ヤクザと家族 The Familyのレビュー・感想・評価
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絶滅危惧種の物語
この世界でしか生きられなかった
当初は、ヤクザをメインした映画は見る気持ちにはなれませんでしたが、これまでのヤクザ映画とは違った視点で描かれていると聞いて見ることにしました。
綾野さんはもちろん、役者の皆さんの演技が圧巻でした。
主人公を見てると、もっと賢く上手く立ち回れるんじゃないかと思うかもしれない。だけど、本来の家族を失った(または元から恵まれていなかった?)からこそ、手をさしのべてくれたヤクザというもうひとつの家族を愚直なまで守ろうとしたのでは。
ヤクザになったがために、愛や安らぎを得ることが難しくて、でも彼らはそこにしか居場所がなかったんだろうと思うと切ない。
エンドロールで流れるmillennium parade の楽曲がレクイエムのように響いて、映画の余韻をより高めてくれました。是非最後まで席を立たないことをおすすめします。
藤井演出をどう取るか。
ここまでいいとは思わなかった
「新聞記者」はちょっと過大評価だと思っていたので、ここまで映像ショットが撮れる監督だとは思わなかった。けっこうしびれるカメラワークのシーンが随所にあった。後半の綾野剛の淋しそうな、諦念してしまっているかのような、表情がいい。その意味では主役のキャスティングも正解。この映画、従来の暴力団同士の抗争だけではなく、改正暴対法や暴力団排除例の導入後の、反社会的勢力が根絶やしにされようとしている厳しい情勢を描いている点で非常に画期的である。反社会的勢力は銀行口座を開設することも、使い捨てでないケータイ電話を契約することもできない。ヤクザを止めても5年はその状態が続く。その諦観するしかない彼らの「悲しさ」が後半映像や役者の顔に描かれている。従来のシノギの変わりにうなぎの稚魚の密漁を資金源としているのは、鈴木智彦さんの「サカナとヤクザ」という本でも描かれているけれど、その辺りの彼らの変貌が悲しいのだ。ネットの怖さを知らない無邪気な青年がSNSで漏らした写真から、せっかく堅気の仕事を得たばかりの彼らにも、反社会的勢力のレイベリングと排除がはじまり、彼らと関係のあった市民も巻き添えをくらう。旧来の暴力団ではない、いわゆれ「半グレ集団」のリーダーも登場する。その木村翼役を演じた磯村勇斗君がなかなかよかったと思う。
不器用者たちの家族
やくざにしかなれなかった人々の悲しみ
藤井監督の作品と綾野剛さんと舘ひろしさんのメンバーで見たかった映画でした。3部構成になっていて、綾野剛演じるやくざの父が麻薬で死んで、絶体それだけはやらないと決め、舘さんが親分の組に入る、抗争に巻き込まれ上役の代わりに刑務所に十何年も入る。兎に角、最初はやんちゃなを演じ、舘さんのファミリーとして動き。刑務所出てきたら、法律が変わりやくざでは生きていけない
時代になって体を使う仕事を始めて、好きだった尾野真千子演じる彼女と再会して、公務員として働く彼女の家に転がり込む。自分の子供としりながら家族として過ごす。昔の知り合いと働く場所で写真を撮られSNSにあがる事で彼女がソープ嬢だった事や仲間に嫌われ。泣く泣く別れることになるが彼女の携帯の留守電に残した言葉が泣けます。家族で良かった…。最後は死んでゆくのですが、若い時のギラギラした眼と亡くなる頃の優しい眼を綾野君は表現してて、とても良かったです。
じんわりとくるヤクザの物語
キレキレな映画
役者がバケモンすぎる
ストーリーは決して難しくなく
登場人物の背景や感情、変化が割とわかりやすく描かれているので、余計なこと考えずに映画に集中できた。セリフの違和感とか演技とかは実際のヤクザに会ったことも話したこともないしそもそもが分からないから「そういうもの」として観れた。
自分の中でヤクザのイメージはあっても
実際どんなことをして生きて死んでくのかはわからない。それでも感じることの多い映画だった。
どうしようもなく時代に流されて淘汰されていく様が本当に切なくて、哀しくて、でも温かい部分もあって。
「綺麗事だけじゃ飯食っていけない」
このセリフが心に残っていて、色んなことを考えた。
一度沈んでしまった人間に救いはあるのか。
真っ当に生きることは許されないことなのか。
それはヤクザに限ることではないし、
自分がこれからの時代を生きる社会の一員としてどう生きていきたいかを考えさせられた。
本当に語彙力がなさすぎて
感じたことを言葉にするのが難しくて
すべて涙になってしまったけど、
それくらい複雑で深い感情になった。
映画の詳しい演出とか、役者の演技の良し悪しとかに詳しくはないし、ダサいとか寒いっていう意見があるのは、作品にとって当たり前だと思うけど、
この作品の役者は全員バケモンやった。
綾野剛をはじめとして浮いてる役者はいなかったし
役者の作品にかける想いが伝わってきた。
主題歌、エンドロール含め本当に良かった。
いずれサブスクとかに出るんだろうけど、
おうちでぬくぬく見るのではなくて、
ぜひ、映画館で見てほしいと思う。
ヤクザ映画ではないヤクザ映画
変わりゆくヤクザ世界の20年を描いた。
役者陣の素晴らしい演技、久しぶりに映画館で観るべき映画でした。
ヤクザである・あった(過去)だけで、二度と普通の生活には戻れない。
SNSは国民主体の総監視システムなのね。
ヤクザに同情するわけではないけど、SNSは怖い。
平成ヤクザの悲哀
昔のヤクザと今のヤクザ
ヤクザは生き方ではなく、居場所
ワンデーフリーパスポートの2本目
ヤクザものは好きではないのですが、家族や絆を訴えるような予告にひかれて鑑賞してきました。期待どおり、これまでのヤクザものとは一線を画す、心に響く良作でした。
本作では、組同士の激しい抗争をメインに据えず、徹底して山本賢治にスポットを当て、周囲の人とのつながりの中で、賢治の人としての成長や家族の絆を描きます。と同時に、差別や偏見、無責任な誹謗中傷など、現代社会の抱える闇にも警鐘を鳴らしています。
父親を覚醒剤で亡くし、刹那的な生き方しかできなかった賢治を変えたのは、柴崎との出会いです。初めは反発していた賢治が、親子の契りを結び、その考え方や生き方を変えていく様子が丁寧に描かれます。賢治にとってヤクザは、生き方ではなく、居場所だったのだと思います。世間からも家族からも捨てられたような賢治にとって、柴崎の包容力はとてつもない安心感を与えてくれたのではないでしょうか。
山本賢治役の綾野剛さんの渾身の演技も光りますが、それを支えているのは、なんといっても柴崎役の舘ひろしさんの演技でしょう。圧倒的な貫禄で存在感を発揮し、賢治にかける一言一言が泣かせます。
賢治と柴崎は血縁のない、親子の契りを交わしただけの関係です。それでも賢治は、柴崎を実の父親のように慕います。それは、自分を拾ってくれた恩に報いるといった面もあったでしょうが、それ以上に絶対的な居場所を与えてくれる安心感がそうさせていたのではないかと思います。この絶対的な居場所こそが家族であり、賢治にとっては、それがたまたまヤクザだっただけなのです。
その一方で、血縁のある実の娘や愛する女性には受け入れてもらえず、そこに自分の居場所がないというのは、なんとも皮肉なものです。家族とは何か、何をもって親子というのか、いろいろと考えさせられる内容でした。
ヤクザに人権はない。確かにそうかもしれないし、それでいいと思っていました。しかし、それがちょっとだけ変わった気がします。もちろんヤクザを認める気はないですし、社会から根絶すべきだとも思っています。だからといって、少なくとも足を洗い、カタギになった人間まで誹謗中傷で責め立てることが許されていいわけがありません。ましてやその家族にまで矛先を向けるなど、もはやどっちがヤクザかわかりません。ヤクザにしろカタギにしろ、最も大切で守りたいものは家族なのだと、改めて感じました。先に観た「哀愁しんでれら」とそこは重なるのですが、心に響く重さは比べものになりませんでした。
邦画でもやれるじゃないか
只々骨太な良いドラマを見せて貰いました。
気になる点としてはヤクザを綺麗に描き過ぎている所、東海テレビのヤクザと憲法の影響をかなり受けている所、過去から現在まで長いスパンで描いているので少しテーマが散漫になってしまっている所などけっこう粗はあります。
またラストひとつ前のシーンは話の展開としてはハッキリ言って0点です。
あの人物がラスト前に主人公の綾野剛に対してあの行動をする為の動機が弱い。原因となる部分もモンタージュ的に描いているので感情移入出来ずおやっと思ってしまう。
ただ、ラスト。あのラストシーンには唸りました。あれは発明であり発見であり、生きた人間を描く事に成功している数少ない映画になりました。見事です。あれこそが小説にも漫画にもない映画の醍醐味です。
ラストが100点なので結果的に映画も100点です。
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