劇場公開日 2021年1月1日

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「happyではなくluckyの意味するもの」Swallow スワロウ bionさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5happyではなくluckyの意味するもの

2021年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 瀟洒な家で新婚生活が始まった主人公のハンター。夫は、夫の父親が経営する会社の役員をしていて、ハンターは絵に描いたようなリッチな生活環境を享受しているように見える。だが、ストーリーが進んでいくと、不穏な空気が流れ出す。どうやら、ハンターはどちらかと言うと貧しい家庭の出身らしく、そのことが原因で義父母から高圧的な物言をされる。

 やがてハンターは、ビー玉をはじめとして危険な物まで次々と飲み込む異食症の行動を取り出すのだが、飲み込むときの映像がやたらと美しい。飲み込んだ後、体外に無事排泄された物体は、勝利のオブジェとしてサイドボードに飾られていく。このコレクションの近接ショットも惚れ惚れするくらいのアーティスティックな映像で、この辺のシーンだけでも見る価値がある。

 ハンターが夫に対してhappyではなくluckyと答えたことに異食症の原因が詰まっていると思う。後に明かされるハンターの両親との関係は、心の奥底に澱としてずっとへばりついていたのは間違いないが、直接的な原因ではない。

 もがき苦しんだハンターは、驚きの行動で過去と現在を精算することになるが、とても共感ができ、見ている自分の心も解放されていくように感じた。

bion
talismanさんのコメント
2021年1月12日

bionさん、私も同じです!自分の金で、いいホテルに読みたかった本を持ち込んで一人で泊まるの大好きです。今はちょっとできないのが残念です。happyは一人でもじんわり味わえるけど、luckyは馬券に当たったとか射倖系でしょうか?でなければ、順調と人から見られたときに謙遜で使う言葉ですよね。「運が良かっただけなんです」ハンターは言わされていて可哀相だった。

talisman
talismanさんのコメント
2021年1月11日

ハンターがいつも"lucky"と言っていた(言わせられていた)ことに全ての原因!bionさんのご指摘に納得です。"happy"も1回位は言ってましたが、字幕では同じ扱いだった気がします。

talisman