仕掛人・藤枝梅安2
劇場公開日:2023年4月7日
解説
これまでも数多く映画、ドラマ化された池波正太郎のベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを、池波正太郎生誕100年となる2023年に豊川悦司主演で映画化した2部作の第2部。
梅安が相棒の彦次郎と京に向かう道中、ある男の顔を見て彦次郎は憎しみを露にする。その男は彦次郎の妻と子を死に追いやった、彦次郎にとっては絶対に許せない仇だった。そして、上方の顔役で殺しの依頼を仲介する元締から彦次郎の仇の仕掛を依頼された梅安は、浪人の井上半十郎とすれ違う。井上と梅安もまた憎悪の鎖でつながれていた。
梅安役の豊川、彦次郎役の片岡愛之助をはじめ、菅野美穂、小野了、高畑淳子、小林薫が第1部につづき顔をそろえるほか。第2部ゲストとして椎名桔平、佐藤浩市、一ノ瀬颯が出演。監督も第1部から引き続き河毛俊作が手がけた 。
2023年製作/119分/G/日本
配給:イオンエンターテイメント
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前作が江戸編なら、こちらは京都編。今回も街を俯瞰で見せる絵が効いている。別に特別な演出ではないが、ちゃんと地理を感じさせてくれるのがいい。
原作のエピソードをいくつか織り交ぜるのは今回も同じだが、彦次郎がメインの話が入ったこともあって、こっちのほうが詰め込んだ感はある。一本の映画としてのまとまりには欠けるが、よくいえば盛りだくさん。ゲスト扱いのキャラもみんな良く、おるい役の篠原ゆき子が、前作の天海祐希に続いて梅安のミソジニーに影響するファムファタルを思わぬ角度から演じていて、ステレオタイプに収まらない佇まいや表情が素晴らしい。
椎名桔平は正反対の兄弟役を一人二役で。極悪非道な弟よりも、一件真人間風だがろくでもない小物感を醸している兄の演技が印象的。
役の大小に限らず、役者ひとりひとりが腕を振るう余地があるシリーズだと思うので、一作目の時も書いたことだがずっと続けてほしいし、このクオリティを保つことは時代劇の延命にもつながるのではないかしら。
つい2か月前に“1”が封切られた余韻残る中での続編“2”であり、主人公二人(藤枝梅安と彦次郎)は変わらないにも関わらず、1と2は全く異なる趣であり、その作り分けの見事さに脱帽します。
豊川悦司扮する主人公・藤枝梅安の目が、1では終始木偶のような節穴然としていながら、殺しの時のみ異様な輝きを示していたのと対照的に、2では獲物を狙う獣のように常にギラついて潤んだ獰猛な輝きを放っており、終始感情を顕わにしていました。1で際立った仕掛人としての鋭敏さ強靭さは影を潜め、専ら人間的な弱さを描出していました。殺人マシーンだった1に対し、2では憤怒、悲嘆、憐憫、哀感、苦悩といった、明らかに喜怒哀楽のある一人の人間として描かれています。
映像の作り方も、1は乾いた明暗の利いた陰翳が濃いざらついた画調で、ドラマは専ら夜に動いたのに対し、2はしっとりした潤いを感じる画調で、昼の晴れた空の下でのソフトな映像です。
物語の構成も、幾つかの話がパラレルに進み、多くの人物が登場し、相互の人間関係が錯綜する1と異なり、2は人物の状況設定がシンプルで、ストーリーがほぼ一直線に進み、ヤマ場からヤマ場へと次々と展開し、非常に分かり易いがために観客が一息つくことなくスクリーンに引き込まれていきます。
結論として、1は、江戸を舞台に固定し、悪人が縦横に錯綜し殺し合う、ハードボイルドなピカレスクドラマ、2はロードムービー風に舞台が移動し、一つの因果で殺しを仕掛けるリニアルなストーリー仕立ての、憎しみと悲しみに満ちた深い情感のヒューマンドラマといえると思います。
その象徴的シーンは、ラスト近く佐藤浩市扮する井上半十郎と菅野美穂扮する料理屋女中おもんとが座敷で絡むシーンです。互いの梅安に対する相反する思いを内に秘めたやり取り、その濃密な空気の中で本音をぶつけ合い葛藤があって場が荒れていく、このシーンの最後に井上が呟く台詞「殺したいのは俺(自身)だ!」には、人生の無常感と共にそれでも人が生きていく強さと苦悩、それを覆う哀愁が凝縮されているように思えました。
尚、この井上と一ノ瀬颯扮する佐々木八蔵が十数人の刺客と交わす立ち合いは、1では一瞬の殺しの仕掛けの手際良さと鮮やかさが印象的でしたが、典型的な立ち合い=チャンバラが殆ど皆無だったために時代劇としての不完全燃焼感が残りましたが、この立ち合いは久々に見応えある殺陣アクションで、時代劇の持つ醍醐味を楽しませてもらいました。
2023年5月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
前回は星4つ付けましたが、続編は文句なしで星5つにしました!
全く飽きさせない、あっという間の2時間です。
話しの展開の予想が付く⁇
そんなことはどうでもいいんです。
昭和の典型的な「悪いヤツを退治する」
ある種のヒーロー物語。
そんなベタな昭和の時代劇をいとも簡単に、今風に仕上げてます。
梅安の将来を不安がる人間らしさ
おもんの可愛さとカッコ良さのバランス
彦さんの友情深さ(もちろん梅安もですが)
そしておせきの梅安を思う気持ち(最優秀助演賞もの)
そして、映像、演出、、、
全てが今見ても、全く古臭い時代劇を感じさせません。
キャスティングも最高ですね!
絶対にシリーズ化して欲しい!
寅さん、浜ちゃんに次ぐ、日本を代表するシリーズ映画にして欲しいです!
気になりながらも1は見逃し、2を観る前にサントラを聞き、川井憲次さんの音楽が素晴らしくヘビーローテーション。多くのサントラを手掛けている中、川井さんらしさがありながらも、新境地を感じた。
そして作品は総合芸術の完成度が高い中でも、海外を狙ったエンタメ感もあり、中毒性がある。
個人的には朗読劇のような一面も感じた。
御免。