Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
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happyではなくluckyの意味するもの
瀟洒な家で新婚生活が始まった主人公のハンター。夫は、夫の父親が経営する会社の役員をしていて、ハンターは絵に描いたようなリッチな生活環境を享受しているように見える。だが、ストーリーが進んでいくと、不穏な空気が流れ出す。どうやら、ハンターはどちらかと言うと貧しい家庭の出身らしく、そのことが原因で義父母から高圧的な物言をされる。
やがてハンターは、ビー玉をはじめとして危険な物まで次々と飲み込む異食症の行動を取り出すのだが、飲み込むときの映像がやたらと美しい。飲み込んだ後、体外に無事排泄された物体は、勝利のオブジェとしてサイドボードに飾られていく。このコレクションの近接ショットも惚れ惚れするくらいのアーティスティックな映像で、この辺のシーンだけでも見る価値がある。
ハンターが夫に対してhappyではなくluckyと答えたことに異食症の原因が詰まっていると思う。後に明かされるハンターの両親との関係は、心の奥底に澱としてずっとへばりついていたのは間違いないが、直接的な原因ではない。
もがき苦しんだハンターは、驚きの行動で過去と現在を精算することになるが、とても共感ができ、見ている自分の心も解放されていくように感じた。
人によって自己表現は違うが、彼女にとっては異物を飲み込むことだっただけなのかもしれない…
2020年に公開された韓国映画で『82年生まれ、キム・ジヨン』という作品があったが、大まかには少し似ているところのある作品だった。
お金持ちの家系に嫁いで、家は広いし、プールもあって、不自由がない。主婦として、ただ家事をして夫の帰りを待つ毎日。
これは幸せなのだろうか…
生活環境としては、満たされているはずなのに心が満たされない。
あくまで夫の「妻」としてしか扱われていない事実が突き刺さる。
結婚前も何となく生きてきたが、抑圧された環境下では、より自分が何者であるかを知りたくなる。
暇な時間を利用して、結婚前に興味のあったデザイン系の「何か」をしたいと、絵を描いたり、インテリアを考えたり…ただ、漠然としていて、それが何かが変わるわけもないことは知っていながらも、かすかな自分の証を求めている。
夢を追いかけていた絶頂期に、仕事を捨てたということではなくて、結婚前も漠然とした日々を過ごしていて、自分には才能がないことも気づいていた。その平坦な日々の変化として結婚を選んだように思える。その時は、ハンター自身も結婚を望んでいて、何かに安心感を求めていたのかもしれない。
しかし、その安定感によって、抑圧されることで、才能がないと諦めていた「デザイン」という漠然とした何かをしたくなってくる。
個人的な観点から言うと、窓を3色にしてみたり、悪趣味な金屏風を配置しているところを見ると、才能はたしかにないと思われる。
才能があるか、ないかという問題ではなく、抑圧された環境下に不自由を感じる人間の本能、無い物ねだりということなのだ。
人間は、時間がないことで、あえて考えないようにしていることというのが多くある。その象徴として戦場に行った経験のある看護師?が登場し、「考える時間などなかった」というセリフが物語っているように、時間を与えられていまうと、考えてしまう。
自分の人生はこれで良いのだろうか…家族との関係性はこれでいいのか…とか、答えがあるようでないものを追求してしまう。時間が限られていて、考える余地も与えないというのも、余計なことを考えてしまう人間にとっては、それはそれで良いのかもしれない部分もある。
そんな時に妊娠したことで、彼女を子どもいう、更にその環境から離れられなくなる呪縛を背負うことになり、思わず涙を流す。そもそも離れるつもりはなかったのかもしれないけど、離れられないと知ること自体が抑制である。
このまま、自分は家の一部として生きるしかないのか…また有り余る時間の中で考えてしまう。
そこでハンターが自分が生きているという証や達成感、幸福感、偽りかもしれないけど、それらを感じられる手段を見つけてしまう。それが「Swallow」(飲み込む)ということだったのだ。
異物を飲み込むことで達成感や幸福感、生きていることを再確認できる。
何で達成感や幸福感を味わうかなんて、人それぞれであり、劇中でもハグによって安心感を得ようとする男性が登場するように、ハンターはたまたま異物を飲み込むことだったかもしれないし、思考や行為としては、ハグの男性と何も変わりないのかもしれないが、人体に危険が及び、周りからは異常に感じられるものであれば、バックボーン、家族関係や出生のルーツまでを辿り、それを異常な行動と関連づけてしまう。実はそんなことは後付けであって、関係はないのかもしれない。
自分の唯一の「生きている証」を抑圧され、自由を奪われた人間がその場から逃げ出そうということは、不自然なことではない。人が人をどう見ているか、社会的概念の中での人間のあり方、女性のあり方、母になる者のあり方など、この世界のあらゆる規制や概念が一気に押し寄せてく。
ジャンルとしては、サスペンスやスリラーではあるのだが、異物を飲み込んだ後にウキウキしている様子など、コミカルに感じられるシーンもあったりする。
エスカレートしていくことで精神的も身体的にも崩壊していく、恐怖と緊張感。また、それもひっくるめての快感という、ど変態領域に足を踏み入れいるという観方もできるなど、様々なメッセージ性を感じる作品である。
観ている私たちも、肉付けして、色々考えてしまうが、単純に変わった癖のある女性を描いているだけなのかもしれない。
実は私たちの思考構造自体を利用されていて、それこそが今作の目的であるようにも感じられる。
監督のカーロ・ミラベラ=デイヴィスは、自身の祖母が強迫性障害により手洗いを繰り返すようになったというエピソードから今作を思い立ったとあるが、これはその祖母自体をベースとしているのではなく、監督や周りの目線から作り出したイメージというものを俯瞰としてみせているのではないだろうか。
この手の作品でパンフレットがないというのは、どうなっているのだろうか。ソフト化の際のコメンタリーやメイキングに期待するしかないが、パンフレットのあり方って何だろうか。ネット社会の現代で、ただネットにあるようなスチール写真を並べているだけの価値もないパンフレットが溢れている中で、最も必要とされるような作品のパンフレットが存在していないというのは残念でならない。
飲み込むことは重要ではない。
理解するうえで、過去に見た作品の何に似ているかを考える。
ババドック+RAWかな?
現実世界では異食症は結構あることだし、子どもは猫みたいに髪の毛食べるし、動物だって土食べるし。救急外来では、膀胱から釘や安全ピンででくるし(男でも)、現実の方がビックリです。
あと、電池は飲まない方がイイですよ。液漏れ問題より、電流が流れて火傷になって、消化管に穴が空いて、緊急手術になりますよ。
最も衝撃的だったのが、アメリカの女子トイレで手を洗ってもハンカチで拭く人が一人もいなかったこと。一人だけドライヤー使ってたけど、みんな髪の毛で拭いているではないですか。日本の皆さんもそうですか?私は幼稚園の時からハンカチ忘れると家まで取りに帰っていましたよ。(一度濡れたハンカチの衛生状態は抜きとして)
この手のモノとしては、家族は結構優しい方ではないですか。お金に糸目は付けないし。ご主人との馴れ初めが知りたいです。販売の仕事と言ってましたが。
なので、そんなにひどくない家族とどう落とし前をつけるかですが、最後にホルガ村にでも逃げるのかなと心配してました。でも、あの人いい人でよかったじゃないですか。
なので、結構優しめの世界に住んでいるので、ホラーでもサスペンスでもないし、コーエン兄弟見ないな実はコメディーでもなく、どっち付かずな印象があり、マイナスーにしました。
映像はとにかく綺麗で、汚いもは何もなく、みんないい服着てます。
メッセージがある映画
いいですね、こーゆー映画は大好き。
写真のように、切り取ったらすごく綺麗なシーンが多々あり、またそれが叶わないから目に焼き付けようと必死で観る自分が居る。
主役のハンター演じる=ヘイリー・べネットは、綺麗なのか?(横顔は素晴らしく美しい)はたまた平凡なのか?(失礼ながら…パーツは大したことないと思う)
しかし…瞳の色がもう、吸い込まれる様に美しい。…バリー・コーガンの女性版みたい。
実は出生に問題があり、幸せな家庭に育ったふりをしてきた主人公、ハンター。
裕福な夫とその両親…どこかで認められていない、小馬鹿にされた扱いにストレスを感じて、自己啓発本の『思いがけないことにチャレンジしよう!』という言葉に感化され、異物(消化できないモノ)を飲み込む様になります。
妊娠中のエコー検査でそれがバレて、大騒ぎになるのですが、精神科医に通わせたり手を尽くしている感はあるのだけど、なんだかなぁ~根本的な解決はされないんです。うわべだけって感じでね。
それで、ハンターは(もしかしたら)最も大切なモノを始末するのですが、その後は顔つきも変わり、素の自分に戻って自分の人生を取り戻すのだろう、たぶん。
最後の女性トイレの手荒い場のシーンが印象的で…ハンカチって日本の文化なの?誰も持っていなくて、大体、髪を触って水分拭ってます、笑える…悪もたまにやりますけど。
サスペンス映画と思ったが
意味不明な行動を続ける妻。絶対何かの伏線でラストにどんでん返しがあるだろう、と思う前半。しかし後半になると、かなり深刻な精神的な病いらしい。そして見終わったら、1人の女性の成長物語でした。
女性の行動は男には理解出来ない。
そんな作品と感じました。
様々な視点
異食症がメインと思って鑑賞しましたが、それにまつわる様々な生きづらさを盛り込んだ作品でした。
主人公は成功している自分を演じるのに必死。
たぶん夫も自分の父親に相応しい息子を演じている。
(その為に自分よりも劣っている主人公を妻にする事で、安心感を得ていたのかも?)
考えてみると他の登場人物も様々な演技をしているように思える。
後に出てくる「私は自分が神だと思っていた」は、演じている人全員に向けた言葉なのかな?
妊娠すると異食症になりやすいと聞いたことがあります。
消しゴムとか砂壁が美味しそうに見えるらしい。
主人公は異食症をきっかけに、すべての重なり合うタイミングが絶妙だったのかも?
幸福を手にするために自分を少しだけ偽り続け、それが大きな歪みとなってしまう時。
本当に支えてくれる人は何人いるのかな?
支えられる人に私はなれるかな?
主役の女優さんの演技が凄い。
特にセリフのない演技は、いろいろな気持ちが伝わってきて素晴らしかったです。
イタ女の話か?
全く共感、感情移入出来ない。夫のモラハラが嫌なのか?前半は富裕層に嫁いだ女の悩んやだ挙げ句の特異な癖が出てと理解できるが後半全く意味がわからない。お前何が不満なの?後半父親に会いに行ってマウント取ったのにラストは何?キチガイ女でしたって事。こんなの誰が評価するんだよ。
家政夫の言ってた事が一番だよ。戦争があったら悩んでる暇ない。これに尽きる。
人間は自分の身の丈にあった暮らししか求めたらだめなのか?シンデレラガールはこの世にはいてはだめなのか?
人間をナメきった作品。この作品評価してる評論家頭悪すぎる。ちゃんと考えてほしい。
色使いが素晴らしい映画
しばらく頭から離れない😆
想像していた内容と「良い」意味で違っていました。
本作、まずチラシからもわかる通り、色使いがとてもきれいです。
前半はおしゃれなパステルカラーで統一されているのですが、要所要所で差し色として"原色"が入り込むことにより緊張を生み出していきます。
ただ後半に向けて、徐々に自然な色の使い方になっていくことで、地に足のついた展開に発展していきます。色の使い方でストーリーに変化をつけていく手法は中々です。
そして総指揮 兼 主役の”ヘイリー・ベネット”さん。この方は、”目”と”口”の演技が独特です。前半は、異物を飲み込む時の”恍惚”とした感じと、結婚生活を取り巻く日常の”虚無感”を同居させますが、時折”琴線”に触れる出来事のながら前作に演じ分けます。現実味の無い、何かフワフワした感じです。しかし後半はストーリーの展開に合わせて、、、。
更にタイトルと通り「異物」を飲み込む(swallow)シーンは「次、それ?噓でしょ!?」と目を背けたくなるシーンが何度かありました。しかしSwallowシーンは、それほどグロ過ぎることはありません、、、、たぶん。
そしてラストに向けた展開は感動です。
本作、上映館少ないみたいですし、自粛生活の事もありますが、タイミングが合えば是非映画館で目を背けながら鑑賞されてください。
羊の皮を被った何とか・・・
10歳は若く見えるほどの晴れ晴れとした顔と、次第に病んでいく疲れて引きつった顔の落差というか演じ分けが凄いと思った。
無機質なら部屋、昼間の生活から孤独感と距離感も伝わってくる。
絵作りとか人の芝居も良いのだが・・・
冒頭の羊の演技からちゃんとその運命が伝わってくるのが、ほんとに凄いと思った。
【女性の生きづらさ】
異食症をモチーフにしながら、欧米でも未だに生きづらさを抱え、自分が何者かを求めてしまう女性や、それを取り巻く家庭や社会をテーマにしているのだと思う。
日本でも女性の地位向上が叫ばれながら、なかなか変化出来ないところは似たようなものではないのかと思う。
(以下、ネタバレ含みます)
↓
↓
仮にレイプ犯の子供でも堕胎を許さないキリスト教の因習、
女性にとっては、子供を作る事が最も重要な使命のようになっている家族、
現代的な夫婦の関係を上部だけで取り繕い、実は封建的で、会話などない夫、
マニュアル通りに物事を進めようとする夫の両親。
唯一、寄り添ってくれるのは、シリア難民のルアイだが、シリアでは弾丸から逃れるので精一杯で、他に余計なことは考えられなかったという彼の言葉は重い。
ハンターは、自分の出自故に、実の母親は打ち解けてくれない。
キリスト教の教えに従って堕胎はしなくても、所詮、扱いはレイプ犯の子供なのだ。
この矛盾は、この社会の矛盾として象徴的に使われているのだ。
そして、レイプ犯であるにも関わらず、ハンターの父を求める姿も切ない。
そして、赦し。
エンディングの多目的トイレの赤い血はなんだろうか。
異食症故のものだろうか、それとも身籠った子供がどうにかなったのだろうか。
愛する人の子供でないことは、レイプ犯の子どもと同じだと示唆しているのだろうか。
一部のあらすじ紹介に、スリラーという表現があったが、これはスリラーではないと思う。
撮影が良い、ラストが良い
観ている間中ずっと、ヘイリー・ベネットが良いなぁ、と、そんなんムリムリ止めて〜、を往き来する映画だった。そしてそんなシーンでもずっと映像が美しい…
おそらく撮影が良いのかな、と…
ストーリーは予告編から想像する流れに沿ってゆくんだけど、ラストが良いですね。エンドロールも含め。
ヘイリー・ベネットがプロデュースもしているみたいで、なるほどな、とも。
お正月向きではないもしれませんが…
異物…それもかなり危険な物を呑み込み
快楽と痛みを得る事で夫の家族からの重圧を埋めている主人公ハンター
「なんてこったぁ」と観ている側の私まで喉の奥辺りがゴロゴロと…心までズキズキと痛くなりました
丁度、食事時間帯だったからかポップコーン片手の方が多かったのですが皆さん手が止まっておりましたね…無理もないか💦
ヘーリー・ベネットの素晴らしき痛哀な怪演にはいつしか前のめりになってしまいましたし
セレブ的なフィッションにメイクが更に哀しさを深めました
そして予想外の衝撃的な結末に前のめり体勢から後ろに反り返り、しばし固まりましたわ💦
監督自身の祖母の実話がヒントと聞き
驚きが倍増!!
新年早々、衝撃の異作品スリラーに変なアドレナリンが湧き出ました〜
こんな女性の自立の描き方もある
裕福な生活をしている専業主婦のハンターが、異物を飲み込んでしまう病にかかってしまう話。
大きな家に住み、夫は父の経営する会社で史上最年少で役員に昇格、そして第一子を妊娠という表面的には幸せこの上ない環境だが、そうではないというシーンをうまく挟み込んでくる。とっても微妙な違和感を覚える程度のエピソード。でもそんな小さな積み重ねが人を追い込むということだ。
異物を飲み込むハンターは苦しそうで痛々しいのにとてもワクワクしていた。何者でもない自分が何かをやり遂げた達成感みたいなものに満たされていたからかもしれない。それらはハンターの出生に関わるトラウマだったことが明らかになるのはなかなかスリリング。
中絶しなかった母親とは違う道を歩み、母親をレイプした実父に存在を認められ、初めてハンターは自立できたということか。トイレで見せた晴れ晴れした表情は、中絶した直後なので若干後味は悪いが、前向きな結末だった。
異食症
セレブ一族に玉の輿で嫁入りしてきたヒロインが妊娠を機に異食症を発症、ガラス玉や安全ピンをはじめとして本のページや土に至るまで手当たり次第に飲み込もうとする彼女と阻止しようとする家族の対立を描く異色のスリラー作品。最初は大便と一緒に排出され事なきを得ていたが、最後は開腹手術が必要になるほど大きな釘を飲み込んでいた。原因は妊娠によるストレスかセレブ一族からの見えないプレッシャーかと思っていたがそうではなかった。
原因はヒロインの出自だった。
母親がレイプされ、その結果生まれてきたのがヒロインであった。堕胎しなかったのは宗教上の理由らしい。長年ヒロインはこの事実を胸に秘めていたのだが、精神分析医に喋ってしまう。
自分は誰からも祝福されていないのではないか、そんな不安を抱えていたに違いない。この深層心理と異食症の因果関係は本編中では断定されていなかったが、まず間違いないと思う。
ラストシーンは子どもを堕胎したと判断していいのだろうか。日本では薬で堕胎できるとは聞いたことがないが海外では、そういった薬が承認されており、その様な中絶方法が主流らしい。
スワロウ
面白かった〜!!
ヘイリー・ベネットが哀しくて可愛かった。
最初にスワロウした時の音がとても良かった♪
お目付け役の彼もステキでした♪
髪型や髪色も、彼女の心とともに変化していたのかな。
そしてスワロウした後が衝撃でした。。。
秘密を持つことで人は自分を保つ
美しい哀しい映画です。誰もが羨む生活の中で何もしないただ美しい妻としていることだけを求められているハンターの冒頭の「間違いたくない」というセリフに現れる強迫観念が、彼女の出生それ自体が過ちから起こっているという構図がとても考え深いものでした。
義母から貰った本で何かに挑戦しよう、と書かれているのを見て、愛しているはずの男の子供がいる体に異物を入れ続ける背徳的な行為に走り、しかしそれが彼女の自信と自我を保つ秘密になっていく様はホラーと言うよりもただ静謐なドラマで忘れ難い映画でした。違和感が生む慢性的な心の痛みに比べれば異物を飲み込む瞬間の痛みも彼女にとっては自信を生む秘密の儀式の一部として大事なものだったと思います。
個人的には途中でてくる夫の同僚が彼女にハグを求める描写は大事なシーンだったと感じました。初めは自分はリッチーの妻だと言って拒むハンターですが、彼が「孤独なんだ」というと受け入れます。自分と重ねた部分があるのでしょう。しかし別の日に同じ男は別の女にも全く同様に声をかけています。彼は孤独かもしれないが、それは手近なもので慰めることができ、本当の意味で1人ではない。その部分はハンターとの対比の気がします。だから彼女は秘密が明るみに出た時も大騒ぎしないで、大事にしないで、と繰り返したのでしょう。自分だけの秘密の儀式が自分を保つ。この真実に心当たりがある人もきっと多いと思います。
よいこは真似しちゃ駄目ですよ
幼顔の主人公ハンターは豪奢なお屋敷に住む若奥様。シルクのパジャマが羨ましい。会社経営者の御曹司と結婚。その家族は彼女自身への関心はほとんどない。身分違いの結婚の落とし穴に嵌まってしまった。始終下に見られるストレスで、妊娠初期から異食症を発症してしまいます。きっかけは姑から渡された一冊の妊娠中の生活読本。これに書いてあった「思ってもみなかったようなことをはじめてみましょう」に目が行ってしまった。
最初はガラスのビー玉。これは下からすんなり出ます。洋式トイレをゴム手袋して回収。洗って、アクセサリー置き場に戻します。次は壁ピン📌。これは肛門を傷つけ、トイレに鮮血が。折悪く、旦那が会社の同僚たちを連れてご帰宅。スカートについた一滴の血痕を洗っていると、ほろ酔いの社員ひとりが近づいて来て、「僕を抱きしめてください」という。「私は人妻なのよ」「キスするほどは酔っていないけど、バグしたいぐらいは酔っている。寂しいんだ。」彼女はこれを受け入れる。ふたりは抱擁をかわす。疎外されて、寂しい彼女。次第にエスカレートして、金属製のクリップや単3電池などを飲み込み、妊婦検診の超音波検査の際に見つかってしまう。内視鏡で取り出され、事なきを得るが、精神科医を紹介されることに。しかし、その一方で若旦那は家でパーティーを催し、社員などに彼女の異食症を話してしまう。シリア人の男性介護師もお目付け役に雇われる。逃げ場のない彼女がベッドの下に隠れているのを見つけて、砲弾が飛び交う戦場では些細なことに気を病むゆとりさえないと諭しながら添い寝している間に彼は寝てしまい、彼女はその間にマイクロドライバーを飲み込んでしまう。異物は外科的に頚部を切開して取り出される。とうとう一家の最終決定は精神病院に入れて分娩まで管理するしかないということに至る。そこで、彼は彼女を裏口から逃がす。ヒッチハイクをしながら、実家の母親に電話。自分の居場所がないことを思い知った彼女は自分の母親をレイプで孕ませた男の家へ。母親の名前を聞き、彼女の存在を悟った男。言い訳の内容は、当時は全能感に支配されていて、自分のすることに罪悪感が全くなかったという子供じみたもの。刑務所での服役中に暴行を受け、人工肛門になってしまったと告白。彼女は黙ってその場を立ち去った。堕胎薬を処方してもらい、ショッピングモールのトイレで流産する。何もなかったかのようにトイレを立ち去る。
時間の経過からすると、そんな堕胎は無理な週数でしたが、目をつむりました。
そのあと、エンドロールの背景にはトイレを出入りするたくさんの若い女性たちの映像と女性を応援する歌詞の曲が流れて映画は終わる。
お前を拾ってやったんだから、もっと恩を感じろと言った御曹司のセリフがむなしい。
若いんだからいくらでもやり直しはきくと応援する映画なのかなと。そうでもなければ、希望の光がありません。
元旦からかわいそうな女性の映画を見てしまいました。バルト9のシアター8はかなりの入りでした。新宿駅はガラガラなのに。
この硬質な神秘感に牽かれて鑑賞
この硬質な神秘感に牽かれて鑑賞
上映後 3分で居心地の悪さを感じ
10分後に席を立とうか、、と考える
この監督は 観客の想像力や判断力など相手にしていないのだと気付く
それでも 他者の高評価がある 何か良い事あるのだろう、、
女優は 聖母でも娼婦でも演じられなければイケナイという
しかし、こんな脚本を見事に演じても何なんだと感じた。
あなたが1600円 どぶに捨てて、映画館を惨めな気持ちで出たいなら、この映画は見るに値するだろう
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