キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱

劇場公開日:

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱

解説

キュリー夫人として知られるマリ・キュリーの伝記ドラマ。1903年にノーベル物理学賞、1911年に同化学賞を受賞し、女性として唯一2度のノーベル賞受賞を果たしたキュリー夫人を、「ゴーン・ガール」「パーフェクト・プラン」のロザムンド・パイクが演じた。

19世紀のパリ。ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカは、女性というだけでろくな研究の機会を得られずにいた。そんな中、科学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たし、結婚してキュリー夫人となった彼女は、夫の支援で研究に没頭する。やがてラジウムとポロニウムという新しい元素を発見し、夫婦でノーベル賞を受賞する。しかしピエールは不慮の事故で他界し、発見したラジウムは核兵器として利用されるようになってしまう。

夫ピエール役で「マレフィセント」シリーズのサム・ライリー、娘イレーヌ役で「ラストナイト・イン・ソーホー」「クイーンズ・ギャンビット」のアニヤ・テイラー=ジョイが共演。監督は「ペルセポリス」のマルジャン・サトラピ。

2019年製作/110分/G/イギリス
原題または英題:Radioactive
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2022年10月14日

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映画レビュー

4.0マリ自身が放つエネルギーが、科学と女性と人類の歴史を変えた

2022年10月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

従来の伝記映画の枠に収まらない、創造性に富んだ意欲作だ。原題の「Radioactive」は、米国人女性アーティストのローレン・レドニスによる原作グラフィックノベルのタイトル(邦訳の題は「放射能 キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響」)と同じ。第一義的にはマリ・キュリーが命名した、ある種の元素から生じる放射現象を指す言葉だ。ただし、シンプルなこの題には、女性の社会的地位が低かった時代のフランスの学界で、ユダヤ系ポーランド人という出自により差別も受けながら、さまざまな壁をぶち破って自身の研究と夫への愛を貫き、科学界と社会、そして世界の歴史に影響を及ぼしていったマリの強烈な資質への比喩も込められていると思う。

プロデューサー陣と脚本家は英国のチームだが、監督にイラン出身・フランス在住の女性監督マルジャン・サトラピを起用したのも英断だった。彼女は映像作品を手がける前は漫画家としてキャリアを築き、自伝的漫画を自ら共同監督を務めてアニメ映画化した「ペルセポリス」が高評価された。サトラピの参加により、男性社会で抑圧される女性の視点、被差別者の視点が強調されただけでなく、マルチクリエイターらしい独創的な表現(米国での核爆弾の実験、広島への原爆投下、チェルノブイリ原発事故といったマリの時代よりも未来の出来事を幻想的に挿入する演出など)によって、ありきたりな伝記映画に収まらないユニークな意欲作となった。

ロザムンド・パイクには芯の強い女性の役がよく似合う。娘役のアニヤ・テイラー=ジョイは出番が少なかったが、演技派2人のアンサンブルで終盤の母と娘のエピソードを大いに盛り上げている。

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高森 郁哉

3.5この物語は今もなお続いている

2022年10月17日
PCから投稿

キュリー夫人との出会いは、図書館で借りた伝記シリーズだったか。当時の私の頭ではノーベル賞に輝いた凄い人と分かっても、詳しい業績までは理解が全く追いつかなかった。それもそのはず。彼女(及び夫婦)のもたらしたものは伝記の枠組みでは到底語りきれるものではなく、それが世界に光をもたらすか闇をもたらすかは、100年、200年という長いタームで見つめる必要があるからだ。この点を克服すべく、本作は極めて実験的な手法と構成で観客に「その後」を突きつけており、全てが成功しているとは言い難いが、鮮烈なインパクトをもたらしているのは確かだ。一方、パイク演じるキュリー夫人は、決して人好きのするタイプでなく、自分の信じた道をひたすら突き進む頑なさに満ちた人として描かれる。男性ばかりの大学組織、学術界で彼女が切り開いたものは大きい。祖国を離れた者としての立場が、イラン出身のサトラピ監督と重なるのも興味深い点と言える。

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牛津厚信

4.5怖い話だった。

2024年8月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.5まさか今の映画でロイ・フラーを見られるとは…

2024年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

アニャ・テイラー=ジョイの過去作チェック7本目

恥ずかしながら私、もういい歳なのにキュリー夫人の伝記を読んだことがなかった…名前くらいしか知らなかった…

キュリー夫人の伝記って小学校の図書室とか学級文庫みたいなところに、二宮尊徳とか野口英世とかエジソンとかコロンブスとかナイチンゲールとか、そんなラインナップの中に必ずありますよね

だから小学生でも名前は必ず知ってる

でも私はこれまで1mmも伝記を読む気にならなかった

二宮尊徳は校庭の銅像で一目瞭然、苦学して出世した人の代表じゃないですか

野口英世は偉いお医者さん、エジソンは世界一の発明家、コロンブスは新大陸を発見した探検家、ナイチンゲールは一番最初の看護婦さん

この人達が立派な人だということは、子供でも一発でわかるじゃないですか

でもキュリー夫人は何した人なのか全然ピンと来ない

ていうか、アニャが出演してなかったら本作も絶対に見なかった作品ですよ

私が今までまったく興味を持てなかったキュリー夫人の伝記映画…これが私にとっては超名作でした

キュリー夫人ってちょっとあり得ないくらいの偉人だし、ちょっとあり得ないくらい劇的な人生を送った人なんですね

女性で初めてノーベル賞を取った人だし、人類で初めてノーベル賞を2回取った人だし、現在までにノーベル賞を2回取った唯一の女性だし、夫もノーベル賞を取った人だし、娘もノーベル賞を取ったし、婿もノーベル賞を取ってる

まあ要するに、女性に限らず歴史上もっとも頭いい人と言っていいくらいの業績はあるわけですよ

さらに科学者としての功績を凌駕するほどドラマティックな人生

鑑賞後、即座にネットでキュリー夫人をバババーッと調べたのですが、とても1本の映画に収まるスケールの人生じゃないんですよ

本作はむしろよくここまで見事に1本の映画として仕上げたなぁと、改めて舌を巻きました

キュリー夫人の伝記、小学生だとチト早いかもしれないけど、高校生くらいで読書感想文の指定図書として全員強制的に読ませてOKなレベルだと思いました

昔のことですから当然、女性の生き方として超一流の研究者・科学者をやっていくには諸々の障害があります

そもそも超天才で頭良すぎるので、一般人ばかりでなく知識人でも倫理観や価値観を合わせづらいということはあったでしょう

この映画では、旦那さんがホントいい人で、キュリー夫人のアイデンティティから切り離せない存在

いつまでたっても彼女が「キュリー夫人」、つまりキュリーさんの奥さんと呼ばれるのか分かる気もしますし、このセンス無さ気な邦題もちょっと許せます

そもそもこの映画、わりと早い段階でロイ・フラーが出てきて、もうその時点でガツーンとやられちゃったんですよ

ロイ・フラーは個人的に以前、ネットで調べまくったことがあったんです

まさか今の映画でロイ・フラーを見られるとは…

ロイ・フラーというのはザックリ100年前のパリのアートダンサーで、ジュディ・オングの「魅せられて」の元ネタですよ(憶測)
彼女のパフォーマンスはロートレックにインスピレーションを与えたばかりではなく、確か最初期の映画(エジソンとかリュミエール兄弟とか)のモチーフになってますよ

ロイ・フラーを登場させるというのは映画人として意外にチャレンジングな試みだったのでは?

そしてロイ・フラー以外にもエッフェル塔、自転車、自動車、降霊会、サマリテーヌ、第一次世界大戦等々、当時のフランスの時代性を象徴的に示すモチーフが取り扱われているし、原爆や原発事故などキュリー夫人が研究した放射能の及ぼす悪影響についてもきっちり取り扱われていて、伝記映画としてのクオリティが頭抜けてる印象

さらに主演のロザムンド・パイク(1979年生、公開時41歳)の演技は圧巻!

この映画、イギリス映画だからか、そんなにヒットも評価もされてないような気がしますが、個人的にはかなり高く評価しますよ

さてお目当てのアニャ・テイラー=ジョイ(1996年生、公開時23歳)は、キュリー夫人の娘の役なんですが、お顔がロザムンド・パイクと全然違う系統なので、とても母娘に見えない…

客観的にはミスキャストですが、彼女のお陰で本作を見ることができ、キュリー夫人の人生を知ることができたのでプラスマイナスゼロってことにしておきます

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ケンイチ

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