ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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難解で退屈な展開ながら、最後にはしっくりきてもう一度見てみたくなる不思議な作品
ちょっと冗長で難解な作品ですが、最後まで見るとじわじわ面白さを感じる不思議な作品です。中盤までずっと腑に落ちなかった難解なストーリーが最後の最後で急にストンと自分のなかに落ちてきます。
序盤は文学的で難解な台詞が無機質に淡々と読み上げられる退屈な展開が続きます。また、舞台稽古のシーンもやたら冗長でその退屈さに拍車をかけます。
中盤以降は主人公が奥さんの自宅不倫の現場を目撃したり、その奥さんの突然死に遭遇したり、舞台の主演俳優が殺人事件を起こしたりといった様々な出来事が起きるのですが、事態の大きさとは裏腹に、不自然なほど淡々と粛々と静かに物語が進んでいきます。
その不自然さをもたらしているのは一切の感情を押し殺したような主人公の無機質さで、奥さんの不倫現場や死を目撃した時ですら、表情も変えず淡々と対処しているのですが、その無機質さの正体が最後のほうでようやく解けます。すると、それまでの不自然さやモヤモヤ感が一気に晴れ、それまでの物語が一気に線で繋がります。
まあ、なんというかとても不思議な作品で、賛否がはっきり分かれる作品だと思います。気の短い人や難解な台詞回しに耐えられない人は間違いなく無理でしょうね。
脚色賞、なるほど!
原作、ワーニャ伯父さん未読ながら脚本の多重構造に驚きました。ここまでのものはなかなかないですね。素晴らしい作品だと思います。けど、個人的には刺さらなかった。
主人公含め登場人物達がなんか現実感がない人たちばかりなのでこの先家福がどういう事になるのかに余り興味が惹かれず最後まで見るのがちょっと苦痛でした。でもそもそもファンタジーなんですよね。で、それを踏まえ脚本演出の多重構造をもう一度理解したいと思ったのですが3時間を考えるとしばらく見る気にはなれないでした。
主人公をもっと3枚目で実直の感じの役者の方が良かったと感じました。1番リアルで共感できたのが岡田さんでした。最後の独白もなかなかの迫力で良かったです。
いろんな感情が湧き出る作品
アカデミー賞にノミネートされたので、映画館で観ることができた。
自分の感情が揺さぶられて、感想を述べるのが難しい。
誰の視点で見るかによって、いろんな思いと、答えは一つでないという複雑な感情がわいてきた。
年齢、経験、立場、そしてこれをいつ観るかによっては、違った解釈や感想を持ちそうな、不思議な映画でした。
助演の三浦透子さんは、すごく難しい役だったと思う。
今、NHK朝ドラで主人公の友人役をしているが、今後が楽しみな方だと思う。
短篇を3時間弱に改変する脚色力
個人評価:3.9
50頁にも満たない短篇の原作を、3時間弱の物語に改変する。
ほとんどのシーンは原作にない場面ばかりだが、台詞回しや、村上春樹特有の静かなる旋律は、しっかりと本作に息づいている。
そして原作のテーマに監督がさらに付け加えたモノとは。
原作では描かれなかった家福とみさきの過去やその後。それらはまるで村上春樹自身が実際に原稿には描いたが、余分なディテールとして削ぎ落としカットした部分。そう思える程、登場人物にしっくり馴染んだ物語。
また日本語、韓国語、手話など言語を飛び越えた劇団の演出。そこに込めた監督のテーマとは。
オスカーの脚色賞にノミネートされるのも納得だ。
運転が上手いと
よく分からない、、長さ
高尚すぎて、周りくどいから、やんわり説明してるところが、ますます、あーーーって感じで。
確かにカンヌ映画祭は好きそうだけど。
タバコの吸いすぎに注意が必要な作品でした。
179分の珠玉のロードムービー。
妻を亡くした一人の演出家の男が、若い運転手や周りの人との関わりの中で自分を見つめ直していくロードムービーです。
登場人物たちの会話の間が独特で、車窓から見える風景や、車の走る光景などもこの作品の雰囲気を魅惑で唯一無二のものにしていたと思いました。
映画は179分と一見長く感じられますが、前半一つひとつのシーンが時間をかけて丁寧に描かれている分、それが後半の心揺さぶるシーンに繋がっていきます。
最後、男は自分が抱えていた問題に対する答えを見つけます。そこには強いメッセージ性があり、多くの人が共感できると思います。
映画の後、頭文字Dで峠をドライブしました
2022年2月22日
ずっと観たかったけどタイミングを逃していた映画。
天王寺のアポロシネマで偶然公開していたので、感謝しながら鑑賞しました。アポロシネマ様は偉大なり。
村上春樹は学生時代、本編スキップして、ひたすらエロい描写だけを読んでいた思い出がありお世話になりました。
■映画全体の感想
村上春樹らしく分かったような分からないような映画でした。
映画のベースになっている演劇内容をなにも知らないので、見せられている内容より深い内容は掴めずでした。
ただ、映画を観たらドライブをしたくなったので、帰り道ゲームセンターで頭文字Dで峠を攻めました。事故りました。
■三浦透子
今大注目の女優さんですね。
陰のある役が似合う役者だと思いました。
しかし、古川琴音といい、三浦透子といい、ユマニテの俳優層はすごいですね。楽しみしか感じません。
あんまり村上春樹の映画でレビューを書くとハルキストに殺されそうなのでやめておきます。
前半から後半に向けて重厚になる
いきなりセックスから入るし昼メロのような展開だから、見るの辛かったけど徐々に真相が明らかになるにつれて物語が重厚になっていく。
様々な伏線が回収されてラストの演劇シーンはカセットで流れ続けたセリフであり、それを知らなくても心に訴えてきた。
そのためのドライブ マイ カー だったと思うと完璧な仕上がりだ。
伝えたい妻と逃げた夫 妻のあの行為はある種の自傷行為だったのかも ...
伝えたい妻と逃げた夫
妻のあの行為はある種の自傷行為だったのかも
チェーホフの戯曲を巧みに挟み込み2人の関係性を描き出す
その棒読みのセリフが抑えられた感情をなぞる
家福家のリビングの隙のないしつらえは、
不調を受け入れない象徴のように見える
特筆すべきはユナ役のパク・ユリム
オーディションの場面の手話の演技は釘付けになった
更に高槻役の岡田将生
車中で家福と会話するシーン、奇跡のような表情だった
私たちが演劇や映画に求めることって
案外、こういうカタルシスなのかと感じた
ユナが語った『ワーニャ伯父さん』の台詞は
何度も頭に蘇り心に染み入る
淡々としたストーリーだが・・
淡々としたストーリーだが、何故か飽きのこない 3時間、不思議な映画でした。映画見終わった感じと言うのではなく、小説を読み終えた感じに似ている。本を読む時のように自分なりの想像が映像になっているような錯覚を感じました。ストーリーは単純に死に別れ残された人の悲哀を描いているが、洒落た大人の男女のストーリーになっている。そうだなぁ~所詮他人を知っている事って断片的で、人を愛する辛さ、生きる為には必要である限り自分の命をすり減らす覚悟が必要なのかも・・生きること、愛する事って辛い・・でも愛おしい・・勉強になりました。
映画を観ているが小説を読んでいるよう
ドライブマイカー
これは観る人の受け取り方次第で評価が分かれると思う。
わたしは良かった!
映画を観て小説を読んでる様な体験をしたと思ったよ。
映画の構造がそうしてる気がしてね。役者が、わざと感情移入しない台詞回しや、劇中劇、BGMの少なさが。
そしてそれが、観ている人の心の奥底に隠してある何かを出現させる装置になってる。
それが怖い!誰も観たく無い、向き合いたくない事を心に思い浮かべちゃうから。
映画を観ながらそれが出てきてしまうと、誰も逃れられないと思う。
某映画監督がトンネルばかりの映画と表面的に見える事だけを観て評してましたけど、この映画の装置に掛からないとこの映画の本質はわからないです笑笑
役者の演技力が皆凄い。引き算出来ててシラケない!
この映画をつくるうえで、一番重要なところはそこだったんじゃないかな。
以下思いつき。
霧島れいかさん生々しく演じてて素晴らしい。彼女の演技が無いと後半の西島秀俊さんのモノローグが生きてこない。
ジンデヨン、安部聡子さん良かった。
広島で生活している感がある、匂いがする。
パクユリム!透明感あるし、演技力に脱帽
岡田将生、ハンサムなだけじゃない!
何かしそうな危険な雰囲気と繊細さを併せ持つ演技がちゃんとできてました。
考えさせる内容!
3時間の長編映画で、中々勇気が必要でしたが、度胸を決めて鑑賞。
内容は色々と考えさせる内容て、人間の愛、性、感情、相性など何が真実で、本性なのか!
自分に当てはめても分からない。
3時間は長いが、内容はその長さを感じさせない充実した内容。
ノーウェアマン
原作は未読。「ノルウェイの森」もこの作品もアルバム「ラバー・ソウル」の曲名だけど、音楽好きの作者を鑑みると、タイトルから逆算して物語を構想したんじゃないかと勘繰ってしまう。本当のところは知らないが、村上春樹はそういうことができてしまう作家だと思うので。
チェホフの「ワーニャ伯父さん」や奥さんの夢物語など、他のテキストの引用符によって重層的な構造や多義性をもたらそうとしているが、手法としてそう新しいものではない。かえって、そういう枝葉を取り去ってしまうと、狭い世界のこぢんまりした話にも思える。
何というか、登場人物が変な人ばかりだ。奥さんの性癖も変だけど、それを黙認している主人公も変だし、若い俳優の言動も変なら、ワークショップの主催者もかなり。女ドライバーの母親の二重人格まで飛び出してきたのには、さすがに鼻白んだ。そのシーンで、それまで寡黙だった彼女の長い告白口調にも違和感があった。
主人公はずっと所在なげで、その場から距離を置いているような佇まいだ(演出中を除いて)。ラストシーン、韓国らしきところで主人公は不在である。女ドライバーは依然、主人公の車を運転している。韓国人夫婦の飼っている犬も乗っている。謎めいた終わり方だ。
久々に大人のドラマを観た
やっぱり土台がいいと全体がいい、なんせ村上春樹だからねー。
展開はラスト5分の手話の手の動きと家福の目の動き。未来を見つめる目、手話じゃなきゃあの目の動きを引き出せない。あの見つめる先に2人の未来がある。
しかし、この作品は金がかからなかったよねー、特に人件費。舞台挨拶だって4人行けばせいぜいだし、それで作れるだよねー。
最後に何故車が韓国に行ったのか、家福の目が悪化してあげたんだろね、何故みさきは韓国に行ったのか、日本を離れたかったんだろうね、彼らと、
手話と犬にやられた作品だった。
呼応し合うとはなにか
序盤からの違和感の強烈さが印象的でした。
村上春樹は苦手だからかなと思っていたが見当違いだった。人と人とが呼応しあうことの本質を突きにきているような映画で、それには必要な違和感だったのです。
夫婦は一般的に一番コミュニケーションが密になると思いきや、その歪さが妻がが生きているときに描かれる。
コミュニケーションしてるはずなのに、繋がっているはずなのに、心ここに在らず、通じ合っていないような違和感が散りばめられていた。
彼女の突然死によって、その夫婦の呼応がなくなるかと思いきや、そうではなかった。
車で流れる彼女のセリフとの掛け合いを通して、逆に、誰も寄せ付けないと言わんばかりに密な時間になっていく。
またその車を運転することになるドライバーと、西島さんの演じる主人公は、すぐ通じ合う不思議。
呼応し合うことと、その人物たちの関係性についての投げかけは、主人公のワークショップでさらに深堀される。
異なる背景を持つ役者たちが、各々の言葉で見事に呼応し合って作り上げられる演劇をみせることは、本音で向かい合う度合いによって、その呼応はより豊かで密なものになるということの証明のようだった。
そこには夫婦のような関係性もいらないし、共通の言葉が話せることすらいらないんだということ。
一度捨てた辛すぎる記憶や経験でさえも、見つめ直すことは決して後ろ向きなことではなく、前に進む一歩となるんだ、と強いメッセージを感じました。
「会話劇」
今年25本目。
車の中での会話がこんなに惹き付けるとは。
車の中で岡田将生と西島秀俊の所が一番良かった。舞台では手話など効果的。舞台でこうあって欲しいのが最後ちゃんと実現している。
週末動員ランキング2月12、13日が26週目で圏外から8位に。27週目も9位。
ここまでの話題作見れて良かった。
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