パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.

劇場公開日:2020年6月5日

パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.

解説・あらすじ

2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞したほか、第92回アカデミー賞でもアジア映画で初めて作品賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げた「パラサイト 半地下の家族」のモノクロ版。第72回カンヌ国際映画祭で通常のカラー版がお披露目されるより前に作られたバージョンで、映画がまだモノクロだった時代のクラシック映画にあこがれるポン・ジュノ監督の夢をかなえるために作成された。「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞をはじめさまざまな映画賞を席巻し、日本でも2020年1月に劇場公開されると韓国映画史上ナンバーワンとなる大ヒットを記録するなど大きな話題を呼んだことから、モノクロバージョンも劇場公開される。

2019年製作/132分/PG12/韓国
原題または英題:Parasite
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2020年6月5日

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映画レビュー

3.0 それぞれ違う良さがある

2020年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 過去に通常バージョン(カラー)鑑賞済み。
 モノクロバージョンは、視覚情報がカラーよりシンプルなせいか、獏とした印象だが落ち着いて観られる感じがあった。そして特に半地下の部屋の暗い猥雑さや、豪邸の地下に通じる階段の入り口の不気味さがより印象深く伝わってきた。夜中に息子が冷蔵庫の前から階段の入り口を見る例のシーンなどは、モノクロだからこそのインパクトを感じた。
 ただ、パク一家の豪邸での華やかな生活の描写は、カラー版の方がその雰囲気が伝わってきたように思えた。半地下の生活との対比として重要なパク家族の生活の眩しさの表現は、カラー版を観た後ではどうしても物足りなさを感じた。
 終盤クライマックスの混沌も、個人的にはカラーの方が鮮烈で好み。
 監督はモノクロ映画に強いリスペクトを持っているためこのバージョンを公開するに至ったそうだ。今回の試みは全く否定しないが、カラー作品をモノクロ変換(もちろんこだわってチューニングしたとのことではあるが)したものでなく、最初からモノクロ公開のみが前提の作品も一度作ってみてほしい(もし既に作っていたらごめんなさい)。
 鑑賞の順番が逆だったらまた印象が違ったかもしれない。モノクロ版を称賛するのが映画通の証左であるかのような風潮(私の妄想でしょうか)と自分の素の感性を隔離するのにも少し気を遣う。こういうバージョン違いはちょっと悩ましい。この悩ましさを楽しめるところが醍醐味かも知れない。

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ニコ

4.5 A Classic upon Inception, More Timeless in Black and White

2021年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

South Korea's best picture winner Parasite is a perfectly balanced classic. The first time I saw the film without knowing any details of its plot, and all its turns captivated me. Upon a second viewing, I was pleased to find that the film's strengths hold up, and there is plenty of detail in the film's robust elements of contrast that make it an undeniable masterpiece. Great even without color!

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Dan Knighton

4.0 トラブル発生

2025年9月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

驚く

ドキドキ

 モノクロVer.をHuluの配信で観ました。
 字幕版を再生中、途中から字幕表示が無くなるというトラブルが発生して、韓国語がワカラナイため日本語吹替版を観るしかないという状況になりました。
 この時、まだカラー版を観ようとは思っていませんでした。

 下の文字に視線を落とさずに映像をしっかり味わうことができるため、日本語吹替版も良いものです。

 富裕層の家族と貧困層の家族が、ひとつの家に集まっていく様子が、スパイ防止法が無い珍しい国である日本に、戦略的に入り込んでいる某国と重ねて考えることもできます。
 階段を使用して上下関係の立場を表現をしたのも良かったです。

 本編2時間11分が、あっという間でした。
 鑑賞後、カラー版を観たいと思うようになりました。
 今、そのための計画をしています。

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Don-chan

3.5 一筋縄ではいかない曲者作品

2022年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

娯楽性、社会性、風刺、狂気、等々、様々な顔を見せながら、最後は収まる所に収まるという離れ業のような斬新な展開で、心に刺さる作品である。要素が多過ぎて、面白いとかつまらないとか、本作を一言で語ることは難しい。
カンヌ映画祭、アメリカ・アカデミー賞を制した作品ということで、覚悟して鑑賞した。予想通り、個性的で、一筋縄ではいかない曲者作品だった。鑑賞力が必要な作品であり、万人が楽しめる作品ではないが、格差社会を従来作とは異なる視点で捉えた意欲作である。

本作は韓国の貧困家族の物語。彼らは職に就けず、ギリギリの生活をしていた。ある日、長男の富裕階級の友人が留学することになり、家庭教師の代役を依頼される。長男は、経歴を偽り、家庭教師先の母親に巧みに取り入り、富裕階級家庭の家庭教師となる。家庭教師を起点として、彼らは富裕家族との接点を徐々に増やしていくのだが・・・。

題名通り、富裕家族との接点を増やしていく前半は、胡散臭さはあるが、貧困家族の能力は本物なので、サクセスストーリー風の、コミカルで小気味よい展開で作品世界に入り込むことができて痛快だった。しかし、世界を席巻した作品がこのままいくわけはないだろう、後半で本作の本性が現れるだろうという予感がした。

予想通り、後半、接点の増加がピークに達した時、作風が一転する。シリアスな展開になっていく。さらに、予想外の足し算もあり、作品の軌道が見え難くなる。終盤で事態は決定的な段階を迎え終息する。

前半は、格差社会に挑んだ貧困家族の挑戦だった。攻めの章だった。一転して、後半は、守りの章となる。貧困から這い上がり経済的に豊かになった者にとって、貧困に戻ることは耐え難い苦痛となる。だから、彼らは、形振り構わず豊かさを死守しようとする。終盤の展開が象徴的である。

格差社会の底辺で藻掻き続ける者達の悲哀を描いた作品は多い。本作は、その悲哀を斬新な設定で捉えた怪作である。

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みかずき

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