ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
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コメディなのか感動作なのか…
何となく嫌なものを感じた
あくまでもコメディーだと理解したうえで観に行ったつもりだが、
これでもかというくらいのHeil Hitlerの連呼やハーケンクロイツが至るところに登場して
ナチス礼賛を前面に押し出してこられると、重い気分にならざるを得ない。
ネオナチの台頭や不寛容の時代と言われて久しいが、何故いま? という感じ。
平日の日中の鑑賞にもかかわらず、満席だったのは驚いたが、自分を含めて大半のお客さんは
「話題になっているようだから観てみよう」という軽い気持ちでの来場だろう。
がしかし、終演後に退席する際の足取りが、皆重たく感じたのは気のせいか?
物語自体はアンネフランクもどきのエルサと外面だけナチスかぶれの心優しいジョジョ少年との交流を
描いたもので、そこの部分の描き出しは良かったと思う。
とりわけ、届いてもいないエルサの彼氏の手紙を彼女の気持ちに寄り添う内容で創作して読み上げるジョジョ少年の姿などは
ベタだとは思いつつも、心温まる良いシーンだった。
また、ゲシュタポと共にユダヤ人狩りのために訪ねて来たクレンツェンドルフ大尉がエルサの正体に気付きつつも
見逃してくれたのも、暗いストーリーに救いを与えてくれた。
いずれにしろ、政治性の強い映画と見るか、単なるコメディーと見るか、ヒューマンドラマと捉えるか
受け手の感受性に委ねられた作品だと思う。
テイストは理解できるが、ノレナイ自分がいた
ジョジョを見守ることも応援することもできない、懐の狭いじぶんがいました。
ワイティティがつくりたい世界観はわかるし、ふたりが最後に通じ合うのは、すごくよかった。
それにしても。
スカヨハはずるくない!?もう出来ない役はないの!?
さいきんの姿にめっちゃ惹かれるんですけど。
ジョジョとの食事シーン、お父さまの振りをする姿にキュンとしました。
映画的なシーンだよね、
あと!サムロックウェル、さすが、最近のあの感じだいすき、
ただの悪じゃない感じ。
あの衣装を着て、突き進む姿のかっこよさたるや。
ジョジョはきっと生涯この人のことを忘れないんだろうなあ。
それともすぐ忘れるのかな。
いいシーンは多いが、どうも感情移入できず、暗い背景とジョジョの強さだけが残った印象って、アレ、それだけで素晴らしいな
靴ひもに愛を込めて
あくまで10歳の少年から見た戦争。弱虫のジョジョにとって、ヒトラーは英雄だし、ユダヤ人は得体の知れない悪魔の手先。でも、ユダヤ人の見分けがつかない。
ママが屋根裏に隠した年上のユダヤ人エルサは信用できないけど、ママのためを思うと通報できない。だったら僕がユダヤ人のことを研究しなきゃ!
冒頭、ビートルズが流れ、女性たちがグルーピーよろしく黄色い悲鳴をあげるヒトラーの映像と被る。当時のドイツでヒトラーがどういう存在だったかよくわかり、非常に端的で効果的。
少年達にとってもしかりで、彼は敵をやっつける英雄。日本での東郷平八郎みたいなもんだ。
父は遠くへ行き、姉も死んだ。戦争のリアルを知らないジョジョの目には、それでも世界は瑞々しく、ドイツは正しい国だった。
そんなジョジョの純粋さを愛しく思いつつはらはらしながら、物語は進んでいく。
そして…ジョジョの前で踊っていたママの靴が、あんな風に眼前に突きつけられるなんて。咄嗟に靴ひもを結ぼうとするジョジョの姿に、胸が潰れた。
彼が思わずエルサに突き刺した短剣が痛々しくて、可哀想で切なくて。憎しみと寂しさと恋しさが小さな肩に一気に押し寄せ涙を誘う。10歳の子には荷が重いよ。
しかしジョジョを待ち受けた運命は過酷だけど、彼は大きな愛に導かれてもいた。決して息子の思想を拒否せず、ありのままを受け止め、正しいと思うことを伝えるママ。
忠誠を誓う党員のようでありながら、ジョジョとエルサをこっそり庇ってくれたクレンツェンドルフ大尉。
最後、ゲイを示すピンクのマークをつけた相棒フィンケルと、好きな衣装を身にまとって敵に向かっていく姿はかっこよかった。差別とはなんたるかを知ってるけど、どうしようもない時代の流れの中で、精一杯二人を守ろうとしてくれた。
街が戦場になりジョジョは戦争のリアルを知り、架空のお友達ヒトラーと訣別する。
めまぐるしく過ぎ去った時間は、靴ひもが結べるまでにジョジョを成長させた。
振り返ると、この映画の登場人物はみんな根っこの部分は純粋で善人。自分の国を盲信するのは危険だけど、それが普通の人間なんだろう。
大きな意志の流れにはきっと違う考え方の小石もたくさん混じっているはずなのに、なぜそれらは岩になれないのかな。
最後、二人の心の中に希望という音楽が鳴り響く。
世界が戦争に傾きそうになったら、この映画を思い出したい。悲観的になったり絶望したりすることが、戦争に荷担することにつながるから。
少年の恋と成長と戦争への風刺と残酷さを巧みに織り交ぜた愛しい作品。もうすでに、今年度No.1と言いたい。
ここまで真面目に作るなら
大笑いして泣く
基本的にヒトラーユーゲントの関わる映画で気が重くならないことなどまずないのだが、この映画はナチスと戦争があまりにバカバカしくて大笑いしてしまう。それは私たちが日常的に「そんなバカな」という類の物事なのだけれども、ナチスドイツ政権下では、10歳のジョジョが手榴弾の使い方を教わるとか、そのバカが行われているのだ。それに比べればジョジョのイマジナリーフレンドであるアドルフを、マオリとユダヤをルーツに持つワイティティ監督がこれっぽっちも似せる気なく演じててることなど大したことではない。
とりあえず諸々のセリフは本当にヒドくて笑うしかない。(産めや増やせとか日本も同じだったな。)洒落にならないとはこのことかと言わんばかりにあの手この手で笑わせてくるので、それが終戦間際のドイツだということを時々忘れて、忘れた頃に思い出させられる。「そういうシーンをコメディで見た」と思うシーンが多く出てくるが、この映画でそのシーンは戦時中ならではのシーンなのだ。
ワイティティ監督はマイティ・ソーの監督が決まったとき先人のMCU作品の監督達にツイッターで「どれくらい爆発は必要か」と質問していたが、とりあえず本作を見る限りではそんな心配ないくらいに爆発させている。バカバカしいのはナチスだけではない。
主人公ジョジョを演じたローマンくんを筆頭に役者が全て素晴らしいが、サム・ロックウェルは定評のある白くも黒くもない役で複雑な気持ちになる。
最後に希望があるのも救われる。
貴方が監督だったのね
ジョジョ(子供)の目線を大切にして作ってるなーという気概を感じた。
ナチスドイツ、戦争って怖く(血とか傷とか)なりがちなんだけど、とても優しい目線で語られるので、ファミリーで見てお家で語って欲しい作品。子供達の感想を聞いてみたい。
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スカーレットヨハンソン役のお母さんがジョジョを叱るところ、とんでもない優しさとユーモアを1発で表現してた。早くも今季ベストシーン🎬
空想の"友達"のヒトラーの描き方を心の成長に捉えているところなど、あくまで10歳のジョジョに語るような柔らかな上品な演出や画面作りに感銘。
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メッセージとしても、とにかく逃げた者が生き残る。勇しさを出した者がいなくなってゆく。逃げる、隠れる、逃がす勇気の肯定でした。
同調圧力の中、逃げて隠れる.
そして正しい知識を得ることの大切さ。偏った見識でなく、双方の視点を知ること(ができる社会)、その上で"自分で選択する(できる社会である)"こと。
これが平和のキーだと思う。
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ヒトラー役の人が監督と気付いたエンドロールで、その作り手の意識、暖かみに涙した。
少年視点で見る
少年ジョジョの視点で描かれた戦争映画だった。
もう大人になってしまった自分からすると、あぁ…あるよね、そうだよね…と、共感というか頷いてしまうようなジョジョの行動がかわいいし、複雑な心境になる。
旦那っちは観賞後にモヤモヤしていて、戦争映画とこういう少し夢要素を入れるのは自分の受け止め方が分からないと。うんうん、それもわかるー。
私は、少年ジョジョのようにポイントを押さえてうまくまとめててすごいなー!という印象だった。
お話うんぬんもあるけれど、ポイントポイントで「やばいやばい…」と感情移入できるのは、主人公もそうだし周りの豪華キャストの演技のおかげかと!
スカヨハもサムロックウェルも最高だった。
久々にスカヨハのああいう演技が見られたのはなんだか良かったなー。
愛が欠如した戦争の時代で、一人一人が出来ることを。
ジョジョは『愛を知らない、目で見えないし…』というが、
結局ジョジョは愛を注がれてばかりだった。
10歳という若さでそんなこと簡単に気づけなくて、失って初めてその愛に気づく。
ジョジョ、君が『愛なんて目に見えないしわからない』って言ってる時、ママが靴紐を結んでいたね。君の目の前のその光景が一つの愛の形なんだよ。
最近、この国ではたった一回失敗しただけで必要以上に心身共にズタズタになるまで叩きのめされて、晒し上げられて社会的に半殺しにされる。誰も望んでないのに。そうやって"ヘイト"を広めるんじゃなくて、もう一度許してより良くなるよつに支えてあげる"愛"と"寛容"を広めるべきなんだ、と監督は言っている。
私達が目を向けないだけで、見渡せば自分の周りに愛は満ちている。知らず知らずのうちに誰かに愛を注がれているし、何かに愛を注いでいる。そうやって争いに満ちた絶望と憎悪の時代でも、なんとか人も世界も繋がってきた。
たった一人の力じゃ大きな変化をもたらすことはできないけど、だからこそ、
各々が"今、自分にできることをする"んだ。
人生は絶望で終わらないから、愛を持って生きて、絶望の裏側で呼吸している希望を手繰り寄せるんだ。
笑いながらいつしか自分の独善性を疑う
偶然予告を観て、関心事として急浮上したので脊髄反射的に鑑賞。
登場人物がみな魅力的で、チャーミングだった。
なかでもスカーレット・ヨハンソンは出色の演技。
大いなる愛と母性と父性を兼ね備えたグレートママ役が堂に入っていた。
小生意気なのに守ってやりたくなるジョジョももちろんだが、
トーマシン・マッケンジー演じるエルザが大胆さと繊細さを代わる代わる見せて美しかった。
(名前の発音はトーメイスンだと思うんだが、あっちこっちのサイトがみな違う表記で笑った)
戦争をシニカルな笑いに包んで批判する映画は今に始まったスタイルでないが、
この作品がこれまでと少し異なるのは、明らかに人種間の幼稚な忌避感情を丁寧に描いている点だ。
「我が民族は…」という矜持は誰の心のなかにもある。
ただ、自らの内面に知らず知らず継承され根付いた美徳を、
贈り物として感謝するだけで十分であり、
それを他者と比較して優位性を誇ったりするのはとても下品な考え方だ。
ましてや他者を低く見て憎悪や軽視の材料にするなど、
それこそ「御里が知れる」態度である。
タイカ・ワイティティ監督のシンプルなシナリオは、
偏見や優生思想の愚かさを、ジョジョの想像上の友人であるアドルフや、
秘密警察の男たちの幼稚で滑稽な姿に戯画化して表現した。
一方で、それらと同類と見せかけて、全く異なる一面を有したサム・ロックウェル演じるクレツェンドルフ大尉が、最後に見せる振る舞いに、心が熱くなった。
監督は、きっと人間には本来この大尉のような善の心がどこかにあるのだと信じているのではないか。
ジョジョがナチスの思想を絶対と信じて疑わなかったように、
誰の信条や正義にも独善的な部分は必ずある。
自分の独善性に対する自覚をある一定数の人間が失えば、
またいつでもナチスと同じような惨禍は起こりうる。
過剰な自己規制も不愉快ではあるが、
謙虚さを欠いた自己の正義に対する絶対視は、
人をいとも簡単に加害の側に居座らせる。
恐ろしいのは、自分が立っているところがどこなのかに気付かないことだ。
「ジョジョ・ラビット」は、そのような意味で、とても現代的な映画なのだと思う。
純粋さと残酷さの余韻がすごい
終わり方がよかったです。
とても良い終わり方だと思いました。
流石に旅立ちにしてはバッグがないのはおかしいと思いますが、これからどうしようかと悩むジョジョとエルサが戦争からの開放感から自然にステップを踏み、踊ってしまうのがよかったです。
教官もユダヤ人のエルサの秘密警察からの捜索を庇ってくれたり(教官は反ナチスでジョジョの母の嫌疑がジョジョに及ばないよう捜索に駆けつけたのかな?)、親友のヨーキも最後まで生きていて、顔に傷があり臆病な彼でも変わらず親友でいてくれる安心感や呑気な子供らしさがよかったなと思いました。
キャンプで子供が武器を使った訓練や女の子に妊娠を当たり前のように教えたり、ジョジョがウサギを殺すところを強要されたり、市街戦ではまるで神風のように特攻させられたりと、日本の戦争の過酷さと比較してしまいます。
そんな中想像の中のアドルフ・ヒトラーがユーモアに励ましアドバイスしてくれる心強い味方がエルサと打ち解けるようになった途端、手の平を返すように厳しい態度をとり、少年の心の葛藤を上手く表現していたと思います。
それとジョジョのお父さんは生きているのか気になりました。
子どもからみれば、戦争はナンセンスなコメディー
「ユダヤ人には絶対に洗脳されるな!」と叫んでる本人達の明らかに洗脳されてる感。
まるでままごとのように繰り返されるHeil Hitler-ing。
爆風の中に揚々と突撃する兵士達。(レベルウィルソンが子どもを特攻させるシーンは割と衝撃)
その中で本当の自分を見つける手がかりになるのは、母や匿われた少女の愛情だ。
檻から飛び出し、心の蝶の行方を信じて、走る無垢なウサギ。
アカデミー賞嫁にしたい女性部門、スカーレットヨハンソン受賞。
アカデミー賞役得賞、スリービルボードに引き続きサムロックウェルダブル受賞。
アカデミー賞その曲はズルい賞、デイヴィッドボウイ受賞。
近現代史の入門としても
歴史に興味を持てない小中学生でも
親子で観れる安心と分かりやすさを感じました。
長い人類の歴史の中で、それほど昔でない時代の
話であるけども、映像は陰惨にならず、
ほどよく緊迫感のある場面場面が思い出されます。
「この辺は、もうちょっと説明がいるのでは?」
と思われる箇所がいつくかあったのですが、
後半に至ってしまってからは気にならなくなりました。
主人公と総統との対話もまたユニークですね。
へえ、こういう風な表現方法もあるんだと感心しました。
ありきたりの感想なのですが、平和な世の中で
静かに映画鑑賞ができることは偶然なのだと
ずっと考え続けていました。
2020年 7本目 ★★★★ ☆大人とは恐れずに人を信頼するもの」
ジョジョ・ラビットを見た、その両手は銃ではなく誰かを抱きしめるために。その両足は誰かを踏みつけのるのではなく、ダンスをするために。その命は敵を倒すためではなく、誰かを愛するために、そのためにある。そんな映画だった。
ジョジョ・ラビットは、主人公の成長を「靴紐を結ぶ」というとてもシンプルな事で演出しているのが上手かった。戦争で勇敢に戦う事の愚かさを、笑いの中に描くとても優れた映画だと思う。
ジョジョ・ラビットは、オープニングがビートルズで始まる。ドイツ人を救うために登場したヒトラーは、ロックンロールヒーローと同じように人々を熱狂させた。ただ、ジョンレノンはLove &Peaceを求めたが、ヒトラーはユダヤ人の死と世界の混乱を求めた。
これぞ映画
ライフ・イズ・ビューティフルなどに通じる、名作だと思った。
戦争を題材にしている作品で、戦争をストレートに描くのではなく、その戦火の中で明るく逞しく生きた人たちを描いた作品というのは、それだけで何故か心打たれるものがある。
本作は、その中でもさらに心はナチスに支配されながら、非情になりきれず周りに対して劣等感を抱えながら生きる少年を描く。その彼の在り方が、ユダヤ少女との出会いで肯定されていき、一方で自分の信じていたナチスとのギャップに戸惑っていく、その人間模様が丁寧に描写されている。
戦時中でも、そういう葛藤を抱えながら必死に生きた人たちがいるだよ、というのを音楽を交えて暗くなりすぎず明るい中にも悲しみを交えて描くのは、『この世界の片隅に』でも感じたが、これぞ映画の力だと思う。
ハートフルで反差別
ヒトラーに熱狂するけど気弱な少年ジョジョが、第二次世界大戦のドイツで悲惨さを通じて成長するお話。
この作品の魅力を挙げるならば、優しくてコミカルな登場人物たちは外せません。
空想上の友達アドルフ(ヒトラー)、陽気に振る舞ってくれる母親、差別はしない教官キャプテンK、ドジで包容力のある親友ヨーキー。
物語は、主人公がユダヤ人女性を隠し部屋で発見したことで進み始めます。
周りには気弱な性格・顔のアザを差別する人達が沢山いますが、主人公はヒトラー信者なのでユダヤ人に対しては差別的な決めつけを投げかけます。
ユダヤ人女性は時に厳しく否定し、時にはユーモアに話を膨らませる。相手が同じ人間であることを直に学んでいく主人公。
そんな中で、戦況は刻々と変わっていき・・というお話です。ハートフルで反差別のお勧め映画です。
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