劇場公開日 2023年4月21日

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「マイキー的なもの」レッド・ロケット ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マイキー的なもの

2023年5月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

週刊文春の映画欄で辛口で知られる評者5人のうち4人が最高点の5つ星を付けていたので、気になって観に行った。この映画の監督であるショーン・ベイカーという人は、私と同じ50代、セックスワーカーを主人公に据える作品が有名で、インディペンデント界の俊英といわれているようだ。社会の片隅で生きる人々を生き生きと映し出し、彼らを取り巻く厳しい現実をもユーモアをもって語り、アメリカの広大な空や風景をまぶしいほど鮮やかに切り取るというのが作風らしい。
主人公のマイキーはナルシスティックで思いやりのかけらもないダメ男といわれているが、生存能力が高い人間であるという見方もできる。なにがあってもへこたれず口八丁手八丁で難局を切り抜けていくし、マリファナのセールスで稼いだお金もしっかり貯めこんでいるし、元ポルノ男優だけあって女性を口説き夜の営みも満足させる能力は抜群である。
もちろん好意的に捉えればということになるが、いわゆる堅気の世界でもマイキーのようなタイプの人間はいるのではないか。自分の自慢話ばかりして、相手がどう思うかなんて考えず、人をうまく利用してやろうという魂胆が見え隠れする。そういう人間は真の信頼は得ることは難しいが、たとえ一時であっても、その勢いにまかせた押しの強さで成功を収めているような気がする。
また、自分もマイキーようになりたいという願望がないとはいえない。まだまだ人生も恋愛も諦めず、どんな苦境もユーモアをもって切り抜ける度胸を持ち、明るくて憎めないキャラクターになるということだ。
短所は長所、長所は短所、人間は多面的に見なければならない。

ミカエル
Mさんのコメント
2023年5月25日

私は最後のシーンがものすごく好きでした。

M