■中学生で作家デビューするも、作品はSNSで酷評され、自分を見失った売れない高校生小説家・千谷一也(佐藤大樹)。
一方、同じクラスの人気者で、ヒット作を連発する高校生小説家・小余綾詩凪(橋本環奈)。
だが、小余綾詩凪も千谷と同じように、小説が書けない心理状況に追い込まれていた・・。
◆感想
1.大いなる才能を持ちながら大家になれなかった小説家の本を十数年前から少しづつ読んでいる。
・阿部昭
・小沼丹
・野呂暢揚
・・・
高校時代から愛読している、一時期は時代の寵児と言われた赤江瀑の小説集も最近、読み返している。
で、思う事は作家の無から有成るモノを産み出す大変さである。
2.今作でも、中学生で作家デビューするも、SNSで酷評される高校生小説家及び天才小説家が同じ悩みで苦悶する姿が描かれる。
ー この映画サイトでは、最近はめっきり減ったが、(とても良い事である。)何ら理由なく映画を酷評するレビューが以前は多数あった。
私は、レビューを挙げる際には、良かった点、気になった点をなるべく分かり易く文章にするように心掛けているが、それは映画製作者の方々への最低限の礼節であると思っている。-
3.今作では、そのような苦悩の中、作品を生み出す高校生男女千谷一也(佐藤大樹)と小余綾詩凪
(橋本環奈)の姿が多少大仰ではあるが、自然に描かれている。
■白眉のシーン
・千谷一也が小説家であった父(片岡愛之助)の姿を幼き時に観ていて、長じてから母(和久井映見)に”大変だったでしょう・・”と問いかけた時の父と母の言葉が素晴しい。
”もし、小説を読んで涙を流しても、将来に繋がる・・。”
”お父さんの小説は、私に勇気をくれる・・。”
<今作は気になっていたのだが、アイドル映画かな、と思って鑑賞を見送った作品であるが(フライヤーは持っていた。)、アイドル作品だから・・などと言うツマラナイ理由で、映画鑑賞を見送っては駄目だな・・、と大いに反省した作品である。
小説が好きな人であれば必見の、丁寧に製作された作品であろうと私は思う。>