ある男のレビュー・感想・評価
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戸籍は偽りでも真実の愛があった
その人の後ろではなく、その人を見るという事
退屈させない重厚感
悪くはないけど…
素晴らしい!
出生とか両親とか選べないもんね。
何気ない話なのに
柄本さんの大阪弁
重厚なヒューマンドラマ
「多かれ少なかれ、人は誰しも偽りの人生を生きている」自分に正直な人でも、偽りの仮面をかぶっている人も、相手との関係性の中で何かしらの偽りはあるものだ。本人が意識しなくても、相手の受け取り方で話したことが嘘になることもある。本人が善良か悪人かは関係ない。
なんていう枕はさておき、自分とは何なのかという哲学的な問いを辿るような物語。自分を自分として証明するのに、実は戸籍にある自分の名前は絶対なんてことはなく、そもそも戸籍がない人も(日本では少なくても)世界には沢山いるわけだ。クレジットカード作る時に便宜的に免許証なんかを提示するけど、戸籍制度や住民票の制度がある程度機能しているから成り立つわけで、ホントにそうなの?と疑いはじめたら、かなり面倒くさい世の中になることだろう。
また枕のような話になった。まあいいか。ふたつ枕があるところには、たいてい人生の秘密が隠れていたりするものだ。
さて、そんな視点から観てみれば、かなり挑発的なストーリーだ。一緒に暮らしていた夫の一周忌に、突然夫が戸籍とは別の人間であることが明らかになる。相談された弁護士は彼が誰かを探し、やがてその調査にのめり込んでいく。次第に事実が明らかになるにつれ、Xとされた彼の人生、調査をする弁護士の人生、Xと入れ替わったもうひとりの人物など、何人かの男たちの人生が少しづつ重なって、深みのあるエンディングへと運ばれる。
窪田正孝がX、妻夫木聡が彼の人生を追う弁護士役。劇中2人が対面することはないのだけれど、それぞれが秘めた過去や感情を抱えている役を、見事に演じていた。Xの妻役の安藤サクラが中核として、終始物語を支えていた。ストーリーを運ぶ重要な役割だが、変に目立つ事なく、名司会者のような立ち位置を見事にこなしていた。他にも、榎本明、清野菜名、真木よう子、仲野太賀などなど、骨太のメンバーが物語の骨格を綺麗に形作っていた。
重厚な原作の土台の上に、しっかりとした幹として脚本を立てたように感じた。なかなかに見応えのある作品だった。
間が素敵な映画
旦那さんが亡くなったあとに、しかも親族と会って写真見て「この人誰!?」ってなったら、ショックというか、「エェェッ!!!?」って感じですよね。
奥様はもちろんですけど、自分の家族が亡くなったと思って呼ばれた親族も驚きですよねw
その衝撃のシーンはちょっと笑けたw
幼馴染とか、昔から知ってる相手なら、目の前にいる人が名乗った人そのものだってわかるけど、大人になってから知り合った人だと、目の前の人がホントにその人なのかわからないんだなぁ〜って思うと怖くなった。
謎を解いていくにつれて切ない感情に包まれたのと、ずっとモヤモヤ…。
そのモヤモヤが何だったのかは、最後に分かった。
終わり方が急に『世にも奇妙な物語』かっ!って突っ込みたくなるくらいゾワゾワした。
そのゾワゾワが私の感じたモヤモヤだったんだと思います。
最初から最後まで間が素敵な映画でした。
言葉じゃなく、表情と空気感で演技してて、それがすごく自然な日常に感じられて、私はそこがすごく良かったです。
妻夫木聡は良い俳優!!
感想として第一に感じたのは、ブッキー良い俳優さんになったなぁーでした。
主人公自身、己がアイデンティティに苦悶しつつストーリーは進んで行く中で、ニュートラルというか自立・自覚しきれない役を好演しています。
逆に窪田正孝氏は、「初恋」が非常に素晴らしく感動したのですが、佐藤健パターン(演技の幅が狭いさま)なのでしょうか…少し心配になりました。
安藤さくらも元人妻の色気むんむんかと思いきや、その後はサッパリ色香で流石でした。
私的には、中学生の息子役の俳優:坂本愛登君が特に素晴らしく今後に期待です!
全体的にフランス 映画っぽいです。何というか、余りストーリーに影響ない日常を描く感じといいますか。
そこの濃淡がまた良いといいますか。
後、清野菜名は最高です。化け物です。カメレオンです。
人間なんて愚かで勝手な生き物で、個人の本質なんて関係ないんだよなと再考させられる作品でした。
(オチ的な最終シーンは中々秀逸。嫁も〇〇、子供、差別主義な義父等々、誰もが最終的にBADエンディング。レッテル貼りは自重せよと自戒しました。)
静かな作品が好きな方は是非観てください。独特な名作です。
差別はなくならない
自分とは一体何か、出自や貼られたレッテルも一生背負って自分として生き続けなければならないのか、本当の自分らしく生きることとは?
これだけ多様性が叫ばれる一方で一向になくならない差別、偏見、不寛容。表に出し辛い空気の中SNSという匿名の世界でえぐいほど叩かれる。全てを捨て生まれ変わって別の人間として生きてみたい…そんなことを考えたことがある人は多いだろうしだからこそみなある男や主人公に共感するのだろう。
この作品には差別や偏見を露わにする嫌なやつとして描かれる人物が何人か出てくる。観客の怒りはわかりやすくそういう人物に向かう。差別や偏見はよくない!なくすべきだ!と。でもそう叫びながらも人は無意識のうちに別の誰かを差別しているかもしれないということを自覚しなければならない。嫌なやつとして描かれる人物たちは自分かもしれないのだ。
この作品は凄惨な事件を起こす犯人の背景として、もはやテンプレ化されているパチンコ・ギャンブル依存症・借金といったものを使っている。人はこの作品を見てやっぱりこういう人はパチンコをやっているんだということをまた刷り込まれる。例えばこういうことは差別にはならないのだろうか。多くの人は言う、だってパチンコだから仕方ないよと。ではその線引きはどこにあり誰が決めるのか?
概ねいい作品だとは思う。けれども差別の問題を扱いながらも一方では別の差別を生み出しているのではないかというモヤモヤがどうしてもひっかかってしまって完全に入り込むことが出来なかった。
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