ノマドランドのレビュー・感想・評価
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ノマドソウル
ノマドとは、放浪者のこと。昔のヨーロッパなら流浪の民、現代のアメリカでは、キャンピングカーで各地を転々とします。主人公のように居場所を失った人々も、自由を求めて旅を続ける人たちも、皆過酷な状況の中で誇りを持って前を向いて生きています。
日本ではこういう事は考えられないです。キャンプしながら季節労働をするという環境が無いし、やはり、人々の意識が違います。ノマド達は互いに協力し合いながらも踏み込み過ぎない。「またどこかで」と別れて、違うキャンプ地で再会を歓びます。個を尊重する文化が根付いているからでしょう。
高齢者にとっては命がけの旅です。ファーンの場合は頑なな所があって、いつか居場所を見つけて欲しいと思ってしまいます。
本作では、ノマドを肯定も否定もしていないように見えますが、やはり監督はノマドに憧れを持っていると感じました。豊かな緑、ごつごつした岩、荒涼とした大地は人間を包み込み、広大な空がとても美しいのです。
あなたの人生が描かれている
エンターテイメントではない。
今そこにいる、私の、あなたの
名もない人の人生が描かれている。
一切の虚飾を廃して
説明も意味もないようなシーンが続く。
そしてそのまま、未来への期待へもなく終わる。
その時、荒野を渡る風のように
哀しみ、美しさ、強さ、気高さが
あなたの頬に打ち寄せる。
50を過ぎないと見つけられない荒野かもしれない。
息子が友達と観に行くと言っていたが、やめとけば?
と笑っていなそうか?
20代では、あの荒野にはたどりつけない。
本作はどのシーンを見てもまるで美術館の絵に描かれるような壮大な自然...
本作はどのシーンを見てもまるで美術館の絵に描かれるような壮大な自然に触れられる。アメリカといえばやはり発展した街並みが並び、華やかな高層ビルが立ち並ぶ想像をするが今作は近代的な街並みはほぼ出てこない。
遠くに見える山々、地平線上にうっすらと見えるオレンジ色の夕暮れ、電柱一本並んでいない乾いた土地、建物が一つもない場面が当たり前のように続くカットが見れる。しかしこの映画ではその自然の風景が電気で照らされる街よりも明るく見えるのが不思議だった。それが日常からの解放感につながり、映画を見ている最中はまるでこの土地に誘われているかのような感覚になり、座りながら旅をしている気分になれた。
彼女の生活は自分の価値観から遠く離れているが、だからこそ訴えかけられるものがある。本来ならば生きていくうえで必要なものといえば食べれるだけの食料と衣服、休める場所だけのはずだがそれ以上に物を欲しがる。現代社会はいかに物があふれているかを俯瞰してみることができたしむしろ物に操られているのだと思った。
アマゾンの仕分けのシーンはまさに大量消費社会を表していると思うしそれと対比して建物一つない自然の風景を比べる所がなかなか良かった。
深夜のSAの灯りみたい
あまり前情報を入れずに観てわーーーっと感動してから、ここのレビューを読んで色々な見方があったのだな…と思っています
車上生活を始める大きなきっかけとなる経済格差や労働問題について、
ノマドという生き方や価値観について、
見所は色々あると思いますが、一見して感じたのはノマドじゃなくても人生こんなものじゃないかな、ということでした。
家族や友人がいてもいつか別れる日はやってくるし、孤独と完全に縁が切れることはない。それでも居合わせたもの同士優しさを分け合うことが出来る。作中に出てきたお姉さんとファーンは全然違うタイプに見えるけど、お姉さんも生活の中で旅をしていたり、ファーンも自由に見えてしがらみから逃れられなかったりしているのではないかと思った。
アメリカの広大な砂漠の中の自由さや孤独はなかなか想像しづらいけど、ノマドたちのキャンプは夜中にたどり着く高速のSAを思い出しました。ひと時だけ明るくて安心して、でもそこにいる人たちは皆どこか目的地があって、次に向かう準備をしている。
とびきり切ない気持ちになりましたが、出来ればスクリーンでもう一度観たい作品です。
旅路のどこかで
住む家を失い、バンで車上生活を送る主人公のファーン。高齢の女性だが、働く意思はしっかり持っており、過酷な季節労働を続けていく。この生活から決して抜け出せない訳ではない彼女が車上生活を続けるのは、ある理由があるようで…。
現代の遊牧民と呼ばれる、ノマドの人々を描いたロードムービー。
道中で出逢うノマドは、老人の他に若者もいたり、やむなくこの生活を送っている者、ある程度自分の意志で選択している者…と形は様々。
しかし、共通しているのは皆(少なくとも本作の登場人物達は)この生活に誇りを持っている事。逞しい。
出会いと別れの繰り返し。余命数ヶ月でも旅を続ける老婆。悲壮感が漂うも、旅の中で出会った思い出を語るその目は確かに輝いて…。観ているこちらもジ~ンとくる。
そして何よりファーンの旅を続ける理由。暖かなベッドから抜け出しバンに戻った理由は?
バンの方が落ち着くから?それとも、固い決意が揺らぎそうになったから?
更に終盤、彼女が流した涙の意味は?
朽ちた思い出に哀しくなったから?それとも…会えたのでしょうか??
登場人物の想いや、人生について色々と考えさせられる傑作だった。自分には間違いなくできない生き方。彼らの力強さに脱帽です。
敢えてマイナスポイントを挙げるとするならば、ネタバレとは違うけど、予告編で非常に大切な場面が出ちゃっているところでしょうか。。あそこ結構核心部分では…?
そしてエンディングで気づいたのですが、役名と演者名が同じ人が多いこと。
もしかして、ホンモノの人達!?
ハードでタフなほうのノマド
家の有無は関係ないくらい、
もともと孤高な魂の持ち主のようだが…
ファーンは夫と死に別れて以来心がさまよい始めてしまったよう。ハウスレスどころの騒ぎではない。本当はパートナーがいないと幸せに生きられない人なのでは?
トレーラー暮らし自体は悪くないと思うんだけど、ひとりの時はいつも寂しさが滲んでるよう。
姉や友人やなんなら新しい恋の予感もあり、人との絆は有るのに、幸せな誘い(と思える安定した暮らし)に身を投じることはない。
新しい環境を試して欲しいけど。旦那を忍んで1人で旅する時間がまだ必要なのかな。
救いは、ファーンが好きでこの生活を選んでいると思えること。これしか選択肢がないと本人は感じてるかもしれないけど。
ノマドライフって良いイメージしかなかったけど。歳とって一人でやると辛いのかなぁ〜。
夕暮れの美しさに、バグダッド・カフェを見返したくなった。コーリング・ユーの音楽もこのノマドランドの映像に合いそう。
自分の人生に自信を持つこと
広大な大地を旅する、自由なキャンピングカー暮らしなんて呑気なものではなかった。
主人公ファーンは、過酷な自然の中で季節労働の仕事をしながら移り住む生活をしていて、いきなり寒いシーンからはじまるが、耐え難い寒さにこちらの肩が縮こまり、車が故障するシーンでは途方にくれる程の思いを一緒に味わってしまった。
ファーンがキャンピングカー生活をする理由は徐々わかって行くが、助け船があっても選ばない、大切な人への思いが詰まった場所を守り続ける頑な姿は、仲間たちも同じに見えた。
孤独で情けない思いをしても、自分の人生に自信を持ってる彼らに胸が熱くなった。
年齢を重ねるほどに深くなる映画
ドキュメンタリー風な映画。
最初の主人公が車で旅立つシーン。一着の服を大事に抱える描写があるが、それは大切な人のものなんだろう。と思わせる表現力に最初から引き込まれた。
なんだかジーンとくる瞬間が何度もあった。
言葉で説明するのは難しい。
音楽とアメリカの広大な景色、その中で出会う人々、孤独、後悔。
誰でも心に重荷を背負っているのだろう。
主人公や周りの人のドラマが説明くさくなく、自然と入ってきて心が揺さぶられるのかもしれない。
どう生きていくか。を問われているような映画だった。
未熟なのでまだ理解できないこともあった。
また何年後かに観てみたい。
Amazonは、スポンサー?
2021年4月4日
映画 #ノマドランド (2020年)鑑賞
主人公が60代の女性というのがよくできた設定。60代前半だとそれなりに仕事はできるし、自分で何でもできる。特に困ることはない。
でも、少し上の世代は確実に老いに直面してるし、病気や老後を意識してしまう。
いつまで遊牧できるのか!難しい問題
人間に生まれて
よかった、と思う瞬間があった。映画観て、そんな気持ちになることなんてないと思ってたけどw
思い出の中にこそ幸せがある、と教えてもらう。
それは誰にも理解されなくていいし、自分の中で綺麗に存在していればいい。あなただけのもの。
それ以上のことは分からなかった。エンドロールになって初めて、自分のことを振り返った。一昨年亡くなった先輩も、いつかどこかで会えるんだろうか。それを楽しみにして、これから生きる人生も悪くないかもしれない。
世界共通の寂寥感を感じる
どこか写真集を観ているような作品だった。ショービジネス映画では描かれることのないアメリカの姿。描かれた年代はそれでもまだよかったように思う。更に時代は進み、もっとエグい寂寥感が先進国共通の共感を生むのかもしれない。日本もコロナでクルマ族増えたしな。福島と東電なんてもっと凄まじいドラマだろうしな、とかいろいろ思うところあり。その意味ではフランシス・マクドーマンドがクロエジャオという監督を引っ張って作り出したことが重要なのかもしれない。
たぶん日本を舞台にすればもっと寂寥感溢れる映画が作れるような。
生きるための苦労はわかるけど。
実話を元にしたフィクションですか?どんな苦労話かと思いきや、思ったより悲惨じゃない。なんか車上生活を楽しんでるみたい。それともそういう映画なんかな。
世の中にはもっと悲惨な人達がいるんだよ。アメリカの税制度は知らないけどあの人達はどうなんだろ、自動車税とか固定資産税とか。
日本人にノマド生活が出来るか?
日本人は、家族としての概念として、筐体としての概念として、家というベースがあって生きているので、果たしてこういう生活圏がない。
米国人は、ベースに個人があり、確立しているからこういう人たちのコミュニティができるのだろう。
主人公も、夫との思い出が素晴らしく、それを大事にしているから、ハウスレスの生活ができるのだろう。
私には、そこまでの個人が確立されていないから、この生活はできない。
この映画の人々は、都会ホームレスとは異なり皆優しい。
ノマドと種田山頭火
個人評価:3.9
降旗監督のあなたへをなぜか思い出した。種田山頭火の放浪の生き方。そして旅と放浪の違いとは。ノマドの人々はどちらかと言えば旅にあたるのかもしれない。
ノマドの生活を続ける理由。そこに悲しみのテーマを感じる。
作品賞にノミネートされる作風としては、黒人、ジェンダー、格差などの差別テーマが主流だが、本作は過酷な季節労働の現状を伝えると同時に、ノマドの人々の価値観と人生のあり方がテーマとなり、今までの作品賞の作風だけではない部分がある。
また前作のザ・ライダーと同様に、美しいアメリカの大地とともに描かれる本作は、絵としても壮大で見応えがある。特に夕暮れの薄光を捉えた場面が多用され、映像美にも溢れた作品だ。
勇敢で正直
こういう生き方、憧れてます正直。
でも、やはりこういう生活をするのには相当な覚悟と度胸が必要なわけで。
イクスピアリにて、寅さんからのノマドランド。
安定は皆無、常にその日そのときを生きている逞しさ。
あー、素敵だ。
何よりアメリカの広大な景色たちが本当に美しい。
見方によってはちょっと羨ましい生き方かも~
家や職を失い、大きめの車を改造して最小限の家財道具を積み込み
職と暮らしやすい気候を求めて、広大なアメリカ大陸を
自由に行き来する高齢季節労働者を追った
まるで、ドキュメンタリーの様な作品。
特に大きな出来事は起きないのだけど
彼らの日常そのものが、出会いと別れの繰り返しであり
時には自然の厳しさによって、静かに眠れない夜もある。
それでも彼らの生き方を観ていると
都会では味わえない広大な土地ならでは風景と
時には野生動物などにも出会ったり
時間にも場所にも縛られない生き方は
ちょっとうらやましくもある。
広大なアメリカ的、生き方だよな~
で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては
主人公のファーンは他の町から
夫の住む町にやってきた来た。
夫を亡くしてからも、町を離れずに
夫が生きた町に拘って生きてきた。
皮肉なことに、そこが企業城下町であったために
企業が倒産してしまうと
町そのものがゴーストタウンとなって
家も仕事も失ってしまった。
もっと早く生まれた町に戻っていれば
また別の生き方があったかもしれないのに~
けれど、ノマドとして暮らすうちに
住むところに拘る心がどこかに溶けて行く。
1~2年過ぎたあたりだと思うが
冒頭に出てきた貸倉庫へと戻ったファーン。
彼女がここで何をするか
静かな中に硬い決意を感じる。
この映画を格差社会の現実と観るか
何にも支配されない自由な生き方と観るか
案外深い映画だと思う。
ライムスター宇多丸さんの解説では
彼女が白人女性だからできる生活であって
黒人だったら無理と言うのも
この映画の隠れた問題定義かもしれない。
本物のノマド暮らしをする人たちが多数出演していて
生活の様子がとてもリアルでした。
眠気に注意(^_^;)
まず断っておきますが、決して悪い映画ではない事だけは始めに言っておきます。逆にこの映画のように鑑賞後に精神的にずっしりと来る映画は好きな方です。ただ物語は、特別な起伏もなく、荒涼とした乾いた大地の地平線の様に、ただひたすらと淡々と進みます。
主人公が車上生活をしながら、いろいろな人に出会い物語は進みます。仕事、お金、生と死、家族…いろいろ考えさせられます。
映画の紹介文で美しいアメリカの自然の映像が…とありましたが、正直あまり美しいとは思えませんでした。確かに雄大な景色が映画全編に映し出されていますが、全体的に暗く、荒涼とした大地、雪、彩度が低い…自分が美しいと思う映像ではありませんでした。
寝不足ではなく、体調万全な状態で鑑賞する事をオススメします(笑)
あと余談ですが、ここのプロレビュアーさん達って、どんな映画でも高評価してて気持ち悪い。お金の匂いしかしませんね。。。
追記
アカデミー賞ねぇ〜…悪い映画ではありませんが、大絶賛される映画とも思えませんが…アンソニーホプキンスのファーザーの方が良い気がするけど、私の見る目がないという事か(^_^;)
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