2分の1の魔法

劇場公開日:2020年8月21日

解説・あらすじ

「リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー4」のピクサー・アニメーションによる長編作品。亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描いた。かつては魔法に満ちていたが、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまった世界。家族思いで優しいが、なにをやってもうまくいかない少年イアンには、隠れた魔法の才能があった。そんなイアンの願いは、自分が生まれる前に亡くなってしまった父親に一目会うこと。16歳の誕生日に、亡き父が母に託した魔法の杖とともに、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を書かれた手紙を手にしたイアンは、早速その魔法を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。イアンは好奇心旺盛な兄バーリーとともに、父を完全によみがえらせる魔法を探す旅に出るが……。監督は「モンスターズ・ユニバーシティ」を手がけたダン・スキャンロン。

2020年製作/103分/G/アメリカ
原題または英題:Onward
配給:ディズニー
劇場公開日:2020年8月21日

スタッフ・声優・キャスト

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受賞歴

第93回 アカデミー賞(2021年)

ノミネート

長編アニメーション賞  

第78回 ゴールデングローブ賞(2021年)

ノミネート

最優秀長編アニメーション映画賞  
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(C)2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

映画レビュー

4.0 想像以上の何かが詰まった映画

2020年9月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

どうにも食指が動かなかったのは、下半身だけのお父さんをちゃんと全身蘇らせる話、というプロットにあまり魅力を感じなかったから。青い主人公たちのルックの地味さもあって、そこに想像以上の何かが待っている予感がしなかった。いやしかし。ピクサーというのは本当にとんでもないですね。こんなにもたくさん想像以上の何かが詰まった作品だったとは。しかし逆に言うとこれ、宣伝の内容に疑問がわく。繰り返し見せられたのは日本版主題歌が流れるイメージビデオのような映像ばかりで、単純なプロット以上の情報はまるで入ってこない。事前情報との落差のおかげで映画をより楽しめたという面はあるにせよ、下手するとスルーしていた危険もあったわけで。
ともあれ、映画の主題すらミスリードするピクサーのストーリーテリング力にはあらためて脱帽。シンプルな“楽しさ”ならピクサー作品でも上位。

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オスカーノユクエ

4.5 ピクサー作品らしい贅沢な絵作りと行き届いたドラマの妙

2020年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

字幕版で鑑賞。亡くなった父と話すために、兄弟が力をあわせて24時間限定の旅をする。その様子がテンポよく、ピクサー作品らしい贅沢な絵作りと行き届いたドラマの妙で描かれていて楽しめました。登場人物も少なく、家族と兄弟の絆に焦点をあてたミニマムな物語にほっこりさせられます。
魔法で下半身だけよみがえった父親と兄弟がとるコミニュケショーンは、足と足をあわせたり足に手をあてたりするだけ。この表現に、ピクサーらしいチャレンジを感じました。終始、兄弟の声が聴こえているのかどうか分からない絶妙な芝居も上手いなと思いました。
科学文明のほうが便利だからと、魔法がすたれてしまったファンタジー世界のビジュアルも非常に楽しくて、もう少しこの世界を見てみたいと思わせるほどでした。テーブルトークRPG「D&D」を思わせるギミックが随所にあって、細かいところに遊びがひそんでいそうです。

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五所光太郎(アニメハック編集部)

3.0 スパイダーマンの活躍を見ているような

2025年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

字幕スーパー版で見てきました。

ディズニーピクサー作品は、『トイストーリー』『リメンバー・ミー』のヒットで結実したように、日本語吹き替え版に一定の評価もあり、それなりの予算も使って作り込んであるので安心して見ていられるのですが、今回は事情が違います。

トム・ホランドが主人公の声を担当しているからです。なにしろ彼はスパイダーマンでの八面六臂の活躍ぶりで人気を博していますが、それ以外の芸歴がほとんど無いに等しい。彼の運動神経や芝居の上手さはわかっても、その奥行きまではうかがい知れなかったのです。『シビルウォー キャプテンアメリカ』に彗星のように登場し、まるで往年のマイケル・J.フォックスが帰って来たかのような名調子のセリフを連発し、原作のスパイダーマンが持つおしゃべりな雰囲気を取り戻してくれたトムホも、それ以外の表情というとほとんど伝わってきません。むしろキャリアが順調すぎて、スパイダーマン以外の仕事がはまる余地が無いのではないかと心配になってしまうほどでしたから。

結果として、字幕版で見て正解でした。映画そのものが楽しめたかどうかはともかく。まるでピーター・パーカーがそのままアニメになったかのようなトムホ節(ぶし)全開の活躍で、彼以外のキャストでは考えられないハマりっぷりです。むしろ、日本語吹き替え版がどんな出来になっているのかが逆に気になる有り様です。

かつて魔法が支配していたという主人公の世界観の作り込みは、細部までよく考えてあるのですが、もはやこのレベルではピクサー作品としては平凡なレベルにまで落ちてしまいます。まるで家で飼われているミニチュアダックスみたいなドラゴンとか、ゴミ箱をあさっている野良犬のようなユニコーンとか、ひとつひとつを取り上げたら面白い設定なのに、あまりにも雑に散らかしてあって、ただ考えただけという印象がぬぐえません。

魔法の旅も、どこかの映画で見てきたような既視感がつきまとい、「あー、きっとこの先こうなるんだろうな」と思ってしまいます。これまでの魔法使いが登場した映画を塗り替えてしまうような大転換の映画になったのならともかく、あくまでも世界観を彩るスパイスとしてそういう魔術的な要素をそろえただけの雑な造りにも思えます。

ピクサーを維持するために、我々は夢を生み出し続けなければならない

いかにもこんなスローガンが、寒々しく聞こえてくるような気がしてしまうのはコロナのせいでしょうか。エンタメのマジックを以てしても世界は救えない。現実の世界の混乱のほうが、ドラゴンが暴れる町の混乱を凌駕してしまっているので、しばらくはクリエイターにとって受難の時が続きそうですね。

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うそつきかもめ

5.0 騙されたと思ってみてほしい傑作

2025年8月24日
iPhoneアプリから投稿

お手本のようなファンタジー!!!
締めくくり方が思いの外、ビターな大人テイストで大号泣してしまったよ

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