ファーザーのレビュー・感想・評価
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認知症を題材としたサスペンスフルな体感映像
アンソニーホプキンス演じる高齢の父が認知症を患い、その進行を追っていくヒューマンドラマの一種だろうと軽く見ていた これほどの傑作を見逃していたことを悔いた
認知症のアンソニーと娘アンの生活を俯瞰で追っていくうちに、見事にアンソニーの主観と入れ替わり、当人の混乱する様を見るだけではなく、体験することができる
これほどの洗練された映像演出は見たことがない
CGなど一切使わず編集と演出で見るものを引き込むだけでなく疑似体験させる その卓越した技法だけでなく、名優の演技が掛け合わさることで、変わり映えのしない映像かつ最小限のキャストにもかかわらず最大限の魅力を引き出せていると感じた
アンソニーの混乱と不安を体験することで、サスペンスフルな展開になり見ていて緊張してくる
こんなコンパクトな映画で新しい感覚に陥れたことがうれしい 映画の素晴らしさに改めて気づけた
すべての枝から葉を失うように・・・
俳優の演技力、映画の構成、舞台、どれをとっても極めて秀逸な作品がだった。
アカデミーをとったアンソニー・ホプキンスの演技力は人の感情を昂らせるほどのものであったし、娘のアン役のオリビア・コールマンをはじめとして他の役者も「自分の傍にいる他者」を演じ切っていた。
しかし、さまざまなコメントを見ていると、この環境に接したものではなければ理解できない世界かもしれないということも否定できない。
まず、言うべきことはこの世界には客観的な視点などないということだ。
おそらくはこの環境に一度として身を置いた経験のある者は言うだろう。
自分の「この」世界を確かなものだと信じたいがために、世界を自分とは異なる見え方を持つ者に対しては躊躇いもなく「たわごとで自分が正気を失いそうになる」と毒づく。おそらくは誰もがそうなのだろう。
自分の時計を「盗み」に来る者は、自分の生活を「奪い」に来る者だ。それはマーク・ゲイティス演じる男であり、ルーファス・シーウェル演じる男であり、また娘のアンもそうだった。
画面を通して私たちが受け止めるフラットの風景から私たちは彼の心象風景を映しとる。自分が誰であっても、周りのものが誰であってっも、私の世界は「私のフラット」そのものであり、それ以外の何ものでもない。
時間と空間、自分を「客観世界」に繋ぎ止めるものに揺らぎを感じた時、人は不安を覚えるものだ。この世界を、当然であるかのように思い生活している日常性こそが、フィクションであることに気づかなければならないにもかかわらず、それに目を向けない。
ここに書かれているレビューのほとんどが見当違いのこのをしているのだが、それもまた客観世界のフィクションを証明していることだと思ってしまう。
だから、その「ずれ」を直すため、側から見れば見当違いなあり方で、それはレコードの飛びを直すのと同様にCDを丁寧に拭くことと同じ作業を繰り替すことでしかできないのかもしれない。
俳優の演技力、映画の構成、舞台。
私たちの日常は、父親アンソニーの言葉にもあり、それは俳優アンソニーの言葉でもある。
他の者たちの言葉もまた役の上の言葉でもあれば、一人ひとりの役を超えて私たちがけとめる「実在」の言葉でもある。
最後の最後に誰もが「世界」を共有し合う言葉を持ってきたのは、この作品が名作であることの証左でもあった。
The Fatherが繰り返すMom(Mother)。
これは、私たちがMatrixに哀哭する瞬間が共通にあることを痛切に思い知らされた瞬間でもあった。
人間の温かみを感じる確かな映画
この映画を観た誰もが、アンソニーホプキンスの芝居に圧倒されると思うが、他の出演者の演技もいい。 映画の構成が巧みで、ホプキンス演じる認知症の老人の心を追体験しているような気持ちになる。 自分を失ってしまう不安や恐怖、そして悲しみの感情で、終始心が揺さぶられ続けた。
母を自宅で見送った記憶が新しい私には、 介護していた時に感じていた不安や絶望感などの感情が次々と蘇ってきて、正直、胸が苦しかった。 母が存命中にこの映画を観ていたら、もっと優しく接することができたのにーという思いにもかられた。
監督は想像していたよりも若い42歳。 才能のある芸術家の想像力の豊かさとは、本当に凄いものだと思う。
我 々人間は、現実の前には全くの無力だ。 それでも、人間には確かに温かみがあるのだ。 それを思い起こさせてくれた、確かな一本だった。
圧倒的全人類鑑賞推進映画
今まで邦画洋画様々な認知症を題材とした作品を
観てきましたが、ここまで胸に鉛のような
苦さと重さを感じた作品はありません。
自分だったら、または自分の周りの大切な人が
こうなってしまったら、そう考えずにはいられない…。
ただ作品を楽しむことは難しい。
それくらい他人事ではなさすぎます。
そしてなんと言っても素晴らしいのが
アンソニー・ホプキンスの演技力。
ほんとに瞳の揺らぎから佇まい、指先に至るまで
非の打ち所なし!!!!なんて魅惑的なのでしょう。
これからも人間として生きていくなら
絶対絶対絶対見るべき。
もしも自分がその立場になった時、
この作品を知っているか知らないかで
優しさや思いやりに必ず違いが出ます。
自分や周りに愛を持って生きるために、
欠かせない映画のひとつです。
不安と恐怖
アンソニー・ホプキンスの演技が光っています。認知症患者の視点から描かれた本作は我々の心に深く刺さる名作です。静かに流れゆく時間の中で時に知らない人物が登場し、知ってた人物が居なくなり、場所が変わる。どんなに不安で、心細いか。怖くて切ない。
ドーターでもいいかな
2021年12月3日
映画 #ファーザー (2020年)
認知症の方の視点から、認知症による症状を描いた作品
認知症の方って表情とか乏しくなるところを #アンソニー・ホプキンス が上手く演じている
自分がこうなるかもしれないと思いながら見ると怖くなる
一種のサスペンスにも見える映画ですね
傑作です
脳と言う組織を考えると
全ての根源がここにあるな。と実感できる作品。
実母が実祖母の介護に関わっているからだろうが、作品鑑賞をしつつボヤキを入れてしまう
「自分で出来る言うてるんやしやらせてみーや。
やらせておっ死んだらおっ死んだねって骸に言うたれよ。それでは納得できない自分が自分を苦しめてんねんで」
とw当事者じゃないからこそ出来る無責任感想だが。強ち的はずれではない筈です。タンパク質の澱みに帰着したウィルスが乗り物として製造開発した動物の一部である人間の終末課題=認知症と映画に対する感想ダン
脚本と言うよりは…
ストーリーよりもアンソニーの演技を褒める声しか聞こえず、なんでなんだろ?と思ってたけど観て把握
ガチで認知症の進行具合がわかる映画なので、結構観ててしんどい
しかも発症してる本人からの視点なので、今回アンソニーが賞を獲ったのは演技+精神力への賛辞だと思う
観客に体感させる事に成功している!!
主人公はメモを取ったり自分で考えたりはしないので、初めはあまり共感はできませんでした。次第にどうにもならない状況で惨めな気持ちになりました。しつこい演出等は全く無しに、観客に体感させる事に成功していると思います。自分がこの状況になったら、過去を振り返る価値はもうありませんが、食べ物の確保を行いつつ、一日一日新たな気持ちで生きていくしかないと思います。
答えがあるなら
私には低評価も高評価もつけれない。
なんだろう。なんか腑に落ちない。いつから映画はこんなに社会問題ばかり取り上げるようになったんだろう。問題提起として考えるには素晴らしいのでしょうし、映画の価値や意義を高めるには必要なんだと思うけど。これをコミカルだともシリアスだとも思えない。
本当に認知症の人の苦しみを考えてどーすれば穏やかに幸せに暮らせることができるのかの答えを知りたい。。。
映像と演技と構成は良かったと思います。が、取り立てて工夫されてるとは思わなかったかな。淡々としています、介護する側もされる側も特に救いはありません。素晴らしいとしたら演者さんの力かな。
わたしには、ただの、認知症ドキュメンタリーにしかみえないのだが‼️❓
ひたすら、昔の名優が、認知症の姿を見せるだけ。
わたしには、何を感じて良いのか、戸惑いだけが残りました。
ただ、大金持ちの自慢にしか見えませんが。
何か、後味の悪い、映画でした。
アカデミー賞の意味を知る意味で、是非。
来たるべき日に備えて
誰が観ても分かるアンソニーホプキンスの名演が光り、
その輝きのおかげでどっと辛さが押し寄せて来た。
親と「ボケたらボケた方は何もかんも忘れるから楽やなぁ」
「せやなぁ」なんて話てたけど、
考えが甘っちょろ過ぎた。
今作の見所はやはり認知症側の視点の部分だと思うけど、
たった90分観ただけの自分でも、
今自分はどこに居て、誰と居て、今いるコイツは誰なのか?
と頭がぐちゃぐちゃになるのに、
これを毎日繰り返すなんてとんでもなく大変な事。
迷い込んだ迷路から永遠にに出られない感覚に
とても疲れました。
介護側の辛さが描かれる事はあるけど、
患ってる方の苦悩を知るきっかけになりました。
日によって人格も性格も変わってしまうのだから、
対処の仕方が分からない。
本当に嫌な奴だと思ったら弱さを見せたり、
褒めてくれたり、感情がぶんぶん揺さぶれられるのだろうな。
来るべき日に備えて何も出来ないのだけど、
覚悟はしておかないと。
それにしてもアンソニーホプキンスの演技は
素人から見ても「これが今年の最優秀男優賞です」
と言われても納得出来るものでした。
ある意味怖い作品
認知症を患う主人公の目線と主観にて進むストーリーはとても切なく、アンソニー・ホプキンスの演技と完璧な脚本と演出で素晴らしい完成度だった。
見ていて実際にこうなるんだろうか…と怖ささえ覚える。
ママ
自分を認知する術は記憶な訳で、自己を絶たれていく恐怖が強烈である。子供のように泣きじゃくるアンソニーに絶句してしまう。彼にとって悪夢のような記憶がループするあたり、何もしていないこちらまでが何か罪悪感を感じてしまう。
残酷な現実
1人で介護していた母を老人ホームに入居させたばかりの私にとっては、ただの映画ではありませんでした。
介護する側はただただ必死の日々を送りますが、介護される側もこんな毎日であるなら、それは恐ろしいだろうと思います。
この映画は面白いとか面白くないとかでは無いです。
ドキュメンタリーだと思って観るのが良いのかもしれません。
《認知症における『混乱』とは》
認知症とは「老化による脳の衰え」だ。決して「病気」ではない。
肉体が若い時と同じことができないと同様に、脳も若い時と同じことはできないのである。
記憶力や認知力が衰えることを簡単には受け入れることができない、事実と妄想の区別がつかなくなる、できない自分にいら立つ、それらを短い上映時間の中で表現されている。
最後には「子供返り」の様な場面がある。「人生を降りていく」描写に救われたような感覚が残った。
素晴らしい演技でした。
どれが現実でどれが妄想なのか夢なのかが全く分からないので、不安を煽られますね。
全ての方が認知症になるわけではないですし、例えなったとしてもこのように感じるわけでもないみたいですが、いつか自分にもこのような時が来るかもしれないと思うと、かなり怖いですね。
ただこの作品はそれだけに留まらず、哀しみや人の優しさ、親族や介護する方の大変さと大切さがよく分かる作品でもありましね。
それにしてもアンソニー・ホプキンスさんの演技力の凄さにはまさしく脱帽ですね。
ホプキンスさんあっての作品と言っても過言ではないですよね。
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