仕掛人・藤枝梅安

劇場公開日:2023年2月3日

解説・あらすじ

池波正太郎のベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを、池波正太郎生誕100年となる2023年に豊川悦司主演で映画化した2部作の第1部。

江戸の郊外、品川台町に住む鍼医者の藤枝梅安には、腕の良い医者という表の顔と、生かしておいてはならない者たちを闇に葬る冷酷な仕掛人という裏の顔があった。そんな梅安がある日、料理屋を訪ね、仕掛の標的であるおかみの顔を見た瞬間、思わず息をのむ。その対面は、梅安自身の暗い身の上を思い出させるものだった。

これまでにも緒形拳、田宮二郎、萬屋錦之介、小林桂樹、渡辺謙らが演じてきた梅安役を新たに演じる豊川をはじめ、片岡愛之助、菅野美穂、小野了、高畑淳子、小林薫らが顔をそろえる。そのほか、第1部ゲストとして柳葉敏郎、天海祐希、早乙女太一が出演。監督は「星になった少年 Shining Boy and Little Randy」の河毛俊作 。

2023年製作/134分/G/日本
配給:イオンエンターテイメント
劇場公開日:2023年2月3日

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(C)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

映画レビュー

4.0 二部作の一作めだけどきちんと中締めあり、梅安&彦さんコンビの超正統娯楽時代劇

2023年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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ニコ

4.0 原作準拠でありつつ、新時代を切り開こうとする意欲と野心

2023年2月28日
PCから投稿

これまでも池波正太郎の「仕掛人・藤枝梅安」は何度も映像化されていて、すべてを覚えているわけではないのだが、知っている限りでは飛び抜けて原作の雰囲気があった。梅安が美食に舌鼓を打つ食事シーンの数々、のんびりと語り合う梅安と彦次郎の日常、江戸市中からは離れている梅安宅の風景など、どうしても緒形拳主演の「必殺仕掛人」に引きずられがちなイメージから、みごとに脱却できている。豊川悦司の梅安も、得体の知れない怖さが漂っていてとてもいい。

また、原作の最初のエピソードであり、「必殺仕掛人」でも他の映像化でも採用されてきた「おんなごろし」がメインになっていて、梅安の生き別れた妹が、現代的な解釈によって悪女に堕ちた女というイメージを打ち破ってくれた。天海祐希の演技にも奥行きがある。江戸の日常という観点でも新鮮味があるので、これはぜひシリーズ化をしていただきたい。とりあえず二部作だけで終わってはもったいない。

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村山章

4.5 時代劇映画の底力のようなものを感じられる力作。どの層が見ても自然に楽しめる作品。

2023年2月5日
PCから投稿

本作は【池波正太郎生誕100年】を記念し、世界に時代劇を届けるべく動いている作品です。
と言っても、正直なところ、私は原作者も作品も知らない状態でした。
ただ、何か「意気込みの強さ」のようなものを感じられ、まずは連続公開の1作品目である本作を見てみました。
その結果、知らず知らずのうちに豊川悦司が扮する「仕掛人・藤枝梅安」の世界観に入り込む事ができ、時代劇の持つコンテンツの強さを実感しました。
そもそも「仕掛人・藤枝梅安」とは、「鬼平犯科帳」「剣客商売」とともに池波正太郎の時代小説3大シリーズとして認知されているそうですが、私のように疎くても全く問題ありませんでした。
本作の面白さは、主人公の役柄にもありそうです。
今に通じる「ダーク・ヒーロー」として、表と裏の顔がはっきりと分かれているのです。
腕の良い医者として人の命を救う「鍼医」という「表の顔」を持ちながら、人を殺める「仕掛人」としての「裏の顔」も持つなど登場人物には不思議な魅力があり展開から目が離せなくなっていきます。
それもあり134分が意外と短く感じられました。
日本にとどまらず世界にも通じる作品と言うのは過言ではないです。

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細野真宏

4.5 画面に滲み出る色気

2025年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

ドキドキ

まっとうに、誠実に作られた正統派時代劇。
チャンバラ、お上の悪事、濡れ場、食事、江戸の街並み、相棒との掛合い、悪役達の密談、人情話・・・。時代劇の構成要素をしっかり盛り込みつつ、重厚だがサラッと軽く観られる作り。

なにより登場人物一人一人のキャラがしっかりとしていて、俳優がきちんと演じている。
梅安演じるトヨエツと菅野美穂、天海祐希からは、身に纏う空気感が伝わってきた。滲み出る優しさ、色香、哀愁、怒り、冷徹さ。演技で画面の色味が変わるように見えた。
全般的に薄暗い画面は、電灯などなかった江戸のリアリズムを感じたが、この薄暗さが、かえって俳優たちの存在感を強める作用をしていたと思う。
年の暮れの夜、降る雪を一人縁側で見るトヨエツの顔。敢えてモノクロで撮ったこのシーンが渋い。

梅安の仕掛け(殺し)は、無言の一刺し。殺された者は何が起こったか解らぬままあの世へ行く。もっと針を打つ場所を変えて悪党に苦しみと恐怖を味わせる殺しの方法はあるだろうに。これが彼の殺しの美学か。それともせめてもの罪滅ぼしか。

そうそう、池波作品では無くてはならない食のシーンも随所に描かれていた。これが簡素(質素ではない)だが美味そうなものばかり。つられて湯豆腐を作ってしまった。

相変わらず顔圧の強い片岡愛之助(彦次郎)は少し違和感があったが、食卓を挟んで向かい合うトヨエツとの関係性が独特。

第2部はどうなるのか、楽しみである。

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TS

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