海の上のピアニスト イタリア完全版のレビュー・感想・評価
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完全版3時間あっという間でした
昔インターナショナル版を観た時は、自分もまだ若く、1900が船を降りなかった理由にあまり共感できなかった。
女の子に会いにいけば良いのに、新しい自分に出会えるかもしれないのに、そう思っていた。ほんのちょっとだけ降りてみて、ダメならまた戻って来れば良いじゃない。
けれど、広すぎる世界、変わり続ける時代、多すぎる情報、戸籍はあっても、年齢、性別、資格なんかで篩にかけられ、どうやって生きていけば良いのか、この先に何があるのか、悩み続け、迷い続ける今は、少しは共感できるかな。コロナ禍の中、本当に先が見えない。
今回、完全版では幼少期のエピソードも増え、ぶつ切りに感じられた1900の半生も、以前は唐突に思えた廃船の中の1900の現在へのつながりも感じられた。
病院船の中で、1900はどんな演奏をしていたのだろうか。
マックスは知らないので、語ることができないし、観客も聴くことはできない。
ダニーとの別れの中で、ダニーと入れ替わるように1900の元へ届いた微かな「音楽」。そんな儚い演奏を想像してしまう。
1900の音楽が死で始まり死で終わるのは、あまりに寂しいから、最後に彼は音楽そのものになったと思いたい。
サントラもオススメです。
映画の醍醐味
映像、音楽、映画作品としての総合評価は★5つ!
海の上のヴァージニアン号という豪華客船の中だけのいわゆる密室劇なのに、
とにかくスケールがデカくて、なんだろう海のパワー? 装飾の豪華さ??
終始、自分も大海原を旅する乗客? 乗組員?? になった気分だった。
だけど、だけど、
わたしは、1900に船から降りて欲しかったよ…。
終わりなんて誰も判らないのに、
彼は臆病者だよ。
違う世界で生きてみて欲しかったよ!
マックスも無理やり、引きづり降ろして欲しかったよ!!
だから、★4つな気分…。
ただラスト、1900は本当にあの廃船に居たの?マックスの希望的妄想??物語???
映画って、ノンフィクションやドキュメンタリーや、事実に基づくお話や、いろいろあるけど、
この現実にありそうで、無さそうで、ありそうで、いや無い無い!
と自問自答しちゃえる作品って、本当に面白いし、
これが映画の醍醐味だなー。と、つくづく思いました。
全シーン美しい。
イタリア完全版で、初めて観ました。3時間近い作品だけど、音楽も、撮り方も、言葉も、どのシーンも隙がなく、かっこいい。美しい!
彼の最後の決断は普通だったらぜんぜん理解できないんだけど、それまでの全シーンをもって納得させられてしまうんだよなあ。
特に好きなシーンは、嵐の中で船内を巡りながら演奏するシーンかなあ。ファンタジックで心が躍る。
でも決闘シーンもいいし、一目惚れした女の子を見つめながら演奏するシーンもいい。あんなロマンチックな一目惚れシーン見たことない!
あぁ…映画だ! 至福❤️
初見。40分ブラスの完全版とのこと。だるだるするかな…と心配でしたが、これが初見で幸せでした!
どこがどう増えたのか全然わかりませんが、これ削るところないじゃないですか!? すべてのエピソードがあますところなく簡潔で完成されていて、語りすぎず語らなさ過ぎず、冒頭から最後まで練りに練られたストーリー構成。芝居がかり過ぎ感はままあれど、どこかおとぎ話にしたいという演出なんですよね。1900はまさにおとぎの国の人。
タラップで立ち止まるシーン、何故かトゥルーマンショーの出て行くシーンと重なりました。逆なんですけどねw
幸せになれました。キレイな宝石のような作品…なんて批評の定常文があるけれど、ホントにそういうのあるのねぇと感心しきりです。
ドラマじゃなくて、舞台じゃなくて、映画だからこそのコレである。なんていうか…映画カッコイイ👊👊👊
感慨深い作品
船はどんなに大きくてもその範囲は限られている。陸地での生活に比べると船での生活は狭い世界のように思える。主人公1900は生まれてから死ぬまで一度も船を降りることがなかったという作品紹介の通り、人生のすべての時間を船上で過ごした訳だが、作品の世界観は決して小さくない。船とそこで仕事をする人々、旅をする人々のすべてと世界との関わりまで広がっている。リバティ島を見て「アメリカ!」と叫ぶシーンは、三等客室の苦しい旅をする人々の解放された喜び、目的地に到着した喜びが爆発するようだった。
船には乗船し合わせた数千の人々が運命共同体として目的地に運ばれる。凪があり嵐がある。事故も起きる。人間関係は単純だが深い。そこには多くの人生が生々しく存在し、主人公はそのすべてを受け止める。
殆どが船の中のシーンだが、少しも退屈することはない。トランペット奏者の思い出話で語られる形式もいいし、主人公の人生に感動して話を真摯に聞く人たちの態度にも感銘を受けた。
音楽家は人生を奏でる。奏でられた音楽は聴く人々に響き、その人生を勇気づける。音楽は主人公の人生そのものであった。偶然と必然。人はこのように生命を燃やすものなのかと改めて思わされる感慨深い作品であった。
先々週初めて観て
今週は、イタリア完全版を鑑賞。
こちらの方がずっと良かった。
音楽シーンをたっぷり楽しめた。
小さな1900と船の乗員達との交流、
3等船室での1900の媚びないピアノ、
病院船での1900(セリフだけ)、少女のお父さんの北イタリアの農夫とのシーン、などがゆっくり楽しめた。
見終わって、人生が一度終わったような深い感慨があった。
1900にとってあの船は、母だった。
船から降りるときに誰かと一緒で、行くところ、する事がわかっていたら、違った人生になっていたのかなぁ…?
イタリア完全版の存在を知らなかった
21年前観た。印象的ピアノ多い。気付いていたが、イタリア版を観て1900の悲しさ、船員、移民の様子、コメディ調のシーンの強調に改めて気付かされた。
イタリア版で気付いた点
・機関員たち家族としての船員、様々な職種の触れあい、教育しようとしたこと
・出生記録がなく社会的に存在しなかったことの強調
・ThanksDannyの歌
・様々な人種の移民、船員の登場
・ThirdClass(三層)の移民とそこでのピアノ演奏の強調
・ドクターの名前が長すぎたこと
・Senatorが1900のため乗船しインタビューをセッティングしたこと
・Duelの精神とルールの説明
・対決したJerryRollMortonが涙を流し泣いていた
・たくさんの船員たちが1900との別れに来て別れのシーンが長かったこと
・エンドロールの主人公の名前がNovecentoになっていた
好きな言葉
・陸から海の声を聞けば生きるべき道を決められる
・終わりない無限のストリート、で表現するのは神のピアノ
イタリア完全版を観て、妙に特徴的で目立つ登場人物やシーンの経緯が理解できた。
美しい映画だと思います。
初演の時、見逃して後悔していた本作。およそ20年の時を経てイタリア完全版で戻ってきました。都会の映画館で1日1回のみの上映だからとはいえ、平日なのに満席。ちょっとびっくりしました。
登場人物がみな温かい。冷静に考えればファンタジーなんでしょうけど、最近こういうテイストの映画ってない気がします。なんか寂しいなぁ。
陳腐な表現ですが、すべてが美しく感じました。
残された友人が切なかったですが、楽器屋の優しさに救われます。彼にはずっとトランペットを吹いていて欲しいです。
自分の拠り所というものが無かった天才ピアニスト
多分、これは観る度に印象が変わる映画の一つです。
1900年の1月にアメリカ行きの豪華客船の上で拾われ、”1900”と名付けられた男と深く関わったという、トランペット吹きのマックスの告白。
”1900”は天才的なピアノの才能が評判となり、富と名声を手に入れることが可能なのに、戸籍が無いまま海の上で一生を過ごし、朽ち果てた船とともに人生を終えます。
短いインターナショナル版を観た時、色々疑問が湧きました。
なぜ戸籍が無いままだったのか。
ジャズ対決をした時、なぜ最初は勝つ気が無かったのか。
強く心惹かれた少女をなぜ追わなかったのか。
やはり船を降りようと決心したのに、なぜ突然止めたのか。
戦争が始まって客船は病院船となってしまっても、そして廃船となっても、留まったのはなぜか。
今の私が受けた印象は、”1900”には執着というものが無かった、という事です。「なぜ?なぜ?なぜ?…陸の人間は理由を求めすぎる」と彼は言いました。
ジャズ対決でも、相手の実力をすぐに見抜いたのに、2曲目までは相手を勝たせてもいいと思った。
絵の額が落ちて、船を降りる気になったのに、タラップの途中でふと未来を想像し、先が見えなかったからと下船を止めた。マックスには「終わりがない場所では音楽を奏でられない」と語りましたが、投げた帽子が海に落ちずに陸に届いていたら上陸したのではなかったか、と思いました。
”1900”は次々と美しい旋律を作り出し、”神の領域”の演奏技術もありましたが、たまたま音楽の才能を持って生まれただけで、音楽に執着はそれほど無かったのかもしれないと思えたからです。そしてそれは、船上で生まれ、十分な教育も受けられなかった彼には、自身が拠り所とするものが何もなかったからではないかと思うのです。
でも、もっと後に観たらまた違う感想になるかもしれないです。
不思議な味わいのある作品ですが、見どころは音楽シーンで、ジャズ好きにはたまらないと思います。
ひきこもり聖者
時間に余裕ある時に、またゆったりと観たい。
最初と最後がいまいちで、むしろ短縮、省略してほしい。女子部屋パートもやめてほしい。
友人との出会い、初恋、ピアノ対決はもっと尺あってもよかった。
かつての時代、アメリカ、ニューヨークは旧大陸からの大衆が未来に夢を見る存在だったのが、自由の女神、ビル群で湧き立つ。
唐の都、ローマもそういう湧き上がる夢の街だったのかも。
トランペット奏者の回想だが、本当にそうなら世界的に話題の人物だろうけと。。
シンゴジラは、ゴジラ概念の存在しない世界だった。ゴルゴ13もドラえもんも007と同じあの構造か。
そう観れば、ファンタスティックな世界は、やはり船の爆破と共に消えるべきだったのですね。。
海の上の多様多彩な人間世界
海の上の閉じられた船の中でのピアニストの音楽は、どこまでも広がる限界の無い世界を人々に届ける。
一方、船を離れる人々の世界はどこも同じ、荒廃したグローバルな均質空間。
この映画は痛烈な都市文明批判かもしれない。
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