異動辞令は音楽隊!

劇場公開日:

異動辞令は音楽隊!

解説

「ミッドナイトスワン」の内田英治監督が阿部寛を主演に迎えたヒューマンドラマ。警察音楽隊のフラッシュモブ演奏に着想を得た内田監督が、最前線の刑事から警察音楽隊に異動させられた男の奮闘をオリジナル脚本で描き出す。

部下に厳しく、犯人逮捕のためなら手段を問わない捜査一課のベテラン刑事・成瀬司。高齢者を狙ったアポ電強盗事件を捜査する中で、令状も取らず強引な捜査を繰り返した結果、広報課内の音楽隊への異動を言い渡されてしまう。不本意ながらも音楽隊を訪れる成瀬だったが、そこにいたのは覇気のない隊員ばかりで……。

音楽隊のトランペット奏者・来島春子を清野菜名、サックス奏者・北村裕司を高杉真宙、捜査一課の若手刑事・坂本祥太を磯村勇斗が演じる。

2022年製作/119分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2022年8月26日

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(C)2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会

映画レビュー

4.0豊かなハーモニーと人間模様に満ちた骨太ドラマ

2022年8月30日
PCから投稿

このオリジナル脚本による骨太作を面白く観た。序盤はシリアスな刑事モノ然として始まり、かと思えば、主人公の転属が決まると同じ警察内でありながらその職務や感情のベクトルの違う日々が展開していく。企画としてみるとそこには全く異なる二つのジャンルの融合と化学反応があるわけだが、実際の手触り的には全ては一人の人間の感情として緩やかにつながっていて、決してコミカルに振り切れることなく、滲み出る戸惑い、苛立ち、葛藤を丁寧に紡ぎ上げていく演出に魅せられた。

楽隊役のキャスト陣がいかに難易度の高いことをやっているかは一目瞭然で、とりわけ自分の楽器を体の一部の如くリズミカルに操りながら、そこに繊細な心の動きをも的確に乗せていく様は実に見事。演奏シーンにおける複雑なカメラワークからも作り手の本気度が伝わってくる。集団として呼吸を合わせつつ、個もしっかり輝かせる。彼らの奏でるハーモニー同様、気概に満ちた作品だ。

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牛津厚信

4.0清野菜名の「嫌な奴!」は、“耳すま”つながりのネタ?

2022年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

まずキャストが豪華。主人公・成瀬を演じる阿部寛を中心に、ベテランの倍賞美津子、六平直政と光石研、中堅の渋川清彦、といった個性的な名優が脇を固めるあたりはまあ順当だろう。だがさらに、清野菜名、高杉真宙、磯村勇斗、モトーラ世理奈、見上愛といった人気・実力ともに上昇中の若手たち(5人はみな映画やドラマで主演経験あり)を配した座組の贅沢なこと。モトーラ世理奈などは主要キャラとの絡みが少なく映っているシーンもわずかで気の毒なくらいだ。

内田英治監督が警察音楽隊のYouTube動画を見て着想を得たという本作は、犯罪者を追う刑事や警察組織内の人間関係を描く刑事ものと、演奏も心もばらばらなバンドが転機を経て絆をはぐくみ猛練習して名演を聴かせるまでになる音楽ものという、2つの定番サブジャンルを足し合わせた欲張りなドラマになっている。オリジナル脚本も手がけた内田監督の高い志は買うものの、いかんせん2時間弱の尺ではどちらの要素も十分に描き切れたとはいえず、物足りなさは否めない。

ただし、音楽隊メンバーの俳優らはほぼ全員が演奏未経験(例外は渋川清彦で、俳優業のほかにバンドでドラマーとして活動しているとか)だったにもかかわらず、阿部のドラムをはじめ各自が楽器を猛特訓し、演奏シーンの演技の吹き替え(手元の映像だけミュージシャンの実演に差し替えること)をしないレベルにまで上達したという。そんな俳優らの努力が、楽隊がまとまってきてからの演奏シーンの迫真性に貢献している。一方で、成瀬の娘を演じた見上愛は実際にバンドでギターを弾いた経験があるそうで、スタジオのシーンでは実際に彼女が演奏した音が使われたとか。

刑事ものの側面では、特殊詐欺を取り上げた現代性は評価するが、大詰めの捕り物ではコメディに寄せたことで、そこまでのリアルさ、シリアスさが損なわれてしまったのが惜しい。

主人公だけでなく脇の人物らもキャラが立っているので、将来は同じ世界観で(可能ならキャストも同じで)連続ドラマを作ったら良いのではと思う。近年増えている一話完結型のお仕事ドラマにして、毎回違う脇キャラにスポットを当てつつ、事件を解決したり、演奏がらみの波乱万丈があったり。映画と同じ筋をたどるのでもいいし、スピンオフ的な裏エピソードの積み重ねでも、後日談でもいい。俳優たちが苦労して習得した演奏スキルも活かせるし、映画で感じる物足りなさを解消してくれるのでは、と勝手に期待している。

とまあここまで、レビューの見出しと無関係な内容になってしまったが、テレビで見た本作を紹介する番組によると、ある場面で清野菜名が発する「嫌な奴!」は、もともと脚本になく、現場で急きょ追加されたという。清野は10月公開の実写版「耳をすませば」で月島雫役、そしてアニメ映画のほうで月島雫は天沢聖司に馬鹿にされて「ヤな奴、ヤな奴!」と怒る台詞がよく知られる。“耳すま”つながりを意識して入れたネタだとしたら、ちょっと楽しい。

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高森 郁哉

3.5警察音楽隊を侮るなかれ

2022年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

犯罪撲滅のために人生を捧げてきた鬼刑事が、その熱意ゆえに周囲と折り合いを付けられず、挙句、辞令をもらった先が警察音楽隊だった!?そこまでの展開も、それからのアレコレも、ある程度想定内に進む物語を、細部に気持ちがこもった内田英治(監督&脚本)の構成力で見せていく。後押しするのは、もはや、武骨者が持ち役となった阿部寛の熱演だ。

急いで人生を生きようとすると決して見えてこない、組織の隅っこや社会の盲点が、主人公の目を通して浮かび上がってくるスローライフのすすめ。内田監督をはじめとする『ミッドナイトスワン』チームが、またしてもオリジナルの強みを示してくれた。今の日本に必要なのは、こんな優しい視点なのかもしれない。

そして、警察音楽隊を侮るなかれ。筆者は偶然、昨年9月に88歳で亡くなったフランスの国民的名優、ジャン=ポール・ベルモンドの国葬で、棺が担がれて行く際に、フランス軍楽隊がベルモンドの代表作『プロフェッショナル』のテーマを演奏し始めた途端、葬儀に列席していたVIPや一般ファンが号泣する様子を見ていたので、この設定がリアルに響いたのだった。

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清藤秀人

3.0予想通りの内容。清野菜名の演技が映える。

2024年3月16日
iPhoneアプリから投稿

コンプラ無視の刑事が、左遷された部署は音楽隊だった。
音楽隊は左遷先の如く、あまりパッとしない設定だったけど、なんか極端な描き方だし、潰されそうになるなど、ちょっと脚色しすぎでは?というほどの内容。刑事課の仲間も悪く描きすぎでしょ。いくらなんでも。
わかりやすくしてるつもりなんでしょうが、あまり意外性もなく脚本としては凡庸。つまらないとさえ言える。
主人公が改心するのもなんかあっさりしてるし、音楽隊としてのカタルシスがあまりなく、犯人を捕まえてカタルシスってのも、結局音楽隊はおまけ的な印象にしかならない。また、刑事課に仮に戻れるとしたら主人公は戻るのか、音楽隊に意味を見出したので戻らないのか、それも回答はなく漠然としている。音楽隊の魅力があまり描かれてなくてかなり浅い。

ただ、清野菜名の演技はすごくよくて、清野菜名が好きになった。これからの活躍に期待してます。この映画は清野菜名のためにあるような映画だと思えるし、そのためだけでも価値がある映画とも言える。

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