マッシブ・タレント

劇場公開日:

マッシブ・タレント

解説

ニコラス・ケイジが現実のケイジ自身を彷彿させる、どん底の俳優を演じたアクションコメディ。

かつて栄華を極めながらも、今では多額の借金を抱えるハリウッドスターのニック・ケイジは、本業の俳優業もうまくいかず、妻とは別れ、娘からも愛想をつかされていた。そんな失意の中にあったニックに、スペインの大富豪の誕生日パーティに参加するだけで100万ドルが得られるという高額のオファーが舞い込む。借金返済のためオファーを渋々受け入れたニックは、彼の熱狂的なファンだという大富豪ハビと意気投合し、友情を深めていく。そんな中、ニックはCIAのエージェントからある依頼を受ける。それは、ハビの動向をスパイしてほしいという依頼だった。CIAはハビの正体が、国際的な犯罪組織の首領だと踏んでいたのだ。

ケイジが主人公ニック役を演じ、大富豪ハビ役は「ゲーム・オブ・スローンズ」「マンダロリアン」のペドロ・パスカルが務めた。

2022年製作/107分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Unbearable Weight of Massive Talent
配給:フラッグ
劇場公開日:2023年3月24日

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映画レビュー

3.5納得のチョイスだけど、ニコケイにはまだまだ幅も奥行きもある。

2023年3月31日
PCから投稿
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村山章

3.5愛すべきニコケイが演じるセルフパロディの楽しみ方

2023年3月26日
PCから投稿

笑える

楽しい

1990年代のハリウッドを代表するスターでありながら、近年は公私共に不遇の時代を過ごしていたニコラス・ケイジが、満を持してカムバック。それも、セルフパロディ映画で。ファンの気持ちがざわめくのも無理はない。かく言う私も。

ニコケイ(もしかして死語だろうか?)演じる落ち目のハリウッドスターが、疑惑まみれの大富豪に潜入捜査をかます。そんな物語の端々に挟み込まれたパロディを拾い集めるのは楽しい。冒頭、後に人質に取られる女性が『コン・エアー』を観て『ニコラス・ケイジ最高!』と叫ぶ。実はニコケイの大ファンだった大富豪のコレクションルームには、『フェイス /オフ』を始め主演作の関連グッズの数々が収められている。そして、劇中のニコケイの前に過去作でのニコケイが突如現れる、etc。(個人的には『パディントン2』がベスト3の1本に挙げられるのが嬉しかった。ニコケイには関係ないけれど)

そして、気づくことがある。これほどまでキャラクターが立ちまくり、何を演じても愛嬌がある俳優はニコケイ以外にはいないことに。

既視感のある潜入捜査ものにニコラス・ケイジ自身を当てはめたことで新しさを追求しようとした試みは、100%成功しているとは言い難い。最後の捻りが足りないとも感じる。

でも、ニコケイはニコケイなりに俳優としてしっかりサバイバルできていることを改めて確認できて、少しだけ気分が高揚する。そこがいい。

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清藤秀人

4.0ニコラス・ケイジへのとびきりの愛情が迸った痛快作

2023年3月25日
PCから投稿

ニコラス・ケイジという存在は計り知れない。昨今の出演作といえば、低予算やB級ばかり。本作もその類かと誰もが思うだろう。しかし蓋を開けてみてビックリ。ケイジはこの映画でケイジ自身を演じ、つまるところ、なかなか俳優としての仕事に恵まれずに途方に暮れるというセルフパロディに等しい役を嬉々としてやってのけている。かつて栄華を誇った俳優がこんな役をやると痛々しさが目につくものだが、ニックは違う。とにかく全力投球で見ていて気持ちよく笑えるし、コメディと不条理の間で絶妙な立ち回りを見せる演技力の”本領”に触れられるのだ。それでいて物語は、人質事件が絡まり、『フェイス/オフ』にも似た組織への潜入捜査を委ねられつつ、愛する娘に尊敬される父になりたくて憑依型の演技メソッドでついつい過剰に頑張り過ぎずにいられない。過去の出演作の引用なども気が利いている。本当に愛されている俳優である。ニコラス・ケイジは幸せ者だ。

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牛津厚信

4.0ニコケイ、第2黄金期の幕開けとなるか

2023年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

ニコラス・ケイジと言えばアカデミー主演男優賞を受賞した「リービング・ラスベガス」(1995)を皮切りに、「ザ・ロック」「フェイス/オフ」「スネーク・アイズ」などハリウッド超大作に次々と出演した90年代後半が第1の黄金期と言えるだろうか。だがその後、浪費癖がたたって多額の借金を背負い、出演作が大コケしてハリウッドからのオファーが激減するも、地道に低予算映画に数多く出演して借金も無事完済したという。

そんなニコケイの俳優人生を彷彿とさせる“ニック・ケイジ”役をケイジ自身が演じるという、自虐まじりのセルフパロディ映画と言えるだろうか。意匠としてはジャン=クロード・バン・ダム主演作「その男ヴァン・ダム」に近いが、落ち目の俳優が復活にかけるストーリーという意味ではマイケル・キートン主演作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、さらにエンタメ業界でのカムバックに話を広げるならミッキー・ローク主演作「レスラー」、レニー・ゼルウィガー主演作「ジュディ 虹の彼方に」なども想起されよう。

本作の監督・脚本を務めたトム・ゴーミカンはこれが長編2作目の若手で、あふれんばかりのニコケイ愛を注ぎこみ、ニコケイの過去作への直接的な引用やオマージュをたっぷり詰め込んでいる。家族の危機、映画業界、バディもの、サスペンス、スパイアクションなどさまざまなジャンルと要素を盛り込み、ほどよく枯れてきたニコケイが気負わずに、いつもの困惑気味の表情で好演している。第2黄金期の幕開けになるのでは、と期待してしまう。

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高森 郁哉