ミッドサマー ディレクターズカット版

劇場公開日:

解説・あらすじ

長編初監督作「ヘレディタリー 継承」で高い評価と注目を集めたアリ・アスター監督の第2作で、スウェーデンの奥地を舞台に描いた異色スリラー「ミッドサマー」のディレクターズカット版。オリジナルの劇場公開版ではカットされた未公開シーンを追加し、上映時間は2時間50分に。日本における映倫区分はR18+(18歳以上が鑑賞可)となった。不慮の事故で家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人とともに、スウェーデンの奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」に参加するため、現地を訪れる。太陽が沈むことがないその村には美しい花々が咲き、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園のような場所だった。しかし、そんな村にやがて不穏な空気が漂い始め……。ダニー役は「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」でアカデミー助演女優賞にノミネートされたフローレンス・ピュー。

2019年製作/170分/R18+/アメリカ
原題または英題:Midsommar: The Director's Cut
配給:ファントム・フィルム
劇場公開日:2020年3月13日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0少数民族の文化を「怖い」と感じることについて考えた

2021年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

これはホラー映画なわけだが、少数民族の文化はこのグローバル時代にいかに護られるべきか、あるいは護ってはいけないのか、ということを真面目に考えてしまった。
あのスウェーデンの村の伝統文化は、現代社会の価値観では認めるわけにはいかない野蛮なものだろう。しかし、あの村ではそれを文化として護ってきた。それをグローバルな価値観でジャッジしていいのかどうか。
この映画は、そういう議論をホラー体験として語ることで回避している気もする。しかし、あの若者の一部があの文化に取り込まれていくのを見ていると、回避はしておらず、むしろその問題を真っ向から描いているとも解釈できる気もする。
そもそも、この村を怖いと思うのは、どんな視点で見た時か。僕らはなぜか、当然の前提として、近代人の価値観でこの映画を観てしまうが、そもそも、なぜその価値観の正当性はあるのかと疑問に思う必要もある気がする。
僕はこの映画を怖いと思った。しかし、これを怖いと感じることには、自分の中に、ある種の傲慢さがあるようにも感じた。

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杉本穂高

4.5ダニーとクリスチャンの関係により踏み込んだ、狂気がぶつかり合う完全版

2021年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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ホンダケイ

3.5美しさと不気味さのギャップが生むやるせなさ

2025年2月24日
iPhoneアプリから投稿

冒頭のダニーの人間像、ダニーをとりまく友人たちのキャラクター造形、
実にうまく設定しているなと思う。

そして、
白と緑のコントラストが美しい映像と
ホルガの神秘的且つ不気味な文化。

祝祭のシーンがめちゃめちゃ長い、、、が、丁寧に描いているとも言える。
これがあるから不気味さが際立つ。
美しいビジュアルとグロテスクの競演。
崖からの飛び降りシーンがまずもってショッキング。
人が顔面を潰す行為もどうかしている。
72歳を超えるとああなるのか・・・。死生観が狂っている。
火葬シーンも醜悪。
顔面が潰れるのは、アリ・アスター作品らしさでもあるが、見るに堪えない。

あの儀式を見たら普通とっとと帰るでしょ。みんなバカなの!?と思う。
最初からペレが仕組んだ罠?
外部から人を招くというくだりで確信した。
ダニー(フローレンス・ピュー)の足から草が生えているイメージを自分自身で見るのも
予知的な兆候なのかもしれない。
そして全部仕組まれている気がする。

友人たちのコンフリクトも良かったと思う。
微妙にズレていく感じが、この物語をより一層不穏にしていた。

ラストに向けてはちゃめちゃな展開になっていくのもアリ・アスターならでは。

フローレンス・ピューの演技がすごすぎる。特に表情。圧倒された。
最後の笑顔は特に。あれ見て笑えるなんて怖いよ。怖すぎ。

それにしても170分は長いと感じた。
劇場鑑賞だったらまた異なる印象だったかもしれない。

アリ・アスターもヨルゴス・ランティモス同様、変態だ!

コメントする 3件)
共感した! 16件)
ひでちゃぴん

4.0美しく奇妙な村

2024年7月16日
iPhoneアプリから投稿

怖い

知的

主人公のダニー不慮の事故で家族を亡くし悲嘆に暮れている所、彼氏の仲間達にスウェーデンの田舎で90年に一度の祝賀祭があると誘われる。
その村で起こる奇妙な出来事に巻き込まれて…
オリジナル版でカット部分を入れ2時間50分と長編だ。

とにかくこの映画の特徴的な部分景色が美しい。
ホラー要素が感じられない白を基調にしている事。
異質な作品が際立つ。
初めのシーンで村に入る所映像が反転して空の映像が映ります。
そこから、映像酔いと言うか気持ち悪かった。

オリジナル版と2度目の鑑賞になりますが。結末を知っていても楽しく鑑賞出来る。
もうダニーは、初めから村の標的になっていた。
完全に依存体質、ナルシストな気質、情緒不安定で洗脳しやすい人物である事。
ダニーの彼氏の友人ペレはホルガ村出身でスパイいや勧誘?的な存在でちょうど良いタイミングだったのか,仕組まれていたのか?本当に偶然だったのか?
胸糞ではありますが、よく出来たストーリーだと思います。
村の儀式に使用する人間は72歳と高齢者が対象となり、命の循環と崖から飛び降り自ら命を捧げる、また絶命出来なかった老人をハンマーで叩き割る。
そして村の女子は気に入った男子には、狙い撃ちとして食事の中に自分の陰毛を入れる。
ここまでくると笑いの域に達して来ます。

そして中盤クリスチャンは小屋に呼び出され、陰毛を入れた赤毛の女子がペレが見せた写真を見た時から気に入っていたと告げられる。
いやいや、ペレは種探しもする役割かいと。
まぁクリスチャンはまんまと犠牲になってしまいますが…
女性に囲まれてセックスさせられているシーンはまさにコントです。

そんな中、ダニーはもう祭り挙げられ持て囃されて夢見心地でクイーンになちゃった。
クリスチャンのセックスシーンなんか見せられたもんなら悲劇のヒロインど真ん中ですね。
ラストはダニーが村の生け贄を選び焼かれて笑顔のカットで終わる。
果たしてダニーは今後幸せに暮らしていくのか?

いろんなカルト要素があり姥捨山やカムイの儀式やウィッカーマンなど連想してしまう。
この村での奇妙な風習や儀式が絵に写し出されて答えの要素的な部分もあり、ある意味謎解きゲームの様な。私には理解出来ない所も多くあった。(笑)
ルーン文字とはなんぞやと調べると『神秘』『秘密』『囁き』古代ローマの神秘文字らしくまぁ、魔女の儀式的なことは絶対秘密なんですよ。よって村に入ったら絶対に出られない。
とにかく美しい景色に土から足が出ていたり、村の住人はみんないい人なのでそんな住人が簡単に殺害する様子は奇妙で不快な恐怖でしかない。
アリアスターは天才・鬼才の監督に名を残すだろう。

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アキより

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