コレクティブ 国家の嘘
劇場公開日:2021年10月2日
解説
ルーマニアを震撼させた巨大医療汚職事件を題材に、市民、ジャーナリスト、政治家ら異なる立場から事件に立ち向かう人々の姿を捉え、第93回アカデミー賞で国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたドキュメンタリー。2015年10月、ブカレストのクラブ「コレクティブ」でライブ中に火災が発生し、死者27名、負傷者180名を出す大惨事となった。さらに、命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々と死亡、最終的に死者数は64名にまで膨れ上がった。調査に乗り出したスポーツ紙の編集長は、事件の背後に製薬会社と病院経営者、政府関係者の巨大な癒着が隠されていたことを突き止める。ジャーナリストたちは命の危機を感じながらも、真相を暴くため進み続ける。一方、報道を目にした市民の怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職。正義感あふれる新大臣は、腐敗まみれのシステムを変えるべく奮闘するが……。監督は「トトとふたりの姉」のアレクサンダー・ナナウ。
2019年製作/109分/G/ルーマニア・ルクセンブルク・ドイツ合作
原題:Colectiv
配給:トランスフォーマー
スタッフ・キャスト
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実際に起きたライブハウスの火災から始まり、最初は問題の核が見えづらいが、次第に国家の腐敗についてのドキュメンタリーだとわかってくる。汚職、癒着、国民の無関心、日本人としても耳に痛いことばかりだが、その内容以上に、映画的表現が冴え渡っていて、酷い現実を描いているのにやたらと面白く、見惚れてしまう。
よくこんなところまで取材できたなと驚くのだが、これほどに政府側の大臣が協力してくれた例も珍しかろう。取材側の熱意と取材される側の強い思いが偶然に重なったことで、製作陣も予想していなかった広がりが生まれたのではないか。
編集もまるで劇映画のように決まりまくっていて、ソダーバーグが監督、撮影、編集を手がけた実録映画のよう。ラストの救われない宙ぶらりんな気持ちも含めて、非常に説得力があり、心の底から奇跡みたいな映画だと思っている。
2021年10月20日
iPhoneアプリから投稿
2015年にルーマニアの首都、ブラレストのライブハウスで実際に起きた火災から始まる信じ難い事実の数々。からくも焼死を免れ、病院に運ばれた被災者が、火傷の跡を消毒する薬の濃度が故意に薄められていたために、火傷ではなく感染症で次々と亡くなる。病院と製薬会社が癒着していた。医師も賄賂を貰っていた。そもそも政府が腐敗の温床だった。等々。
でも、事実を突き止めるために立ち上がるメディア(スポーツ新聞)がある。実名で、顔を出して、事実をリークする内部告発者がいる。政府内の腐敗を認め、取材に協力する若い保健大臣がいる。そして、腐敗に怒り心頭でデモに参加するたくさんの市民がいる。
このドキュメンタリーを見て思うのは、ルーマニアという国の腐敗度合いより、むしろ、それを正そうとする側のパワー、それに尽きる。翻って、日本はどうか?と考えて、暗澹たる気持ちになるのだ。
だからこそ、本作を是非このタイミングで観て欲しいと思う。
2023年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ルーマニア医療行政の腐敗を描いたドキュメンタリー。
クラブ火災により露見した消毒液の希釈問題を追及する新聞記者に焦点をあてた前編。その後処理と問題解決に苦悩する新任の担当大臣の苦悩を描く後編。
腐敗し私利私欲を図る権力者層。他のヨーロッパ諸国から大きく遅れを取るルーマニアの苦悩が観て取れます。
とても良く出来たドキュメンタリーだとは思いますが、やはりドキュメンタリー映画を観る習慣のない私としては、徐々に退屈を感じ始めてしまいました。
私的評価は、やや厳しめです。
2022年11月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
長期政権とメディアの癒着という問題について考えさせられる。メディアが権力に従ったら国民は虐げられる。腐敗した政権が国民に与える影響をこのように可視化されると恐ろしさを身に染みて感じる。若者の投票率の低さという点で他人事ではないように感じてしまう。