学生に見せる性教育ビデオのようなものとしか考えてないからです。ただの社会改良の道具にすぎないと。それはそれで好きにしたらいいんだけど、映画を批評するのはお門違いですね。

作り手は、「生きづらい」「違和感」「多様性」とかの言葉をちょっと気楽に考えすぎじゃないでしょうか。そうした言葉の意味をきちんと精密に真剣に考えていれば、こんな薄っぺらい作品にはならないと思うんだけど。この映画では、ただなんとなく辛そうな登場人物が出てきて、彼らが脈絡なくリンクして、もわんふわんと終わってしまう。演出側が、それなりに優れているカメラと照明・美術を、まったく活かしきれていない。

このあたりはニューヨークやパリでの大方の評価ですね。見た人はみんな呆れてるし、作品としてはほぼ完全に無視されました。

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milou

ちんぷんかんぷん

2024年3月30日
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鑑賞方法:VOD

ぼちぼち評価が高い中、私は⭐︎0で提出します
頭が少々悪めの人には何にも響かなかった
水そのものに性的興奮する事にびっくりしただけの感想
小説凄い売れてたよね
本屋さんで働いてた時いっぱい売れた
えっちな小説かと思ったけどまたちょっと違ったね

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わんわん

4.0理解されなくていいが、理解されないという苦しみは存在する

2024年3月28日
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鑑賞方法:VOD

知的

これは自分自身がセクシャルマイノリティの人間だから共感できた作品なのかもしれません。
そうでなくとも人間は誰しも何かしらの性癖や欲を抱えて生きているものだと思っていますし、人から理解されにくいことに対しての苦しみが痛いほど伝わります。
自分はアセクシャルの人間なので、性的欲求がありません。かといって恋愛ができない人間なのかと問われれば、アセクシャルは性的欲求がないだけで恋愛自体に興味がないわけではないので、お付き合いをした経験はあります。

残念ながら未だ「結婚(もしくは恋愛)していない人間は不幸せ」という風潮が根強く、「恋人いないの?」「結婚しないの?」という質問に疑問を感じたり、苛立つことがあります。
人間は必ずしも誰かと恋をし、結婚し、子供を産み育てなければいけないのか。
恋人が自分にいなかったり結婚していないことに対して悪態をついたところを「妬ましい」と思っていると勝手に解釈され苛立つ主人公の気持ちに共感しましたし、車のシーンもそうですが、実際にあんな風にもうどうにでもなれと突発的な行動を起こしたくなる気持ちも理解できました。

これはあくまで個人的な意見ですが、特殊性癖を抱えていることや他人から見て変わった欲があること、セクシャルマイノリティに属していること自体が悪いとは思いません。
性癖が犯罪に繋がってしまうことは断じて許されることではありませんが、人様に迷惑をかけずただその性癖を抱えているということは悪くないと思います。
それは人知れず抱えたそれに本人が一番苦しめられているかもしれないから。

何が「普通」なのか。人は「普通は」とよく口にしますが、その多くの人が口にする「普通」ってなんなんでしょう。
それが繊細に描写されている作品でした。

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あおねる

4.0多様性とは何かを訴えかける作品

2024年3月28日
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多様性という耳触りのいい言葉
誰にも理解されない個人の感覚
理解する者と理解される者の両者にある上下関係
言葉にしにくい多様性という違和感を映像化

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こんにょ

3.0間違った多様性に対する皮肉もあるのかな・・・

2024年3月27日
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鑑賞方法:VOD

偏った性癖を持てば生き辛く感じるのは解る
でもそこに囚われて【周りは普通】【ズレてるのは自分たちだけ】と
普通を美化して【人と違うものに愛着を強く持つ】事を、自ら【良くないもの】と
断定しているのには共感できない。

大なり小なりフェチズムはあるものだし
愛着が強いから・・周りと違うから・・とか
他人に認めてもらえないから・・・とか

どうでもいい気がする。

理解してほしい気持ちが強いのに、説明はしない
それでいて理解してない人には真っ向から敵対し否定する
上手くいくわけない

登場人物のほとんどが自分の欲を押し付け合っているような
着地点の無い底なし沼のような話

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名前さん

3.0普通

2024年3月25日
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前半ちょっと長い感じが、、、。
普通ってどうなんだろう。
普通に男女で結婚して普通に子供産んでその子供普通に育てられなくて離婚。

普通じゃなくても人としての信頼関係がしっかり築けた2人。
どうでもいいけど、別に普通じゃなくてもなんとかなるなくらいで生きたら楽かも。

でもそれって映画観る前からわかってるかも。

そうゆう感じで普通な映画だったな。

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ちま

2.5いろんな人がいる

2024年3月24日
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鑑賞方法:その他

いろんな人がいる

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⭐︎

0.5性欲ではないのか?Gの方を差別しないが、僕は髭面が嫌い

2024年3月24日
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マサシ

4.0人格形成が完了した大人が一歩前進するには

2024年3月23日
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2023年劇場鑑賞69点 優秀作 72点

結論、若い頃の人格形成がなされる前に多種多少な人物のと関わりがあれば、その先未来の自分の理屈が積み上がってからも、明後日の方向から飛んできた理屈も理解しようと出来るのかもね

だからこそ、自身の特性に気づいたら恥じる事なく早くにそれを表にするべきだし、それを表にしても恥じない社会を作らないといけないし、親がまずは子がオープンに出来るような寛容さを日頃から印象づけ、理解しようと歩み寄らないといけないね

稲垣が悪い人とかじゃないし、所謂世間一般の感覚の持ち主の敬称だけど(随所に普通じゃないなというところもあるけど)、彼の人格が形成されてからのこの出会いだから、もう難しい

こんな社会、特に日本の国民性だもんね何年語になるかな〜

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サスペンス西島

3.5正しさに押しつぶされそうな人たちへのメッセージ。タイトルが秀逸。

2024年3月22日
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ゆめ

4.5多様性と社会

2024年3月22日
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鑑賞方法:VOD

多様性がテーマの話。原作を読んでないが、十分メッセージ性も伝わり、面白かったと思う。時間の制約で後半は駆け足になっているが、スピーディーな展開であり良かったと思う。
特異性嗜好で悩んでいる人が現実世界でもいることを思うと、多様性と社会の在り方について考えさせられる。少数の性嗜好も社会としては存在を認め、受け入れることが大切だと思う。安易にありえないやおかしいといった評価は人をひどく傷つけることがある。
一方でやはり社会システムとしては誰かが被害を被るような性嗜好の行為は抑止しなければならないし、多数派のボリュームゾーンの人向けの社会システムにする必要があると思う。つまり多様性と社会のバランスが大切であり、昨今の少数派(社会的弱者にイメージが持たれている)を優遇して多数派を締め付けることになっている流れは良くないと思うと考えた。
このように現代社会へのメッセージも含まれる個人的に好きなタイプの映画。

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ヨコヨコ

4.0いい映画でした

2024年3月20日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

稲垣さんの演技も良かった。

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Ferma