ファーザーのレビュー・感想・評価
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かなり怖い。ラストおじいちゃん可哀想。
認知症により、パーソナルリアルと現実世界が乖離して崩壊する話。アンソニー・ホプキンスの演技が光り、主人公に感情移入してしまう。二回観てもよいかもしれない。年をとるとああなるのかという、恐怖を味わえる。福祉は大事だな。
名優ホプキンス
ホプキンスの一人芝居を観ていたかのようでした。
重く、散漫とした印象になりそうな話を彼の演技が説得力のあるものにしています。
脚本が素晴らしい。
認知症の人の頭の中はこんなふうになっているのか、と体感させてくれます。
斬新な演出?
いわゆる痴呆症の人の演技は、たくさん観ている気がするけど、痴呆症の人の一人称の視点は、なかなかないのでは?
最後まで、どうなってるんだろう?と理解できませんでしたが、痴呆症の人は、常にこんな感じなんだろうね…。変な意味で、よく理解できました。そういう意味で、よく出来た映画だと思いました。もう一度観ると、さらに評価があがるかも?
恐ろしい映画だった。
そんじょそこらのホラー映画なんか目じゃない。認知症を患う81歳の男の話しである。そして視点は患者。頭の中に過去と現実が蜘蛛の糸にからめとられてしまう。その混沌は足掻くほどに心身を疲弊させていく。おまけに死神からの招待状は届かない。既に老人ホームに入ってしまっている状況からの彼の独白のようだ。認知症は患者にとっては醜い現実から逃れることを可能にする病ではない。人間の意識は実に恐ろしいと痛感してしまった。しかし救われたのはラストシーンに映し出された木々の葉っぱやそこにそよぐ風だ。人も自然のなかのひとつなのだと…だから、どうと言うことはない。辛くなったら木々の騒めきを心耳で聞いてみることにしよう。
タイトルなし
人の認知とはかくも危うい。様々な人と出来事が言っては来たり、それをなんとかお話にまとめて、我々は日常を保っている。/『カメラを止めるな』的伏線回収劇でもあるが、回収仕切った末の寂寥感はなんとも言えない。
20210627追記。翌日もう一度見に行く。これは、娘との別離譚になっているのもいい。自分の意志で離れていく人、アクシデントで離れていく人。今度は自分が腕時計を見て旅立つ番。
「わからない」ことの怖さ
今年71本目(合計136本目)。 ※70本目と71本目は鑑賞日が違います。
さて、こちら。大阪市ではコロナ事情で、遅れ放映で、他に押している状況ですでに放映回数も少なめになっている状況。
多くの方が書かれている通り、認知症を患った父親目線でのお話。そのため、ストーリーは「その意味で」支離滅裂で、また、その認知症をケアする家族や関係者から見た目線でも、「その意味でも」支離滅裂です。認知症そのものは今では多くの方が知っているメジャーな病気ですが、それが進むと、本当に手の付けられない状況になります。とはいえ、だからといって、そうなったら老人施設か何かに入れておけばいいのかというと、それもまた考え方は分かれます。施設で見てもらう分には、設備の整った専門の方のケアが受けられますが、余命が短いことがわかっている場合、あえて施設に頼らず、家族と最低限の外部のケア(看護師さんとか、ヘルパーさんとか)だけで余命を…ということも考えられるからです。
この映画は、「この意味において」理解が難しい内容です。ただ、その趣旨は、当然「認知症になると、本人や家族はどうなるのか」という問題提起にある点は明らかで、ストーリーの中でもその点、支離滅裂になる点は前提とした上で、理解不能にならないようにケアが入っています。
特に減点材料とするべき点もないので、フルスコアにしました。
実際、認知症を患っても、イギリスにお住まいとの設定で、「言語が支離滅裂になる」ということはないのですね(単語を忘れる、同じような文の言い回しになる、といったことは想定可能な設定だが、それが読み取れる内容は一切出てこない。むしろ、この点に限っていえば、「認知症を患っても、国語能力は残る(場合がある)どころか、何らの衰えもなく議論するほどに会話が可能」という例で(もっとも、実話ものでもないようですが)、その点は理解できるので(言語といったことは、日常生活で使うことなので、衰えても全く使えないということは起きにくいが、簡単な算数や理科でも、日常使わないものになると、やっぱりわからない、ということは容易に想定可能)、特に気にしませんでした(むしろ、言語関係は衰えない(場合がある)」という描写は、誤った知識を植え付けないようにしている点で評価しました(おそらく、この点は何らか監修を受けているのだと思います)。
自分という概念の喪失。
終始大混乱で鑑賞。ほぼ頭の中がぐちゃぐちゃでした。誰が実在の人物で誰がアンソニーの見ている幻覚なのか。誰の言葉が真実で誰の言葉が妄想なのか。その答えが見つからないまま時間だけが過ぎてゆく。まさにアンソニー同様今、何時だ?と聞きたくなってしまうような気分だった。
そしてこの何が何だか訳が分からない感覚こそが最大のテーマであり見所でもある。認知症を発症したアンソニーの視点から描かれる日々を私たち観客も疑似体験することになる。
壁に飾られた絵画。盗まれた腕時計。繰り返される出来事。噛み合わない娘アンとの会話。何かがおかしい。でも何がおかしいのか分からない。認知症は劇的に改善することはない。それ故そちら側の世界の詳細を体験者から知ることはできない。それなのにこの妙にリアルな体験はなんだろう。
父親の変化を何とか理解しなくてはともがくアン。その葛藤や絶望感はいつの日か私自身が抱える問題かもしれない。更に言えば自分が認知症にならないなんて言い切ることは誰にもできない。
自分という概念の喪失。これ以上の恐怖はこの世にないかもしれない。
アンソニーの涙
個人評価:3.7
万引き家族の安藤サクラの泣きの演技に世界は驚かされた。それを彷彿するかの様に、御年83歳のアンソニー・ホプキンスの涙の演技に心揺さぶられ、悲しく切なくなる。2度目のオスカーも納得な名演である。
こういった作品は、介護する家族の大変さを描きがちだが、本作は老いによる喪失を本人視点で描いている為、日常が心落ち着かないサスペンスの様な出来事に囲まれ、記憶を失う恐怖と違和感を見る側が体験する事ができる。サスペンスの様な演出だったが、稀有な作品と感じる。
自分や家族、身近な人とのこれからを考える作品
認知症や福祉などをテーマに扱った作品は珍しくはないと思うが
認知症の父からの目線で描かれているというところが独特。
最初は、まさに支離滅裂という感じで
少し混乱するが、父の目線だということを理解できると
非常に物語に引き込まれていった。
自分が認知症になったらこんな感じになるのだろうか……?
と、自分ごとのように捉えてしまう。
介護をする子供の感情や葛藤も繊細に丁寧に描かれていて非常に考えさせられる作品
親の視点でも、子供の視点でもどちらにも感情移入してしまう作りが秀逸だった。
誰もが、どの立場にでもなりうるという点で
身近な人についてや、将来について考えさせられる作品だと思う。
「わからない」ことはホラー
「わからない」って言うのは本当に怖い。この映画は、認知症を患った本人の視点で描かれているため、見ている私たちも彼の立場で体験することになる。本当に訳がわからない。誰?どこ?何が起こっている?今何時?全部わからない。そりゃパニックになるよ…。自分の大切な人が患ったとき、本人の辛さを理解してあげられる人になりたい。
目を覆ってしまったことに後悔…認知症のもどかしさを淡々と描く良作
映画を観ていると、いつも正解を探してしまう。どうも分からなかった気でいたのだが、あの混沌こそ一つの答えだと気づいた時、この作品の真髄を知ることになる。
認知症の父と介抱する娘。次第にこじれていった関係は元に戻せなさそうだ。そこを取り繕う奇跡の話でもなければ、非情なサスペンスを描くわけでもない。そう、ただ老いていく父を無情にも噛みしめるしかないのだ。しかし、この作品が一線を画しているのは、父の目線が自然な形で入ってくるということだ。そこに見る混乱こそ、認知症の父の視点であり、認知症の恐怖である。単なる頑固おやじなら話はこじれないだろう。「自分はしっかりしている、大丈夫」と思い込める世界が広がっているから怖いのである。まだ大学生である故、痛みから逃げることが出来るから、そうハマらなかったのかもしれないが、その事実に目を覆ってしまえたからハマらなかった気がする。目をつむるのはいつだって簡単。これは反省だ…。
とにかく認知症の恐怖がそこにある。蝕むような。しっかりしていた人でもこうなるのだから、認知症がいかに恐ろしいか分かる1本。
あなたは見たレビューを半分覚えている
タイトルがなんかマフィアっぽいと思ったが全くそうではない。
痴呆症の父を描きつつ、同時に父の視点でも物語が流れていく、なかなか構成の面白い作品。良作ではないだろうか。
良い点
・演技
・軽くコミカルでもある
悪い点
・もっとオチがほしい
混濁していく認識を描く
舞台を映画化すると、舞台セットを反映させることが多く、それにステージとしての物理的な狭苦しさを感じてしまうこともあるが、本作では映画になることで混乱する様がより効果的描かれている。カメラのパンや編集のカットで、観客も惑わされる。
認証症の人を二人見取ったことがあるが、付き合っているといくつも不思議なことが出てきて、あれはどういうことだったのだろうと思うことがあった。それはつまりそういうことだったのか?と答えになるものがいくつか描かれていた。特に人がわからなくなる様子が興味深かった。
それとイギリス人だと最後まで一人で生きていくことを望むのかと思っていたが、あの状態になると出てくるセリフが聞き馴染みあるもので、同じなんだなと感慨深かった。
アンソニー ホプキンスの存在感
認知症の父と娘とその家族の話であるが、父親から見た現実(と思っている)と、実際の現実。
いくつかの繋がり合うシーンがあるが、それぞれが辻褄が合うようであり、また合わないようでもある。虚構と現実を行ったり来たりしているようでもある。
父親の視点のみで描かれているのではないので、見ている方は混乱してしまう。何が現実なのか。
認知症を扱うドキュメンタリーや映画はあるが、今回は、「映画」としての表現が独特であり、見る者は自らの実体験と照らし合わし、それぞれ感じ方は違うのだろうと思った。
私も同様の経験があるが、この映画はいまいち響いてこなかった。一方で、自分がこの父親の年齢に近づき、このような事に自分がならないとも限らず、複雑な気持ちであった。
自分には難しい作為品
作品の質と言われると、とても上質な作品です。今がどこにあるのか分からず錯覚する感覚を堪能することができると思います。また、他の口コミを観ても分かるかと思いますが、アンソニーホプキンスの演技力には圧倒されます。それだけのために観る価値を感じられる演技力です。
観る人が観ればいい映画なのかもしれませんが、私にとって“いい映画”ではありませんでした。作品のメッセージ性、近い将来自分に起こりうる世界を体験できるような映画ではありました。実際に認知症になってみなければ分からない視点。分からないから“こう見えるんだろう”という予測で映画を作ることはいいと思います。でも、事実が分からないものだからこそ最後にもう少し監督なりの答えを貰えれば、観ている側も腑に落ちて終わることができたんじゃないかと感じました。所々でアンソニー目線ではない、娘アンの視点が交えていますが、時系列はアンソニーの目線で進行していくことが気持ち悪かったです。アンに対して悲観的になる隙を与えないスピード感。感動もしないし、感激もしない。終わった後に観きった達成感もありません。口コミが思いのほかいいものが多く期待して観てしまったせいなのかもしれませんが、この映画を観て第一声に面白かったね。と言うことは無いけれど、観て数日経った今も何か残るものは在ります。
これはホラーですかね?予備知識ゼロで見た方が良い。怪演だとかアカデミー賞とか関係ないないよ。
よく行く映画館がいつの間にか開館しいていた!
殆どんど何の知識なく取り合えず、予約して観てきた。
これはホラーですかね?
ジャケ写を改めて見てみると、こんなに作品の内容と解離してるのも珍しい。
最後の方まで、何となく『顔のない鑑定士』のような話かなと。
でも、ホプキンスはそんなに資産家でも無さそうだしなあ〜。
さあ、薬を飲みましょうと笑顔で皆に言われる度に、実はサスペンスか?このクスリは認知症を遅らせるクスリじゃなく、実は‥。?
正直、怖い。
ホプキンス以外が着ている服のカラーが青だったり、白だったり、オレンジだったり。
娘と名乗る女がまだ青い服を着ていて、時が経ってるように見えて実は同じ時間、同じシチュエーションをグルグル。その繰り返し。
そして、いつになったらチキンがテーブルに乗るのか?
気になりました。
この時系列のグチャグチャ、同じことのグルグル。ホプキンスの台詞や不穏なアリアが頭に響いて、観てると疲れてきます。
でもやはり、一体どういう話なのか?その一点だけでラストまで引っ張って行きます。
確かにホプキンスは時計に強い拘りがあったり、認知症なんだろうなと私も感じる。
認知症の人と関わっている人達から見た認知症の人の頭の中は人間がこんなふうに、ホラーサスペンスみたいに見えたり、施設がまるで刑務所に見えたり、疑心暗鬼になったり、暴力を振るわれたり、怖かったりするのかも知れないと【想像】して描いた作品なのでしょう。
いや、けど、もしかしたら解らない。実は『本当に』あの夫と名乗っていた男に何度も殴られて恐怖を感じたり、暴言があったり、娘に首を締められたり、したのかも知れない。
そこは認知症の人が決して治らないからこそ、永遠に解らないわけで。
で、認知症の人の言うことは誰も信じてはくれない。誰も信じてくれないと言う恐怖も、気付かれないように描いている。
オレンジ色の服を序盤に着ていた介護人がラストにまた出てきます。
そしてチラッと部屋に来た例の男の微笑みも。
怖い。
若い介護人の娘=亡くなったルーシー
中年の介護人=お母さん
人間はとことん怖い目に合うと過去や現在、自分を無条件に愛してくれた人に助けて欲しくなるものなのかもしれない。
ホプキンスさま、最高齢アカデミー賞おめでとうございます。 何ならイーストウッドにとって欲しいよ。さらに記録更新。ギネスか?
けどホプキンスって、ずーっと昔から何故かいつも年寄りのイメージがあります。何でかな?
久しぶりにちょっとスカーッとするヒューマンドラマか、『ザ・スイッチ』みたいなぶっ飛んだ?映画を観たかった私ですが‥。
たまには変化球も良いかもね。
認知症疑似体験
なるほど、、なにこれどういうこと?わけわからん。あっ、わけわからなくて正解だったのか、、という映画。これが認知症の現実なのだと思うと非常に怖いし、これがもし自分の親に、、と思ったら耐えがたい。。
アンソニーホプキンスは最高でした。カッコいいしかわいいしチャーミングだしせつない。さすがすぎますね。
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