「舞台はいつもフランス❗️」1917 命をかけた伝令 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
舞台はいつもフランス❗️
命がこんなにも軽くていいのか、という感傷すら吹き飛ばされ、殺傷行為への感覚を麻痺させられたのが、スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』やメル・ギブソン監督の『ハクソー・リッジ』でした。
クッキー缶やワイン瓶の包装緩衝材として利用されているエアキャップの豆粒状の空気の山をひとつひとつ適当に選びながら指で潰していく子供の頃の遊びのように無造作に、何百何千という数の兵士が倒れていきました。
リアルタイムで倒れていく兵士は、〝戦場の過酷さ〟をストレートに伝えてはくれますが、そもそも戦争を始めた指導者層や現場を知らない指揮官達の愚かさは後で振り返ることになります。
一方、この映画では、比喩ではなく本当に魂の抜け殻としての死体が頻繁に登場します。放ったらかしで晒されたままの多くの死体からは、理屈抜きであまりに無益な戦闘であったことのいたたまれなさ、すなわち指導者層の現場音痴振りが直に伝わってきます。
塹壕戦は、相手方からは狙い撃ちされるので、攻撃に打って出る方があっという間に犠牲者が積み上がります。一応の駆け引きはあっても、基本は果てしない消耗戦となるそうです。何十万人という単位の戦死者(しかも殆どが若者❗️)が出ても、情勢は殆ど変化がない、ということすらあったそうです。
それでも、正確な情報収集と楽観的で自己都合に合わせたような分析とは真逆の冷徹な判断があれば、救える命はある‼️
それにしてもフランスはこの第一次世界大戦の悲惨な西部戦線といい、第二次世界大戦のノルマンディー(プライベート・ライアン❗️)やナチによるパリ占領といい、いつも最前線で向き合うことになるドイツへの思いは我々には想像も出来ないほど屈折した感情抜きには整理できない要素があるのだと思います。
イギリスよ、頼むからEUから抜けてくれるな。
ドイツを抑える役割を一緒に担って欲しかったのに‼️と考えているフランス人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
【追記】2020.2.16
第一次世界大戦でのフランス人の戦死者数はなんと140万人‼️
アルジェリアなどからの植民地兵を加えての総動員数は800万人だったそうです。
日本の出生数は最近100万人/年を割ってますので、同年生まれ3学年で構成されていたとしたら、その3学年の男子が殆ど死亡、という凄まじさです。
第一次大戦後、激しい労働力不足に見舞われたヨーロッパ諸国は、少なくともフランスは、その頃に植民地からの受け入れを中心とした移民制度を定着させたようです。
2/14 18:45の回、J2の席で鑑賞された方へ
お忘れの折り畳み傘は、日比谷東宝シネマズのスタッフさんに渡してありますので、次の機会に確認してみてください。
琥珀さん、コメントありがとうございます!
長回しについては結構オタクネタでもありまして、『カミュ…』の中でも議論されています。長回し中は名台詞なんてものがなく、カメラやモブ中心だったりします。助監督の号令とか、スタッフの苦労もわかるものが多いです。
それにしても140万人も犠牲者が・・・あらためて数字に驚かされますね。
思い出しました‼️
『天国でまた会おう』は第一次世界大戦のフランスが舞台で、原作も出演者もフランス人でしたが、戦後のヒューマンドラマが主体で、勇ましい戦闘シーンは少なかったような気がします。それでも悲惨な戦場の様子はよく描かれていて、無残に倒れた馬が何かの象徴として使われていたように、相当あやふやながら記憶しています。
そうなんです。
イングロリアス・バスターズ
オーヴァーロード
なんかもそうですよね。
民間人の魅力的なフランス女性が花を添えてくれますが、フランス兵はほとんど記憶にありません。