スターフィッシュ
劇場公開日:2022年3月12日
解説
亡き親友に導かれ、世界を救うためのミックステープを集める少女の冒険を独創的な映像で描いた異色のSFスリラー。親友を亡くし大きな喪失感を抱えるオーブリーは、親友のアパートで思い出に浸りながら一夜を明かす。しかし目が覚めると街は深い雪に覆われており、人影はなく謎の怪物がうろついていた。親友が残したメッセージを手がかりに、世界を救うミックステープを集める旅に出るオーブリーだったが……。主演はドラマ「マーベル ランナウェイズ」のバージニア・ガードナー。ミュージシャンとしても活動するA・T・ホワイトが監督・脚本・音楽を手がけ、劇中のアニメーションパートは手塚プロダクションが制作を担当した。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2022」(22年1月28日~)で上映されて好評を博し、22年3月に単独で劇場公開。
2018年製作/99分/イギリス・アメリカ合作
原題:Starfish
配給:アムモ98
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2022年12月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
『時計仕掛けのオレンジ』ポスター発見。正直なところ「はて?」と思うところも少なくないが、最後シーンの美しさには目を奪われてしまった。ちょっと『サイレント・ヒル』っぽいのも好き。もう少し腑に落ちるように提示されてたらなあ。
ガードナーさんは初めて…いや『ハロウィン』(2019)にも出てるのね。ダメな子を中々いい感じに演ってる。
2022年12月1日
Androidアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
本作は、SFと評されながら実話に基づく物語と冒頭で明記されているが、人が突然いなくなり、不気味な生物が闊歩する世界が実話?と置いていかれる事間違いなしである。
だが本作は観客を満足させる為のエンターテインメント作品ではなく、監督自身の実体験を元にする想像上の物語であり、それが監督自らのアートセラピー映画となっている。監督と作品はもはや一心同体そのもの。過去にも監督の心情等が作品に反映された作品がいくつか製作されているが、ここまでそれをさらけ出した作品は無いだろう。本作の主人公が体験する、親友の死。別れを偲ぶ会で馴染めずに、足早に立ち去り、今は亡き親友の家に侵入し、どこか落ち着かない1晩を過ごす主人公の描写があるが、これがA.T.ホワイト監督が体験した「実話」にあたる。親友の死というものが相当大きな傷を残したようで、何を聞いても何をしても心の空白が広がるばかりという心情を強く表現している。そして翌朝、突然雪が積もり、人の姿が無い街に蠢く謎の怪物。そして、トランシーバーから聞こえる他者の声と、親友が残したメッセージ、「このミックステープが世界を救う」。ここからが心情を色濃く表現した世界となっていく。あくまでも心の出来事の為、物語に信憑性や起承転結は存在しないのである。だから途中で手塚プロが製作したアニメ部分があったり、観ていて意味が分からない展開が多いのである。だが、それでも世界を救うために散りばめられたミックステープを探す主人公を見ていて何となくこれらの描写に説明がつくだろう。ここでは世界=自分自身という事になっているのだ。閉ざされた心の中でショックや未練を断ち切り、新たな世界(自分)を見つけるまでの壮大な冒険。あのラストが語ろうとしているのはそれを具現化したものなのだと解釈している。それ故に物語として不条理な世界が本作ではまかり通るのである。突然本作の実際の製作現場へ舞台が変わるという映画作品では中々有り得ない展開が目白押しとなっており、この世界観について行けなくとも、映画作品での新しい挑戦という視点で観ると注目ポイントがちらほら出てくる。別にこちらは心を病んでいない為、これを見て心の整理がつくのは監督だけだろうから、それを観させられた我々は「だから?」と思ってしまう節もあるかもしれない。よって本作を他人におすすめ出来るかと言われたら難しい。だが雰囲気で他作品とはひと味もふた味も違う本作の沼にどっぷりハマってしまうファンもいるだろう。不思議な体験をしたと思い、余韻に浸れる人、とんだゴミクソ映画だと劇場を去る人の両極端で好みは分断されるはずだ。批評家からの支持は熱く、観客からの評価が冷たいというなかなか癖のある注目をされそうな作品である。監督の心情が明るく変化したのが分かるのは次回作になるのだろうか。次回作は夢と希望とに溢れた作品になっていることを願う。
説明の少ないストーリーと比喩に満ちた映像からなるミステリー。
小説を読むように受け手が行間を埋める作品なので好き嫌いが分かれそう。
本作は確かに主人公の精神世界の描写という意味でパンズラビリンスを連想するがそれよりもっと主人公個人の心に焦点を当てている。
壊れた心や罪悪感からどうやったら自分は救われるのか?という非常に私的で狭い範囲の物語だが、今の時代だからこそ共感を得て心に響く人が多そうな気がする。
「え?ここで終わり!?」と最後に明確な救済を描いている訳ではないので後は観た人がどう捉えるかに委ねられている。
荒めのアナログっぽい処理した映像にシガーロスを流すとなんでもエモくなる、というのが見終わった最大の感想。
それなりに思わせぶりなカットが挟み込まれるけどさすがに説明が少なすぎて感情移入には至らなかった。
怪物が出ると言う時点で観るのやめるか悩んだけど見なくてもよかったかなあ。
映像美が一部の映画マニアに受けて、という触れ込みだったけどそこまで興味深い表現も多くなく…予告勝ちの作品だと思いました。自分と同じく前述の前評判に騙された人も多そうだなと思いました。