はりぼて
劇場公開日:2020年8月16日
解説
富山県の小さなテレビ局が地方政治の不正に挑み、報道によって人間の狡猾さと滑稽さを浮き彫りにする様子を描いたドキュメンタリー。市議14人をドミノ辞職に追い込んだ「政務活動費を巡る調査報道」で日本記者クラブ特別賞などを受賞した富山のローカル局チューリップテレビが、その後3年間にわたって取材を重ね、テレビ番組放送後の議会のさらなる腐敗と議員たちの開き直りともいえる姿を追う。2016年、チューリップテレビのスクープ報道により、「富山市議会のドン」といわれる自民党重鎮の不正が発覚した。これを皮切りに議員たちの不正が次々と判明し、半年間で14人もの議員が辞職する事態に。富山市議会はその反省をもとに厳しい条例を制定するが、3年半が経過した2020年には、議員たちは不正が発覚しても辞職せず居座るようになっていた。そんな議員たちを取材し、政治家の非常識な姿や滑稽さを目の当たりにしていく記者たちだったが……。
2020年製作/100分/G/日本
配給:彩プロ
スタッフ・キャスト
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2020年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
カラスが良い。カラスのインサートショットや本筋とは関係ない公園のカラス駆除のエピソードが挟まれるのだが、これが良いメタファーとして機能している。
公園課の職員が「カラス禁止」の立て看板を設置しながら言う。「カラスは看板の文字を読めないけど、公園に来た市民がカラスを監視してくれればいなくなる」。
富山市議会の屋根に大量のカラスが群がるショットがある。不正を働く市議会議員たちは、汚い金に群がるカラスのようなものだと言っているわけだ。そして、それは市民が監視をせねばならない。
その権力の監視役たるメディアがこの作品の主人公だ。地道な調査報道で領収書の捏造を暴き、多くの市議を議員辞職に追い込むことに成功する。だが、不正が次から次へと発覚し、次第に議員側もスキャンダル慣れしてしまい、辞職しなくなっていく。結局、何も変わらないことに愕然とする。
メディアが主人公だが、メディアを持ち上げるわけでもなく、自分たちもまた「はりぼて」であることを示唆して映画は幕を閉じる。市民も政治家もメディアもはりぼてから人間にならないといけない。
2023年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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第二の議員報酬とも称され、全国の地方議会で不正使用が後を絶たない政務活動費(政活費)、城崎温泉(豊岡市)に195回の空出張を繰り返した兵庫県議の野々村竜太郎の2014年7月1日の号泣会見がTVで報じられ呆気にとられましたね・・。
本作はその翌年、富山市議会で連鎖辞職騒動を巻き起こした不正議員への取材活動を描いたチューリップTVの報道ドキュメントです。
領収書の改ざんなどすぐにばれるのは子供でも分かりそう、余りにも稚拙な犯罪、謝罪したり開き直ったりする当事者と他人事のような為政者、地元の損得しか考えない市民が御用聞きのような議員を輩出してきたことは自明ですね、本作はまさに日本の政治の本質を突いた悲喜劇です。
当時、チューリップTVの報道キャスターで取材の中心人物でもあった五百旗頭幸男(いおきべ ゆきお)監督は、不正を働いた議員が悪いのは基よりだが単純に正義感で片づけられない根の深さを感じている、はりぼてとは日本の戦後民主主義を象徴する言葉として用いたとも語っていた。
退社シーンでやっぱり会社に圧力があったのかと思ったが真相は不明、五百旗頭氏は石川テレビに転職後も石川県議会に矛先を変えた「裸のムラ」を撮っています。
さんざん報道されているので映画にしてまで観ようとは思いませんでしたが、色々考えさせられる良作でした。
2023年5月31日
Androidアプリから投稿
おもしろすぎる!使い込みは富山の風土病なのかとすら思うほど。最初の中川ってジイさんが巨悪なのかと思ったら次の五本というジイさんのほうがたちが悪いし、クリーン丸出しだと思った村上という人もまったく同じ。誰が最後まで立っていられるのかゲームみたいで面白すぎる。いろんな騒動があったのに何と制度大好き市長はまだいた。熱血ストーカー議員のお口直し的な挿入も愉快。テンポのいい編集も良い。
2023年5月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD