弱くて強い女たち
解説
2020年・第33回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。
2020年製作/124分/台湾
原題または英題:孤味 Little Big Women
2020年・第33回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。
2020年製作/124分/台湾
原題または英題:孤味 Little Big Women
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2020年11月29日アジア版若草物語という触れ込みだったけど自分はちょっと違う感想を持ちました。
孤味は赦す側の物語でママは台湾そのもの。
蘭、清、日本、国民党と外来政権に翻弄されてきた台湾。原住民族、本省人、貧困外省人、赦して生きていくしかなかった側が圧倒的に多い。殿上人の高級外省人の割合はわずかだから多分これは、男女関係なくみんなの物語なんだろう。
望まない役をどうやって演じろというの?
伝統的価値観を重んじ、目の前のことに必死になるしかなかったのに娘たちは頼んでないだの許せだの煙たがれることも多いゴッドマザー。でも孫娘はおばあちゃんが大好き、1番新しい世代(台湾独自の歴史を学んでる世代)シン・台湾人は激動の時代をくぐってきた人への敬意があり故郷大好きで飄々と生きてる。だから"天然独"という価値観で単純な二項対立をしない。彼らが台湾を担っていくのでしょう。
台湾の歴史は不可避だったけどママは奴を回避できていれば、人生変わってたかも。明星珈琲館に入り浸りラブレター代筆頼まれるほど文才に恵まれてるけど大成はしてない。水桶に月と妻を映して娘たちの前で恥ずかし気もなく綺麗だと言える男なんて...でも好きになったらしょうがないよね。TAXIカラオケのシーンは前半も後半も好きでした。主題歌「孤味」の歌詞も本当に素晴らしいです。最近才能豊かな本省人監督、作家が続々と登場している。台湾映画ブームの再幕開けとなるでしょう!
作品を観て、すぐに地下鉄に乗った。
家路を急いだ。
あまりの感動をすこしも漏れ出させたくなかった。
昨今流行りのヘビーな喪失の物語ではない。
偉人の出ないファミリーヒストリー。でも偉大な愛と愛嬌があふれでる。
家族もそれぞれがそれぞれに愛おしくて、どこか切ない。僕が好きなのはさみしがりやの次女だ(笑)ちょっと恋心が湧いてしまった…。
埋められない喪失を家族が何とか埋めあっていく。すれ違いながら埋めていく。傷つけあいながら埋めていく。性格も生き方も特徴付けられることになる。
取り戻せない喪失は、時々痛みを運んでくる。愛を信じきれなくなっている自分を見つけたりもする。でも、愛をふたたび見つけられるのも家族だからこそ、なのかもしれない。
この作品を観て、とても勇気付けられた気になった。
なにがあったって一生懸命生きりゃあいいんだ。
届かなかった愛だって、巡り会えたことに感謝できる日がきっとくる、切ないけどね、そんな気持ちにさせてくれた。
美しい台南の、はるかに遠い台南の、でもとっても身近な偉大なるファミリーヒストリー。大傑作だと思う。
映画の素晴らしさが詰まっていた。