レッド・ロケットのレビュー・感想・評価
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いろんなものがゆらゆらしていて映画的
久々に映画らしい映画を観た。ロケーション、キャスト、演出、間の抜けっぷりの良さ。アメリカの田舎町がいかに映画的か、とも思うが、これは監督の汲み上げたものだろう。むしろ、風景と建物からドラマを生み出してる気がする
かつてのポルノスターの帰還をここまであっけらかん、かつ悲惨な話にしないのだけでと大したもんだと思う。どこかでコメディ、ってジャンル分けされてたけど、まあコメディでもあるけど、何しろポルノ界では著名人だったはずが、田舎に戻って自転車であっちいったりこっちいったりがいい。またそれを捉える16ミリ撮影の風景がいい。履歴書に書けないプロフィールゆえ仕事にありつけず、結局ヤクの売人になりゆらゆらゆらゆら漂い、ドーナツ屋の未成年にポルノスターの原石を発見して手を出して、って書いてると日本でもできそうな物語かもしれないけど、風土の問題か、資質の違いか、とにかくカラッとした人間模様なのが楽しい。
最後には身包み剥がされ、玉をゆらゆらさせて、自転車すらなく、ひたすら歩いて歩いて、たったひとつ残されたものがパッカーんと微笑みを浮かべるラストも素晴らしい。あと母親とか隣人のキャスティングも良かったな。いろんな意味で昔の北野武を思い出した。
移動はママチャリ
めちゃくちゃおもしろい! 笑える! 主人公マイキーがクソ最低でクソ最高すぎる! 徹底した自己中野郎で、自分が周りに対して不利な状況では憐れみを誘い責任を回避し、有利な立場では恩着せがましくとことん利用する。そうするためにウソでも本音でもひたすら主張し、どんどん調子に乗っていく。あの惨事の責任をロニーに押し付け逃げ切った時のうれしがりようたるや、本当にクズの面目躍如である。古い漫画で言うとカメレオンの矢沢栄作的。
今年の年明けに公開された、そして僕は途方に暮れるの主人公はすぐに逃げる後ろ向き・消極的なダメ人間であったが、こちらは前向き・積極的なクズ人間で、ラストワンシーンまでポジティブなのだ。いわゆるサイコパスなのかもしらんけど、これはこれでひとつのピカレスクロマンという気がする。
なんで自分はこういう人間になれないのだろう…という悔しさすら感じるが、終盤、同じポルノ男優の物語であるブギーナイツのマーク・ウォールバーグ同様にポロリ(というかぶらんぶらん)があり、この立派なイチモツがマイキーの過剰な自信の裏付けなのかも?と思うと、やはり自分には無理(涙)。
出てくるキャラがみんなクソでダメ人間というのも愛すべき哀しさ。そんな中でおっさんと女子高生というNGな間柄などおかまいなしに口説き落とされるキュートなそばかす顔のストロベリーは、もくもくと排煙が流れる工場群が背景の干からびた街にポツンと建つカラフルでポップなドーナツ屋そのもの。時折マイキーと庭で目が合う飼い犬の表情がすべてを見透かしているかのようでまたおかしい。
年に何本かはこーゆー作品が観たい。ほんとショーン・ベイカー監督すばらしい!
ダメ人間は堕ちていく
クズで自由すぎるとほほな主人公に、ただただ呆れる130分。
全て口から出まかせ。
女房がいるのに、17歳の少女・ストロベリーをポルノスターにするために籠絡して、調教してとやりたい放題。
ヒラリーvsトランプで全米が騒がしい2016年、そんなことは知らんよとテキサスという街で燻った貧しい連中が、日々に目を背けながら自分のダメさ加減をせっかく忘れているのに、もっとダメな主人公のせいで思い出させられる。
ダメ人間ってのはどこか人間的魅力に溢れてて、なんとなく愛おしく感じちゃうけども、どこまでもテキトーで、立ち直れそうなことがあっても簡単に堕ちていく、って現実の怖さが伝わってきました。
もしもストロベリーとうまく街で一発当てたとしても、もう一人のレクシーを生みだすだけだったんでしょうね。
わがままなポルノ男優
現実的にみれば、とてもわがままな主人公ではあります。
どこか憎めないところが、妙にひっかかり観たあとしばらく余韻をひきました。
だれでも自分の才に酔いしれ、その後うまくいかなかったとして
「おれはこんなハズじゃない、これから巻き返してやる」等馬鹿な思い込みから抜け出るのに大変な時期があります。
それこそこの主人公のように、底辺でもがいては人生の苦さに打ちのめされるんでしょう!
だから愛すべき人なんです。わがままサイコー
人タラシだな。
まごう事なきクズ人間だがなんか憎めない主人公。
落ちぶれたポルノスターのマイキーの舌先三寸、綱渡感が凄い。かなりエグい設定だし、わざとあやふやにした結末で地獄車無限ループ決定なのに、なぜか軽やかで希望を感じるのが不思議だ。
要注意監督である。
ドーナツ屋の赤毛の子がRed Rocketという意味なのかなぁ、、と思ったけど、犬のチンコの事らしい。www
なんと「何だ馬鹿野郎」すらない
自分が出演してきたポルノ映画の賞やいいねの数だけが生き甲斐で、家庭を顧みない元ポルノスター。一文なしで転がり込んだ妻と義理の母の家で、二人に嫌われながらも生活するうち、なんと娘といっても良い年齢のテイーンエージャーを彼女にして、その元彼と一悶着、そして結局は・・・・と普通の目線では最悪・最低の人生です。
でも、そこには悲壮感も後ろめたさも何もない。
自動車産業が衰退したテキサスの、しかし明るい陽の光に照らされて、とあることからの開放感に包まれながら、自転車を走らせる主人公の表情の屈託のなさと言ったらどうでしょう!
荒井忠の「なんだ馬鹿野郎」さえない。ただあっけらかんと恥も外聞もなく、「生きてるだけで儲け物」と、生を謳歌する姿がそこにある。そしてそれがまた哀しくもあり、可笑しくもあります。
アメリカの白人社会は既に中間層がなくなり、分断が進んでいると言われて久しいですが、ここで描かれている世界もその一部なのでしょう。ヒラリー対トランプの戦いでヒラリーが行った勝利宣言演説のテレビ音声がこの映画でも流れますが、その後何が起こったのか、そしてそれが何故起こったのか、この映画の物語を見た人には、言わずもがな、それがよくわかるような構成になっているように思いました。
この作品公開後に判明した最近の元大統領逮捕騒ぎ(ポルノ女優との関係の口止め問題)と、どうも話は繋がっているような気がするのは私だけではないでしょう。最低・最悪なのに何故か憎めない。偽悪者かもしれないが偽善者ではない。主人公と元大統領はそんな点で何か繋がっているような気がしてなりませんでした。
"ポン引きヒモ野郎"
主人公のマイキーはいわゆる"スーツケース・ピンプ"とはポルノ業界用語、自分は働かず奥さんをキャバ嬢にアフター場所までついて行き、女遊びと他の娘もキャバ嬢に、風俗よりはマシか、実際にそんな男を知っていたり、色気だけは十分に世間知らずな小娘は性に対して多感な時期、ストロベリーみたいな娘も知っている、そりゃ全て田舎での可能性が高い、日本に住んでいても共感できる、別に戻りたくて戻った訳でも無くすがれる場所が逆戻り、真面目に職探しも、マリファナを売る才能があるし、嫁や姑にも気を使いながら、マイキーのクズっぷりが発揮されたのは竜巻事故にしても轢き逃げする人も多いし、ロニーは可哀想だがバレない可能性に賭けて見事勝利を、黙って家を出れば済む話が、最後の最後で詰めの甘いマイキーの人柄に好感は持てなくても許容範囲内のクズ人間に明るい愛嬌と憎めない人間性!?
最初からマイキーに拒絶反応を示すマリファナ家業の元締めの娘ジューンがブレない態度で潔いナイスキャラ。
考えさせられる何かを深刻に描くよりも明るくPopに映し出すショーン・ベイカーの人物描写も疎かにしない演出が素晴らしい、的外れかもしれないがウェス・アンダーソンやソフィア・コッポラ、ハーモニー・コリンよりも凄いかもしれない、本作を含め鑑賞したショーン・ベイカー監督四作にハズレ無し。
判り易く言えばほぼ「リアリティショー」
私はこの映画レビューを映画.comとFacebookへ投稿していますが、今回もFacebookではあまりウケが良くなさそうな作品です。すみません。
通ぶるつもりはありませんが、この手の作品を喜んで観るタイプはそれなりに映画を掘ってる「ファン」が中心です。なので、私らがもし「面白い映画ありませんか」的な(雑な)質問をされたときに、自分は好きでもまず例には挙げない作品であるとも言えます。
本作、ショーン・ベイカーの新作と言うことで上映前から映画ファンの期待度の高さを感じつつも、やはり商業的には厳しいとみられているのか公開規模は小さめです。週末のヒューマントラストシネマ渋谷の午前中回はオンラインチケット販売だけでかなりの客入りだったので、敢えて、平日のシネマート新宿を選択。こちらは16時20分開始の1回のみでサービスデイということもあり、中途半端な時間にもかかわらずやはりまぁまぁ入っていました。
で、観た感想は一言「かなり好き」。
でも解説めいたことはしようがないほどめちゃくちゃシンプルさで、判り易く言えばほぼ「リアリティショー」的な感じなんですが、そこはやはり映画的な編集です。独特な間とバシバシ展開する落ち着きのなさが、作品内で起きている「おかしな現実」に対して変に考えてしまうことなく、ただただ笑えてその効果が活きています。
主人公のマイキー(サイモン・レックス)は得意の口車で相手をマニピュレートしているつもりになっていますが、そもそも言っている自分が誰よりも思い込み激しくて妄想が止まりません。自分がペースを作っているようでいて、実際は無計画で成り行き任せな彼の言動は傍から見れば「わかりやすい」ため、案の定のことをする彼に対して「可愛げ」すら感じてしまいます。
そして、ストロベリー(スザンナ・サン)はヤバいですね(笑)。マイキーが完全に浮かれている様子を笑いながら観つつも、私も完全なるオジサンとして正直、このムスメに関わってはまずいな、と思ったり。でも、まぁ自分はむしろ隣人ロニーのキャラクター寄りだし、と言う逃げは、なら(作品内のように)ああなるのか?と思うと、それはそれで複雑で。
観ていて終始「酷いなぁ」なんて半笑いで観ている他人の言動に対し、実はめちゃくちゃ自分を重ねて考えてしまう妙なリアリティがあっていいのです。
結局、観てもらわないと伝わらない面白さなのですが、特に女性には「見たくもないもの」もガンガン見えちゃってますし、まぁ本当に興味があればどうぞ。
映画史クズ野郎の系譜の一人だ。
『フロリダ・プロジェクト』のショーン・ベイカー監督の新作というだけで、気分はその空気感に包まれる。とことん肩の力を抜いた、本音のプアホワイトらを活写する。本作の主人公マイキー・セイバーも、相当なクズ野郎っぷりがリアルだ。『気狂いピエロ』(ジャン=リュック・ゴダール監督)のフェルディナや『レインマン』(バリー・レビンソン監督)のチャーリーの造形、それらを時代と大陸を越えて、立体的に比較分析したいが、このあたりはプロの評論家にキネ旬などで語ってもらおう。
まあ、ちょいと拾い物の一作だったことは確かだ。
なんなんだ この人々は…
ほぼマトモな人が出てこない
隣の配偶者を亡くしたおじいさんくらい?
ヤク中 セックス中 などなど類は友を呼ぶ地域なんだろうか…
終わりかたも中途半端だし…
アリtoキリギリスの話のキリギリスが沢山集まる地域テキサス?の話
アメリカは、まだ表記は「ポルノ」!
内容は淡々としていて盛り上げりが無い映画ですが、映倫がR18+指定でも、最後に元ポルノ男優が、テキサスの住宅街を全裸で必死に全力疾走するシーンをボカシ無しで上映してくれた事が、唯一の救いでしたね。
日本もセクシー俳優とか表記しないで、ポルノ俳優と表記を戻せば良いのに!
日活ロマンポルノのスター俳優として活躍した、片桐夕子さん哀悼。
23-055
どーしようもない人生を歩む者の周りには
これまたどーしょうもない人々が集まる。
ドイツもコイツも一癖あり。
だが暗くならず明るく夢みがちな姿が
それなりに素敵に見える。
ストロベリー、メチャ可愛い。
キュートでセクシーさに見惚れました😊
2016年テキサス
おおよそ日本に住んでると関係のない
生活圏でのストーリーです
マリファナが身近にあり
違った家族感がみえて
とても興味深い作品でした
ストロベリーがとてもキュートです
そして
最後のフル○○全力ダッシュに
テキサス魂を感じました(笑)
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