空白のレビュー・感想・評価
全296件中、161~180件目を表示
怒りでは解決しない。
俳優さん、みんな素晴らしいです。万引きも、恣意的に歪められた報道も、子どもが亡くなった時他者を責めたくな気持ちも善意の押し付けも…どこか軌道を逸脱しているかもしれないけれど、日常にあるあるな感じを、リアル以上にリアルに感じさられました。
途中から、急展開でいい父親になる感じは少し納得いかない気持ちもしますが、最後はなんとなくいい感じなのでよしなのでしょうかね。
追い込み、追い込まれる人の心理
全ての出来事が、明日の自分かも・・・と感じらる作品。
人間の情動が、傷つき、傷つけるという実は怖いものであることを実感した。
主たる登場人物が心に傷があり、それと格闘して生きているのがよく分かるが、その中でも片岡礼子、田畑智子、藤原季節の台詞に気付かされることが多かった。
ラスト、「今までありがとう」「また弁当作って下さい」の言葉にこちらも救われて映画館を出た。
今年上映の映画はどれも見応えがあるが、今回も出演者の実力に脱帽です。
古田新太の狂気、松坂桃李の心が壊れていく感じ、寺島しのぶの偽善に走らないと自分が保てない不安定さが目を引く。
若手では、藤原季節が大健闘。
ふらっと寄った映画だったのに、得るものが大きすぎて・・・有難う。
心を鷲掴みにされました!
今年観た映画の中では、私的には文句なくNo.1です。冒頭から引き込まれましたが、花音がダンプに引き込まれるシーンはトラウマになりそうな衝撃がありました。作品を通して日本社会の病理や不条理をこれでもかというくらいてんこ盛りにしており、最初から最後まで鳥肌ものの感動作でした。
"正義"と"救済"を卓越した作品力で披露
2021年劇場鑑賞24本目 傑作 76点
長らく予告をみていて楽しみにしていた作品。
1年通しての上映スケジュールを見て、現在の個人的2021年邦画ランキングの順位の変動を脅かすラストの作品かなあと思い、前評判然り上映初動の声の後押しもあって、心を弾ませて観に行きましたが、結論から述べると順位変動はありませんでした。
十分に素晴らしい作品だし、例年だったらベストワンないし、3本の指に入るレベルだと思います。
松坂桃李は新聞記者といい孤狼の血初代といい、どこかパッとキャラ立ちしていなくて、表現が正しいかはわかりませんがモブっぽいポジションをフォーカスした映画の配役が適任すぎる。そのどことないキャラの演技が非常に上手い。
それでいったら今作のキャラクターが一番キャラ立ちしていない配役で、それでも文句ない繊細な演技に流石だなと思った。
古田新太もクソうざい頑固ジジイを絶妙に演じていて、行きすぎないところもたまに見えたり、人によっての心の許し様など、こちらも現実的によくいる人物像を繊細に演じていて素晴らしかったです。
他にも周りにいる人たちそれぞれの正義だったり、綾野剛出演の白雪姫殺人事件にも通じるマスコミや取材の報道の様、昨今の邦画では少なくなってきている描写や台詞で空気を感じる数少ない作品、などなど良い作品である要因は沢山ありますが、今年は個人的に本当に邦画において良い作品が多い当たり年だと思っているので、残念ですが順位変動はほぼなかったです。
けど間違いなく素晴らしい作品です。
是非。
片岡礼子の演じる人物について
この映画は道徳を描くものではなく、最後に世間の望むような道徳にたどり着く人を描くものでもないですね。人間を描くことに重点は置かれていますが。
そこから浮かび上がるのは、他者に過度に道徳的であることを求めてはいないか?という我々の道徳観への問いかけですね。
フィクションの人物にすら道徳を求めてしまう人も多い中、冷静にこの作品の言わんとするところを考えたいと思いました。
一つ言いたいのは、片岡礼子が演じる女性についてです。(ネタバレになるのでこういう呼び方にしておきます)
全面的に悪いわけでもないが、かといって非がないではない、という人物ばかりが出てくるこの作品で、彼女に「非」に当たるものは描かれていません。
非があるわけないのですから当然ですが。
しかし、この映画で松坂桃李が過剰に謝るのに並んで、謝罪の場面があるのが彼女です。
この場面に感動したというコメントを見かけますが、どういう意味の感動なのでしょう?
彼女が自分で語る「非」を、まさか本当に「非」だとは思ってませんよね?
私はあの場面は、世間が望む「道徳的な姿」を先取りして「こういう態度を取れば満足ですか?」という問いを製作者側が投げかけている場面だと思いました。
本当は、古田新太をなじり、罵倒してもいいんですよ。それが人間ですから。そのあとで謝ったっていいんです。
彼女にそうした人間的な態度を取ることを許さなかったものがあるわけです。
それが我々の過度な道徳観ですね。
私はそうした批評を含んだ場面だと思いました。
それを完全に理解して演じている片岡さんはやはり素晴らしい俳優さんだと改めて思いました。
人生に必要なのは、空白ではなく、余白だ
スーパーで万引きし、店長に追いかけられ、走って逃げる途中で道路に飛び出し、車に轢かれて即死した娘の父親が暴走し、店長を追い詰める。背景には、事実を捻じ曲げて報道するマスコミ、怒りの矛先を変えるために父親に嘘を伝えた学校の存在がある。
気立は良いが、優柔不断の店長に迫る父親の原動力は、亡き娘への愛ではない。空虚で愛のない自分自身の人生への八つ当たりだ。
こういう人は、自分自身しか見えていない。周りから求められることは乱暴にはねつけ、自分の欲望だけを満たす。いつも怒ってばかりだ。そのような態度が娘を万引きへと追い詰めたと自覚したきっかけの重さに、涙が出た。
人生に必要なのは書くべきことが書かれていない空白ではなく、愛から生まれる余白なのだ。
正直あんなに泣けるとは思っていませんでした。
映画を見る前は予告等を見て多分感動するんだろなーと漠然に思っていたのですが、いざ映画を見てみると何が正しいか正しくないかどうでもよくて、みんなそれぞれ正しいと思ってることがあってそれと同時にあまり認めたくはないが正しくないと分かっていて、思っていることがそれぞれ正解で間違っていることでもあって、それが偽善者であっても被害者であってもまたは加害者であってもみんなそれぞれ思い悩んでいて、日常的に起こりうる話で何故かわからないけど涙がすごく出てそれと同時に笑顔になれて、見終わった後すごい満足感がありました。
今年は名作が多い
2021年に公開した作品って、邦画洋画共に名作が多い気がします。そして、その名作の中にまた一つ作品が入りましたね。
冒頭から、古田さんの演技力に鷲掴みされながら、万引きした娘が事故に遭ってしまうショッキングなシーンまでの冒頭は素晴らしく、掴みはばっちりです。
そこからも人の醜さがそれぞれで溢れ出てて、後半から良い意味で見てられなくなってきます。
しかし、ラスト30分ぐらいから、古田さん演じる父が徐々に変わりつつあり、そこからの展開は涙モノです。
個人的にこの作品を見てて、1番の醜さを出してたのはマスコミと同僚の2人かな。
この2人が居なければ、この物語がどうなっていたのか。。。考えさせられます。
スターサンズの新たな名作誕生です。これは見るべき。
あと、一つ注意して欲しいのが、冒頭の娘が事故に遭うシーンなのですが、かなり生々しく、尚且つ、隠さず映るので、ショッキングなシーンになっております。気をつけてくださいね。
世の中は答えの無いことばかり
万引きをした少女を追ったら
その子が車に跳ねられて
亡くなってしまう
そこから織りなす
決着のつかないお話
そうそう無い話だけど
よくありそうなお話でもある
そしてそこに絡む人の心情も
なんとなく汲み取れる
独りよがりで
自分以外に自分の感情を決着できない添田は
ずっと孤独なレールを進み続ける
レールだから曲がり角もないし
後退することもない
ただただ進むだけ
変わることはない
こんな人、こんな感情で他人と相対する人って
身近にたくさん存在する
善意の押し付けをしまくる
パートのオバさんも
まさにそう
物語には救いはない
原因はどうあれ
中学生が亡くなるというのは
そこで時が止まるだけに
そういうものだ
大きな展開もないし
大きな感動もない
それでも心の真ん中に
ドーンっと座る何かが
観る者の心を鷲掴みする
撮り方も上手
演者も上手
音楽もわとらしくない
つまらないコメディも入れない
平凡な話を、しっかりとした質まで仕上げた
吉田監督はすごい監督だ
こういう映画が普通にシネコンで観れたことは
奇跡に近いと思う
途中までツラくて身悶えしたが、前向きに終わってホッとした
中学生の娘が万引で捕まりそうになって、逃げている最中に車にひかれて死んでしまう。冒頭から、やたらクマの深い娘と、陰鬱そうに働くスーパーの店長と、赤ら顔でキレまくっている威圧感満載の親父が、不穏な空気をムンムンに醸し出してくる。
早く事故後の話に行って欲しいと思いながら観ていたが、事故シーンの映像もショッキングで、その後の登場人物が怒りや悲しみで心の空白が広がっていく過程に心情をひきづられ、苦しかった。不安な感情でいっぱいになり、うなってしまうほどツラかった。
映画って、観る人の心の空白を埋めてくれるもんじゃないの?、なんて思ってた。
しかし、ラスト近く、父親演ずる古田新太の、誰かを責めることの呪縛から晴れて泣くシーンで、心がフワーッと軽くなった。古田新太カッコいいなあ、と思わず思ってしまった。
観ていた私の緊張も解けて、いい映画を観たなあと、心の空白も満たされたのでした。
前半はただただ不愉快で、なんでこんな嫌な映画を見なきゃいけないん...
前半はただただ不愉快で、なんでこんな嫌な映画を見なきゃいけないんだろうと思ったけど、ラスト近くで昇華があって救われた。特に救いのないのが寺島しのぶによるフォロー。世の中ってこんなものかと呪うくらいの気持ち。古田も、娘へのパワハラが本当に頭にきてた。なんであんなに不機嫌なのか、人物像がちゃんと描かれていない。だから、後半の変化もよくわからない。いきなり絵を書き出すとか全くわからない。
松坂くんは、本当にこういう役が好きなんだなあというか、樹木希林みたいなもんで、人のズルさとか描くのが好きだ。
松坂くんだってトラウマを抱えているのに、事故現場の再現のシーンはあまりに暴力的で、古田の芝居がうまいとは思えない。
それでも、説明的ではない形で、一つの事件を巡る人々のありようを描いてるのが素晴らしい。自殺した娘さんのお母さんのシーンはとても良かった。
雲の絵も、
何を強いて、歪めたのか
あることを境に…人生は不都合な変化の連続で、生きることとは、折り合いをつけることだと思い知らされる。この思いは、本作の感想と同意だが、単に映画の感想だけにあらず。それぞれの母の言葉が真実を言い当てていた。善良な行いとは、そこに至る心理を誠実に描いている作品に対し、そう素直に思うのだ。逃げず、見つめ、話す者と、戸惑い、伏せ、避ける者。しかし、両者が共存し合い、両方が誰しもに存在することを理解する時、思いがけずにもやは晴れ、少しずつ拗れていた網の目は解けだすのではないか。同じ空を、同じ思いで見上げている人々は、図らずも側にいた様に。
古田新太って すごい!
古田新太 この人 凄いですよね?
モンスター化していく彼を見て 私も同じ立場だったら 全く同じ事をしてるかも?
だんだん 共感してきました。
何とも イライラさせられる位 気弱い青年を、どこまでも演じる松坂桃李
彼って もう ただのイケメン俳優 卒業ですね。
古田新太と ほぼ互角でした。
見た後は ズッシリ重い物を背負って 映画館から 出てきました。
怒りエネルギーの量
万引きした子を追いかけた店長と、万引きして車にはねられて死んだ娘の父とのバトル。
さらに周りの人を巻き込んで、、、、、、。
前半の息詰まるエネルギーと、後半のぱらぱらと憑き物が落ちた様に力が抜けていく虚しい感じはなんだろ?
加害者も被害者も傷付いて、さらにまわりを傷付け、憔悴して行く、そして世間からも忘れられてゆき、様々な物を失っていく。
結局死んだ人は戻らない。
時間だけが少しずつ、エネルギーを染みとって行く様な感じ。派手な感情爆発の多い脚本だけど役者達がそれを歯を食いしばって耐えて、抑えた表現にしてる様がまた観てて心を撃つ。
やっぱり店長可哀想だったなぁ。
折り合い
謝っても許されない、取り返しのつかない出来事に、、、
マスコミや学校の酷い対応、そして関係者は気性の荒い父親に追い込まれる
ラストに近付くにつれ、真実が、、
法事からの帰り「みんなどうやって折り合い着けてんだろな」とボソッと言うセリフが頭に残る。
つか、古田新太さん、素に見えるほどの演技が素晴らしい❗
良い作品に出会えました。
気持ちの片付け
予告編から想像していた内容よりも救いのあるエンディング内容で良かったです。
印象に残ったシーンはいくつもありましたが、特にこぼれた食べ物を片付けるシーンは印象的でした。
青柳が弁当をぶちまけたあと、ちゃんとちり取りに片付けするところや、草加部さんがこぼれたカレーを泣きながら片付けするシーンは、どちらも収拾がつかなくてとっちらかった気持ちを自分なりに整理しているように見えました。
添田も娘の部屋を片付ける中で自らと向き合うことができはじめているようにみえました。マニキュアは捨てちゃたけど(笑)
どんなに辛くても、何とか少しずつ気持ち整理をして、折り合いをつけながら生きて行くしか無いんだと思わされました。
そして、そんな辛い中にも小さな喜びがあることも示してくれていたと思います。
全296件中、161~180件目を表示