カオス・ウォーキング

劇場公開日:

カオス・ウォーキング

解説・あらすじ

「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドが主演、「スター・ウォーズ」シリーズのデイジー・リドリーが共演し、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン監督がメガホンをとったSFアクションアドベンチャー。西暦2257年、汚染した地球を旅立った人類は新たな星「ニュー・ワールド」にたどり着くが、その星では男たちの頭の中の考えや心の中の思いが「ノイズ」となってさらけ出されてしまい、女は死に絶えてしまう。ニュー・ワールドで生まれ育った青年トッドは、一度も女性を見たことがなかったが、ある時、地球からやって来て墜落した宇宙船の生存者ヴァイオラと出会う。初めて見た女性のヴァイオラに恋心を抱くトッドは、ヴァイオラを利用しようとする首長のプレンティスから彼女を守ろうと決意。逃避行の中で2人は、星に隠された驚くべき秘密を知る。ホランド、リドリーのほか、「アナザーラウンド」のマッツ・ミケルセンらが共演。原作はパトリック・ネスによるSF小説「混沌(カオス)の叫び」3部作の第1部「心のナイフ」。

2021年製作/109分/G/アメリカ
原題または英題:Chaos Walking
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2021年11月12日

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(C)2021 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved

映画レビュー

3.5思考や心の声がダダ洩れる“ノイズ”の設定はユニークだが

2021年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

原作はヤングアダルト向けSF小説のベストセラー連作だそうで、製作陣はきっと「ハンガー・ゲーム」のような世界的大ヒットとシリーズ化を狙っていただろう。約200年後に太陽系外の地球によく似た環境の惑星“ニューワールド(新世界)”に入植した人々の物語。地球から乗ってきた巨大宇宙船は着陸時に大破し、ハイテクや家電のたぐいはおおかた失われてしまったようで、人々は小さな町プレンティスタウンでアメリカの西部開拓時代のような暮らしをしている。

本作のユニークな点は、考えたことが映像と音(声)で他人に漏れてしまう、“ノイズ”と呼ばれる現象が環境の影響によって男たちに生じていること。女性にはノイズは生じないが、トッド(トム・ホランド)が物心ついた頃には女性たちは死に絶えていた(その理由は後で明らかになる)。そこへ、地球から来て墜落した宇宙船の生存者ヴァイオラ(デイジー・リドリー)が現れ、女性を初めて見たトッドは「かわいい」とか「キスしたい」などと思うのだが、これが全部相手にダダ洩れる様子が気まずくて笑いを誘う。

中盤からは、町のリーダーであるプレンティス(マッツ・ミケルセン)から追われる身となったヴァイオラとトッドの逃避行という展開になる。「スパイダーマン」シリーズのホランドと「スター・ウォーズ」シリーズのリドリーという“動ける俳優”2人がせっかく主演しているのに、アクション要素が少ないのはもったいない。

新世界の先住民である種族を悪者と決めつけたり、差別主義的な考え方の独裁者に人々が盲従したりといった、過去や近現代の問題を風刺する社会派のスタンスはわかりやすい。個人の考えがたちまち露見してしまうのも、SNS全盛の昨今に重ねやすいだろう。ただ、面白くなりそうな要素がたくさんあるのにうまくかみ合っておらず、散漫なストーリーになっているのが惜しい。本作は4年前に一度完成していたが、試写の反応があまりに悪く、脚本の書き直しと再撮影を経てようやく今年公開になったと聞く。流れやバランスの悪い筋は、おそらくそうした製作過程の紆余曲折も影響したのだろう。続編製作とシリーズ化は残念ながら厳しそうだ。

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高森 郁哉

3.0難易度の高い状況設定をわかりやすく描写

2021年11月15日
PCから投稿

ダグ・リーマン監督といえば、そこらのフィルムメーカーが映像化に二の足を踏むような難易度の高いストーリー設定を、もっとも簡潔かつ分かりやすいビジュアルで具現化する特殊な能力の持ち主だ。その意味でも本作の「考えたこと、感じたことが周囲の人にダダ漏れになる」という風変わりなSF仕掛けは、もはや彼のために存在するようなもの。言葉で説明しだすとキリがないほどの状況設定を、テンポの良い描写でスムーズに馴染ませられる手腕はさすがである。一方で、これは原作では3部作の一つにあたり、未知なる”新世界”について語りきれていない部分があまりに多い。また、企画の初期段階ではチャーリー・カウフマンが脚本執筆を担っていた(完成版のクレジットからは外れている)ことを思うと、本作はもっと予測不能な方向へ振り切れてよかったのではないかという考えも頭をよぎる。果たしていつの日か我々が続編を目にする機会はやってくるのだろうか。

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牛津厚信

3.0現在進行系の女性の主権、主張、をSFに落とし込んだ作品

2025年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

スター・ウォーズでおなじみ、「強い女性の理想像」として知られるデイジー・リドリー。そして主役には、『スパイダーマン』でナヨナヨ系男子のイメージが定着しているトム・ホランド。

初見の印象は、現実社会における男尊女卑、あるいは現在進行形でアップデートされ続ける「強い女性像」を、SFに落とし込んだ“今っぽい”作品だなということです。

作中の世界では、男性だけが「ノイズ」という形で思考を垂れ流し、女性にはそれがない。つまり男性は常に「発信力」を持ち、女性はその影響を受ける側。SNS時代の“声の大きい者が支配する”構図を彷彿とさせます。
主人公が暮らす村は、男性たちが作り上げた“旧世界的”な共同体で、女性は排除され、力を持たない存在として描かれています。

そこに突如現れる、金髪の美しい女性、リドリー演じるヴィオラ。まるでキリストのような、救済者的イメージです。そして彼女と行動を共にするのが、純粋無垢で経験のないトッド(ホランド)であることにも意味がある。キャスティング段階から、「童貞的純粋さ」がこの物語に必要とされていたことが伺えます。

さらに、主人公の育ての親が自らの過ちを悔い、犠牲となる展開や、火によって罰を受ける男性の姿など、宗教的なモチーフも随所に散りばめられています。

物語の終盤では、「新世界」を導くリーダーとして黒人女性が登場。これも近年のハリウッドの“意識的な多様性”を感じる部分です。

スパクルという異星人種の描写も象徴的でした。彼らは“異質なものへの恐れ”の具現化のように見えます。キリスト教圏が抱える、他宗教(イスラム、ネイティブアメリカンなど)や異文化(日本における近隣アジア国)への無意識的な拒絶感が、ここに投影されているようにも感じました。そんな偏見に対し、ヴィオラは「石を投げるな」と、まさにキリスト的な教えを説きます。

そして悪は滅び、天から与えられた救済者によって、新しい世界が創られる──というラスト。ただ、続編を匂わせてはいたものの、実現の可能性は低そうです。

トム・ホランドは、ティーン層には人気があるものの、まだ俳優としての深みはこれから。デイジー・リドリーも今回は物語上、あまり目立った活躍がなく、観ている女性層には物足りなかったかもしれません。
監督のダグ・リーマンといえば『ジャンパー』のようなシンプルなバトルアクションが持ち味ですが、今回は中途半端に叙事詩っぽさを狙った結果、盛り上がりきらない展開に。興行的にもヒットせず、宣伝費を考えると赤字でしょう。続編はなさそうですね。

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つまり枝豆

3.0ノイズがいい仕事してる

2024年9月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

マッツ目的で鑑賞。
いい人でなかったけど、毛皮羽織ったワイルドマッツ良かった👍

設定は面白いけど、最後まで描かれてないところあり不完全燃焼。
・首長が「我は円環にして円環は我なり」と繰り返し唱えるから深い意味があると思って期待したのに特に説明なかったよね?
・牧師があそこまで狂った経緯があれば面白かったような
・首長は女性排除したけどこの集落で子孫残す事は望まなかったの?ただ支配者になりたかっただけ?
このあたりがもやもやでした。
でもトッドのノイズがダダ漏れのところは面白かった。

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もちこ