グランド・ジャーニー

劇場公開日:

グランド・ジャーニー

解説

「ベル&セバスチャン」「狩人と犬、最後の旅」のニコラ・バニエ監督が、ジャック・ペラン監督のドキュメンタリー映画「WATARIDORI」の制作にも参加した鳥類研究家で気象学者のクリスチャン・ムレクが、息子とともに実際に挑んだ超軽量飛行機でのノルウェーからフランスまでの旅を映画化。雁の研究をしている一風変わった気象学者クリスチャンは、超軽量飛行機を使って絶滅危惧種の渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるという、誰もが呆れるプロジェクトに夢中になっていた。一方、息子のトマはオンラインゲームに夢中で、電波も届かない大自然の中で過ごすことに興味はない。しかし、ある出来事をきっかけに父親の無謀なプロジェクトに協力することとなったトマは、クリスチャンや渡り鳥たちとともに冒険の旅をスタートさせる。脚本にもムレク本人が参加している。

2019年製作/113分/G/フランス・ノルウェー合作
原題または英題:Donne-moi des ailes
配給:クロックワークス
劇場公開日:2020年7月23日

スタッフ・キャスト

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(C)2019 SND, tous droits reserves

映画レビュー

4.0北欧から南仏まで移りゆく雄大な景色の素晴らしさに息を呑む

2020年7月31日
PCから投稿

感動のネイチャードラマ、人間と動物の絆・・・そんな売り文句の映画はこれまでも数多くあったが、実話ベースで語られる本作は親子そろって楽しめる実に爽快なアドベンチャーだ。監督が冒険家としての一面を併せ持つだけあって、映像のダイナミックさは天下一品。北欧ラップランドから南仏カマルグまで、その雄大な景色が刻々と移りゆく様を、軽量飛行機ごしに望めるのは何ものにも代えがたい贅沢である。と同時に、本作に触れながら気づくのは、これは鳥だけでなく家族の成長を描いた物語でもあるということ。親が子へ一方的に飛び方を教えていたかと思えば、子どもはいつしか自力で飛び上がり、その躍動感あふれる姿に何かを教わるのはむしろ親の方だ。また、少年が冒険を続けることで、それを目撃する人たちのエールの道がヨーロッパを縦断するように出来上がっていく。そんな人間の“捧げ合い、讃えあう姿”に観ている側も元気と多幸感みなぎる秀作である。

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牛津厚信

4.0少年を親だと信じてついて回るヒナたちの愛らしさに萌え死ぬ

2020年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

幸せ

萌える

大ヒットドキュメンタリー「WATARIDORI」を観て、このプロジェクトを知った方も多かろう。北欧・南欧間で渡りをする雁が、環境悪化で従来の渡りのルートが危険になったことから絶滅危惧種に。そこで鳥類研究家のクリスチャンは、刷り込みの習性を利用して雁のヒナに自分を親だと思い込ませ、超軽量飛行機ULMで安全なルートを先導して教えることに挑戦する。

本作はこの実話に着想を得た劇映画で、クリスチャンの息子トマが実質的な主人公。予告編で明かされている範囲で書くと、自然よりゲームが好きな現代っ子の14歳が、孵化に偶然立ち会ったことでヒナたちの“親”になり、出発時の騒動から単身ULMで飛び立つのだ。

ほぼCGなしの映像が売りで、子役を親だと信じて追いかけるヒナたちの愛らしいこと!ULMに導かれて飛ぶ群れも実写だが、さすがに子役の機上シーンは別撮りで、うまく編集して一緒に飛んでいるように見せている。

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高森 郁哉

5.0映像美 雁に萌

2024年6月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

楽しい

萌える

CGほぼ無し
北極 ノルウェー〜フランス 少年の空の旅
少年の芯の強さも良き
鑑賞後 清涼感

✳事前学習
『ニルスのふしぎな旅』
ノルウェー〜フランス 地図

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わまるえん

4.5野鳥との共存

2022年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

大空を翔ることの素晴らしさ・・・
20羽の雁と“渡り”を助ける超軽量飛行機に乗る少年トマ。
映像が最高です。胸躍ります。
音楽も飛行を後押しするようです。

2019年(フランス)
《バードマン》と呼ばれて親しまれるクリスチャン・ムレクをモデルに、
モレクの実体験を元に映画化しました(脚本にも参加)

鳥たちに安全な“渡り”のルートを教える・・・
それがトマの別居している父親・クリスチャンの夢でした。
そのためにはフランスのカマルグから鳥と一緒に車で移動して、
ノルウェーのラップランドまで行き、車そして、ある地点からは軽量飛行機を使い
一緒に飛んで、またカマルグマで戻り安全ルートを教える。
それが計画でした。

最初は卵から孵化してヨチヨチとトマを追いかけた雁。
モーターの音に慣れる訓練。
軽量飛行機の後ろをくっ付いてくる訓練。
もう雁が可愛い・・・ゲームとスマホにしか興味のなかったトマが、
生まれ変わったように生き生きするのが、魔法のようです。

最初の計画が頓挫しそうになったその時。
トマは咄嗟に決断します。
(冒険とは無謀と紙一重・・・ときにはダメ元で飛び立つことも必要なんですね)

大空を翔るオモチャみたいな超軽量飛行機。
運転しているのは無免許の14歳の少年・トマ。
そしてトマを親と思い必死でついてくる20羽の雁。
その映像の美しいこと、素晴らしいこと。
本当に大空と地上の美しい風景に癒されます。

トマのお母さんと別れて、野性の鳥の保護と繁殖に命を懸ける父親のクリスチャンが、
変わり者で魅力的でした。
自然環境の保護のために家族を忘れることもしばしば・・・。

この映画はトマの母親のパメラと父親のクリスチャンと息子のトマの《家族再生》の物語でもあります。
トマの飛行は動画サイトで沢山の人に見られて、応援されるようになるのも、
今風ですね。

沼地や豊かな水辺を、開拓で野鳥たちを住めなくする。
愚かなことです。
自然を破壊すると、自然は牙をむいて、ゆくゆくは人も住めなくなるのですから。
限られた資源を、野鳥やさまざまな生物や動物で分け合い助け合い、
共存して行くことの大切さを痛感しました。
オススメです。

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琥珀糖