キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱

劇場公開日:2022年10月14日

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱

解説・あらすじ

キュリー夫人として知られるマリ・キュリーの伝記ドラマ。1903年にノーベル物理学賞、1911年に同化学賞を受賞し、女性として唯一2度のノーベル賞受賞を果たしたキュリー夫人を、「ゴーン・ガール」「パーフェクト・プラン」のロザムンド・パイクが演じた。

19世紀のパリ。ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカは、女性というだけでろくな研究の機会を得られずにいた。そんな中、科学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たし、結婚してキュリー夫人となった彼女は、夫の支援で研究に没頭する。やがてラジウムとポロニウムという新しい元素を発見し、夫婦でノーベル賞を受賞する。しかしピエールは不慮の事故で他界し、発見したラジウムは核兵器として利用されるようになってしまう。

夫ピエール役で「マレフィセント」シリーズのサム・ライリー、娘イレーヌ役で「ラストナイト・イン・ソーホー」「クイーンズ・ギャンビット」のアニヤ・テイラー=ジョイが共演。監督は「ペルセポリス」のマルジャン・サトラピ。

2019年製作/110分/G/イギリス
原題または英題:Radioactive
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2022年10月14日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0マリ自身が放つエネルギーが、科学と女性と人類の歴史を変えた

2022年10月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

従来の伝記映画の枠に収まらない、創造性に富んだ意欲作だ。原題の「Radioactive」は、米国人女性アーティストのローレン・レドニスによる原作グラフィックノベルのタイトル(邦訳の題は「放射能 キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響」)と同じ。第一義的にはマリ・キュリーが命名した、ある種の元素から生じる放射現象を指す言葉だ。ただし、シンプルなこの題には、女性の社会的地位が低かった時代のフランスの学界で、ユダヤ系ポーランド人という出自により差別も受けながら、さまざまな壁をぶち破って自身の研究と夫への愛を貫き、科学界と社会、そして世界の歴史に影響を及ぼしていったマリの強烈な資質への比喩も込められていると思う。

プロデューサー陣と脚本家は英国のチームだが、監督にイラン出身・フランス在住の女性監督マルジャン・サトラピを起用したのも英断だった。彼女は映像作品を手がける前は漫画家としてキャリアを築き、自伝的漫画を自ら共同監督を務めてアニメ映画化した「ペルセポリス」が高評価された。サトラピの参加により、男性社会で抑圧される女性の視点、被差別者の視点が強調されただけでなく、マルチクリエイターらしい独創的な表現(米国での核爆弾の実験、広島への原爆投下、チェルノブイリ原発事故といったマリの時代よりも未来の出来事を幻想的に挿入する演出など)によって、ありきたりな伝記映画に収まらないユニークな意欲作となった。

ロザムンド・パイクには芯の強い女性の役がよく似合う。娘役のアニヤ・テイラー=ジョイは出番が少なかったが、演技派2人のアンサンブルで終盤の母と娘のエピソードを大いに盛り上げている。

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高森 郁哉

3.5この物語は今もなお続いている

2022年10月17日
PCから投稿

キュリー夫人との出会いは、図書館で借りた伝記シリーズだったか。当時の私の頭ではノーベル賞に輝いた凄い人と分かっても、詳しい業績までは理解が全く追いつかなかった。それもそのはず。彼女(及び夫婦)のもたらしたものは伝記の枠組みでは到底語りきれるものではなく、それが世界に光をもたらすか闇をもたらすかは、100年、200年という長いタームで見つめる必要があるからだ。この点を克服すべく、本作は極めて実験的な手法と構成で観客に「その後」を突きつけており、全てが成功しているとは言い難いが、鮮烈なインパクトをもたらしているのは確かだ。一方、パイク演じるキュリー夫人は、決して人好きのするタイプでなく、自分の信じた道をひたすら突き進む頑なさに満ちた人として描かれる。男性ばかりの大学組織、学術界で彼女が切り開いたものは大きい。祖国を離れた者としての立場が、イラン出身のサトラピ監督と重なるのも興味深い点と言える。

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共感した! 5件)
牛津厚信

4.0原題は「放射能(radioactive)」

2025年9月3日
PCから投稿

凄くいい映画でしたが邦題がちょっと良くないです。
「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」とした方がキュリー夫人の映画だと分かりやすいのは分かります。ですが「天才科学者の愛と情熱」の部分はなんか違う。

実際のこの映画はキュリー夫人以外の放射能物質についての危険も描かれており、「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」だとそのことが伝わらないのでは?

映画自体は凄く良かったです。

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みる

4.0【今作は、放射性物質の発明の功罪を背景に盛り込みつつ、キュリー夫人の波乱の半生を、若き名女優ロザムンド・パイクが演じる伝記映画であり、知的好奇心を満たしてくれる作品でもある。】

2025年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■1893年、パリ。
 女性研究者、ポーランド人、マリ・スクウォドフスカ(ロザムンド・パイク)は性差別を受け、大学から研究の機会を与えられなかった。
 そんな状況下、同僚のピエール・キュリー(サム・ライリー)と共同研究者になり、更に恋愛関係になり、結婚。
 彼女は研究に没頭し、新しい元素ラジウムとボロニウムを発見して夫婦でノーベル賞を受賞するが、当初受賞者はピエールのみであり、腹を立てた彼女は授賞式を欠席する。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・キュリー夫人の伝記は、小学生時代に読んだだけであるが、流石に放射能の発見者であり名付け親であり、且つ二度のノーベル賞受賞者である事は知っていたが、ここまで気難しく、気性が荒く、一方で恋愛に走る人だとは思わなかった。

・ロザムンド・パイクの流石の演技もあるだろうが、知らなかった夫が若くして事故死した事や、妻あるランジュバン(アナイリン・バーナード)と不倫していたとか、ビックリである。
 そして、それにより周囲から蔑視の目で見られ、終生ついて回るポーランド人差別と併せて苦難の人生を送った人である事も初めて知った。

■途中で挟まれる、冒頭とラストで描かれる彼女がパリで亡くなったで1934年後に行われたトリニティ実験のシーンや、広島に原爆が落とされるシーン。
 そして、彼女と娘のイレーヌ(アニャ・テイラー=ジョイ)が、第一次世界大戦時にレントゲン検査で手足切断を免れた多くの兵士たちの姿や、その後のX線治療など、原題の”Radioactive"の功罪の描き方の演出も良いと思う。

<今作は、放射性物質の発明の功罪を背景に盛り込みつつ、知らなかったキュリー夫人の波乱の半生を、若き名女優ロザムンド・パイクが演じる伝記映画である。>

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NOBU

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