ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語のレビュー・感想・評価
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女性のみならず、不遇や抑圧に“弱い立場の人”が立ち向かう姿を描く人間賛歌
オルコットの半自伝的小説「若草物語」が原作。舞台となった19世紀半ばのアメリカで、女性はまだ社会的弱者であり、作家志望のジョーを含む四姉妹が社会の偏見や圧力に向き合い抗いながら成長する姿を描く。
そんな主題を継承する表現者としてグレタ・ガーウィグは最適だ。元々劇作家志望で、美人女優の立場に甘んじることなく脚本や共同監督などで製作にも関わり続け、「レディ・バード」で単独監督デビューし絶賛された。未婚のパートナー、ノア・バームバックとの間に子をもうけ、ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」に関して「(性的虐待の)事実を知っていたら出演しなかった」と語るなど、生き方や発言に強さを感じさせる。
多様性が謳われマイノリティーの社会的受容が進んだとはいえ、#MeTooやBLMが示すように差別や不平等の現実は中々変わらない。そんな今、単なる女性映画に留まらず、普遍的な人間賛歌として観られるべき傑作だ。
劇場で優雅な気持ちで味わいたい「不朽の名作」! シーンが変わる際の「時間軸」には要注意
本作は、本年度のアカデミー賞で「作品賞」を含め、脚色賞、 主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、助演女優賞(フローレンス・ピュー)、作曲賞、衣装デザイン賞の主要6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞しています。
見どころは多いのですが、まずは、何と言っても超豪華キャスト共演でしょう。主演の次女役のシアーシャ・ローナンはアカデミー賞の常連ですし、長女役のエマ・ワトソン、4女役でアカデミー賞にノミネートされたのは「ミッドサマー」の主演でも話題となったフローレンス・ピュー。そして、4姉妹の母親を本年度アカデミー助演女優賞を受賞(「マリッジ・ストーリー」)したローラ・ダーン、さらには4姉妹の伯母をメリル・ストリープという最強の布陣。加えて、男優も「君の名前で僕を呼んで」で脚光を浴びてアカデミー主演男優賞にノミネートされた、いま最も旬と言えるティモシー・シャラメが準主役級です。
「悩みが多いから、私は楽しい物語を書く」 L・M・オルコット
という言葉から始まる本作ですが、この人物こそが「若草物語」の著者名です。
そして、この「若草物語」という4姉妹を中心とした物語が「半自伝的な本」ということが、本作の作り方に関係しているのも注目点なのです。
最初は主人公の次女ジョーが「ニューヨーク」の出版社に原稿を持ち込むシーンから本編が始まり、長女のメグ、3女のベス、4女のエイミーの4姉妹がバラバラに登場するため状況が少しだけ分かりにくいのですが、すぐに「7年前」の4姉妹が「マサチューセッツ」で一緒に暮らしていたスタート地点に戻るので、頭を整理することができます。
ただ、その後にまた「ニューヨーク」にいるジョーのシーンになります。
このように、時間が「今」と「7年前」のように行き来するため、劇場ならではの集中力が少し必要になります。
しかも、本作が独創的なのは、時間軸を「7年前」といったように示すのは最初の1回だけで、あとは観る側に委ねる点なのです。
そのため、例えば、最初は「ニューヨーク」と「マサチューセッツ」という場所が時間軸を判断する上での助けになります。
また、本作では「今」と「7年前」の間を埋めていくため、例えばジョーが居眠りをする時や歩いている時、立ち止まった時などに、昔のシーンに戻っていたりもします。
つまり、観る際には「時間が行き来する作品」だと最初に分かっていると、場面転換の時に「今はどこ?」と確認することで混乱せずに物語をつなぎ合わせことができるのです。
逆に、この視点を持たずに観てしまうと「起承転結」さえも見えずに、ボンヤリとした作品だと感じてしまうことにもなり得るわけです。
頭を整理して美しい全体像が見えた時には、なぜこの物語が今の時代にもシンクロしているのかが分かると思います。
いつの時代も人間の感情の本質は変わらないものなのです。
この映画は、必要に応じて時間を行き来させる手法により、物語を重層的に広がっていかせることに成功し、観終わった後は多幸感も広がっていく名作だと思います。
(評価を4.5にしたのは、時間軸の話を事前に知らないと混乱する人が出かねないためです)
おとぎ話のような風景の中で繰り広げられる四姉妹の青春劇
これまで「若草物語」にはあまり興味が湧かなかったのだが、本作は第92回アカデミー賞6部門ノミネートで衣装デザイン賞受賞ということと、なんといっても豪華キャストに惹かれて鑑賞。
観始めはちょっと複雑な時系列のストーリーに置いてきぼりにされ少々困惑したが、じきにペースがつかめその後はゆったりと鑑賞できた。
おとぎ話のような風景の中で繰り広げられる四姉妹の青春劇は、甘くそして切ない。気がつけば自分が四姉妹の父になったがごとく目を細めて観てしまう。
たくさん好きなシーンはあったが、特にベスのピアノをベアが奏でたシーンは涙なしには観れないほど良い。製本工程もなんだかじんわりとくる。
もちろんとてもつらく悲しいシーンもあるのだが、観終えた時はとても心が澄んだ気がした。やはり名作だ。
背景は美しいが配役が合わなかった
ジョー役 ふけすぎ
エイミー役 もっとふけてるしかも太りすぎおばさん
メグ役 彼女がジョーっぽい
シャラメ←彼の作品2作目だけどほんとにすきじゃない アメリカで旬の若手らしいがなぜなんだ?
早送りだし最後まで見なかった
話が面白くないなら役者が好みじゃないと集中できなくなってしまった。
平凡で唯一無二な、あなたの物語
こんなに美しい映画に出会ったのは初めてだった。そしてこの先もこんな美しい作品には出会えないだろうと思う。
ジョー、メグ、ベス、そしてエイミー。平凡な四姉妹それぞれの夢、恋愛、生き方を描いた、平凡な物語。なのに、どうしてこんなに胸がいっぱいになるんだろう。
平凡な物語を紐解くと、そこにあるのは、誰かに憧れたり憎んだりする気持ち、他者と親密になる喜び、何気ないことで家族と笑い合える幸せ、そしてそんな他者や家族を失う深い悲しみ。戦時中のアメリカの四姉妹でなく、現代の日本に生きる一人っ子だとしても、知っている感情だ。それも、心の深いところにある感情。
結婚に幻想は抱かず、独身を宣言し、ひたすら夢を追うジョー。しかし、一番の理解者である姉のメグが結婚し、夢のヨーロッパ行きは妹エイミーに奪われ、天使のような妹ベスは懸命な介護の末、若くしてこの世を去ってしまう。孤独を感じてローリーに甘えようとするも、やはり妹エイミーに取られてしまう。こんなに積み重なると、もうどん底だ。でも、これほどのどん底は、生きていれば誰の身にも起こりうる。私も学生時代に初めてのどん底を味わった。息ができないほど苦しいのに、周りがそれに気づいて手を差し伸べてくれるほど世の中は甘くなかった。そんな状況は、簡単に人を闇に連れていく。あれだけ胸を張っていたジョーだって、夢を諦めると言うのだ。闇は恐ろしい。
だけどそんなどん底から抜け出す鍵は、愛と夢にある。と言うと、なんてクサい綺麗事だと思うかもしれないが、結局のところジョーはベスを想う愛と小説家への夢によって再び自分の人生を取り戻すのだ。
この平凡な物語は、根底に愛や夢という普遍性があるが、そのまま平凡な結末を迎えるわけではない。ジョーは、作家兼校長という、当時の女性ではかなり珍しい、唯一無二の人生を歩むことになる。喜びや悲しみ、愛や夢、誰だって通る道だとしても、そこから見出す結論は人それぞれだ。そしてその過程は時に醜くも、そこから這い出そうとする生き様はいつだって美しい。
演者たちはセリフを読み上げるのではなく、そんな感情の一つ一つを全身で丁寧に表現しており、そこに美しい音楽と綿密なセットと衣装が交わり、かつてないほど力強く、美しい作品となった。
これは平凡な日々の中、様々なことを乗り越え、自分の人生を模索する私たちの物語だ。是非、全ての人に観てほしい。
四姉妹が楽しくウェイウェイしてるのを延々とみていたい😁
ストーリーオブマイライフとてもよかった🤗
四姉妹が楽しくウェイウェイしてるのを延々とみていたかった
時代感とか衣装がとてもいい💃💃💃💃
最近はやりの『自立した女性かっこいい!』映画なのかなと思って見てたけど、ジョーさん色々とへこむことがあったら『メチャクチャさみしい🥶!』とか言いだして『昔告ってきたあいつならワンチャンあるかも🤔!?』って手紙書き始めたときには思わずズコー!ってなった✌️👁️👄👁️
しかし『本気出せば大抵の女はいけっから』みたいな顔してシャラメってるローリーに本気めのグーパンしたり豪快に振るなど全体的にはジョーさんポイント高いので良かった🥳
ローリーは振られたあと吹っ切れた感じでジョーさんに背を向けティモティモ歩きだすんだけど、ジョーがまだ言い残したことがある感じで呼び止めるとすごいスピードで振り返って戻ってくるとことかも良かった🥳
ネタバレなしでは書けないこの作品の凄さ
男は背中で語るもの、とはよく聞く言い回しだが、女の背中だって語るに満ちている。
今まさに自分の「戦場」へ続くドアを開けるシアーシャ・ローナンの後ろ姿は、まるで「許されざる者」のイーストウッド。その生き様をこれから見せつけてくれるのだな、と思うと背筋がゾクゾクした。
一見、過去を回想する形で「若草物語」のストーリーを紡いでいるように見えるが、実際はそうではない。
映画のストーリーは2つの軸で構成されている。
1つは「若草物語」のストーリーであり、もう1つはジョーと原作者オルコットが限りなく混ざりあった、女性作家を描くストーリーである。
彼女は成長したジョーであり、オルコット自身であり、その境界線は実に判別つけ難く混ざりあっている。
いや、過去に思えた「若草物語」のストーリーが「オルコット」のストーリーに追いつくところで一気に融合すると言うべきか。
気づいた人はニヤリとするだろうし、気づかなくても全く問題ないのが上手いところだ。
ジョーのイメージカラーは赤。赤い肩掛けや赤いスカーフ、ローリーからもらう郵便箱の鍵も赤いリボンがついている。徹底的に赤推し。
また、赤は気性の激しさを表すと同時に、自分らしさの象徴でもあり、母を演じるローラ・ダーンも襟元に赤をあしらっている事が印象的だ。
伯母様に「貧乏で苦労している」と言われても、それが「自ら選びとった人生である」事がよくわかる。
メグのイメージカラーである緑はちょっと凝っていて、淡いグリーンは若さと美しさを、濃いグリーンは夫婦愛を表現している。
貧乏教師のジョンと結婚したメグが、ママ友(?)サリーへの対抗心に駆られ購入してしまうシルクは淡いグリーン。自分の美しさや若い頃の輝きを投影したこのシルクは、結局のところお互いの絆を再確認する布石となり、夫婦愛を選んだメグによって手放されることになる。
ジョーに負けず劣らず勝ち気で奔放なエイミーが引き受けるイメージカラーは青。青は経済力を表し、エイミーがヨーロッパ社交界で着る「玉の輿狙い打ち」ドレスも濃い青だ。
この青は伯母様を演じるメリル・ストリープがエイミーに諭すように、「家族を養うための経済力」である。(ちなみに伯母様は紫を着ている。赤プラス青!)
自分らしさである絵の道を諦め、お金のために青を着るエイミーは、結局フレッドのプロポーズを断り、慕っていたローリーと結婚することになるが、ローリーも何だかんだでお金持ちなので伯母様もしぶしぶ納得、といったところかな?
最後に、まさに「天使」という形容の相応しいベスが身につけているのはピンク。ピンクは少女を表し、スケートシーンのエイミーもちょっとピンクを身につけている。
汚れなき乙女、純粋さを表すピンクは、メグも一度着ているが、たまたま出会ったローリーに「似合わない」と一蹴されているし、メグ自身も「今だけはデイジー(その時つけられたあだ名。後にメグの娘がデイジーであることが判明。まだ5歳くらいの、紛れもない「少女」だ)を演じるの」と口にしている。
こう見ていくと、ジョーと思わしき作家であるシアーシャ・ローナンが赤を身につけていないシーンの存在に気がつくのだ。
それこそがオルコットの分身とでも言うべき作家のパートで、彼女は青を着ている。
編集者に物語を大幅に削られ、血と暴力に彩られた「刺激的な読み物」を書く。親しくなったフリードリッヒに批評されて激昂するのも、これが「本当に書きたかった」ものではなく、自分自身納得していない文章だからだ。
だが仕方ない。お金のためだ。家族を養うために、書かなきゃならなかったし、受け入れなければならなかった。
そんな自分を慰めてくれるような、甘い言葉を期待したことに気づき、結局「男が男を評価する社会」で、「自分らしさ」など通用しないと諦めてしまっていたことに気づかされたからなのだ。
失意のどん底にいた彼女が奮起するきっかけとなったのは妹・ベスの「私のために書いて」という言葉。
もうこの辺りでベスは四姉妹のベスなのか、オルコットの妹・エリザベスなのか、混ざり逢う物語の境界線がぼかされていく。
右手が痺れたら左手にペンを持ち替え、ベスの生きた証でもある「若草物語」を執筆する姿は、作家・オルコットが自分にしか書けない物語を通して、自分の生き様を貫く姿でもある。
いざ出版という段で「女性が主人公なら結婚させないと」という編集者の要求を飲み、結婚パートを付け足した青い服の彼女が、愛おしそうに抱き締める製本された「若草物語」。その装丁は赤く、美しい。
2つのパートを、時間を前後させながら何度も飛翔することで、ドラマ性を維持しながら主要なシーンを凝縮し、1860年代を舞台にした物語を、瓦解させることなく現代に通用する作品に仕上げた妙技は、本当に素晴らしいの一言に尽きる。
それを支えた豪華な名女優陣の演技も最高だ。
二度見
頭が追いつかなかったので、最初は何度か一時停止してメモを取りながら観た。事前に、7年前との行き来が突然あることを理解していないと戸惑います。しかも名前!!1人の人を色んな名前で呼ぶので人間関係が混乱する。時間の入れ替りのヒントにもなる髪型等も、これ誰だっけ?と逆に混乱の要因ともなる。
でも、結局全体を通しても二度見することになった。それだけ魅力的な作品である。
そして、何と言っても豪華過ぎる役者達。贅沢な目の保養になること間違いなし。
貧乏と評される主人公達の生活は、住居も服も習い事も景色も日本人から見れば、かなり裕福な家庭。隣家の大金持ちは桁が違うけど、彼等は一体どんな仕事をしてるのだろう??
裕福な家庭の子息相手に家庭教師が出来る程の学力があっても底辺の生活しか送れないなんて相当な格差社会。生きづらい時代。その中で作家としての力を発揮し成り上がっていく結末は気持ちいい。衣装も目を見張る。
姉妹4人全員が、その人でなければなし得ない役割や能力を発揮して掴む幸せ。やはり雑誌社の長が言うように、ハッピーエンドでなきゃね。
心に残る終わり方に拍手。
四姉妹の成長物語
恥ずかしながら「若草物語」は初見。小説でもアニメでも見たことがなかった。この映画は、第二部を映画化したものらしいけれど、四姉妹ならではのかしましさ、喧嘩や対立、優越や嫉妬、愛情表現が豊かに盛り込まれていた。父親の従軍、四姉妹の適性、舞踏会、男女の格差、ローリーを巡っての恋の三角関係、小説に何が求められているかなどなど、原作がしっかりしているだけに、現実感と見ごたえがあった。
それぞれが、成長してメグは結婚、ベスは病死、エイミーはローリーのプロポーズを受け入れ、ジョーはどうなるかっていう所で、小説の成功、フレデリックの訪問と彼との結婚と、ハッピーエンドになって良かったって素直に感じた。それぞれが、波乱万丈、恋愛や結婚もストレートには行かない、でも、幸せに向けて直向きっていうところが、人気が出た理由なのだろう。
現代の映画のストーリーに比べると、日々の生活に根差した人間の成長が描かれていて、単なる奇抜なストーリーに陥らない、力強さがあった。
けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう? 美しき若草たちよ、永遠なれ✨
1868年に刊行された児童文学の名著『若草物語』と、1969年に刊行されたその続編『続若草物語』を、現代的な解釈を加え新たに映像化。
それぞれの幸せを追い求めるマーチ四姉妹の姿を描きだすウーマン・シネマ。
監督/脚本は『レディ・バード』『犬ヶ島』(出演)の、女優としても活動しているグレタ・ガーウィグ。
四姉妹の次女にして作家、ジョー・マーチを演じるのは『グランド・ブダペスト・ホテル』『レディ・バード』の、名優シアーシャ・ローナン。
四姉妹の長女、メグ・マーチを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズや『美女と野獣』のエマ・ワトソン。
四姉妹の末っ子、エイミー・マーチを演じるのは『トレイン・ミッション』『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー。
資産家の跡取りにして四姉妹の古くからの友人、セオドア・ローレンスを演じるのは『インターステラー』『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ。
四姉妹の伯母を演じるのは『プラダを着た悪魔』『マンマ・ミーア!』シリーズの、レジェンド女優メリル・ストリープ。
👑受賞歴👑
第92回 アカデミー賞…衣装デザイン賞!
第25回 放送映画批評家協会賞…脚色賞!
第73回 英国アカデミー賞…衣装デザイン賞!
舞台・映画・ドラマなど、何度も映像化されている超有名アメリカ文学作品が原作。
「世界名作劇場」でアニメ化(1987年)されているため、日本での知名度も高い作品であります。
主人公ジョー・マーチには作者であるルイーザ・メイ・オルコット本人の人生が投影されており…って、そんなこと今更言うまでもないですね💦
まず申し上げておきますが、わたくし『若草物語』を読んだことがございません!
アニメも観たことが無いし、舞台はおろか映画やドラマなどの映像作品も完全に未見。
なんか『赤毛のアン』みたいな話なんでしょ?くらいのふわっとした印象のみという、完全なる無知の状態での鑑賞であります。
「今更『若草物語』なんて古臭い作品、観る気起きない〜…😮💨」
とか思っていたのですが!が!が!!
いざ鑑賞してみてぶっ飛んだ!凄まじく素晴らしい映画じゃあないですか!
冒頭、小説が売れたことに対する喜びを抑えきれないジョーの、スカートをたくし上げながら群衆の中をダッシュするという描写。もうこれだけで、この映画が傑作であることがわかる。ただ爽快感のある印象的なシーンというだけではなく、ジョーというキャラクターの説明とこの物語全体を通して描こうとしていること、それらを短い時間で端的に描き切っています。上手すぎるっ!👍
この冒頭のシーンをはじめ、とにかくジョーは生命力に溢れパワフル。
こんな女性が身近にいたら、そりゃローリーじゃなくても惚れる💖結婚しなくて良いから側にいて欲しい…。
構成のうまさ、ビジュアルの美しさをのぞいても、ジョーを魅力的に描けているというだけで100点満点がすでに出ちゃっていますこの映画。
魅力的なジョーにメロメロになると同時に、自らの夢に向かって真っ直ぐに進む彼女の姿に共感せずにはいられない。
自分自身とジョーを重ねてしまうからこそ、華やかな少女時代と灰色な日常を送る現在とのギャップに胸が締め付けられ、もう中盤くらいからは涙がとめどなく溢れてしまった…😭
結婚だけが女の幸せではないと確信するジョーのパンキッシュな魂と、それでも揺れ動いてしまう孤独な心のせめぎ合い。それこそが本作の見所。
それが終盤まで最高のバランスで描き込まれていたからこそ、物語が終着点へと向かうにつれてどんどん不安が募り始める。
メグの夫婦仲は改善し、ローリーとエイミーは結婚。「結婚だけが女の幸せじゃない」というメッセージがだんだんと揺らぎはじめ、極め付けにベア教授がジョーの元を訪ねてきたところでその不安は現実のものに。
いや結局結婚するんかーいっ!💦これまでの話は何やったんや一体…。
と思わせておいてからの、まさかのクライマックス。いやこれにはやられましたね正直なところ。観客の意識の隙をついた完璧なカウンター一閃!🤜💥
これは完璧すぎる現代的な解釈!ロバート・アルトマン監督の『ザ・プレイヤー』(1992年)を髣髴とさせるそのエンディングは、価値観を押し付ける世間の風潮や商業主義に染まった「ロマンス」を売り物にする業界へ強烈なファッキューをかましつつ、創作に携わる人間を無償の愛で包み込む。
ここまで完璧な古典のリコンストラクションは観たことが無いかも知れません。
一点気になったことを述べるとするなら、キャストの年齢。
四姉妹のキャスティングが完璧だったことは間違いない。
…間違いないのだが、この映画は現代と過去、7年という時間を振り子のように行ったり来たりする。
ジョーの年齢は明言されていないが、クライマックスの彼女の年齢を25歳くらいとするならば回想での彼女は17〜8歳、エイミーの年齢はそれよりももっと若いことになる。
超好演しているとはいえ、さすがにシアーシャ・ローナンやフローレンス・ピューがティーンエイジャーを演じるということにはちょっと違和感。特に演劇に夢中になるという少女らしさ全開のシーンなんかは結構な無理矢理さを感じてしまった😅
もう一点述べるとするなら、確かにエマ・ワトソンの方がシアーシャ・ローナンよりも歳上。歳上なんだけども、童顔のエマに対してシアーシャはかなり大人びて見える風貌なため、エマとシアーシャの姉妹関係が逆に見えちゃう。割と中盤までジョーが長女でメグが次女だと思ってた。
それとフローレンス・ピューと三女ベスを演じたエリザ・スカンレン。この2人だとどうしてもピューの方が大人に見える。というか実際ピューの方が歳上だし。
だから本来メグ>ジョー>ベス>エイミーという姉妹関係が、ジョー>メグ>エイミー>ベスに見えちゃうのです。
まあこの姉妹関係に関しては、誰が長女で誰が次女だろうと物語上なんの影響も無いので別にどうだっていいっちゃいいんだけど、気になることは気になる…。
なんのかんのと書いてますが、ともかくこの映画は隅々まで美しい✨
アカデミー賞を受賞した衣装デザインはもちろん、1860年代の街並みや家具や食事なども眼を見張るほどの華やかさ。
そして何より、四姉妹のえも言われぬ美しさ💕
特にシアーシャ・ローナン、綺麗すぎてビビった!ロングもショートも似合い過ぎ。ボーイッシュな衣装も素敵。
もうわたし、完全にシアーシャ・ローナンの虜であります…。はあー尊い…😍
今後『若草物語』を映像化する際、絶対に避けては通れないであろう文句無しの傑作!
150年以上昔の古典を換骨奪胎し、見事なまでの守破離を見せてくれたグレタ・ガーウィグ監督の手腕に惜しみない拍手を送りたい👏
※原題は『Little Women』。これが『若草物語』の原題なんですね。知らんかった。
『Little Women』を『若草物語』と訳した訳者の方、本当に素晴らしい詩的センスを持ってらっしゃる✨
それにひきかえ、この映画の邦題を決めたヤツのセンスの無さ…。よくこんなにダサい邦題を考えられたな。逆に凄いわ。
アニメの若草物語しか知りませんが
ジョォの原稿シーンから始まるんだと見ていて。最初の章部分かな?ってみてたら、アニメのナンとジョォ先生との間の部分ですね。
とにかく良かったです。アニメだと、勝ち気で男勝りってイメージが強かったですが、とにかく、可愛くって可愛くって。やっぱり原作読まないと駄目ですね。
ベスの死やらローリーとジョォとエイミーの関係やら。見ていて、懐かしい部分と切ない気分が混ざっていました
見て本当良かったです。
4人姉妹、それぞれの自立と結婚観。
有名なオルコットの自伝的小説『若草物語』を新しい視点で実写化。
監督・脚本はインディーズの女王・グレタ・ガーウィグ。
はじめてメジャーな大作を監督しました。
主演はシアーシャ・ローナン。
(出来る女なら、任せといて・・・ねっ!)
監督と主演のシアーシャの2人はmee too運動の騎手のイメージそのものなので、
溌剌と生きる小説家志望のジョーの生き様が鮮やかに浮かび上がる傑作に仕上がりました。
時代は19世紀半ば、南北戦争時代のマサチューセッツ州ボストンです。
マーチ家の4人姉妹の次女ジョー(シアーシャ・ローナン)は、作家を夢見ています。
冒頭から出版社に小説を持ち込むシーン。
作者は自分(女性)とは決して名乗りません。
女が小説を書くなんて・・・そんな偏見の根強いアメリカ出版界でした。
この時代女性が表現者として認められることも、経済的に自立することも困難だったのです。
でもジョーは信念を変えません。
たとえ隣家のローリー(ティモシー・シャラメノ)が、どんなにジョーが好きでも、夢の実現のため、文学修行のためニューヨークに勉強に行ってしまうのです。
「若草物語」は女の子の定番の小説。
私も子供の頃、メグ、ジョー、ベス、エイミーの4姉妹のストーリーに夢中でした。
ジョーは私のヒーロー。ローリーとジョーのロマンスに本当にヤキモキしました。
そしてベスの病に心を痛めました。
家計を助けるために長い黒髪を売ってお金を渡すジョーのエピソードにどんなに驚いたものか・・・
鼻の低いエイミーが洗濯バサミで鼻をつまんで寝る姿は、鼻の低い私も真似したものです。
それにしてもちゃっかりモノのエイミー。
お金持ちの叔母さん(メリル・ストリープ)にくっ付いてロンドン遊学とは、まったくモー!!
ジョーの気持ちを考えなさいよ、ねーっ!!
(まだまだお金持ちと結婚するのが一番の理想で、女の幸せ・・とされた時代です)
だからこそ、自立した生活を目指すジョーがひたすら格好いいのです。
ティモシー・シャラメ君はシアーシャには、ちょっと軽くて若くてお茶目で、弟みたいでしたねー。でもトビキリの美形でチャーミングでした。
おまけにエイミーとローリーは???なんですよ、いつの間にか!!
ベスの重病、戦地の牧師のお父さん。慈善家の優しいお母さん。
19世紀半ばのアメリカの生活や女の子の生き方や衣装・髪型・インテリア。
お父さんが留守の家庭の心細さや寂しさ。
「若草物語」の4度目の映画化は、ジョーが小説家になるまでの物語。
女性の自立は永遠のテーマですね。
細やかな日常を描いていて、辛い戦争やベスの病気が影を落とします。
それでも4人姉妹は志たかく、それぞれが輝いていました。
すべての女性にオススメです。
過去鑑賞
リメイク版。 少女時代の小さい可愛らしいエイミーのイメージが合って...
リメイク版。
少女時代の小さい可愛らしいエイミーのイメージが合ってなくて残念。キャストの4姉妹の雰囲気は旧作の方が好きだな。
時代が行ったり来たり交錯しますが、ストーリーの構成、展開としては良かった。女性の立場、将来や現実も描かれていて、現代に通じて伝わってくるものがある。
お隣のフローレンスさんがベスのピアノの音色に寄り添うシーンが素敵でした。
総じて、ルロイ版の方が好みかなぁ…
「若草物語」は、
49年公開の
「哀愁」「心の旅路」のマーヴィン・ルロイ版と
94年版に続いての3作目の観賞。
キネマ旬報では
一番評価の高い「若草物語」映画だが、
最も映像美に溢れた
最も映画らしい「若草物語」と言えそうだ。
時系列を複雑に入れ換える構成で、
四姉妹の資質と感情を丁寧に細やかに
描いていたのではないだろうか。
ただ、作品に深みをもたらした
その複雑な構成だが、
私は前2作品を観ていたので
何とか時系列を判別出来たが、
初めてこの「若草物語」に接した方は
各場面がどの時点での描写なのかに
戸惑いを覚えたのではないだろうか。
また、名優メリル・ストリープの
配役はどうだろうか。客寄せ以上には
あまり彼女を使う必要性を感じなかった。
例えば、藤沢周平原作映画
「たそがれ清兵衛」での岸惠子や
「山桜」での富司純子のように
作品の肝の部分で
印象的に登場させる邦画の方が
この点では優れているように思う。
また、理解不能なのは
ローリーの想いなのだが、
彼が最も恋愛感情を抱いたのは
ジョーだとしても、
全姉妹に興味を持ち続けたようにも描かれ、
彼はキリスト教的慈愛に満ちたマーチ家
そのものに恋していたようにも感じられる。
それはキリスト教思想が
色濃く反映された結果なのだろうか。
原作ではどのように
彼は描かれているのか知りたいところだ。
ベス以外の三姉妹は結果的に
金銭感覚に支配されない結婚を選択する。
そこに原作者オルコットの
女性の自律的期待を感じるが、
この映画では更に一歩進んで
女性としての選択と言うよりは、
人間のそのものの尊厳的選択を感じて欲しい
との作り手側の意思があるのだろうか。
原作がどんな点にウエイトを置いて
書かれたものかは分からないが、
多分にこの映画は
男女間の垣根を取り払うべく
今風に昇華させた作品に感じる。
一方、ルロイ版は、エイミーとローリーの
パリでのシーンを全てカットするなど、
大胆な話の集約と演劇的デフォルメ手法で
まとめた印象だったが、
特に、
「私のベス」とした題名本の出版交渉は
ベア教授を通して行われたとの改変で、
彼が終盤マーチ家を訪れるのは
出版された彼女の本を持ってきたためという
愛の成就の感動的なラストシーンは、
「ストーリー…」とは異なる設定の
見事なまでに磨き抜かれた
脚本の賜物だった。
残るは33年の
キャサリン・ヘップバーン主演で
「マイ・フェア・レディ」の
ジョージ・キューカー版「若草物語」だ。
観る機会があれば嬉しいのだが。
若草物語だった
すっごく面白かった。最初四姉妹のビジュアル発表されたときはこれでイメージ合うかなーって思っていたけれど、実際見たらちゃんと若草物語の姉妹達が存在してました。ジョーは映画でより生き生きとしてましたね。原作を読んでいたときからローリーと結婚してほしいと思っていたけれど、結局しないのがあの二人……。映画を見てたらそういう運命だったんだなと改めて切なくなりました。私が一番好きなベスが亡くなるところはやっぱり悲しくて泣いた。
個人的には最高でしたけど、若草物語を知らない人が見たら多分わけわかんないですね。時系列で混乱して着いていけない人がいそう。若草物語の続編まで読んでから映画を観ることをおすすめします。
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