ファーザーのレビュー・感想・評価
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恐ろしく、救いがない
認知症になると自分に起こるかもしれない事象の一つの解を描いている映画。ただそれが本当だとすると、恐ろしさしかない。
自分と周囲の隔絶。過去の記憶と自らの主張に対して「意固地」になり、自分からどんどん人が離れていってしまう。最後は幼い自分に戻ってしまうというところも、悲しいリアリティがある。この映画の「救い」は何?
ストーリーを追いながら、そのコアにあるものを信じたくない自分がいる。リアリティ・ホラーとでも言うような、そんな映画。
今までに作られてそうだったから
前情報なしで視聴。
認知症追体験映画って今までに作られてそうだったから、本当に認知症追体験する映画ってことで評価されてるんだ〜ってちょっと驚いた。なかったのか。
アンソニーを外側から見てると、記憶能力そのものがイカれてるおじいさんなのか、常に幻覚を見てるから記憶がイかれてるおじいさんなのか、区別がつかないんだなぁ〜って思いながら見ていました。
どうとらえたらよいのか
認知症の方の見え方をそのまま見ているようだと理解できても楽しめるものでもなく、ラストに向けて真実を推理しながら視聴。だからといって面白いのかと問われれば「う~ん?!」という感じ。おじいちゃんが可哀想で、もうちょっと寄り添った言い方をしてあげてと思いながらみてしまった。
意外に凝った構成が良い
名優の迫真の演技が売りのドラマ映画と思いきや、トリック仕掛けのミステリー的な面もあり、観る側も戸惑いながらも引き込まれた。
映像的にも見処ありで、室内シーンがメインゆえ、時折映る景色が映える。特に、中庭に顔のオブジェがある建物は、かなり気になる。アングルも良い。この存在感、有名な建物なのだろう。
個人的には「感動の名作」とまでは刺さらなかったが、名演技・トリック・映像美等々、なかなか見応えありでした。
混同
見ている序盤は、何がどうなっているのかパニック状態の中見てました。
最後には色々と理解できましたが。
私の父も認知症であることも踏まえ、その状況を幾分理解できた気がしました。
また、年をとったら同じことを何度も言ったりとか、頑固になる感じもうまく表現できたいた点がさすが、アカデミー俳優と思わせるところでした。
アンソニー・ホプキンス自体が、80代で演じている点も尊敬にあたります。
わたしじしんもこれくらいの年までしっかりと健康で生きて行ければとかんじました。
恐れ
アマプラで鑑賞
私は死よりも、こうなってしまうことを恐れている
この作品を見ても恐れはますばかりで、未だに効果的な対策は見当たらない
日本を筆頭に、様々な国が遠くない未来にこのような高齢者があふれる時期を迎えるのだが、、、
こんな視点から感じとることができるとは
こんな風に認知症患者の心情を知ることができるとは。監督に拍手!さらにアンソニーホプキンスの名演により主人公の混乱、不安、苦しみが痛いほど胸に刺さる。
事実と妄想 主人公の体験を追体験しているような感覚
どれが事実なのか、妄想なのか。
混乱は私の頭にも起きた。
田舎でのんびりと孫や子どもに囲まれて生きる人生の幸せを思った。
平凡で、しかし豊かな人生。
最後のシーンで豊かな緑がリアルに感じ、私の人生の思い出と重なって、宮古島の緑を思い出した。
それが私が暮らしたい場所なのかもしれない。
本がいい。演技がいい。
父の見ている風景がことごとく変わる。
見ているこちらも混乱するが
その混乱は父の見ている風景である。
娘はセーターをうまく着れない父の姿を見る。
娘は父の生活の終わりを強く感じ始める。
娘は父を思い何度も目にいっぱい涙を溜める。
最後に父は言う。「、、、葉っぱが失われる」
葉とは植物が生きる為に必要なものなのか
何かが崩れ、目にいっぱい涙を溜めて話す。
アンソニー・ホプキンスの演技は素晴らしく
97分の上映時間を忘れさせる。
また娘役のオリビア・コールマンも期待以上!!
混乱する父と共に観客も引っ張ってくれる。
ほとんど屋内だけの映像で物語は進むが
上質な演技により圧迫感は感じない。
そして流れる歌曲もいい。
※
気持ちを共有する事で解る、認知症という難病
アンソニー・ホプキンスが83歳にしてアカデミー主演男優賞を獲得した作品。
認知症を患う父と世話をする娘の苦悩を描く。
序盤から素晴らしい演技力により一気に物語の世界感に引き込まれ、家族の一員となります。
ラスト10分、まさに匠とも言うべき圧巻の演技には驚愕の後に熟考。
見ていると突然「あれ?」と思う事が出てきます。
しかしそれは後に「そういうことか!」と解ると同時に、非常に考えさせられる映画へと視点が変化します。
いろんな角度からこの物語を見る事によって、きっと貴方の認知症に対する見方と考えが変わることでしょう。
メッセージ性が強くて素晴らしい作品でした。
何が何だかわからない辛さ
認知症目線で、介護される側の気持ちを体験できる。
介護が大変であることは当然知られているけれど、認知症の人自身の混乱や辛さをここまで感じたのは初めてだった。何が何だかわからないということが、どれだけ辛いか。誰にも理解されず、違和感を感じながら生きること…
とても手厚い介護をしてくれるところだから、娘はかなり頑張って高額な施設を選んだんだろうなと思った。
娘も日々を捧げて尽くしても、なかなか届かない気持ちも辛い。
誰も悪くなくて、ただ辛い最中にいることが苦しい。
もし家族や自分がなったらどうしたらいいか、つい考えることも逃げてしまうけど、考えておいた方がいいよなあと思ったり…
将来、認知症が治る病になったら、どれだけ多くの人が救われるだろうか。どうか、開発されたらいいなと願ってしまう。
そして、最後のシーンで『ママに会いたい』という顔が、父親ではなく、子どものような顔になっているところにゾクゾクさせられた。さすが名優、という言葉では足りないくらい、すごいお芝居だった。
完璧
こちらの期待を上回る、そのギャップが素晴らしかった。
「認知症」「主演男優賞」とくれば堅いというか、
まぁ感動的ではあっても退屈なストーリーなんだろうと思ってた。
んで、開けてみれば完璧なサスペンス。
人の顔も記憶の順番も入れ替わり、まるで認知症を疑似体験してるかのよう。
あれ?あれ?と転がるストーリーで、飽きる暇なんて全然なかった。
たっぷり寝たら、太陽の光を浴びに公園へ行こう。
もし気に入ったら、お昼寝の後でもう一回いったっていい。
結末に至るまで、完璧な作品だったと思う。
記憶の構成、危うさ、そして音楽の美しさ
他のレビューでも指摘されているけれど、認知症の患者の眼に、毎日がどう映っているのかが、ミステリーのトリックのようにほんの少しのヒントを含みながら危うくつなげられていく。
でも、人間の記憶ってほんとうはこんなふうにあったかどうかわからない思い込みで事実の隙間を埋めて成り立っているのかも、ね。
監督兼原作者のゼレールは、自分のオリジナルの舞台脚本を、わざわざアンソニー・ホプキンスに当て書きをし直して映画に仕上げたのだそうだけれど、当のホプキンスは自分の父親を真似て演じ、そのためとても「楽だった」そう。なんとも言えないオチがついた。
音楽が素晴らしい。まだ理性を保っているうちは、アンソニー(役名もこれ)はパーセルの『アーサー王』のやうな、なかなかに通っぽいオペラばかり聴いている。
でも次第に、それぞれの事実をつなぐ記憶が途切れてくると、いつの間にか音楽はミニマル・ミュージックのような、静かに抑えたピアノの響きだけになっていく。
作曲はルドヴィコ・エイナウディ。微かな音が、あちこちから湧いてくる記憶の糸のように繊細に響くピアノ。それからデゥィド・メンケ。病院(施設?)の現実をあらわすかのような冷たい、硬質な響きの音。
2人とも名前は初めて知ったけれどかなりのアルバムが配信されている。聴くのが楽しみ。
他人事ではない
アンソニー(役)も可哀想だし、アンも可哀想。
自分も近いうちに親の介護を経験するはずなので
ほんとに他人事ではない。
また、すぐに自分が介護される番になるはず。
自分の娘にはこんな思いをさせられない。
いつまで生きていたら、娘の足を引っ張ってしまう。
娘だっていつまで若いわけじゃない。
一度きりの貴重な娘の人生。
せめて、自分は可愛いおじちゃんでいたいな。
偉そうにしてたらダメ。
介護してもらいたかったら可愛くしてなきゃダメ。
とても参考になりました。
とてもつらい映画でした。
認知症目線の作品
認知症の父と、それを介護する娘の話。
娘の介護大変な話ではなく、認知症の父目線で話が進んでいく。
パリにいる恋人と暮らすため移住するのか、夫と言われる人が嫌味を言ったり、下の娘は世界中を旅していると言ったり(事故で亡くなった)、情報が認知症だけに錯綜する。
見ている自分たちもそれに翻弄されながら、それぞれの葛藤が描かれている。
認知症だからと言って感情がないのではない。むしろ、感情に素直になっているだけなのではないか。そんな思いもしてくる。
老人の孤独感
アンソニーホプキンス扮するアンソニーには認知症が見られたが、本人は全く認めずヘルパーも追い返しオリヴィアコールマン扮する娘のアンも困惑していた。
頑固親父ほどこの傾向は酷いだろうね。特に彼が出来た娘が引っ越さなけばならなくなったら親を見捨てると言う。心からこんな親父にはなりたくないから施設に入る道を選ぶだろうな。確かにボケると現実がどうなっているかわからずだまされやすい状況にもなる。家族すら分からなくなるんだもんね。考えようによっては恐い話だ。観ていても何が本当なのか分からなくなるよ。老人の孤独感が強くなって当然だね。家族も参ってしまうくらい辛いしさ。我が身を振り返って良く考えなきゃね。
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