顔たち、ところどころ
劇場公開日 2018年9月15日
解説
フランス映画界の名匠アニエス・バルダと若手アーティストのJRが共同監督を務めたロードムービースタイルのドキュメンタリー。「ヌーベルバーグの祖母」とも呼ばれ、女性監督の先駆者としてカンヌ国際映画祭やアカデミー賞の名誉賞も受賞している88歳のバルダと、参加型アートプロジェクト「Inside Out」で知られる34歳のアーティスト、JR。親子ほども年の離れた2人がフランスの田舎をトラックで巡りながら、市井の人々と接し、作品をともに作り、残していくいく旅の様子を記録した。2017年・第70回カンヌ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞し、トロント国際映画祭の最高賞である観客賞など、各国の映画祭で受賞を重ねる。
2017年製作/89分/G/フランス
原題:Visages Villages
配給:アップリンク
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2018年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ヌーヴェル・ヴァーグの立役者の一人、アニエス・ヴァルダが、JRという名のアーティストと共に旅を続ける。たったそれだけのプロットなのに、いつしか底知れぬ創造性に満ちたドキュメンタリーへと進化していくところにこの映画の、いやこの二人だからこその自然体の“凄さ”がある。
彼らが乗り込むのはカメラの形をしたトラック。訪れる先で人と会い、言葉を交わし、写真を撮る。何度も繰り返されるこの儀式のようなやり取りがやがて一つ一つのインスタレーションとなって提示されていく過程に、誰もがゾクゾクするほどのダイナミズムを感じるはず。
そこには人の生き様がしっかりと刻まれ、土地の記憶が刻まれ、そして人々が向かうべき未来さえも刻印されているような気がする。こうした表現をヒョイヒョイと形にしていく二人はやはり超絶的に凄い。ヌーヴェル・ヴァーグ世代にとってボーナスステージのようなクライマックスもなんだかとても素敵だ。
2021年8月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 今作は、”ヌーヴェルヴァーグの祖母”と呼ばれる、当時88歳のアニエス・ヴァルダと新進気鋭の人々のポートレートを大きく壁面などに貼りだす33歳のアーティストJRの二人が、フランスの田舎町を共に旅しながら、その街に住む人々の顔を写し、建物の壁面に貼るロードムービーの様なスタイルを取ったドキュメンタリー映画である。ー
◆感想
・アーティスティックな思想を持つ、お祖母ちゃんと孫が一緒に旅をするドキュメンタリーの様な作品である。
・だが、二人ともアーティストであるから、妥協はしない。
・二人が会う、フランスの田舎街に住む人々の顔が、とても良い。年輪の様な皺を刻んだ、顔、顔、顔。JRは彼らの姿を写し、大きな写真に引き伸ばし、彼らが住む町の建物や納屋の壁面に張り付ける。
港湾労働者の妻3人、山羊の角を切らずに飼育する要牧者・・。
ー 人々の反応は様々だが、皆、嬉しそうである。自分の顔や全身が、自分が住む街に大きく、貼りだされる、嬉しさと恥ずかしさと・・。ー
・二人の旅は、”計画しない”ことで、続いて行く。
<アニエス・ヴァルダが、JRへのお礼に連れて行った、ゴダールの家。だが、彼は”敢えて”合わず・・。意気消沈するアニエスに、それまでJRが頑なに取る事を拒否していた黒いサングラスを取り、アニエスに自らの瞳を見せるシーン。
何とも、豊饒な気持ちになる、ロードムービースタイルのドキュメンタリーである。>
2021年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
視力が衰えつつある80歳超の映画監督アニエス・ヴァルダと孫のような若さのストリートアーチストJRが、思いつきで目的地を決めて赴き、土地の人と触れ合い、お互いの創造力を働かせつつ大きな作品を制作し撮って行く。
広大な農地を黙々とトラクターで往復する農夫。全身を使って見事な鐘をつく鐘楼守。仙人のように暮らす芸術家。港湾で働く労働者の妻達を沢山のコンテナを積み上げた中に立たせた巨大な作品。などなど。
最も印象的だったのは、忘れられた炭鉱の町に住み続ける女性の涙だ。亡き夫達への思い出が報われたような。
そして、決してサングラスを外さないJRが、気落ちするアニエスを励ますために素顔を見せた様子にも感動した。
2021年3月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
アニエスさんが、どんな人かだったり、アニエスさんのパートナー、ジャックが、シェルブールの雨傘の監督の監督だったりと言う事を知って観るよいかも。
フランスのクリエイティブ力って、普通の人達に支えられているだなぁ。
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