Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
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ジャンル映画として敬遠して欲しくない、万人に勧めたい傑作
異物を飲み込んでしまう女性のサイコスリラー的ジャンル映画として敬遠して欲しくはない、万人に勧めたい女性の生きづらさと社会の歪みを描いた真摯な作品。
ヘイリー・ベネットの演技力と美しさが際立っていて、それだけでも見る価値がある。
加えて、映像と画角も非常に美しい。それがかえって作り物のような冷たさを感じさせ、広々とした洗練した家の中にポツンと残された彼女の姿が、世の中から遮断された圧倒的に孤独な存在に見えるのだ。
更に凄いのが、彼女が飲み込む“異物”たちが神々しくすら見え、本来の食べ物がそれはそれは不味く見える演出だ。ビー玉はもちろん、より鋭く毒々しいものにエスカレートしていくのだが、彼女が憑りつかれたように飲み込む物たちが、美味しそうとまでは思わないが魅惑的に映り、家族ではあるが心が通わない他者と口にする食べ物は、なんとも気持ちが悪く見えてくる…。
そんな中で、自国から逃げてきたシリア難民の使用人、唯一の理解者となる彼とは、何かを一緒に口にすることは無かった。その代わり、彼女と対等に会話が成り立つ相手として描かれていた。表情こそ硬いが、命に関わる逃避を経験した彼だけが、彼女とはまた違う形ではあるが「生」と向き合ってきた人間であり、自分自身と自分のお腹の中にある「生」に苦しむ彼女に寄り添うことができるのだ。
彼女には友達と呼べる人がいなかった。そして親族についての話題も出てこなかった。それは何故かということが中盤以降に明かされるのだが、その事実はあまりにも衝撃的で。彼女自身が自分の出自に強い後ろめたさを持ち、人生をリセットするための結婚だったからこそ「私は失敗したくない」という言葉が重たく響く…。
そのような自分の出生と向き合うための実父との対峙シーンは、まさに異物が喉を通り胃に落ちていくような苦しさが、見ている側にも生じた。と同時に、やっと彼女が自分自身を“飲み込む“・・・、つまり受け入れ、赦すことができたのだと思うと、自然と涙がこぼれた。最後の公衆トイレのシーンで、彼女が放ったものを見届けた時は、痛々しくもありながら、文字通り溜飲が下がった瞬間だった。
そこから繋がるエンドロール…
冒頭に書いた「作り物」のような感覚を持って見ていたことが、映画のスクリーンを超えて、今この世界で、どこにでも起こっていることなのだと、多くの女性が苦しみ戦っているのだと、フィクションがリアリティへと転換し、突き刺さってくる鋭いエンディングだった。
《異食症》とゆう病を初めて知った。
ビー玉や画鋲などを飲み込んで孤独感やストレスから解放され排出してはコレクションにするって、映像で見るとなかなかなインパクト💦
彼女は物を飲み込んでいるけど、実は過去や現実での目を背けたい何かを飲み込んでいるんじゃないかな。
さらに、予想外の展開にさらにドキドキ。結末はあれが正解かはわからないけど、彼女が少しでも救われますように…。
エンドロールは初めて見たパターンで、なんか不思議だった。
アブノーマルと思いきや…
人間として、尊厳を取り戻すための道程の映画だった。モラハラ夫や、距離のある実家。孤独で自己評価の低い主人公。異食症から、様々な人に関わる中で傷つくことばかり続くが、主人公以上に傷ついている人に助けられ、最大の問題に真正面から向き合ったヒロインは態度も表情も違う。
ただ、こんなきれいに終わっていいのかな???とも。
それに、音楽は不安な気持ちを煽り過ぎかも。
それにしても、美しい映像である。生活感のない豪邸。家の中でもドレス姿。商業的なものがいっさいないインテリア。病院ですら、現代の空気をまとわない。
さらに人物造形も、説明しすぎず伝わる演出と演技。
その分、最後のシークエンス、ショッピングモールのポテトやカジュアルな女性たちの手洗い姿で、急に現実が戻ってくる感じがいい。
題材は面白いけど伏線が弱すぎて感情移入できない
感想を簡潔に書くと、「異食症という題材は面白い。でも伏線が弱いな、分かりにくいな」です。
この作品、大事なことがあまり描かれていないんですよね。もしくは薄い。例えばハンターとリッチーの馴れ初めは一切描かれていません。
何でハンターはリッチーのようなお金持ちと結婚することができたのか。ハンターは何故リッチーと結婚したのか。これを描いておかないと、観客はついていけないんですよね。感情移入ができない。ハンターが孤独なのは分かるし同情もするけど、それが異食症に繋がるという展開が理解できません。置いてけぼりにされてしまいます。母親のレイプの件が話されてようやく彼女が異食症になってしまうほど大きな傷を持っていたのだと理解できますが、遅すぎます。
一応、異食症の伏線はあります。リッチーの両親と会食をしているとき、ハンターが話し始めたばかりなのに義父が遮って別の話をし始めます。その時、ハンターはストレスを感じ、氷をガリガリと食べます。しかしハンターがビー玉を飲み込んだ時、「あぁ、さっき氷食べてたもんな。あの時から異食症は始まってたんだ」と気づく人はあまりいないんじゃないかなと思います。
また、最後はハンターが自らの意思で中絶薬を飲むのですが、それが夫への反抗であると同時に、「たとえレイプで誕生した命でも中絶をしてはならない」というハンターの母への反抗であり、母の倫理観や宗教観への反抗でもあると気づき、すなわちそれはハンターが自分の意志で行動した=母や社会から自由を勝ち取ったということを示していて、だから彼女はカタルシスを得たのだと気づく人は少ないんじゃないでしょうか。
ハンターにとっては天地がひっくり返るようなとてつもなく大きな決断と行動をしているんですよね。生まれる前からそういう倫理観や宗教観に囲まれて育ったのですから。でも前振りが弱すぎます。
や、もしかしたら欧米の人には説明しなくても異食症のことなんて誰でも知ってるし、宗教の話をちょろっとしとけばハンターの生い立ちまで想像がつくのかもしれないですけどね。ちなみにこの作品の紹介に「スリラー」と書いた人はこの映画の内容を1ミリも理解できていないと思います。
リアルガッちゃんスリラー
具体的なシーンについて感想
・異物スワロウシーンについて
まずは氷!
異物じゃないんだけど馴染めてない食事の中で見つけてしまった逃げ道と満足感。
氷アップも手掴みでいっちゃうところもいきなり「これはやばくなる」と思わせられた。
次にビー玉・画鋲・・・
予告の時点から
想像できる気になるところ「痛みやその後」を
ゆーっくり丁寧に見せてくる。
テーブルの置き方や画鋲の向き、手の震えひとつひとつに
目が離せなくった。
お菓子爆食でストレス発散シーンがあってからの
モーテルでの砂爆食!
まさに、砂っく。笑
・お土産要求シーン
カウンセラーとの電話で夫に生い立ちを知られてしまったあと
家を空けるにも妻を気遣う夫が問う土産に「ブレスレット」と答えたハンターだったが
あのショックの受けっぷり。買ってきたブレスレットもこっそり飲み込んだのだろうか。
てか、なんで、スピーカーにしてんだよっ!
・お手伝いルアイの行動がイケメン
ベットの下でハンターの気が済むまで寄り添い側にいてあげるなんて(いびきかいて寝ちゃってたけど笑)。
あの逃がす行為から、ハンターの辛さを一番理解していたのは彼だったのでは。
主演ヘイリーベネットの演技に何度息をスワロウしたか。
まさか、本当に飲み込んで演技しているんじゃないだろうかと思ってしまう
迫真の演技だったと思う。
震えながら異物を飲み込み続けるハンターを見ている時、
夫やその家族・周囲の人・カウンセラーの立場に自分がなったとしたら、
どうすることで辞めさせることが出来るのかを考えながら見てしまった。
まぁ、最低でも、妊娠祝いの食事会でのハンターの話を最後まで聞いてあげるべき。
結局、近所の変なおじさん話のオチは何だったんだろう。笑
終盤の実の父親に詰め寄るシーンからエンディングでまさかの感動。
きっと、ハンターの人生にとっての異物が
生い立ちや親族内でのハンターの立ち位置、今の生活でのフラストレーション、抱えきれない想いなのかな。
そして、今まで手にとっていた異物が薬に代わり中絶という手段で立ち直るという表現。
その選択が正しいのかどうかは置いといて
トイレでのビー玉回収でのシーンにも繋がっているようにも感じて
インパクト抜群で面白い映画だった。
手洗い場でのエンディングも含め最高!
孤独と妊娠。
見せかけのみ優しい顔をする夫と
夫の家族の半端ないストレスにより
ビー玉 や 画ビョウ 等を飲み込む事で
ストレス発散する女性の話。
孤独と妊娠が更に追い討ちをかけ堕ちる所まで堕ちでゆく。
部屋もガラスばりなんです。まるでペットです。
そして、主人公の友達が1人も出てこない。
孤独の象徴です。
でも、ラストのエンドロールのあの場は
女性しかいませんからね。
細かいディテールが素晴らしい。
女性の強さと弱さを異食症で描き
痛覚に響く作品です。
『RAW 少女のめざめ』に通じる痛ましさと切り立った孤独が印象的、逆に男性にとってものすごく痛い作品
ニューヨーク郊外、河岸の小高い丘に建つ邸宅に暮らす主婦ハンター。父親が経営する企業の常務である夫のリッチーのもとで何不自由ない生活を送っているはずの彼女だったが、その見た目の華やかさとは裏腹に孤独感に苛まれていた。ある日堪えがたい衝動に駆られてビー玉を飲み込んだハンターはその苦しみと引き換えに得たものに惹かれ、次から次へと異物を飲み込むようになっていくが・・・。
ふとしたきっかけで始まりエスカレートしていく奇行は『RAW 少女のめざめ』に通じる痛ましさに満ちていますが、本作で露わになるのは切り立った孤独。物語が進むにつれておかしいのはハンターの周囲にいる人達の方であることが少しずつ明らかになっていき、歪んだ世界と均衡を保つための手段が異食であることが解ると一気に物語に取り込まれてしまいます。周囲の誰にも理解されないハンターが意外な協力者の力に助けられ全く想定外の手段で自分の中に燻っていたものと折り合いをつけるクライマックスは爽快感とは無縁ですがずっしりと思い余韻を残します。
徹頭徹尾美しい映像は恐らくフィルム撮影によるもの。ざらついた冷たい質感がハンターの孤独感を端的に表現しています。『マグニフィセント・セブン』では勇敢に戦うヒロインを演じ、『ガール・オン・ザ・トレイン』や『ハードコア』ではミステリアスな女性像を体現したヘイリー・ベネットが本作で見せる繊細さとタフさは実に美しい。製作総指揮も兼任する彼女が本作で表現したかったことに多くの女性が深い共感を覚えると思いますし、同時に男性には痛烈に突き刺さる作品になっています。冒頭に出てくる子羊のステーキが出来るまでの一部始終を眺める映像に予め本作のテーマを滲ませている点も鮮烈でした。
私にも心当たりが…
最近、若草物語や燃ゆる女の肖像等、女性の尊厳を訴える映画をよく目にするようになった。本作はそのメッセージをどの作品よりも強く感じた。
その要因は物語のエンディングとそれに続くエンドロールにある。私はあの画を見ながら社会が女性をどう位置付けてきたのかをぼんやりと考えていた。慰安婦のような歴史的問題からセクハラのような身近な問題。政治やビジネスにおいても女性が弱い立場にあるのは客観的事実であり、その空気も容易に想像できる。
…こうやって書いていると自分はあたかも女性尊厳について理解があるのだと錯覚してしまうが、実態はどうだろう?正直、相手の事を考えない自分本位な(=男性本位な)恋愛やセックスをした心当たりはある。当時は自覚がなかったが、本作を見た後だと自分を疑ってしまう。劇中のリッチーも典型的な気付いてない人であるが、彼の場合環境がその拍車を掛けていて気の毒でもある。私は今一度女性との接し方を見直したいと思ったし、当たり前とされている価値観を疑いながら自分の感じることに忠実でありたいと思った。
本作はメッセージ性はさることながら演出面も非常に秀逸であった。物語の展開はサスペンスでありながらわかりやすく、結末の清々しさは予想していなかった。画面構築もハンターの情緒を映し出す鮮やかな色彩や意味深なカメラワーク等、全体を通して製作者の意図を汲み取りやすかった。
怒りと愛
(めちゃくちゃな文章、映画を見て思ったことなどの覚え書きです、支離滅裂)
静かな他者への怒りと、穏やかな自己への愛が詰め込まれていた。彼女は今までいくつの「自己」を飲み込んできたんだろう。配役もベストオブベスト。どこか世間離れした美貌が、彼女の無垢な少女らしさを際立たせていた。
過去も隠して、自己も隠して、何にもなれないのに、少女は母になる。ならざるを得なくなる。出生の話はやはり彼女の核になる部分だったと思う。望まれる生だったと言う認識はなかったと思う。
何もかも納得できない不条理な世の中。今回はたまたま彼女の異物を飲み込むと言う昇華方法にスポットライトが当たったけど、世間ではさまざまな方法でストレスは解消されてるよな。
ラストの、異常な癖を持つ彼女が女性たちのたった1人に過ぎない、という演出が忘れられない。私が今日、トイレですれ違ったあの女性も何かを抱えて、あるいは飲み込んで生きているんだろう。
そして私も、飲み込んで、生きて行くんだろうなぁ。
家父長制の恐怖
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金持ちの家に嫁いで何不自由なく幸せに暮らしてそうに見えるが夫や夫の家族に蔑ろにされている孤独な妻が、異物を飲み込むことで満足感を満たしていく話。
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おそらく「異物を飲み込む女性」というのは、抑圧され声を上げることができない女性たちのこと。だから、主人公が抑圧されればされるほどより危険で大きなものを飲み込んでいく。
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主人公は飲み込んでその後、出てきたものをコレクションとして並べていて、その中に天使の置物みたいなやつ置いてあってどう考えても飲み込めないし、腸通らないし、出せない形であれが気になった(笑).
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割と『透明人間』と雰囲気が似てるところもあって、女性にとって有害な男らしさや家父長制がいかに恐怖で精神に重くのしかかるのかがよく分かる。
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私の父親もたまに怒ると、誰が稼いでると思ってるんだって言う人だったので、それ言われると何も言い返せないんだよね普通に。今なら勉強してそれに言い返せる知識があるけど、当時は何も言えなかった自分を思い出すと主人公と重なった。
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私が一番腹立ったのは、主人公が整えたネクタイにシワができちゃってて、旦那さんが着ようとしてたコーディネートができなくてイラついてたシーンは、いやマジでお前が自分でやれよと思ったね(笑)次の日着たい服ぐらい自分で準備しとけ。
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最後主人公が女性トイレから出ていって終わるんだけど、エンドロール中、他の人が出入りするのをずっと映してる。トイレ=排泄する場所にたくさんの女性たちが映る様子は、女性たちが今まで飲み込んできた声なき声が聞こえてくるような感じがしてよかった。
女の自立譚。
女の自立譚。
奇行を凡庸な原因で解き明かす野暮で少し減点。
「クラッシュ」クローネンバーグの変態撮りっ放なしの不気味と爽快を想う。
ヘイリー・ベネットの美しくも野太い肉体で開巻から違和を撮り混ぜ置く妙。
エンドロールが良い。
つりあう人と結婚を、か。
支持。
happyではなくluckyの意味するもの
瀟洒な家で新婚生活が始まった主人公のハンター。夫は、夫の父親が経営する会社の役員をしていて、ハンターは絵に描いたようなリッチな生活環境を享受しているように見える。だが、ストーリーが進んでいくと、不穏な空気が流れ出す。どうやら、ハンターはどちらかと言うと貧しい家庭の出身らしく、そのことが原因で義父母から高圧的な物言をされる。
やがてハンターは、ビー玉をはじめとして危険な物まで次々と飲み込む異食症の行動を取り出すのだが、飲み込むときの映像がやたらと美しい。飲み込んだ後、体外に無事排泄された物体は、勝利のオブジェとしてサイドボードに飾られていく。このコレクションの近接ショットも惚れ惚れするくらいのアーティスティックな映像で、この辺のシーンだけでも見る価値がある。
ハンターが夫に対してhappyではなくluckyと答えたことに異食症の原因が詰まっていると思う。後に明かされるハンターの両親との関係は、心の奥底に澱としてずっとへばりついていたのは間違いないが、直接的な原因ではない。
もがき苦しんだハンターは、驚きの行動で過去と現在を精算することになるが、とても共感ができ、見ている自分の心も解放されていくように感じた。
人によって自己表現は違うが、彼女にとっては異物を飲み込むことだっただけなのかもしれない…
2020年に公開された韓国映画で『82年生まれ、キム・ジヨン』という作品があったが、大まかには少し似ているところのある作品だった。
お金持ちの家系に嫁いで、家は広いし、プールもあって、不自由がない。主婦として、ただ家事をして夫の帰りを待つ毎日。
これは幸せなのだろうか…
生活環境としては、満たされているはずなのに心が満たされない。
あくまで夫の「妻」としてしか扱われていない事実が突き刺さる。
結婚前も何となく生きてきたが、抑圧された環境下では、より自分が何者であるかを知りたくなる。
暇な時間を利用して、結婚前に興味のあったデザイン系の「何か」をしたいと、絵を描いたり、インテリアを考えたり…ただ、漠然としていて、それが何かが変わるわけもないことは知っていながらも、かすかな自分の証を求めている。
夢を追いかけていた絶頂期に、仕事を捨てたということではなくて、結婚前も漠然とした日々を過ごしていて、自分には才能がないことも気づいていた。その平坦な日々の変化として結婚を選んだように思える。その時は、ハンター自身も結婚を望んでいて、何かに安心感を求めていたのかもしれない。
しかし、その安定感によって、抑圧されることで、才能がないと諦めていた「デザイン」という漠然とした何かをしたくなってくる。
個人的な観点から言うと、窓を3色にしてみたり、悪趣味な金屏風を配置しているところを見ると、才能はたしかにないと思われる。
才能があるか、ないかという問題ではなく、抑圧された環境下に不自由を感じる人間の本能、無い物ねだりということなのだ。
人間は、時間がないことで、あえて考えないようにしていることというのが多くある。その象徴として戦場に行った経験のある看護師?が登場し、「考える時間などなかった」というセリフが物語っているように、時間を与えられていまうと、考えてしまう。
自分の人生はこれで良いのだろうか…家族との関係性はこれでいいのか…とか、答えがあるようでないものを追求してしまう。時間が限られていて、考える余地も与えないというのも、余計なことを考えてしまう人間にとっては、それはそれで良いのかもしれない部分もある。
そんな時に妊娠したことで、彼女を子どもいう、更にその環境から離れられなくなる呪縛を背負うことになり、思わず涙を流す。そもそも離れるつもりはなかったのかもしれないけど、離れられないと知ること自体が抑制である。
このまま、自分は家の一部として生きるしかないのか…また有り余る時間の中で考えてしまう。
そこでハンターが自分が生きているという証や達成感、幸福感、偽りかもしれないけど、それらを感じられる手段を見つけてしまう。それが「Swallow」(飲み込む)ということだったのだ。
異物を飲み込むことで達成感や幸福感、生きていることを再確認できる。
何で達成感や幸福感を味わうかなんて、人それぞれであり、劇中でもハグによって安心感を得ようとする男性が登場するように、ハンターはたまたま異物を飲み込むことだったかもしれないし、思考や行為としては、ハグの男性と何も変わりないのかもしれないが、人体に危険が及び、周りからは異常に感じられるものであれば、バックボーン、家族関係や出生のルーツまでを辿り、それを異常な行動と関連づけてしまう。実はそんなことは後付けであって、関係はないのかもしれない。
自分の唯一の「生きている証」を抑圧され、自由を奪われた人間がその場から逃げ出そうということは、不自然なことではない。人が人をどう見ているか、社会的概念の中での人間のあり方、女性のあり方、母になる者のあり方など、この世界のあらゆる規制や概念が一気に押し寄せてく。
ジャンルとしては、サスペンスやスリラーではあるのだが、異物を飲み込んだ後にウキウキしている様子など、コミカルに感じられるシーンもあったりする。
エスカレートしていくことで精神的も身体的にも崩壊していく、恐怖と緊張感。また、それもひっくるめての快感という、ど変態領域に足を踏み入れいるという観方もできるなど、様々なメッセージ性を感じる作品である。
観ている私たちも、肉付けして、色々考えてしまうが、単純に変わった癖のある女性を描いているだけなのかもしれない。
実は私たちの思考構造自体を利用されていて、それこそが今作の目的であるようにも感じられる。
監督のカーロ・ミラベラ=デイヴィスは、自身の祖母が強迫性障害により手洗いを繰り返すようになったというエピソードから今作を思い立ったとあるが、これはその祖母自体をベースとしているのではなく、監督や周りの目線から作り出したイメージというものを俯瞰としてみせているのではないだろうか。
この手の作品でパンフレットがないというのは、どうなっているのだろうか。ソフト化の際のコメンタリーやメイキングに期待するしかないが、パンフレットのあり方って何だろうか。ネット社会の現代で、ただネットにあるようなスチール写真を並べているだけの価値もないパンフレットが溢れている中で、最も必要とされるような作品のパンフレットが存在していないというのは残念でならない。
飲み込むことは重要ではない。
理解するうえで、過去に見た作品の何に似ているかを考える。
ババドック+RAWかな?
現実世界では異食症は結構あることだし、子どもは猫みたいに髪の毛食べるし、動物だって土食べるし。救急外来では、膀胱から釘や安全ピンででくるし(男でも)、現実の方がビックリです。
あと、電池は飲まない方がイイですよ。液漏れ問題より、電流が流れて火傷になって、消化管に穴が空いて、緊急手術になりますよ。
最も衝撃的だったのが、アメリカの女子トイレで手を洗ってもハンカチで拭く人が一人もいなかったこと。一人だけドライヤー使ってたけど、みんな髪の毛で拭いているではないですか。日本の皆さんもそうですか?私は幼稚園の時からハンカチ忘れると家まで取りに帰っていましたよ。(一度濡れたハンカチの衛生状態は抜きとして)
この手のモノとしては、家族は結構優しい方ではないですか。お金に糸目は付けないし。ご主人との馴れ初めが知りたいです。販売の仕事と言ってましたが。
なので、そんなにひどくない家族とどう落とし前をつけるかですが、最後にホルガ村にでも逃げるのかなと心配してました。でも、あの人いい人でよかったじゃないですか。
なので、結構優しめの世界に住んでいるので、ホラーでもサスペンスでもないし、コーエン兄弟見ないな実はコメディーでもなく、どっち付かずな印象があり、マイナスーにしました。
映像はとにかく綺麗で、汚いもは何もなく、みんないい服着てます。
メッセージがある映画
いいですね、こーゆー映画は大好き。
写真のように、切り取ったらすごく綺麗なシーンが多々あり、またそれが叶わないから目に焼き付けようと必死で観る自分が居る。
主役のハンター演じる=ヘイリー・べネットは、綺麗なのか?(横顔は素晴らしく美しい)はたまた平凡なのか?(失礼ながら…パーツは大したことないと思う)
しかし…瞳の色がもう、吸い込まれる様に美しい。…バリー・コーガンの女性版みたい。
実は出生に問題があり、幸せな家庭に育ったふりをしてきた主人公、ハンター。
裕福な夫とその両親…どこかで認められていない、小馬鹿にされた扱いにストレスを感じて、自己啓発本の『思いがけないことにチャレンジしよう!』という言葉に感化され、異物(消化できないモノ)を飲み込む様になります。
妊娠中のエコー検査でそれがバレて、大騒ぎになるのですが、精神科医に通わせたり手を尽くしている感はあるのだけど、なんだかなぁ~根本的な解決はされないんです。うわべだけって感じでね。
それで、ハンターは(もしかしたら)最も大切なモノを始末するのですが、その後は顔つきも変わり、素の自分に戻って自分の人生を取り戻すのだろう、たぶん。
最後の女性トイレの手荒い場のシーンが印象的で…ハンカチって日本の文化なの?誰も持っていなくて、大体、髪を触って水分拭ってます、笑える…悪もたまにやりますけど。
サスペンス映画と思ったが
意味不明な行動を続ける妻。絶対何かの伏線でラストにどんでん返しがあるだろう、と思う前半。しかし後半になると、かなり深刻な精神的な病いらしい。そして見終わったら、1人の女性の成長物語でした。
女性の行動は男には理解出来ない。
そんな作品と感じました。
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