辻占恋慕

劇場公開日:

辻占恋慕

解説

TAMA NEW WAVEでグランプリほか3冠に輝いた「ウルフなシッシー」や、松本穂香を主演に迎えたYouTubeドラマ「アストラル・アブノーマル鈴木さん」などの作品を手がけてきた大野大輔監督が、平成から令和に変わりゆく時代を背景に、持たざる者たちの苦しい愛と青春を描いた物語。ロックデュオ「チカチーロンズ」でボーカルを務める信太は、ある日の対バンライブでギターの直也にドタキャンされ、苦境に陥る。そんな信太に、シンガーソングライターの月見ゆべしが手を差し伸べる。売れない、金もない、時間もない、同じ境遇の三十路の2人は共鳴し、やがて信太はゆべしのマネージャーとなり、恋人になる。しかし、ゆべしをメジャーに進出させたい信太と、自分のスタイルをかたくなに曲げないゆべしの溝は日に日に深まっていき……。ゆべし役を「過激派オペラ」などの映画やドラマ、舞台と幅広く活躍する早織が演じ、吹き替えなしでギターの演奏シーンにも挑戦。信太役は大野監督が自ら演じた。

2022年製作/111分/G/日本
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
劇場公開日:2022年5月21日

スタッフ・キャスト

監督
原作
大野大輔
脚本
大野大輔
エグゼクティブプロデューサー
石田誠
プロデューサー
川勝奈穂
アソシエイトプロデューサー
丸山靖博
アシスタントプロデューサー
登坂健
企画協力
直井卓俊
撮影
中瀬慧
照明
玉川直人
録音
柳田耕佑
スタイリスト
小宮山芽以
ヘアメイク
藤原玲子
編集
海野大輔
谷口恒平
音楽
福田裕彦
劇中歌
西山小雨
ナビ
ニノ倉らむね
監督補
永関勇
助監督
森山茂雄
スチール
柴崎まどか
制作担当
赤間俊秀
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映画レビュー

4.0崖っぷちの気高さ、言葉選びの鋭さに痺れる

2022年5月30日
PCから投稿

大野大輔監督の描く物語世界では、いつも登場人物たちが何かしら崖っぷちに立ち、それでいてどこかその境遇を楽しんですらいるかのような異様な気高さを身に纏っている。作品の基調をなすのは膨大なセリフの応酬だが、その一つ一つを彩る心を突き刺す言葉選びとレトリック、一癖も二癖もある独特の論理は本作でも健在。それらは小さなうねりを生み、反復とズレの合間に矜恃を迸らせ、ラブストーリーとも、音楽映画とも、三十路の泥沼青春ロマンとも言いうる世界を、大野カラーで存分に塗りたくっていく。前作に比べてどこかシュッとした容姿へ変貌した主演俳優としての大野大輔も、蓋を開けてみると、厄介で偏屈でこうと決めたらテコでも動かない、いつもながらの彼。しかし今回は決して会話劇に終始せず、物語を展開させ、胆力を試すかのようなステージが用意されている。一枚殻を破り、新たな生態で歩みを加速させる表現者、作り手としての凄みが感じられた。

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牛津厚信

4.0すべての“夢破れし者”へ

2022年5月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

大きなくくりでは青春音楽映画ということになるだろうか。音楽に限定せずとも、演劇や映画、ダンス、お笑いなど表現者として“何者”かになろうと志し、ある者は才能や努力や幸運によって成功し、またある者はもろもろがうまくかみ合わずに挫折する。そんな表現者の栄光や挫折を描いた映画はこれまでにも多々あれど、「持たざる者たち」と銘打って青春の終焉を痛々しいほどに突きつける本作のようなタイプは意外に少ないのではないか。

細々とライブ活動を続ける三十路のミュージシャン、信太(大野大輔監督が自ら演じている)と月見ゆべし(早織)。対バンになった際に信太の伴奏をゆべしが買って出た縁で、信太は自身の夢をゆべしに託し、マネージャーとして彼女を売り出そうとするが…。

表現の世界でプロを目指すも挫折した人なら、2人の苦しさが痛いくらいに伝わるはず。数えきれないほどの“成就しなかった想い”への鎮魂歌のようでもある。小島藤子主演・桐生コウジ監督作「馬の骨」に近い要素も認められる。

早織によるギターの演奏シーンは吹替なしだそうで、猛特訓したのだろう。ただ、長年弾き語りを続けているという設定の割には、ギターのローポジションでのコードチェンジのたびに手元を見すぎ。基本的なコードはフレットに目をやらずに移行できていたら説得力が増していたのに、惜しい。

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高森 郁哉

3.5それぞれの答えへ

2023年6月1日
iPhoneアプリから投稿

自由であるが故の不自由があったり
愛がある故に皮肉が生まれたり
夢がある故に捨てなければいけない物があったり

何を求めて進むのか?
ゴールは何処なのか?

人が生きて行く事自体がドラマだと思いました。

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カノキ

3.5コロナ前にはよくライブハウスに通っていたので、なつかしい匂いがした...

2023年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

コロナ前にはよくライブハウスに通っていたので、なつかしい匂いがした。
アイドル的な存在の女性アーティストのライブは客の大半がおっさんであるのは日常的な光景。
ゆべしのような雰囲気の女性アーティストもいた。
特別美人でもなく、不愛想で、歌も特別上手くないということでは人気も出ない。
終盤のマネージャーの暴走にはのけ反ってしまったが、なかなかおもしろかった。

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省二
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