ある男のレビュー・感想・評価
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鏡のなかにいる自分が心の闇を映し出していた作品
悲しい過去がある心の壊れた男性、窪田正孝
演じる大祐が、事故で亡くなったことにより
判明した事実!
安藤サクラ演じる谷口里枝と、結婚して
前妻の長男、娘の花と幸せに暮らしていた
家庭に見えました。
他人の戸籍になる偽りの人生。
成り済まし。
アイデンティティー、自分の存在証明が
問われるストーリーでした。
妻夫木聡演じる、弁護士の城戸が
調査していくうちに自分の名前と違って
いても、自分自身が家族を愛していた
揺るぎない気持ちが伝わってきました。
『また、名前が変わるの?』
里枝の息子が嫌な気持ちで母親に質問していたけれど、
大祐が里枝と結婚してからの人生が
彼のすべてだった。
そんな台詞が心に響きました。
本物の谷口も美涼に会えて良かったと思いました。
名前が違っていても、新しい自分を取り戻して
いく、家族の愛情が通じ合うように
思えたストーリーでした。
対面にいる人はだれ?
窪田くんが素晴らしい
重たいなあ… サスペンスを装った(?)社会派メッセージの強いタイプ...
重たいなあ…
サスペンスを装った(?)社会派メッセージの強いタイプの作品でした。
”ある男”が誰だったのか?
確かにここは大切なのですが、”なぜある男になったのか?”が重要な感じ。
何かに似てるな~~と思ったのですが「凶悪」ですね。
第三者が当事者と関わることにより、大きく影響を受けてしまうというプロット。
この作品をただの物語として見るか、考えさせられる”テーマ”としてみるかで評価も変わるし難しい…
何度も見たい作品では全くないのですが、1度でおもしろい!と理解できるような作品じゃないんですよな~
こどもにとっての”苗字が変わる”という出来事がいかに苦しいか、愛した男のことを本当に理解していたのか?自分の築いた人格は、結局出生には抗えないのか、犯罪者の人権は?
語るべきことは沢山あるのでしょうが、私にはまだ消化しきれない部分が多い。
サブスクに見放題出来たらもう一回見ようかな。
安物のワインにヴィンテージのラベル
より3者の深掘りを期待した
2022年劇場鑑賞92本目 秀作 67点
2022年日本アカデミー賞を各部門総なめにした作品
正直箔がある風に並べて固めて持ち上げてヨイショした感が凄いし、名誉に見合ってないと思う
役者陣の演技派揃いの具合は頷けるんだけど、んー数十年後にに振り返った時に名前だけ残って、これに席を奪われた他の名作が語り継がれないのをその当時にちゃんと足を運んで見てた人間からするとなんとも不甲斐ない
別にそこまで悪くはないけど、絶妙に響かない
こちらの骨まで震えてこないんですよね、1年通して上映のタイミングもいい時に出来たし、演技派揃えてそれっぽいポーズした題材だから恵まれましたねって感じ
日本アカデミー賞に相応しいかは置いておいて、個人的に2022年邦画ベストは川っぺりムコリッタか猫は逃げたです
名刺も戸籍も公信力はない?
本作は別人に成りすました「ある男」の正体と過去をたどる物語。
戸籍の売買により、別人に成りすまし、己に巣食う過去やトラウマからは逃れようとする男はこう思ったはずだ。「酸味」の強すぎる自身の人生を変えたい。せめてラベルや名札だけでも。ただ、鏡に映る自分の姿がそれを許さない。
「ある男」の経歴をたどる物語をとおして
「別人の人生を生きられたなら」、「人生をリセットできたら」と思う心に共感するとともに、「真」の人生だろうが、「偽」の人生だろうが、その歩み方次第なのだと感じた。
今回の真相を追う弁護士城戸にもとあるコンプレックスを抱えており、
物語ラストにまさかの展開が待っている。
ミイラ取りはミイラになったのか?
どんな男なの❓
窪田正孝に胸を鷲掴みにされました
里枝の手を握り「りょうくん、りょうくん」とやさしく声に出す大祐。窓ガラスに映った自分の顔に反応し取り乱す彼をやさしく抱きしめ「大丈夫、大丈夫」となだめる里枝。
これからの二人の温かい人生を物語る大事なやりとりだった。
幸せとは、人生にこういう相手がそばに居てくれること。賑やかな朝食シーンが見事に語っていた。
親に似た自分の肉体とルーツに苦悩を抱えて生きてきた彼にとって、里枝と子どもたちと過ごした幸せな時間だけが、誰の複写でもない、彼自身の人生だった。
マグリットの「不許複製」。戸籍は複写可能だけど、愛は複写不可能だ。外面の幻ではなく内面の愛をもらったからこそ悠人は寂しい。
一方。立派な職業、上質な暮らし、美しい妻子を得た城戸の未来は順風満帆のはずだ。しかし、外面を整えることに懸命に生きてきた彼も、不安定な苦悩を抱えて生きている。差別主義の下衆親に抗議しない妻も、外面が大事な彼と似た者同志かもしれない。本音で繋がっていないような夫婦。
果たして今の自分の人生は本当に望んだ人生?
そこでラストを想像してみる。バーで通りすがりの人物に、城戸は、田口の人生を自分の人生として語る。
城戸は長期出張とかなんとか言って失踪するんじゃなかろうか。
自分の肩書きや過去に関係なく、里枝と大祐のように、ありのままの自分が惚れ合える相手と、明るい未来を歩みたいんじゃないかな。
和製レクター博士、最高だった。
「ある男」とは誰か
冒頭、そしてエンディングに映される、シュールレアリスムの画家:ルネ・マグリットの絵「王様の美術館」が本作を見事に象徴しています。
人は日常の中で知らず知らずのうちに、一定の固定観念に縛られて物事を見聞きしてしまっていて、ほんの少し視点をずらすと、実は全く異なる世界が広がっている、その危ういほどの微妙なバランスの上を綱渡りのように歩んでいるのが人生である、ということを感じさせる作品です。
本作は、芥川賞作家・平野啓一郎のベストセラー小説の映画化ですが、原作にはマグリットの絵は引用されておらず、このカットを入れる、而もファーストシーンとラストシーンに挿入することで、本作に世の中の不条理感と不可思議で無気味な空気感を漂わせることに成功しています。特にラストは奇怪さがより増幅され、背筋が凍る思いで慄然とさせられ、観終えた後、あまり愉快な思いはしませんでした。
前半は、安藤サクラ扮する武本里枝の視点でホームドラマ風に緩く進み、窪田正孝扮する谷口の事故死から、物語は一気にサスペンス調に切り替わります。ただサスペンスドラマのような体裁を取りながら、冒頭に述べましたように、本作は謎を解くことが主たるテーマではありません。それは窪田正孝の目に終始生気がなく、まるで生きている人でない、一種の亡霊のような感覚がするのが、後々への伏線になっていることにつながります。
そして、物語の転機では常に雨が降っているのも象徴的です。またアクションも美しい自然描写も一切ない、人と人との会話により進行する本作のようなストーリー展開では、つい人物の顔の極端な寄せアップを交互に映し、やたらと無意味に緊張感を強調するようなカット割りにしがちなのが、本作では寄せアップは殆どなく、やや引いた落ち着いたカットでつながれます。観客は寛いで観賞できながら、それゆえにいつの間にかスパイラルに社会の不条理性・不可解性の泥濘に取り込まれていきます。
ただむやみに手持ちカメラを多用しますが、これはあまり意味がありません。画面を揺らして不安感と緊張感を高めようとしているのでしょうが、本作に限っては不要です。私は手持ちカメラのカットのたびに平常心に戻り、却って興醒めしていました。
独特の怪しい空気感が漂う、不思議な趣の本作ですが、率直に言って社会問題を余りにも多く揃え広げて見せ過ぎており、その結果焦点がぼけてしまっています。人種差別・夫婦間の不信・親による差別/虐待・仮面夫婦・戸籍交換・・・、深刻で重篤な問題ばかりで、小説なら読みこなせても、2時間の映像にまとめねばならない映画では明らかに盛り込み過ぎており、脚色に大いに難ありと思います。
さて、タイトルにある「ある男」とは一体誰のことか、脚本通りに捉えれば、その正体を追い求めた、自称・谷口大祐のことなのでしょうが、実は主人公である、妻夫木聡扮する城戸章良のことのようにも、或いは柄本明扮する謎の囚人・小見浦憲男にも思えます。
そう、きっと世の人々は遍く仮面を被った日常と他人には見せない裏の顔を持った、“ある男”なのではないでしょうか。
お箸であんな風に食事を勧める人がいるかな?悩む人にあんな風に怒る人...
妻夫木やるなあ 真木よう子とちくるてんなあ
原作未読
面白い!推理小説的にも論理がしっかりしている。
妻夫木聡、内面に押さえつける演技も絶好調。
重くなりがちな話を小藪が関西弁で和ませる。
さらにこの作品のテーマを背乗り、在日、拉致と絡め
これをニホンガーに結び付ける作法だと白けてしまうが
監督曰くデリケートな部分を敢えてオープンにして
多様性を表現したと。
この監督の心意気に賛同!
80点
3
Tジョイ京都 20221118
パンフ購入
なんかありそうだけど
原作は読んでいないので映画としての印象になるが、石川慶とプロモーション用の装丁から愚行録や吉田修一や李相日のようなものを予測&期待して見た。が、登場人物が入り乱れ、追えなくなっていく。リアルなタッチだが話や人物はメルヘン。罪悪感と在日のパラメータを同線上にしようとするが乗らなかった。
いまの日本映画は悪人が起点になっている。韓国ノワールの台頭と悪人によって多くの日本の映画監督が李相日ぽいムードを真似しはじめた。
多数の日本映画のリアリティ表現に李相日の存在が見えてしまうことに加え、瀬々や三島や荻上やsabuなど“人間の深淵を見つめています”ヴァイブを発する李相日ぽい作風に軌道修正した俗物も多かった。
が、石川慶は別の経路から来た人で来歴にポーランドのウッチ映画大学で学んだ──とあり、デビュー長編からして秀作の愚行録、日本映画臭のない映画監督といえると思う。
因みに日本映画臭とは画からにじみでてくるクリエイターの自我のこと。俺様気配、昭和ポルノ、アート系な驕り、わかるひとにはわかるムード・・・。
映画そのものよりも前面に承認欲が見えてしまうことを日本映画臭と言う。(「言う」つってもひとりで言っているだけだが。)
これは日本映画臭がなくお涙でもなかったから安心して見ていられたが、焦点が定まらず雑然とした印象が拭えなかった。
また、ある男(窪田正孝)が積極的に母性本能をくすぐりにきているのが釈然としなかった。
おとなしい林業従事者。絵を描くが、絵はびみょう。「鏡に殺人鬼の親父を見いだして動揺するから」鏡を見るとうろたえる。
男目線で見れば、ある男が戦略的愚直をつかって女を釣ろうとしているのは明白だった。実際口べたな雰囲気で文具店に通い詰め寂しげな寡婦をゲットする。筋書き上仕方ないものだったにせよ、いかにも母性本能をくすぐりそうな窪田正孝が母性本能をくすぐりそうな役をやっているのがイヤだった。
つまり、ある男は犯罪者の親を背負った不幸キャラを演じている男であって、トラウマに侵犯された男ではなかった。ように見えた。
逆に清涼剤になっていたのが小薮千豊。少ない登場シーンだったが出てしゃべるだけでそこをなんばグランド花月に変えた。陽性、のっぽ、野太い声、ムダにするどい眼光。人情味にあふれ、またハッキリ5かマネーの天使でも見るか、という気分にさせた。
韓国へ行き「日本人であることを恥ずかしく思う」という“マーケティング”をしたことがニュースになっていた女優も出ていた。
この映画の在日設定も、肉親が犯罪者であることの罪悪感と、在日に対する日本人の罪悪感を交叉させるつもりがあったのかもしれない。
いずれにせよ在日が絡む話は日本では高評価へつながる。
はたして映画は多数の賞をとった。
世には正装して出来レースを発表する形骸プライズがある。日本アカデミー賞もそれ。カンヌやサンダンスのように、あるていど民意や審査基準が推察できないプライズは、庶民にとって意味がない。がんらい日本は旧弊で権威主義な映画製作システム自体に問題があり、コンペティションが成り立つような成熟した業界ではない。
石川慶は日本映画臭のない監督だが、この映画はプライズをとるほどのものではなかったと思う。だが第46回日本アカデミー賞にて作品、監督、脚本、主演男優、助演男優、助演女優、録音、編集、の8つの最優秀賞を受賞したとのこと。
編集とか録音とかって選考理由あるんだろうか。米アカデミー賞に寄せて創設したものなんだろうが、プライズを監査する第三者がいるんだろうか。内輪で決める映画プライズってほんと意味ないと思う。
2本立て2本目。死んだ夫は別人だった。ストーリーはなかなか面白かっ...
弁護士の城戸(妻夫木聡)は、 かつての依頼者・谷口里枝(安藤サクラ)から、 亡くなった夫・谷口(窪田正孝)の身元調査をして欲しいという奇妙な相談を受ける。
動画配信で映画「ある男」を見た。
2022年製作/121分/G/日本
配給:松竹
劇場公開日:2022年11月18日
妻夫木聡
安藤サクラ
窪田正孝
清野菜名
眞島秀和
小籔千豊
坂元愛登
山口美也子
きたろう
カトウシンスケ
河合優実
でんでん
仲野太賀
真木よう子
柄本明
平野啓一郎原作
ずっと見たかった作品をやっと見ることができた。
弁護士の城戸(妻夫木聡)は、
かつての依頼者・谷口里枝(安藤サクラ)から、
亡くなった夫・谷口大祐(窪田正孝)の身元調査をして欲しいという奇妙な相談を受ける。
里枝は離婚を経験後に子どもを連れて故郷へ帰り、
やがて出会った谷口と再婚、
新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、
谷口は仕事中の事故で亡くなった。
長年疎遠になっていた谷口の兄(眞島秀和)が、
遺影に写っているのは弟ではないと話したことから、
愛したはずの夫が全くの別人だったことが判明した。
夫はいったい誰なのか?
城戸は谷口の正体を追う中で様々な人物と出会い、
驚くべき真実に近づいていく。
城戸は服役中の戸籍交換屋の小見浦(柄本明)と面会する。
そこで自分の出自を在日朝鮮人と看破され、いらだちを見せる。
あることから谷口の正体に近づいた城戸。
ラストシーンは驚きの展開となる。
これはよくできたミステリーサスペンス。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
誰にでも成り得るし、確かなものは無い
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