すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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面白い映画だ!役者の演技がすごい
とにかく役者の演技がすごい。 役所広司の演技は本当に迫力がある。最初のほうは少しダラダラとした話になっているが、後半かなり盛り上げてくれる。 オチも素晴らしい。 実際にいた人の話らしいが悪と正義がめちゃくちゃになった最後は良かった。 しかしながら個人的に本格的なヤクザの話を期待していたが、ハートウォーミングなストーリーになってしまったので期待を超える事はなかった。 演技を見ると言う点では良いだろう。ただ、2度目は無い
「いい話」では誤魔化せない映画としての限界
いわゆる「いい話」だ。 人間同士の心の通わせ合いなんて、昔はなんとも思わなかっただろうが、歳のせいもあるんだろう、確かに心に響くところもある。 普遍的で人を選ばないメッセージだ。 社会において大切なものを描いていると思う。 しかし劇として、映画として、面白くない。 どうしてこうも脚本がだらっとするのか。邦画によくある感触。展開のメリハリがとにかく弱い。 映画の中心は必ずしもメッセージである必要はないが、もちろんメッセージを中心に置いてもいい。だが中心のメッセージがしっかりしているからといって、いい映画ではあり得ない。映画として面白いからこそ、より強く、深くメッセージが刺さるはずなんだが。 そしてディテールの欠落。 キャラクターがどれも既視感のある、わかりやすくディフォルメされた人物ばかり。アクションやコメディならまだしも、人間を描く映画で、これはあんまりどうなんだろう。 分かりやすいいい話で、ストーリーも簡易。きっと客も入り、評価もされるだろう。今回の作品の第一目的がそこにあったんだろうことも窺える。 しかし、考えもなしにヤクザの親分に白竜をキャスティングし、風呂場で背中を流し合い、差別者を適当にリアリティなく描き、何の意味もない長澤まさみの役のような存在を放置するといった判断の数々は、決してその影に隠されていいものではない。 邦画界が描く人間ドラマの到達点であり、これが限界点なのだろう。
すばらしき世界のひとつの有り様
役所広司はさすがの演技力でぐいぐい引き込まれた。中野太賀も不器用で実直な青年を演じていてとてもよかった。長澤まさみは、実はこの映画を見ようと思ったひと押しだったけれど出演時間はあまりなかった(目立つから主役でない限りはこのくらいがいいのかな)。 刑務所から出所した人間が堅気の世界に戻って四苦八苦する様子。周囲にとても恵まれて、現実はあのような恵まれた環境にいることができるのかなと思ってしまう。顧問弁護士、役所の担当員、TVディレクター。彼らがいなかったら、ほぼ間違いなく、ヤクザの世界に戻っていったように思う。 感情を押し殺し、いっときの怒りもやり過ごし、平穏に生きようとする堅気の世界の窮屈さ。それをすばらしき世界と呼んでいるような、そんな風に受け止められる。それをヤクザの世界のような暴力に訴えるのでもなく、平穏なやり方で見過ごしていかないようなそんな努力も必要なのかなと思った。それにしても、周りの暖かい人たちには感動させられる。あんな仲間をもちたいと思える。
本当に現代は「すばらしき世界」なのか?
この映画を観ると、見てみぬふりをして我慢して生きる現代の日本社会が正しいのか、三上のように純粋に生きるのが正しいのか分からなくてなる。確かに助けてくれる人達もいて、世の中捨てたもんじゃないと言うこともできるが。カタギの世界は「空が広いよ」と言うセリフが印象深い。空を見て不条理に耐えなさいと言う事かも知れないが。所々に挟んである日常の景色がとても素晴らしい。横断歩道橋に登るサラリーマン、商店街の夕暮れの空、ぼやけた丸い光から夜の飛行機へのカットなど。とても良い映画でした。
素晴らしき脚本、素晴らしき監督。
西川美和×役所広司という素晴らしきタッグで、待ちに待った本作品。私個人としては、期待を裏切らない素晴らしさで、今年度私アカデミーでは第一位に躍り出ています。 西川美和監督は、光の陰影で物語のキャラクターの心情や環境を表現するのがとても上手いと思います。台詞で無く、光に語らせるような「間」があり、それが例え心の闇を描いているシーンだとしても、見ていてとても心地良いのです。 役所広司さんは変わらず狂気と優しさの狭間を演じさせたら、何時間でもずっと観てられます。ある時は善人に、そして次の瞬間はとてつもない狂人に、画面を見ていて恐怖さえ感じさせてくれる役者さんなどそういないでしょう。 このような映画を観る度に、映画は本当に素晴らしい。 また今度いつこんな作品に出会えるかな、とワクワクします。 全ての映画ファンともしかしたら初めて映画を観る人にも、自信を持っておススメする、素晴らしき、映画です。
最後にタイトルがずっしり響く
この世は「すばらしき世界」だ。 原作の題名「身分帳」をこのタイトルにしたことがすべてを表している気がする。 人はどこで誰から生まれるかは選べない。人生とは時に残酷なものである。でも、毎日は止まることなく訪れるし過ぎていく。生きていかなくてはならない。 格差をはじめ生きづらさが蔓延する現代、嘆くことは簡単だが、世の中捨てたもんじゃない。 努力はきっと誰かが見てくれているし、人の優しさだって溢れている。それに気づけるかが、ささやかな幸せを感じられる秘訣だ。 主人公の三上は善人なのか悪人なのか…どちらもだと思う。それがリアルだし、生々しい人間とは単純に分けられないものだ。 その両面を持ち合わせ、自分の本心を押し殺し、悩みながら必死に生きていく男を見事に生ききった役所広司の芝居に脱帽。それを観るだけでも価値のある作品だ。
すばらしい、の意味。
誰かを助けようとしたのだとしても 大声で怒鳴って威圧したり 暴力で解決しようとしたら 結局は自らが悪者になってしまう。 声を荒げず冷静に対処したり、 関わらないようにするのが 正解なのかもしれないけど それが上手くできるかできないか。 自分の気持ちを押し殺してまで我慢するのは 正義感がある人ほど辛いことだと思う。 施設のシーンで、殴ってやりたい気持ちを堪えて 主人公が一緒になって笑っている姿を見て、 社会でうまくやるにはこれが正解なんだろうけど こんな胸糞悪いやつらと一緒になって笑ってるのって 虚しさとか生きづらさを感じるだろうな。 暴力は悪いけど、暴力はふるってないけど クソみたいなやつなんて世の中には沢山いる。 さいごのカットで、空に降り上げて すばらしき世界と文字。 うーん、私にはこの世の中を 素晴らしい。という目で見れない。 なんとも報われない世界。 追記 すばらしいの語源は、小さくなる、狭くなるという意味の動詞「すばる(窄)」からだという説がある。 「すばる」には「すぼる」という語形もあり、その形容詞形「すぼし」は古くから、みすぼらしい、肩身が狭いという意味で使われていた。この意味の例は鎌倉時代の初頭までさかのぼれるので、マイナスの意味のほうが先だった可能性が高い。 肩身の狭い世界か。 ああ、なるほど。納得。
不寛容で排他的な現代を生き抜くには
嫌なことは聞き流す。 聞こえないふりをする。 逃げるのは恥じゃない。勇気ある撤退だ。 大事なのは孤立しないこと。 だれかと繋がっていることだ。 生きていくって大変だ。 自分を守るために見て見ぬフリをする術を会得し、他者との適当な距離を私たちはいつ覚えたのだろう。 親から教わったのだろうか。 易怒性は、親に捨てられたからなのか。 一人の、反社会的勢力から足を洗おうとした男を捉えた話。 それぞれの人物が、よく描かれている。 クールなTVディレクターの長澤まさみ、スーパーの店長、弁護士、生活保護の担当者、小説家志望の仲野君。 心の動きや想いが、リアルに寄せて描かれていて、淡々としていながらも妙に現実的。
熱演が圧巻。現代社会でもがく男の、切なすぎる物語。
【賛否両論チェック】 賛:演者さんの怪演・熱演が見事で、思わず圧倒されてしまう。現代社会での社会復帰の難しさや、そんな中でも必死に生きようとする男の姿が、切なく描かれていく。 否:物語自体はかなり淡々と進むので、興味を惹かれないと退屈してしまいそう。暴力シーンやラブシーンもあり。 物語全体を通して、役所広司さんの熱演が見事で、観ていてとても切ない気持ちになってしまいます。綾野剛さん主演の「ヤクザと家族」でもそうでしたが、一度道を外れてしまった者が社会復帰する難しさや厳しさを、非常に身近な物語として感じさせてくれるようです。 ただ、やはり小説の映画化なせいもあってか、ストーリーそのものはとても淡々と進んでいくので、人によっては観ていて退屈してしまうかもしれません。 暴力シーンやラブシーンもあるので、気軽に観られる映画ではありませんが、現代社会で必死にもがこうとする主人公を等身大で描いた作品ですので、是非ご覧になってみて下さい。
死ぬわけにはいかない
刑務所から出たヤクザが更正しようと必死に生きていく話。役所広司の耐える演技が良かった。怒りを耐える、理不尽を耐える、生きていくことに耐える。ひいてしまうような瞬間的にキレる狂暴さを、社会から孤立させまいと順応させていく人々の優しさがありがたかった。最後は、ずっと、社会の片隅のどこかで、ひっそりと色んなことに耐えながら生きている終わりかたが、今の自分にはありがたかったかな。でも、ヤクザが普通に生きていく選択肢を選ぶ映画は新鮮で、泣いてしまった。
スルメの味わい
見終わった後は、なんだかちょっとガッカリした様な不足感があったが、感じた事をまとめようとすると後から後から、あの時のカット台詞動きは、「こんな意味があったのかもしれない」と西川さんの映画は、いつも何かを考えさせ、沢山語りたくなる。スルメの様に味わい深い。 何気ない映像は、絵画的でストーリーを膨らませてくれる。 バス、電車、飛行機が映し出される。 いずれも引きのカメラで遠くから動いている様子を見せる。それは、出所後時間は動いている、変化している事を現し、新しい世界へ行く事を現していると思った。 また、東京タワーとスカイツリーの対比、空、雲、丸い雲の中の青空は、三上が希望に満ちて新しい世界へ歩もうとしている事をイメージさせた。 出所後、社会からの疎外感から、昔の仲間に再び入ろうとする三上に対して、キムラ緑子扮する女将さんが、「コッチ側で見る空と自由な世界で見る空は違う、だから、帰れ」と劇中で諭す。 中々社会に馴染めて行けない三上だが、彼を心配するヒトは、本当に少しだが、居た。 「カメラ止めて仲裁に入るか、取り続けるのよ、だから中途半端なのよ」と怒鳴られた津乃田役の中野大賀。途中カメラを持って逃げ出したシーンからグッと良くなって来た。 きちんと三上と向き合って痛みを持った彼の人生、出所後の日々を書こうとしていた。 映画の最後は、三上に関わった人達を上空から映す、まるでそこは、未だ狭かったけれど素晴らしかった世界のように。 三上が見た空は、ムショの窓から見たより素晴らしかったはずだ。ヒトは、他者と繋がってこそ生きる、生かされていく。コミュニティの中の自分。何か失敗をしたヒトでも、それぞれの少しの寛容さがあれば、ちょっとづつ繋がって生き直して行ける筈だと言っている映画だと思った。
ラストシーン、虐げられてる不器用で純粋な者から花をもらい、元妻から...
ラストシーン、虐げられてる不器用で純粋な者から花をもらい、元妻から再会の電話を受け、希望に手を伸ばそうとしてる中、嵐のなか洗濯物一つ取り込みそびれたまま花を握りしめて亡くなるその空は快晴で
そのあと「すばらしき世界」のタイトルがでる
その全てが、この世〜〜〜!!って感じだった
普通の物語だったら小説が仕上がり書店に並ぶ所までは生きてるだろうけど、志半ばで亡くなるなんてこと現実では山ほどある。
この映画はとことん現実だった…
だけど、どうしようもなく理不尽も無関心もある一方で、ここまで手を差しのべてくれるあたたかい場所も必ずあることを示してくれてるから、見終わった後生きようって思える
大事なのはわかりやすいハッピーエンドでも、綺麗に人生を終わらすことでもないのかもしれない
三上が亡くなる前に変われたことは間違いなく希望だった
突然生き方は変えられない
カタギの自分達からはもう少し我慢すれば…とじれじれするけど、これまでの自分の当たり前が通用しない世界はなかなかしんどい
見渡すと周りの人間はみんな働いてて、自分だけが職にすら就けないのはどれだけ劣等感芽生えるだろう
右も左もわからないままに自分の常識が通用せず嗜められたら敵に見えるかもしれない
三上は見てて子供と同じだと思った
人の根源的欲求ってそういうものかもしれない
誰か一人でもいいから自分に心を尽くしてくれる人が欲しい
それが無かったり、みんな他に自分以外に優先する大事な人がいて、焦って上手くいかないときに弾かれたり嗜められたら孤独感がすごいし簡単に手を差しのべてくれる所にすがってしまうし、自暴自棄になる気持ちもわかる
逆に自分のためにそこまでしてくれるんだって自分を気にしてくれる人が一人でもいてくれたら、がんばろうって思えるんだよ
ヤクザの兄弟の元から逃げて施設に行ってから泣きっぱなしだった
歳を重ねるほど、昔の自分の記憶を共有できる相手がいることは貴重だ
施設で歌った歌を一緒に歌うだけで少し救われる
母に会えたら「生まれた時どうだったか聞きたい」っていうのに、うあぁってなった
親と当たり前にいれる人はまず聞こうと思わないささやかな質問すぎて
それすらも叶わなくて
本当はただ一緒にサッカーして笑うような、そんなささやかなものが欲しかっただけなのに
癇癪起こさず運転することも、障害のある同僚に優しく接することも
これまで彼が我慢できなかった描写がしっかりされてるから、小さな事がどれだけ尊いか伝わっていちいち泣いてしまう
人のあいだの感情を描くのがうまい
ヤクザにもカタギにも馴染めない半端な所にいる、どちらにも少し違和感を感じる描写がうまい
真っ直ぐに生きることは苦しいし、そのわりに返ってくるものは少ない
周りの人間は、他人に対して不寛容だし無関心だし、そんな人でも怒った理由は誰かの命のためだったりする
善悪をハッキリわけられない、落とし所を見つけきれないのがこの世だ
それでも、優しさはあって、自分が変わったり信じようとすればそれに気づける瞬間があって、意外と人は人を見捨てないこともある
辛い描写や残酷な現実があっても、やっぱりどこか残るのは優しさだった
対比の妙
元殺人犯の主人公にとっての「生きづらい」シャバの世界は、そのまま現代を生きる我々観客の「生きづらさ」と重なり、システムとしての社会にはらむ問題を感じさせる。 片や、生きづらさ剥き出しの主人公を支える人々(身元引受人・町会長・ケースワーカー・彼を取材する作家)の温かさは、まるで観客である自分自身への温かさに思えて涙する。この彼らこそ「すばらしき世界」。 殺伐とした社会の中には、温かさを持った人間が住んでいます。その温かさをもってしても 、どうにもならないものを描く事で、鮮やかな対比となっていると感じました。
役所広司が素晴らしい
身近な人が絶賛していたので見た。
それが少し純粋な感想を持つことを邪魔をしたかもしれない。
役所広司さんがものすごく魅力的で、ひとときも目を離せなかった。
北村有起哉さん、六角精児さんは、本当にそういう人がそこにいるとしか見えなかった。
仲野大河さんの演じるつのだ、彼の最後のふるまいは、自分の成功が夢に終わった残念な気分も、多分に含まれているのかもしれない、と思った。
更生の道は遠い
ヤクザと家族に次いで更生ものかなと思って観るの止めてた
観てみたら割とすんなりと観れたな
一度底辺を味わうとなかなか元には戻れない日本の社会
この物語の主人公である三上も同様で社会復帰に苦労する
運転免許や携帯、仕事などみんなが当たり前に行ってることが
社会復帰をしようとする者にとって障害になっているのが描かれている
我慢ができず暴力を振るってしまったりするのは暴力に明け暮れてきた者のサガか
しかし仕事を見つけ更生出来たことは素晴らしいよね
そして希望に満ちたまま死ねたのだから
最後は悪くない人生だったのかも
何か色々と共感する所のある物語だったが
悪くない出来だと思いました
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