ヴィレッジのレビュー・感想・評価
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山あいの寒村・霞門村(かもんむら)。 自然は豊かだが目玉となるよう...
山あいの寒村・霞門村(かもんむら)。
自然は豊かだが目玉となるような観光資源に乏しい。
強いて言えば、伝統の能だが、10年ほど前から村の収入の大半は近隣からの廃棄物を一手に処理する巨大な最終処分施設。
過去から逃れらず、母の君枝(西田尚美)の作った借金からも逃れられない青年・優(横浜流星)も、その施設で働くひとり。
職場カーストにおける彼の地位は最下層で、賭け拳闘の道具にされたり、闇処分の働き手として緊急呼び出しされたりと、虫けら同然の扱いだった。
そんな中、幼馴染の美咲(黒木華)が東京から戻り、処分施設の広報係として働き出し・・・
といったところからはじまる物語。
はじまって早々、脳裏をかすめたのは『犬神の悪霊(たたり)』。
冒頭の能の描写は『天河伝説殺人事件』だけれど、絵空事として楽しめるミステリ映画とはかなりの差があります。
過去の因習に対する現代の問題は、『犬神の~』では原発問題だったが、本作では廃棄物・ゴミ処理。
劇中の台詞では数度ほどしか出てこないけれど、SDGsの17の目標のひとつでもある。
SDGsといえばクリーンなイメージがあるが、現実ではかなり汚い。
それを生々しく描いていきます。
特筆すべきは、やはり主役の横浜流星で、映画中盤までの「死んだ魚の眼」をした青年から、中盤以降の生気を取り戻した青年への変化。
演技の幅が広く、かつ深い。
彼をキャスティングした時点で、ほぼ映画は成功したような感じもあります。
ただし、彼が生気を取り戻していく過程は、そうそう上手くいくかしらん、と思わなくもないけれど。
で、生気を取り戻した優青年の成功物語ならば爽やかな映画になるのだろうが、現実のSDGs同様、そんなにクリーンではない。
好青年となった優も、表面上のクリーンさと裏腹に、どす黒さは沁みついて、抜き差しならない状況になってしまいます。
最終的には、泥沼。
どちらかというと後半やや腰の甘いところのある藤井道人監督なのですが、本作は最後まですさまじい馬力。
生々しくどす黒くおぞましい社会を描き切った、と感じました。
俳優陣
Disney+で配信されている「ガンニバル」みたいな話かと思っていたら、さすがに人は食ってなかった
古田新太、中村獅童、西田尚美、木野花!芸達者が揃っている
黒木華の弟の人、見たことあると思っていたら、「ひらいて」のたとえ君だった
一ノ瀬ワタルはあんな役やらせたらNo.1だね
藤井監督の演出と横浜流星の目力が光る!
藤井道人監督のオリジナル最新作にして、「新聞記者」と「ヤクザと家族」でもタッグを組んだプロデューサー河村光庸の遺作。
閉鎖的な村社会による息苦しさ、家族の過去や村に対する因縁に苦悩する主人公に東京から帰省した黒木華との再会により村と対峙するストーリー。
藤井監督は相変わらずショットが美しいです!
今作の撮影監督は今村圭佑ではありませんが、上空からのショットや村を映すロングショット等、印象に残る映像が非常に多くて釘付けになります。
今作では日本の伝統芸能である「能」が出てきます。
村にある「能」の場面が、この村にある過去の栄光や美しさを表現されていました。また、ゴミ処理場が現実の残酷さや今までの歴史で産み出された「闇」のように思えて、その二つが上手く"村"自体を対比されていて感心しました。
俳優陣の演技も見事で、横浜流星はやさぐれた所とそうでない場面のギャップがたまらないし、中村獅童は村を出た善人として凄く良かったのと同時に、歌舞伎役者だからなのか「能」を披露する場面は自らやっていて非常に素晴らしかったです!
ただ、ストーリーに関しては総じて普通です。
確かに日本の「村社会」という閉鎖的な所は上手かったし主人公の抱えてる問題には同情しました。
ただ今回、突っ込みどころも多かったです。
一ノ割ワタル演じる村長の息子とヤクザの関係性もイマイチ理解しにくいし、主人公の母親の抱えてる問題もあっさり解決してて「?」と感じました。
夢の中で動けなくて 救われなかったのかな?
不思議な映画
生きているから 思い当たる事があるなと思った。
夢の中で思う様に動けなくて 逃げたくても 焦るだけになってしまうことがあるけれど
ここの人達も 夢の中で生きているよう
夢に絡まれてしまって 意志はあるのに 行きたい方向に行けない。
夢はしがらみなのか?
優は美咲に認められて元気になったけれど
美咲も優を救ったけれど 自分も救いたかったのだと思う。
お互いを助け合うのは 悪い事ではないのだろうが
やはり自分の人生は自分で責任をとって生きる事が大切なんだと思った。
優が恵一を説得しようとするシーン
村長みたいだと思って 怖かった
守ろうとすることがあると 人は正しくなくなってしまうのか…
弱くて可哀想な人達だと思ったけれど
自分かもしれないと思う事もあった。
脚本に信念があって、演出力も撮影力も役者力もパワーがあるから 作品全体から たくさん問いかけられて 考えられるのだろうと思う!
考えることはとても大切な事だと改めて思った。
いつの時代の話なんだろうと思う。 借金があるのにタバコを吸ってるあ...
いつの時代の話なんだろうと思う。
借金があるのにタバコを吸ってるあたりでも?と思うけど、演出なんだろうね
仕事の事、親の事、暴力、こんな村早く出ればいいのにと思うけどそれを決断できない人もいるのだろう。
みさきが帰って来てからの優の変わり方を演じる横浜流星がすごい。(そしてまつげカールしていて可愛い。本人はそれが嫌だって言ってたけど…)
暗い闇な物語だけれどそれを少し柔らかくしてるのが最初からの強烈な能楽のシーン、折々に能を絡めて見ているこちら側もホッとする。
昔のドラマは切なさを残して終わるのが多かった。それがモヤモヤして嫌だった。
藤井道人監督は中毒性があるなぁ
フィクションとしてのどん底感を楽しむ
どん底にいる人たちの物語ってやはり魅力的だ。メンタルで病んだ人、借金で首が回らない人、キャンブルに依存する人、そしてどうしようもないほど悪いやつ。たいてい主人公はろくでもないことをやって取り返しがつかなくなる。そんな彼らを見て安全なところからエンタメとして楽しんでしまう。でも、自分はそんなことしないと言い切れるだろうか。
自分ではどうしようもない流れってものがある。いい方向にも悪い方向にも。本作はそれをエンタメとしてうまく演出していた。いや、もちろんあの村の存在や置かれた状況、住民たちの反応、すべてフィクション感が強い。フィクション感が強いのに横浜流星の廃れた感じや古田新太、杉本哲太の悪どい迫力でなんとなく持って行かれてしまった。藤井道人って監督は映画としての訴え方がうまい。でも、彼は社会問題として訴えたいんじゃない気がする。あくまで映画というエンタメ作品として提示しているだけ。それは彼が様々なジャンルの映画を監督しているところからも想像できる。そしてどれもそれなりに面白い作品に仕上げてくる。
本作もそれなりに突っ込みどころはあるが最後までエンタメとして楽しんでしまった。次はどんなタイプの映画にするのだろう。今から楽しみだ。
救いのない夢物語
監督と主演の上映前舞台挨拶付きの回を鑑賞。
ストリートビューでロケ地の村を探したとか、シナハンに横浜くんも同行して役作りしたとか。
事前募集の質問で、穴から聞こえてくる音の録音方法は?というのがあって、監督が秘密と仰ってて。その後映画を観て理解しました(そりゃ観る前には言えないよ。なぜその質問選んだ?)
山々に囲まれて小さくて閉鎖的な村で起こる物語。加害者家族である主人公とゴミ処理場問題、村の伝統である「能」が不気味さを加速させる。
観終わった後に深いため息を吐いた。
主演の横浜流星はじめ役者陣も良く、透役の一ノ瀬ワタルには本当にムカムカした。ゴミ処理場の同僚役の奥平大兼が最後に主人公に向けた表情が印象に残った。
汚れた「ふるさと」を象徴的に描いた作品
本作の監督である藤井道人監督作品と言えば、2019年に「新聞記者」を、2021年に「ヤクザと家族 The Family」を観てきました。いずれも非常に面白い作品だったので、本作も期待して観に行きました。
前々作「新聞記者」は東京を、前作「ヤクザと家族 The Family」は地方都市を舞台にしたお話でしたが、本作は山村を舞台にしたものでした。こうして俯瞰してみると、藤井監督は都会から田舎まで、この日本の現代社会を隈なく描こうとしているのではないかと勝手に解釈したところです。
肝心の本作ですが、
「兎追ひし彼の山
小鮒釣りし彼の川♪」
で始まる童謡の「ふるさと」を地で行くような、言い換えれば日本人の原風景のような山村で暮らす人々と、そこで起こった事件を描いていました。「霞門村(かもんむら)」と名付けられたこの山村には、藁葺き屋根の旧家や田園風景が広がり、恐らくは数百年の歴史があるのではないかと思われる薪能の伝統もあるのですが、ただ一つそれらに全く似つかわしくないものがあります。それが本作の真の主役とも言うべき廃棄物の最終処理場でした。
10年程前に建設されたこの処理場、建設前には反対運動もあったようですが、今や時代はSDGs。リサイクルとか環境保護とかいう身の毛もよだつ流行りのお題目を使うことでこの処理場が今や村のシンボルになり、テレビの取材も来るほどの存在になっていました。実際は国だか県だかから出る補助金が目当てで造られた側面も大きく、そのために国会議員だか県会議員だかに大橋修作村長(古田新太)がキックバックを払っていることが暗示されてしました。また最大の問題は、暴力団が深夜に産業廃棄物を不法投棄していて、しかもこれは村長らもグルになっていたというのだから、この腐敗ぶりは凄まじいもの。日本人が心に抱く「ふるさと」が、実は都市部にも負けず劣らず汚れた存在になっていたことが描かれていました。
さらに興味深かったのは、処理場が建設されたのが、村の氏神様が祀られ、村祭りの時には薪能が演じられる神社の裏山の頂上付近だったということ。つまり長年村の守り神とされてきた神社の後継かつ上位概念として、現在は廃棄物処理場が存在しているということが示されていたことでした。
話の内容は、この処理場で働く片山優(横浜流星)の行き場のない閉塞感や絶望、幼馴染の中井美咲(黒木華)の登場でほんの一瞬だけ訪れた華やいだ時間、そして再度のどん底への転落を通して、現代日本人及び日本社会の惨状が、日本中至るところまで蔓延してしまっていることを、観るものに訴えた作品だったように感じたところです。
俳優陣で感心したのは、村長の弟で、村を出て刑事になった大橋光吉を演じた中村獅童でした。薪能の伝承者でもある光吉が能を舞うシーンが少しありましたが、流石は歌舞伎役者、動きに全く淀みがありませんでした。また、劇中で演じられた「邯鄲」という能(昔の中国にあった蜀国の邯鄲という街の宿屋に泊まった盧生(ろせい)が、不思議な枕で昼寝したところ、紆余曲折を経てやがて一国の王になるが、全ては栗ご飯が炊きあがるまでの「一炊の夢」だったというお話)も、絶望のどん底で喘いでた主人公の優に一瞬訪れた春とその後の転落とオーバーラップしており、なかなかニクイ創りになっていました。
主役の横浜流星も、昨年公開された「流浪の月」で演じたDV夫同様、目の下に隈が出来るような悲惨な状況に立たされた人物の内面を実に上手く表現していたと思います。
以上、結論を言えばかなり暗い作品であり、鑑賞後スッキリ出来る内容では全くありませんでしたが、藤井監督の過去作品と並べてみると、監督の問題意識が分かるような気がする作品でした。昨今の社会の動きを鑑みると、次回作はもっと暗くなりそうですが、2年後(かな?)楽しみにしています。
もっと有意義な映画をつくってください
予想していたとはいえ、冒頭からひたすらこころ寒くなるような陰鬱な描写が続き、おまけに近くの席のおっさんが外から持ち込んだお菓子かつまみのビニール音をカサカサ鳴らし続けるので、途中でもう帰ろうかなと思ったのだけど、いつの間にか映画の世界に引き込まれていました。
というわけで『ヴィレッジ』。
物語は、ずうーっと、ある「秘密」を抱えて進行します。ドキドキして、後半までそれなりに楽しめたのですが、蓋を開けてみれば「秘密」も想定内のことで、全体を通して見ると、安っぽい感じのする内容でした。
以下、鑑賞中に思ったことを箇条書きにします。
①横浜流星は、ほんとうにイケメンだな。男前というだけでなく、なかなかいい役者だ。
②黒木華は魅力的、というか、男を吸い込む魔力のようなものを持ってるな。顔の(お肌が荒れてるのか?)ぶつぶつが妙にエロチックだ。
③夜中に廃棄物を人力で埋めていたが、なぜ重機をつかわないのか?
④あれだけボコボコにされたのに「メイクで隠せるだろ?」って、隠せるわけないだろ。
⑤人が行方不明になってるのに、何事もなかったようにみんな平然と日常をおくっていて不自然すぎる。
⑥あれだけ顔に負傷しているのだから、真っ先に優が疑われて、すぐに犯行が露見するはずだ。
⑦この村の警察は機能していないのか? 能を舞っている場合ではない。
⑧あれだけボコボコにされたのに、怪我の回復が異常に早い。不自然だ。
⑨エアバッグのついた車に乗るべきだ。
⑩こんなことはないだろうが、これに似たようなことはあるだろうし、彼らに似たような人はいるだろうな。
――などなど(映画の中の世界について、あんまり細かいことを言うのはよくないね)。
とにかく物足りなかったです。
もっと意表をついた、「そう来たか!」というような展開にしてほしかった。村社会の暗い因習のようなものが起因したストーリーなのかと思ったのだけれど、そうじゃなかった。不満です。土着的な要素や「血」(血統)の扱いかたも中途半端だし、能を取り入れた必然性もあまり感じられなかった。
お金を払って、2時間を費やして、いや~な気分になっただけでした。べつに見なくてもよかった。
厳しいことを言うようだけど、多額の製作費をつかって何やってるんだろうという気になっちゃいました。
もっと有意義な作品をつくってもらいたいものです。
なんで高評価?
だいぶ頭悪い映画だと思うんだけど…
こんな頭悪い人たちしかいない村ある?ツッコミどころ満載というか、ツッコミレベルが低すぎて、何処を突いてもおかしい点ばかりで日本の文化レベルが低い事を認識。
一番ツッコミどころは、あのジャイアンを殺⭕️場面。アレを編集上勿体ぶる理由は?中学生でもわかる事なのに、実は…て編集されても「いや、知ってるわ」って言いたくなる
展開の波がいい意味で疲れます
物語全編がとある地方の村。これくらいのスケールの映画が好きなんですよね。私は面白かったです。
最初は不幸な働かせられ方で我慢の展開から、自分の仕事の新しい方向性で開ける幸せな展開、ある事件や不正発覚からドン底の展開、全てがなくなり夢が覚めたようなラスト(エンドロール後)と凄まじい展開が逆に新鮮で面白かった。
こういうラストだったらさらに良かったのに!という私の希望の演出を一つ言うと、
エンドロール後のケンイチ君が最後に村から去る所で終わりますが、劇中ではしどろもどろの話し方で発達障害気味だったケンイチ君が最後の最後で堂々と流暢な言葉を使い含み笑いで終わると言うのはどうでしょう?
ベタですかね(笑)
「藤井道人、横浜流星のタッグ」
今年53本目。
横浜流星の髭姿格好いい。男性人生で一度位髭生やしたい時あると思います。奥平大兼君金髪新鮮。映画「MOTHER」、ドラマなど見て来て金髪初めていい。黒木華さんが日本一の女優だと感じているので、映画に出演されるとその作品の作りが一段階上がると思います。藤井道人監督は表情を撮るのが本当に上手い。「新聞記者」も最後あの表情だし今作も最後表情。少し時間をとって撮る所に役者が応える、気迫を感じます。
清濁併せ呑む
こういった限られた世界でモノを動かすことには、「清濁併せ呑む」事が求められて、一度「濁」を飲むとドンドン深みにハマって行きますね。優は、始めは犯罪者の子で、母親は借金まみれの酒飲みと言う不遇な境遇から、昔の彼女(?)の登場により、スポットライトのあたる境遇へと変化していくが…。
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