些細なサインを見落としてた話
永瀬正敏、オダギリジョー、金子ノブアキ。
この三人が出てるってだけでこの映画、見るしかないでしょ!
日比監督の作品は一本も見てなかったのですがキャストだけで期待大。
期待に応えるいい映画だったと思います。
いきなりのスローモーションや花火、狐面の少年とかちょっと演出的にどうなんだろうって思えるシーンも多々ありましたが、物語としては兄弟がいる自分にも刺さる箇所が数か所あって、共感度は高かったですね。
いやしかし、この三人の競演は凄い!実力も知名度もありながら、言っちゃ悪いがこんな地味な作品に出るなんて。
それぞれ、この物語に感じる所があったのでしょうか、なんとなくみなさん役にかなり入り込んでた様に見えました。
家族、兄弟、一緒にいても分からないことだらけですよね、何考えてるか、何に悩んでるかほんとに分からない。
一番まともで頭のよかった次男の死は、その優秀さと優しさと責任感が原因だとは思うけれど、こういうタイプの人ってため込んじゃうんでしょうね。
他の兄弟みたいにもっと気楽に生きられれば良かったのにとか、逃げ出せばよかったのにと思うけれど、それが出来ないほど真面目で優しかったんでしょう、ほんとうに気の毒で可哀そうに思えた。
過去の家族団らんの記憶にすがる姿は切なかったな~。自分も家族が大好きなんで団らんの景色とかずっと守っていきたいと思うし、箸置きのシーンとか胸が苦しくなりました。。
小さなSOSって見つけずらいし、小さいからこそ危険視しずらいけど、助けを求めるのに大きいも小さいもないのかも知れませんね。
自分が生きるだけで精いっぱいな世の中ですが少しでも思いやりの心は残しておきたいものですね。
わき役の大久保さんとか中野英雄の演技、存在感よかったですね、ちょっと笑えましたが安定の演技で心地よかった。
真木よう子は相変わらず美人で元気で癒されるし、今井美樹の倖薄さとかいい塩梅でしたね。
キャスト全体が無駄なく調和のとれた作品だったのではないだろうか。
ストーリーは弟の死を主軸にしつつ、地元の友人の諸問題やら葬式、死の真相など結構複雑というかエピソードもりもりなので若干進行が鈍い気がしました。
それに長男がほんとに自分勝手すぎ、大事な時に連絡入れずに自由行動とりすぎ。長瀬さんだから自然と納得というか苛立ちは覚えなかったけれど、普通に考えてこの兄貴の行動の無責任さはむかつく。
なんやかんや、カメラのシャッターが切れるようになるし、日常に戻るのだけれど、弟の死を受けて何か変わったかは描かれない、もしかしたらなにも変わらないかもしれない。
ただ心に喪失感と傷が残るだけで、そのまま生き続けるだけかもしれない。
そんなの嫌だな~なんて思ってたけれど、冷静に考えてみたら自分もそうなるかもと思った。
悲しいけれど生き方って変えるのは難しい、もしかすると変えられない、いろいろ考えさせられた映画でした。
本作とはほとんど関係ない話になってしまいますが
最近、劇中で祭りのシーンが入る邦画をよく目にするきがするのですが私だけでしょう?
なんとなくですがコロナ禍で弱った心には本能的にあの賑わいが必要な気がします。
感染リスクの問題で祭りに参加しにくいけれど、映像だけでも見るとなんだか心が軽くなります。
いままでそんなに祭りに関心は無かったけれど、今まで続いてきた行事には当然意味がある訳で、心の栄養素たりえるのかなと思いました。
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劇中セリフより
「ニューヨーク、僕も行ってみたいな」
人生を変えるきっかけはいくらでもある。
行きたいところがあるなら行くようにしたいものですね。