ある男のレビュー・感想・評価
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「ある男」ってボクのこと?
皆何かしらの闇を抱えて生きている。そんな自分から逃げ出したくて、話を盛ったり、嘘を吐いたり、いはばプチなりすましをして生きている。ボク自身、原誠ほどの闇は抱えてないけど、ビンボー育ちにはそれなりの劣等感を抱えていて、自分の過去を少し詐称して身の上話をしたこともある(学生時代ね)。小学校しか出てなかった優しい親父は、いつも学歴を詐称していた。
最後に妻の不倫に城戸は気付く。しかし問い詰めたりはしない。問い詰めたって追い詰めれられた妻は自分の心を守るために、結局夫をなじるだろう。自分は悪くない。悪いのはこういう状況に追い込んだあなたなのだ。不倫せざるを得なかった自分になりすますのだ。
そして城戸は自分の心を守るためになりすましを決行する。ボクは群馬の老舗旅館の次男坊谷口大祐です。
最後の里枝の言葉が胸を打つ。
「結局、彼の過去なんてどうでもよかった」
家族として幸せに暮らした3年9か月がすべてだってこと。
ウソだのなりすましだの、どうでも良いことに思えてくる。今目の前に起きていることは自分には知り得ない過去があって、その延長として起きている。だから、今目の前にあることを信じて生きていけば良い。
疎外感?
誰の中にもきっとある男はいる。
鏡と対峙するひとりの人物。しかしそこには自分の後ろ姿が映し出されている。冒頭この不思議な絵画のワンショットから物語が静かに進み出す。
鏡に向き合えない自分は誰としてなら生きてゆけるのか。愛した夫は何者なのか。ミステリーとして見応え充分。先が読めない展開に引き込まれました。自らの人生を否定した者達が、それでもしがみつく“生”に対する執着。それはきっと全ての人を圧倒的に支配しているもの。そう強く感じた。
三人の熱演が素晴らしい。くすぶる感情を抑えたようなリアルさが見事だった。エピソードにも無駄がなく最後まで一切ぶれない。終幕がまた秀逸で、まさに“ある男”を象徴するような何とも言えないシーンになっている。
ある男を見て感じたこと
1 他人になりすましていた「ある男」の素姓が明らかになる過程とともに、消したい過去を持った人々と家族の姿を描く。
2 この映画の筋のメインは、その男は誰なのか?そしてどんな人生を歩んできたのか?ということ。依頼を受けた弁護士は探偵さながら調べていく。そこに謎解きの興味がある。加えて、そんな男とは知らず暮らしていた家族の苦悩が描かれる。親の都合で姓が変ったり父親の実像が様変わりし戸惑いながらも受け入れようとする子供の心情、そしてそれに寄り添っていく母親の姿に声援を送りたくなる。
3 人は大なり小なり知られたくない過去を持つ。 この弁護士もそんな過去があり、隠しているが心に傷を負っている。冷静さの裏で感情に地雷が埋まっている。また、弁護士業が比較的地味だったり家庭の中の立場が弱そうなのは恐らくその過去が原因に思える。そして、「ある男」の身元を調査する中で拭いきれない過去を持つ者同士として彼の心情に次第にシンクロしていく。
4 「ある男」の身元を知るきっかけが偶然性に頼りすぎていたことや重たいテ−マを思わせぶりな効果音を入れてますます暗くしたこと弁護士の人となりが紹介不足のため感情移入がし難いこと、依頼された以上に動き過ぎたことなどが気になった。
5 俳優では、安藤サクラの菩薩のような存在感、窪田正孝の絶望感や引け目、それを打ち消そうとする怒りを溜めた表情が印象に残る。
鏡の裏側にて静かに微笑む
重苦しくも、エンディング意外な展開
どう捉える🤔
育った環境で人生が決まってしまう、現実は小説よりも奇なりといったと...
「生きるのが辛い」人の心情は想像するしかない。
戸籍交換で違う人間として生きるのは、ミステリー小説などではよくある話である。しかしそれは普通、犯罪を犯すなどして身分を知られないようにするためである。本人は何も悪いことをしていないのに、違う人間になって生きなければならなかった男の苦悩を描いたのがこの作品である。
主人公(大祐)の気持ちは他人には分からない。死刑囚の息子として世間から迫害を受けたというような事は特に描かれていないので、むしろ(大祐)の内面の問題のように思う。鏡に映った自分の顔に父親を見て恐怖するのはその象徴だろう。自分で自分が許せなくて、ボクサーになって自分を痛めつける、これも彼の内面の問題だ。辿り着いた結論が「他人になって生きる」事だったとしても、映画を見る者はそのまま受け入れるしかない。
(大祐)の正体を探る城戸は、作品の中で大きな役割を負っている。自分の生い立ちと境遇に重ね合わせて(大祐)の気持ちを次第に深く理解していくように思われる。しかし、いろいろな事があり過ぎて彼の心情は伝わりにくかったように思う。
城戸の事も面白いが、作品の中心は(大祐)と里枝の愛情物語であろう。里枝が(大祐)が別人である事を知ったショックは計り知れない。しかし彼の素性を知った感想は「知っても何も変わらない」というような感じである。ここには、身にまとっているものに関わらない「真実の愛情」のようなものを感じさせる。生きるのに辛さを抱えている二人だから実現できた愛情を、窪田正孝と安藤サクラが見事に演じ切っていた作品でした。
面白いやないか~ぃ
率直に面白かった。
戸籍は偽りでも真実の愛があった
その人の後ろではなく、その人を見るという事
退屈させない重厚感
悪くはないけど…
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