ヤクザと家族 The Familyのレビュー・感想・評価
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日本映画、新時代の幕開け。ゼロ年代となりうる作品。
いわゆるVシネというジャンルはあまり観たことが無いので、ヤクザ映画の醍醐味というのがイマイチ分からないけど、それでも「これがヤクザ映画か!」と実感する極道を貫くバイオレンス活劇。
綾野剛の現代に呆れた若かりし頃の表情から、目がギラギラと光るカッコイイ表情。そして魂を抜かれたような死んだ表情。
そして3つの時代を異なる画角(シネスコ、IMAXサイズ)で描く構成の巧みさよ。
色濃いシネスコサイズ(横長画角)には血みどろなヤクザの世界を提示し、ヤクザの分裂と闘争を表現。ここまでは堕落した男がヤクザに光を見出した姿を描き、ドラマもしっかりしたエンターテインメント作品として面白い。
がIMAXサイズ(正方形)で現代を映し出すとどうだ。色濃い照明は消え失せ解像度が下がったようなすっからかんの映像。綾野剛の死んだ表情。舘ひろしの頼りなさ。ヤクザの虚しい後ろ姿。
変わった人と変わらない人。
なんだろう。言葉が出なかった。
とにかく灰色の世界で堕落した男がさらに堕落し不幸のスパイラルの繰り返し。
そして最高に胸糞展開し、見覚えのある水中のワンシーン。藤井道人はこの表情が撮りたくてこの映画を作ったのだろうか。
あの綾野剛のラストシーンは素晴らしい画面設計でした。アイコンにしたいくらい。
『ヤクザの家族』ではなく、『ヤクザと家族』ということは、「ヤクザ」と「家族」は完全に二極化しているということ。
結構みんなは「山本にとっての家族はあの人で…」と考察してるけど自分の解釈は「山本は結局、家族がいなかった」という感じ。ヤクザによって崩壊する家族も描いているので負の面での『ヤクザと家族』だと思った。
ヤクザと言う存在が煙のように付きまとう男のクロニクル。『哀愁しんでれら』といい、『すばらしき世界』といい、去年ならば『ミッドナイトスワン』といい、最近は疎外された人間の「不幸のスパイラル」というテーマが流行りなのかもしれないな。
藤井道人監督、急に大御所感出て来ました!A24制作の夢を諦めず頑張って貰いたい。2020年にも変わってきてると感じたが、2021年は日本映画新時代突入の年かもしれない。
最後だけ…うーん
でもきっとこれが現実
今までによくあった「漢」と書いて「オトコ」と読むような男の美学みたいな話でもなければ、ヤクザ同士の抗争のドンパチ映画でもない。
なのでヤクザ映画は痛そうで苦手と思って観るのを躊躇してる人も比較的観やすいかと思います。
(多少痛いシーンはありますが)
1人の男が家族を求めてヤクザの世界に入り、その世界で生きた成れの果てに何が待っているのか。
どうしても主人公目線に立ってしまうので辛く悲しい想いに寄り添ってしまったけれど、きっとこれが現実であり、所詮普通に生活している私も役所の人々の様な態度を取るんだろうか。
綾野剛さんがとにかく素晴らしかった。組長に、行くとこはあるのかと聞かれて泣くシーンがとてもよかったです。
内容の構成と役者の演技が秀逸。
まず、舘ひろしや綾野剛をはじめ多くの役者の演技が素晴らしく、しっかり物語に感情移入させてくれました。
次に、ヤクザモノの映画の新たな見せ方を感じました。
昭和・平成・令和で変わる社会の中でのヤクザの立場の移り変わりを描く構成、舘ひろし・綾野剛に類似する場面を演じさせ半グレも同じ道を辿ると言う暗示(類推)など、暴力だけではない部分の作り込みがしっかりしていてマンネリ感を感じず楽しめました。
そして、タイトルにもある家族の見せ方がヤクザと言うものの現実をうまく表現しています。
血縁のある家族、ヤクザの親父や兄貴のような絆としての家族を両面描きそれがよりヤクザと言う組織の現実を際立たせています。
推測ですが、副題の「the family」は絆としての家族を表現していると思います。
最後に、この映画はヤクザの絆の強さと組織の抱えるジレンマを家族というものを通して非常によく表現されているここ最近でも指折の映画だと思いました。
残念なところといえば上映回数があまりにも少ない事でしょうか。さまざまな意見や自分では気づかない描写や物足りない部分など、より多くの意見をもっと見たいです。
エンディングまでしっかり楽しめる映画です。
気になっている方は是非観てください。
ヤクザ映画とは
これも一つのレガシーなのか
藤井道人監督✕綾野剛
重かった
文句無しで痺れた
久々の劇場鑑賞作は、大傑作のヤクザ映画だった。そう、敢えて言うが、これは立派なヤクザ映画。但し、アウトレイジや狐狼の血のようなバイオレンスフィクション臭満載作品(これも決して嫌いでは無い)では無く、現代社会での等身大のリアリティヤクザ映画とでも言えば良いのか。ま、偶然や不幸の連鎖なんかは作り物感あるが、とにかく時代の流れの中で主人公の生き様を、ただただ自然体で見つめるだけでグイグイ引き込まれる。実に人間味溢れた傑作品。
言わずもがな、(本作ポスター見ても察せるが)タイトルの意味は、ヤクザ組織内の家族表現と、リアル家族の2種類の意味を指している。
義理人情とメンツ重視のヤクザ界故に、常にいざこざが瞬間沸騰で起こるが、反面クールな時間帯はどこか居心地良く、微笑ましく暖かみあり実に人間深い。暴力団を肯定する事は無いが、本来の地の通った人間味とは今の時代には決して合わないヤクザ、この生き様には今の時代だからこそ何か愛おしさを感じる。しかし、5年ルールとかネット晒しからの周囲の目、癒着警察から浴びせられる非常な言葉で現実に戻される。だからヤクザにならない方が良いんだよの警告にも思えて、甘っちょろい気持ちは吹き飛ばされる。あれ?振り回されてる、この映画にのめり込まされてるな、俺w。
脚本の出来は素晴らしいし、出演者全ての演技力が凄い。間違いなく綾野剛の代表作となるだろう。
冒頭から最後まで、あの煙突から出る煙は変わらずもくもくと出ている事に、色んな事を考える。
とにもかくにも、久々の劇場鑑賞は大当たりだった。ありがとう。
自業自得だけで済ませない悲哀
社会で平和に生きていきたい普通の人にとって、関わりたくないし多くの人が関わらずに済むヤクザという存在。昨今“反社会勢力”として世間から弾糾されることも多く、それが一概に間違ってるとは思わないし、彼らによって苦しめられる人もたくさんいるわけだし、ヤクザを擁護する気は全くないです。
ただ、その生き方しか出来なかった、後悔してやり直そうとしてる人もいるわけで。一度道を外れたらもう二度と戻ることを許さない世の中の容赦のなさは、やっぱり見ていて苦しかった。
藤井監督の描き方は、本当に起きていることなのかもしれないと思わせるリアリティがあり、本作もまた、こういった弱者がいるという一つの視点の気付きを貰えました。
たくさんの人に観てほしい
事前知識なしで家族の進めで観に行きました。
語るに落ちるといいますか、私が今さら語ることもないですが、全ての役者さんたちが素晴らしかったです。カメラワークも凝っていて臨場感もあり音楽も感情とリンクしていて良かったです。上映時間の分数を確認したときは長いかもと思っていましたが、そんなことありませんでした。説明不足も説明過多もなく物語に説得力があり、自然な運びで進んでいくので、さすがとしかいえない。ただ他のタイトルはなかったのかしら?観賞済みの家族の進めがなかったら観に行かなかったです。
どうしても暴力シーンがあるので好みが別れそうですが、切なくも優しい義兄弟と家族愛に溢れたこの作品が私は好きです。
重い
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