空白のレビュー・感想・評価
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ワイドショーの再現ドラマ
本作は、巷間、非常に評価が高いようですが、誠に狡い作品です。
冒頭の漁のシーンからラストまで、終始手持ちカメラで撮られており、映像は常に微妙に揺れ続け、観客を車酔い状態に陥らせます。更に寄せカットの連続、人の顔のアップばかりでカットが割られ、全体を見せる引きカットは殆どないため、アップされた人物の表情と感情のみに視線は引き寄せられざるを得ません。その上、息抜きや気分転換になるBGMが全くないので、映画はドキュメンタリーフィルムのように進行します。
本作で描かれるのは、半径数百メートル圏内での出来事に過ぎず、あまりにも狭域での狭小な事件であり、観衆にとっては、夢のような別世界の話ではなく、ごく身近な風景の中で起きたことです。それゆえに切実でありながら、一方で所詮は他人事ゆえに大いにゴシップ的な興味が煽られることになります。
カメラの視点は、明らかに作中でも頻繁に表れるTVワイドショー目線、即ち世間の野次馬目線、興味本位のみの第三者目線です。いわば、本作は延々107分に亘るワイドショーの再現ドラマといえます。
人は、己とは無関係の、悲惨で凄絶な他人の不幸な出来事や他人同士の揉め事に対して、残念ながら生来持っている下賤でどす黒い好奇心が強烈に、且つ歪に掻き立てられます。
本作は、被写体を古田新太扮する添田充、松坂桃李扮する青柳直人、寺島しのぶ扮する草加部麻子の三人に絞り込み、常に各々の狂気の様をデフォルメして映しており、核となるスジがブレず、従い観客の好奇の眼を集め続け、好奇の心を掴み続けることに見事に成功しました。
ほぼ1時間半の間、観客は息つく間の無いままに異常な忘我と陶酔状態に置かれ、心にずしりと重い充足感を得たのが、本作への高評価になっているのではないかと思います。
尚、映画のキャッチコピーでは、「日本映画史に残る息の止まる感動のラストシーン」とあるのですが、ラスト10分間での明らかな映像の変調、人物の言動の劇的変化は、私には、よく意味が分かりませんでした。
あくまで私見ですが、カメラの動き、寄せカットの多用、身近な狭域世界の深掘り、それらによって醸し出された緊張感等により、テレビで観るには傑作といえますが、そのスケール感、そのシンプル過ぎるカメラワーク等により映画館で観る映画としては、やや疑問を感じるしだいです。
キャスティング
テーマは重いが、ところどころ笑いを入れてくるので吉田恵輔作品は毎回観に行く
キャスティングが絶妙で、片岡礼子ここで使うか〜とか膝をついた(加害者の娘とか、寺島しのぶのボランティアの娘とか)
ブルーハーツの「トレイントレイン」の歌詞で「弱い者たちが夕暮れ〜さらに弱い者を叩く〜🎵」の一節を思いだした
諸悪の根源はお父さんの気質
こういう人いるいるだけど、この映画ではその誰もがそれぞれの個性の度合いが普通を過ぎている感じで、だからこそこのストーリーが出来上がったのだろう。最初からみんなが折り合いをつけられる人なら、ただの交通事故で1人の少女の命が失われた、それだけ。でも行き過ぎた個性のぶつかり合いは関わった人たちの人生を狂わせた。私はずっと、お父さんの激しい気性が諸悪の根源と思って観ていて最後も結局謝らないのかい💦と突っ込んでしまった。もしかして最初に心に折り合いをつけられたのがお父さんとしたらこれも不公平なんじゃないか、とか娘を失い一番辛い人に厳しいことも思ったけど。。。いつ自分に降りかかるかもしれない、或いは巻き込まれるかもしれない災難、これは怖いなと心底思わされたこの映画。重かったけど、強くて柔軟な心を持ちたい、こんなことを考えさせられてこの先の人生の教訓にしたい、見てよかった。
あの日に見た白い雲
乗用車の女性、そしてそのお母さん。ここ一点に関しては☆5 。それに纏わる、後半導入以降がどうにも雑に感じてしまって少し残念。それでも、そこに辿り着くまでの、重苦しく引っ張り時にサラッとエグ味を混ぜてくる感じは素晴らしかった。特に導入部なんて「孤狼の血 2」を楽しく鑑賞出来た自分ですら、声を漏らして目を背けてしまうえげつなさだった。だからこそ、あの女性に感情移入してしまったのだが。哀し過ぎるよ…。
観て感じて考えて、話し合う。そんな時間にはうってつけの作品でした。
「やきとり弁当」一目見たかったな(笑)
それぞれの苦しみ、からの…
物語の肝となる部分が映らないので、本当は何が起きていたのかは分からず
登場人物たちの言動や雰囲気から、どんな印象を持ち、誰に何を感じるかで
観た人それぞれ捉え方が違うだろう、と。
物語も“そうなりかねない、そうなるよね”という絶妙な展開で
冷めたり飽きることなく、最後は少し救われる部分もあり、
とても濃密な作品でした。
もの凄ーく個人的な好みなんですが、藤原季節さんのたばこ吸う姿って
なんか味があってすきなんですよね〜…🚬
父親の成長物語
思春期の子供との付き合い方って本当に難しい。
何かが起きた時に自分にも悪いところがあったと省みる事ができるのか、全て周りのせいだと思うのか…。
生きている間に目を見て、向き合わなければ…亡くなってからでは遅い。もう会えないのだから。
テーマがハッキリしていて凄い
傑作と言って良いのではないだろうか?テーマが良い。「怒り」からは負の連鎖しか産まない。しかし人間は怒る事をしないと「怒り」がいかに無意味なのか分からないって話だと思った。
スーパーの店長にも父親にも感情移入出来て素晴らしい作品。
元妻の言葉や事故を起こし自殺した娘の母親の考え方が出来れば、争いなと起こらない。出来ないから生きにくいのだと思う。度を越す偽善者として描かれている寺島しのぶの役もこの映画には欠かせない。
戦争、争いがなくならないのは人間として仕方がない。しかし少しでも愚かな事と気づくには時間がかかるかもしれないがいつかは気付ける。
なぜ国際映画祭に出さなかったのが悔やまれます。
バケモノにはバケモノをぶつけるんだよ
古田新太と寺島しのぶのバトルが勃発した瞬間、何かが頭を駆け抜けた。人間の間抜けさや哀しさが苦笑いを誘わずにはいられない。ハイペースで傑作をものにする吉田監督に今後も注目です。
ドサクサに紛れてkiss
これが1番の人間の恐怖でしたわ。なんで突然笑笑
今作は古田新太の演技がすさまじい、とにかく似合うんです、鬼気迫る役柄。
他の役者さんもとにかくキャストがピッタリの配役でして皆がいい演技で心が揺さぶられました。
今作はとにかく運が悪い、あんなお父さんがいてママも離婚してれば娘は萎縮する。
そこに万引きからの事故。
そんな店長やる気ない役どころなのにあんな追いかけるか?
マスコミの汚さもよく表現されていた。
事故を起こしてしまった、女の人、悲劇だよね、悲劇は悲劇を生む。スーパーの店長も精神的に追い込まれる。
トラックの運ちゃんはどうした?捕まってるのか?
どう考えても前で事故があったならもう少し止まれたような。
そこはお縄ちょうだいと認識しましたが。
かなり重い話でしたが、絵のシーンとか時折はさむ笑いが面白かった。
古田新太の頑固さは強烈でしたがしだいに少しだけ変化していく様はよかったです。
ホストやるとか言ってた下っぱの兄ちゃんがわりと人としてしっかりしてるのもよかった。
ラストシーンはじーんときました。
個人的には事故をした娘さんの母親にぐっときました。
名演技に引っ張られる…けど…
皆さん演技が素晴らしく良かった ホント演技で一気に観客を感情移入させる
怒り、悲しみ、やるせなさ、気付き、落ち着き…
泣けるような作品ではなかったけどまさにありそうなヒューマンドラマに入り込んだ感じで満足度は高かった
けど報道の様子が盛り気味だったり何より主人公が元々気性が荒くて結構クズ(思い込みが強く弱みを見せない)で全く自分と正反対なんで入りのリアリティが低くて序盤は冷めちゃってた…
まあでも終盤にかけて上がってきて満足できたし良し!
どこを切り取っても重苦し過ぎる・・・
auマンデー『空白』
予告観てたら松坂くん主演だと思ってましたが・・・・
古田さん主演でした^^;;;
まぁ誰も救われない奈落に突き落とされたままの2時間は、月曜日には重すぎました><;
万引きした女子高生が逃走し・・・交通事故で亡くなるわけですが・・・
追いかけた店長の悲劇・・・
亡くなった女子高生の親父の暴走・・・
急に飛び出してきた女子高生を最初にひいてしまった女性の悲劇・・・
マスコミの切り取り報道・・・
それに立ち向かうパートのオバさん・・・
学校や友達の対応もシラっ〜とリアルで。。。
いやぁ、、、何も書く気にならないってのが本音です。
孤狼の血LEVEL2では、主演男優ノミネートされるであろう松坂桃李くんの助演男優賞
古田さんの主演男優賞ノミネート確定かな!?
予告の印象とだいぶ違う
事故死した女子中学生の父親と事故の原因となったスーパーの店長のお話。予告から受けた印象は悲しみと怒りに狂った父親が店長を追い詰めていくお話で圧倒的強者となった事故被害者側と弱者にされた万引き被害者の逆転現象を描いた社会派な作品なのかな?って感じだった
実際に私もどうにもならない言葉の暴力で追い詰められる覚悟をして観に行ったがこの映画はすごく冷静に観ることができた
予告だと主人公は店長に見えたけど
この映画は事故に関わったために人生が変わってしまった人達を父親の視点で描いたものにみえた
私には救いを描いた映画に思えたけれど消えない罪と苦しみの映画と捉える人もいれば被害者からのパワハラによって人生を狂わされた人の映画と感じた人もいると思う
とても悲しいお話だけどあまり嫌な気分にはならなかった
演者の力量によるものだろうか
なんとも不思議な映画であった
少しはあった嫌な部分
マスゴミの捏造印象操作!店長のインタビュー映像の編集、あれは観ていて怒りを感じました
それとインタビュアーの女!ワザと転んだんじゃないの?(ぷんすか)
余計な一言
予告では娘を失った父親はモンスターに…とありましたが
1番のモンスターは草下部さんだなぁと思いました
二言目
トラックの追撃はいらなかったんじゃないかなぁ
焼き鳥弁当といるか雲
辛いシーンが多くて心が痛くなる前半。
登場人物ひとり一人の想いが伝わってくる。
寺島しのぶの役割も重要だと思う。
最期に主人公の二人に救いがあってよかった。
二人ともホッと肩の荷を下ろしたたラストの演技は素晴らしい。
人の不快な部分を抉り溶かすように導く、圧巻の脚本
グーッと首を締めてくるような序盤に耐えられないと感じていたのだが、ホントに素晴らしく、フッと心が軽くなった。噂通りの良作。
万引き未遂による逃走で事故にあい、娘に興味のなかった父が暴走する。そう聞けば猟奇的でダークな雰囲気を連想する。しかし、実際は倫理観を揺さぶり葛藤する個々のドラマなのである。だから、その中でうごめき回る気味悪さを常に浴びている。その状況に本当に耐えられなく、この映画は何処が良いのか分からなくなりそうだった。
だからといって、じゃあ劇的なモノがあるかと言われるとそれも違う。時間が解決する訳でもなければ、報われる訳でもない。個々が少しずつ向き合っていくだけなのである。しかし、それがいかに難しいかなんて容易に想像が付く。これはその空白と対峙する人たちの物語である。
父親を演じる古田新太は圧巻の一言に付きる。定期的に誰かにキレてるバイト先の商管を思い出すくらい、矢継ぎ早に相手を追い詰めていく様は恐怖そのもの。その中にも不器用なのが滲み出ていて、それがジワーッと広がっていく時に涙が止まらなくなった。松坂桃李の虚無な雰囲気も上手いし、寺島しのぶの気味悪い善人面は初めから耐えられなかった。他の人が言うように藤原季節がいなかったら自分も取り乱すくらい耐えられない映画だったと思う。
最後に思うのは、娘の万引きはやっぱり悪いし、マスコミは相変わらず自己的で面倒。だが、それでも当事者にならないただのニュースでしかない。そんなに他人に興味が無いように。
ひとまず、完走できて良かった。そして、何故かこちらまで救われた気さえしてくる。これからもそれぞれの想いを背負って歩いていく姿を観たくなる。
重たい話、胸が苦しくなりました
見るかどうか迷っていた作品
結果見て良かった!見れて良かった!
登場人物それぞれの気持ちを感じ取れました
最初から最後までまでずーっと頭が重く胸が苦しくなりました
この作品は私的に今年のベスト5に入りますね…たぶん
何度も見返したくなる作品ではありません
一度でもいいから見て欲しいです
あなたの人生に役に立つのでは?
少なくとも私には役立った作品です
気になるなら見てください
松坂桃李をただ観に行っただけでしたが予想以上でした。
レビューを私なんかが書くのは軽くなりますが…
エンターテイメントな映画ではないですが重く、暗い映画なんですが凄くいい映画です。
娘や周囲と上手く付き合えない古田新太。万引きに悩む気の弱いスーパーの店長の松坂桃李。この二人だけではなく周囲の役者さんもすこく丁寧に演じていて凄く引き込まれた。
特に片岡礼子さんには圧巻の演技で泣かされました。罵倒するかと思われたが詫び、それでも娘を思う母親で存在感を残したと思います。
前半の暗く重く恐怖でしかない空気を娘の事何一つわかってなかった父が娘と同じ景色をみていたイルカ雲の絵がこれからの光に思えよかったです。
添田の絵は唯一のほっこり。
私の空白の受け取り方。
重かった。ひとつの死をきっかけに関わった人々の日常が壊れてゆく。失って初めて娘と向き合うことになる父の充。なぜ娘は命を奪われたのか。あらぬ妄想を膨らませ行動がエスカレートしてゆく。しかしこの世の中に目も当てられぬ無惨な姿になった我が子を前に正気を保てる親なんていないだろう。何かしていなければ狂ってしまいそうな日々の中で娘の幻影を追い続ける。
一方スーパーの店長直人。気弱で自己主張が苦手。自称頼られる存在の古参パート従業員に振り回されている。その上事故をきっかけに充やマスコミ、そして世間から容赦なく責め立てられる。何度額を地面に擦り付ければこの後悔や罪を受け入れてもらえるのか。行き場のないストレスに今にも押し潰されてしまいそうだ。
古田新太と松坂桃李の息の詰まるような対峙に胸打たれます。そして少ない出番ながらも片岡礼子さんが圧巻でした。結局みんなどうしていいのか分からなかった。痛みや憤り、苦しみや怒りを誰にぶつければいいのか。
大切な人を失っても過ぎてゆく時間の中でそれぞれが新しい物を手に入れたり、些細なことに救われたりしながら、きっとそうやってこれからも生きてゆく。悲しいけれどいいラストでした。
最後にこの「空白」というタイトルの奥深さ。観る人によって全く受け取り方が違うと思う。さしずめ私はあの日手を掴んでから走り出すまでの時間だと受け取った。その空白に何があったのか。充が最後まで疑念が残ると言った直人のある疑惑。真偽は定かではないものの良からぬ過去の噂。実のところ私も充と同じ不安を拭い去れないでいる。
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