劇場公開日 2021年3月26日

ノマドランドのレビュー・感想・評価

3.7457
21%
55%
18%
4%
2%
採点

全457件中、1~20件目を表示

4.0誇りとやせがまん

2021年5月31日
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鑑賞方法:映画館

「武士は食わねど高楊枝」という言葉が日本にはある。これは、前向きに解釈すれば、金はなくても心までまずしくなることはない、となるが、後ろ向きに解釈すれば「やせがまん」だ。大抵の人間はどちらかに割り切れるものではなく、その両方の中で心が揺れ動いてものだろう。この映画にはそういう揺れ動く気持ちが描かれている。
生活していた町が失われ、車上生活をする主人公。職を求めて転々と流浪の暮らしをつづける彼女は、ホームレスではなくハウスレスだという。同じような生活をする人々が、そのような自由を求めて生きる「ノマド」と呼んで誇らしく装って見せる。ある人はノマド生活から家族の家に戻り快適な暮らしを手に入れる。ノマド時代より、明らかに健康そうで幸せそうだ。
そして、社会を捨てて生きる彼ら・彼女らは、本当に自由になれているのか。主人公は自分で行き先を決めているようで、実際には短期の職があるところを目指して移動している。アマゾンのような巨大企業は、彼女のような社会からドロップアウトした人間すら、システムの一部として組み込んでいる。
大晦日を一人で祝う彼女は、自分を卑下しない。格差の下に追いやられても誇りは失わないのは、人間として立派だ。しかし、やせ我慢も明らかに混じっている。混沌とした感情が叙情的な映像で綴られる。礼賛も格差批判もこの映画にはピタリとはまりにくい。この映画は、主人公とともにやせ我慢と誇りの両極を一緒に揺れるように観るのがいいんだろうと思う。

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杉本穂高

4.0クロエ・ジャオという才能を思う

2021年3月31日
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村山章

4.0Worthy Transcendental Cinema

2021年3月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

Nomadland might not have meant to be the critical hit it was, but in a worldwide crisis, the character central to this story doesn't feel so far off. There isn't much story to extract here--rather it's a day in the life on the road comparable to journey in Into the Wild. Zhao's editing is the best part, providing snippets of everyday life--making you believe your own world could be a hit movie.

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Dan Review

5.0静かなる圧倒。時代の変わり目に立つ一作

2021年3月28日
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静かな圧倒が押し寄せ続けた。観る者の人生や価値観を揺さぶる、忘れがたい2時間だ。本作には都市部やビル群がほぼ姿を見せない。登場するのは延々と続く道。天然の石、大自然の公園、恐竜のオブジェ。その渦中で、人は誰かの生き方に合わせる義務もなければ、貨幣経済に縛られる必要もない。眼前に広がる果てしない風景は時に寂寥感に覆われることもあれば、希望を感じるほど光に満ちることもある。大切な皿はいつか割れて大地の一部と化す。その全てを抱きしめながら、自らの手で選択を重ねて、アメリカ国土を移動していく主人公。我々もまた旅路に沿って、彼女の心の内側を、まるで地層ふかく降りていくかのように自ずと受け止めることとなる。そこで芽生える、表現しようのない共振。そういえば『ミナリ』もどこか「開拓時代」を思わせる物語だった。何かが確実に変わり始めている。時代と映画との鏡面性を、これほど強く意識させられたことはかつてない。

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牛津厚信

4.5切実な事情とある種の悟りが、現代の遊牧民を生む

2021年3月26日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

フランシス・マクドーマンドが演じるファーンは創作されたキャラクターだが、彼女が流浪の先々で出会う車上生活者たちは本人が自分の名前で出演している。“出演”という言葉も適切ではなく、彼らはただ、カメラの前でありのままの自分で存在し、ファーンとの対話の中で自らの人生や暮らしぶりについて語る。クロエ・ジャオ監督はノンフィクション本をベースに、ドラマとドキュメンタリーを組み合わせたハイブリッドな映像作品を生み出した。

ファーンは夫に先立たれ、リーマンショックの余波で住み慣れた家も町も失い、キャンピングカー暮らしをスタートさせる。Amazonの商品倉庫での仕分けや、オートキャンプ場での雑用など、短期労働で当面の生活費を稼いではまた移動する生活。実在する現代のノマドたちも出発点はたいてい切実な事情だが、家や土地、地縁に縛られない生活は、近代の管理社会で私たちが自明のように受け入れてきたさまざまな束縛からの解放を実践している面もあり、ある種の悟りの境地に達しているようでもある。ファーンに誘われてアメリカ西部の荒野、森、海といった広大な大自然を目にすることで、この地球上にたった一人で立つ感覚を少しだけ取り戻せるはずだ。

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高森 郁哉

4.5「ホームレス」と「ハウスレス」は違うということを「ノマド」から学べるロードムービーの傑作。

2021年3月26日
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私は本作を2020年9月のベネチア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)受賞の際に知りました。その際、メイン画像を見たら条件反射的に「あ、これはアカデミー賞にノミネートされる作品だ」と察しました。というのも、名作「スリー・ビルボード」でアカデミー賞の主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドが雰囲気良くドーンと出ていたからです。
その後、本年度アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞と主要6部門でノミネートされました。
ただ、実際に作品を見てみたら驚きました。「スリー・ビルボード」とは全く作風が異なっていたからです。
どちらもシリアス系ではありますが、「スリー・ビルボード」はセリフの応酬などが本当に魅力的な作品でした。その一方で本作「ノマドランド」はロードムービーの良作でした。
次に驚いたのは、本作のベースは「ノマド 漂流する高齢労働者たち」というノンフィクションが原作となっていたことです。
日本だとピンと来ませんでしたが、アメリカの場合は地方の大企業が破綻すると、郵便番号さえも無くなるなど、文字通り町が消えてしまうようです。
そしてフランシス・マクドーマンド演じる主人公は、長年住み慣れた住居を失い、キャンピングカーを住居として生きていきます。
ここで大切なのは、いわゆる「ホームレス」ではなく、あくまで「ハウスレス」だということ。
この2つは、一緒にされがちですが、実は異なっていて「ハウスレス」は「経済的困窮」を意味していて、 「ホームレス」は家族、友人の絆が切れた人々のことを意味しています。
つまり、「経済的困窮」のため季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送っているわけです。
この「ノマド(遊牧民)」の多くは高齢者で、悲しみや喪失感を抱えています。
ただ、ノマドの良さは、別れ際に「またどこかの旅先で」と、人々との絆が切れない点にあります。
このように本作は、ノマドという世界で大自然の映像美と共に人々の交流や生き様を描いた名作となっているのです。

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細野真宏

5.0大都会の片隅で生きる人々にお勧めしたい"ハウスレス"という価値観

2021年3月22日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

昨秋、ヴェネチアとトロントの各映画祭で最高賞に輝いて以来約半年、その間、配信系の有力作が次々と参戦して来たが、依然として賞レースを先頭で引っ張るパワフルな1作。筆者もこれを観てから3ヶ月以上経つのに、頬を撫でるような映画の空気感はいまだ皮膚にこびりついたままだ。ヒロインのファーム、及び登場するノマドたちの、家に定住せず、かと言ってホームレスではない"ハウスレス"な生き方にも大いに触発される。我が家に住まい、定職に就き、家族と共に生きる人生はそれなりに価値はあるだろう。でも、たとえ家を持たなくても、仕事は行き当たりばったりでも、孤独でも、いつも心の中に家族の記憶を留めたまま、荒野を流離うことの潔さに、不意を突かれた気がするのだ。もしかして、定住することの方が、返って変容を余儀なくされているのではないか?という疑問に駆られるのだ。だから、これは我々に家族との関係性について再考を促す、偶然とは言え、コロナ禍に現れた観る必要がある映画。大都会の片隅で、1人淋しく故郷を思いながら過ごしている、日本のどこかにいるに違いない人々に、心からお勧めしたい。

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清藤秀人

4.0テレンス・マリックの後継者たる女流監督による名作

2020年11月10日
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鑑賞方法:試写会

アメリカには、定住しないノマド生活を好む人がけっこういるんですね。凄く興味深かった。エンドロール眺めて気づいたのは、キャストの役名がリアルな実名だったこと。ほとんどの出演者は、俳優じゃなくて一般人なんですね。主演のフランシス・マクドーマンドは、プロデューサーも兼ねています。彼女がどうしても作りたかった映画だとお見受けしました。オスカーの最優秀主演女優賞は最有力でしょう。

クロエ・ジャオ監督の映画は初めて見ましたが、映像でポエムを詠む感じが素晴らしい。彼女のインタビューを読むと、テレンス・マリックからの影響について語っていますね。なるほど、納得です。撮影監督のジョシュア・ジェームズ・リチャーズの名前も覚えておこう。

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駒井尚文|映画.com編集長

3.0マクドーマンド体当たりぶり

2023年3月17日
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鑑賞方法:映画館

フランシス・マクドーマンドの体当たりぶりは半端じゃない。だけどこの映画がどうして評価されるのか理解できない。根底には、定住文化の日本人と、フロンティア精神が残るアメリカ人の開拓民文化の違いがあるのか。「アメリカの原風景なのよ」とか言うセリフがあったとしても、それが大多数のアメリカ人に刺さる言葉とは思えない。一定数、そんな人々がいるなあという認識程度ではなかろうか。

編集は巧みで、ものすごい情報量をぶつ切りにして繋いであるので、セリフのつなぎ目がない。どちらかというと、登場人物がすべて独り言をつぶやいているように聞こえる。たまたまそこに、マクドーマンドが居合わせているだけのように。特徴的なのは、絶対に目を合わせないでしゃべっていること。ちょっとアメリカ人の印象が当てはまらない。だからこそ、ものすごいリアリティを感じた。音楽も、たまに情感を強調したピアノソロなんかがはめられているが、基本的には状況音しか入らない。例えばラジオから聞こえてくる音楽とか。みんなでキャンプファイアしながら合唱する歌とか。

そんなこんなで、意外にいろいろと事件が起きているのだが、お気に入りの皿が割れてしまった。とか、文字にするとその程度のことが積み重なっていくだけのこと。ゆっくりと時間が流れているかのような錯覚を起こす。これが、老人にとっては目まぐるしい変化なのだろう。放浪の一年を通して、彼女の身の周りがどんどん変わっていく。

或るミュージシャンと知り合った時、彼が「ツアーの時に、その土地土地の断酒会に顔を出し、地域性や風土を知る。それがその街を知る一番早道だ」なんてセリフがあった。とても印象に残った。

時間があまりないので、多分もう二度と見ない映画だと思うのだけれど、眠れない時にずっと流してぼーっと見ていたいとも思う。不思議なテイストの映画だった。ただ、若い人にとっては退屈で、良さが伝わらないんじゃないのか。そうじゃなきゃいけないとも思う。だから賞なんかとって欲しくない。

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うそつきカモメ

4.5静かに漂う物語に映画らしい映画を見た。

2023年3月6日
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物語は静かに、滑り出すように始まる。
心に留まる音楽、演技、ロケーション、
気がついたら心は客席から離れ浮遊してた。

静かな物語の苦手な人は数分で飽きるはず。
しかし映画の中の意味のある空気を捕まえられれば
気持ちよくラストシーン、エンドロールを迎えられる。

監督のクロエ・ジャオは編集・脚本も手がけた。
監督は編集・脚本・撮影が出来ていいと思っている。
この映画での彼女の編集には場を読んだ流れがあり、
自身の言いたいことの見える編集をしている。
もちろん主演のフランシス・マクドーマンドと
話し合いながら決めることもあったはず。

いい脚本と撮影と編集と俳優、そして監督と製作陣。
映画館で鑑賞して2年経った今も残っている。

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星組

3.5車上生活者の未亡人ファーンがノマド達と出会い別れ、自分の過去の思い出を乗り越える

2023年1月18日
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鑑賞方法:DVD/BD
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葵須

3.5原著から遊離したスイートなノマド像が分断国家の現実から視線を逸らさせる

2022年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1)ノマドの意味と発生原因
ノマドとは広く「遊牧民」や「放浪者」を意味するが、この映画ではキャンピングカーで移動しながら季節労働に従事する「ワーキャンパー」を指している。ワーキャンパーが激増した原因は、言うまでもなく経済格差である。
『ノマド~漂流する高齢労働者たち』(ジェシカ・ブルーダー著)は、「崩壊はすでに始まっている。上位1%の人の平均収入が、下位の50%の人の平均年収の81倍もある」ことから、「何百万人ものアメリカ人が生活様式を変えざるを得なくなっている」とレポートしている。
そして「車上生活者は生物学で言う『指標種』のようなものなのだ。他の生物より環境の変化に敏感で、生態系全体の大きな変化を他にさきがけて予言する、そんな生物」だと説明する。

2)ノマドは負け犬か自由人か
ノマドはホームレスと異なり、ネットや労働、キャンプ場を通じてゆるいトライブ(集団、組織)を形成している。その有力な一つの主宰者ボブ・ウェルズは、次のように書いている。
「普通の暮らしを捨てて車上生活を始めれば、ぼくたちをはじき出す現在の社会システムに異を唱える"良心的兵役拒否者"になれる。ぼくたちは生まれ変わって、自由と冒険の人生を生き直せるんだ」

絵に描いたような転落の人生を経て、60歳を過ぎてもろくに年金がなく、車上でちっぽけなバケツに排泄し、そのバケツに乗せた板の上で食事をとり、アマゾンで酷使されなければならないノマドの生活は、悲惨としか言いようがない。まさに「アメリカの分断ここに極まれり」である。今にも「ジョーカー」がここから誕生しかねないのではないか。

ところが、原著が紹介する数十人のノマドたちは悲惨さに埋もれるのではなく、トライブの交流を盛んにし、助け合い、未来さえ語る。
経済・社会的には落伍者、難民となってしまったものの、車で移動し、労働している限り、精神は独立性を留保している、ということだろう。「自分たちはホームレスではなくハウスレスだ」という映画の一言は、それを表現しているように思う。

ノマドたちにはこうした経済・社会的な敗者、矛盾の犠牲者という側面と、トライブの交流を通じて決して人間性を失っていないという二面性がある。しかしながら、ボブの言うような「自由人云々」というのは、負け犬の遠吠えにしか聞こえないのも事実である。

3)映画が表現したロマンティックなノマド
映画は大筋では原著にあるノマドの生活をたどっていくのだが、半ばからかなり飛躍したノマド像を描いて見せる。それは死別した人々に対する喪失感と記憶に生き、再会を希求するロマンティックなノマドだ。
ヒロインのファーンは、病死した夫の記憶とともに生き、そのよすがをたどりつつ毎日を送っている。
ボブも自殺した息子への弔いの意味で、ノマドたちの支援を行っている。2人とも、「ノマドに真の別れはない。だからいつか、死者にまた巡り合える」という祈りを人生としているのだ。映画の基底に流れるBGMの悲哀は、この喪失感と希求からくるのだろう。

数多くの出会いを繰り返すノマド生活の中で、いつか亡くなった人々の生まれ変わりに巡り合うかもしれない、いや死後の世界では間違いなく会えるだろう、と思わせながら映画は終わる。エンドロールの次の言葉は、生者と死者双方を指し示しているに違いない。
「旅立った仲間たちに捧ぐ またどこかの旅先で」

ノマドの存在を全世界に知らしめたこの映画の功績は、非常に大きいだろう。しかしスイートなノマド像の中からは、原著の提起した「分断国家を放置していていいのか」という問題意識が抜け落ちている気がする。中途半端なまま、本質的なことを描き忘れているのではないか。逆に言えば現実を捨象したがゆえに、本作は大きな映画賞に受け入れられたのだ。

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徒然草枕

3.5割と良かった

2022年10月29日
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大人向けでしたが楽しめました

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aaaaaaaa

3.5短期の仕事をこなしながら、バンで車上生活の旅をする女性。 自由気ま...

2022年10月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

短期の仕事をこなしながら、バンで車上生活の旅をする女性。
自由気ままな生活といえば聞こえは良いが、経済的にはぎりぎり。
いつまで仕事ができるか分からないし、年金も不十分。
いずれは誰かの世話にならざるを得ないと思うのだが、そこはぼかしたまま終わる。
放浪生活をしている人には「さよなら」がない、と前向きなコメントもあったが、少し重苦しい作品だ。

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省二

4.0うまく説明できない魅力

2022年10月11日
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この作品の良さは上手く説明できない

どこまでが脚本でとこまでがアドリブやドキュメントなのだろうか

いずれにしても、良作

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がい

4.5野垂れ死の美学

2022年8月4日
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鑑賞方法:VOD

現代人は物やお金では満たされない心の飢えを抱えていると言いたいのだろうか?
お金とも物よりも大事なのは「自由?」
それを求める人々を追う映画。

しかし、自由があれば金は要らない・・・そんな綺麗事とは異なる。
囚われない生き方をする人々、を指す言葉がノマド。
ノマドは「遊牧民」や「放浪者」のこと。
そんなノマドの集団がいるところが「ノマドランド」
彼らは自由や気ままと引き換えに、リスクを買う。
冬場の寒さ、
女ひとりの危険、
そして何より病気や怪我のリスク。
ノマドは高齢化が進んでいると言う。
この映画には、実際にノマドの人々が実名で出演している。
彼らは自分を恥じてはいない・・・
仲間と助け合い自由を、遊牧の民を満喫しているかに見える。
ノマドは「ホームレス」ではなくて、「ハウスレス」、だとのこと。
ファーン(フランシス・マクドーマンド)の矜持が「ハウスレス」という言葉にこもっている。
誇り高き貧乏人の、
高齢者の、
自由人の、
世捨て人。
たとえ荒野の真ん中で野垂れ死しようと、なんの文句が有ろう!
それは正に、幸福な大往生!
ノマドは物質文明を否定しているとともに、
そして資本主義社会から置き去りにされた人々・・・と言う両面を持つ。
時に虚(うつろ)な瞳のファーン。
特に最初のシーンはとてもみじめで辛い。
カサカサの肌、自分で刈った薄毛のベリーショート。

未亡人のファーンはネバダ州の片田舎エンパイアで夫と暮らしていた。
リーマンショックで工場は倒産して、町は郵便番号さえ抹消される。
家を失ったファーンは全財産をキャンピングカーに詰め込み、長距離移動しつつ季節労働者として働く境遇になる。
Amazonの季節労働者。
移動しながら生活のためにする仕事の多くは、
トイレ掃除やゴミ拾いなどの雑役。
正直言って、私は彼らから「誇り」を差し引きしたら、
「不安」「貧乏」「病の危険」
もっと言えば「命の危険」さえ感じてしまう。

この映画は高い評価を受けた。
アカデミー賞作品賞、監督賞、そしてマクドーマンドは2回目の主演女優賞を受賞した。
監督のクロエ・ジャオは有色人種(中国人)の女性として初の監督賞を受賞した。
(原作は「ノマド 漂流する高齢労働者」を元にしている。)

スタインベックの「怒りの葡萄」の中にあった強い憤り。
人々の心の底にあった虐げられた者の怒りは、ファーンには、ほとんど感じられない。
達観。諦め。
流されて辿るアメリカのだだっ広いハイウェイ。
彼らは「ノマド・・・遊牧民」
自由と引き換えにした生き様は、
土に還ること、野ざらし。
風葬や鳥葬に似ている。

過去鑑賞

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琥珀糖

3.5ノマド生活に至る理由

2022年7月30日
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ノマド生活に至る主人公の悲しみがとにかくダイレクトに伝わってくる
重い映画で、社会的になぜノマド生活が発生するのか
その理由の一端が分かるし、自分もそういう選択をするかもしれないなと思わされた作品。
主人公が明るい家族の一員になれたのに、なぜ拒否したのか。
満たされない思いは何だったのか。
なんとも分からないけれど、重いものは受け取れた

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スイカ

3.0景色が綺麗

2022年7月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

長いけど、一つ一つ意味あるシーンの連続で驚く。
ただ、映画館で見たら寝ちゃうだろうな。

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ボケ山田ひろし

3.0ノマドという生き方を教えてくれました。

2022年6月5日
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知的

寝られる

『ノマドランド』鑑賞。

*主演*
フランシス・マクドーマンド

*感想*
ディズニープラスで鑑賞。映画館で観たら、確実に寝落ちしてたかもしれない。(笑)

ノマドを初めて知りました。色んな所で働いて、色んな人達と出会って交流し、そして、別れて、キャンプカーで新たな土地へ向かい、新しい仕事をして、新しい人達と出会って交流する。これを繰り返し、物語が進行していきます。

物語の急展開や、特に変化はなく、淡々と物語が進むので、退屈な所が結構ありましたが、ノマドという生き方をまるで、ドキュメンタリーかのように描かれているので、めちゃめちゃリアルだったので、良かったです。

スリー・ビルボードのフランシス・マクドーマンドも良かったけど、本作の演技が素晴らしかったです。何を考えているのかわからない標準が特に素晴らしかったです。(^^)

面白いか、面白くないかといえば、個人的には微妙でしたが、ノマドという生き方を教えてくれたような感じがしました。

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ひろっぴ

1.0良さがわからん…

2022年4月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

寝られる

なぜ…なぜこの作品がアカデミー賞受賞?どこが評価されているの??この年は粒揃いだったのに…。落ちたわ、観ながら何度も落ちたわ。3日かかりましたよ、ただ観るだけなのに…。

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movie freaks