カセットテープ・ダイアリーズ

劇場公開日:

カセットテープ・ダイアリーズ

解説

1980年代のイギリスを舞台に、パキスタン移民の少年がブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく姿を描いた青春音楽ドラマ。87年、イギリスの田舎町ルートン。音楽好きなパキスタン系の高校生ジャベドは、閉鎖的な町の中で受ける人種差別や、保守的な親から価値観を押し付けられることに鬱屈とした思いを抱えていた。しかしある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽を知ったことをきっかけに、彼の人生は変わり始める。出演は「キャプテン・アメリカ」シリーズのヘイリー・アトウェル、「1917 命をかけた伝令」のディーン=チャールズ・チャップマン。監督は「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ。

2019年製作/117分/G/イギリス
原題または英題:Blinded by the Light
配給:ポニーキャニオン
劇場公開日:2020年7月3日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0家族との間に壁を作るのでなく、自分の願望へ橋を架けたい。

2022年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

家族のために安定した企業に入って、我慢して定年まで勤める?それも尊いが本当にそれでお前の魂はいいのか?ルートンの中で一生を終えて本当に悔いはないか?うまくいかなければ家族のせいにするんじゃないか?そもそも盲目的に決めた企業勤めが本当にお前に合ってるのか?才を生かした方が結果成功するのではないか?ちょうど今悩んでいることとオーバーラップして、いろいろ考えさせられた良い映画であった。

安っぽい映画なら「家族や友人のことはかなぐり捨てて、自分の夢を追いかけろ!」になるところだが(この映画も中盤まではそうなりそうだった)現実はそう簡単なものではない。家族や周りの人との関係性があって自分も成り立っているし家族の生活もある。完全に捨て去るなんてできないしそうすべきではない、という示唆が深い。(だから具体的にどうすりゃいいのさ、はなかったが、まあこれは答えが用意されているようなものではないし。)
ブルースも「まず現実を生きろ。」「欲しければ手を伸ばせ。代価を払え。」と両方に言及している。どちらかではない。そもそも、なぜどちらかしかないと決めつける?両方だ!

途中まで息が詰まるようだった。ジャベドの環境はまさに塀で囲まれた牢獄。 それでも諦めずに自分の才を信じて動き続けた結果、自分の力で打破した姿が素晴らしい。

※最近読んだ『DarkHorse~好きなことだけで生きる人が成功する時代~ 』によると、自分自身にとってかけがえのないことに熱心に取り組むことで充足感を得るのが真の成功とのこと。その充足感を得るための4つのステップは下記。
①自分の中の「小さなモチベーション」を発見し大切にする
②一般的なリスクは無視して「自分にあった道」を選択する
③自分の強みを自覚し「自分に合った戦略」を見つける
④目的地のことは忘れて充足感をいま抱いているか自問する
そういえばジャベドも目的が「入賞」じゃなく、目的地を忘れて文章書いていたよなあ。なるほど。

※しかしイギリスはほんと差別やヘイトがキツイな。家に小便かけられているところなど堪えられず途中で観るのやめてしまってたわ。再開して最後まで観て良かった。
※佐野元春の「someday」とイントロ部が同じ曲が流れてきて驚き。「Hungry Heart」こっちの方が早いらしい。ほかの人のレビューにもあったがブルース・スプリングスティーンは詩の内容や詩で聞かせるという点で「浜田省吾」(MONEYとかまさに)も脳裏に浮かんだ。

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momokichi

4.0単なる青春ストーリーでなく

2020年7月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 「爽快、感動の青春音楽ストーリー」というキャッチコピーとのギャップを感じるほど、序盤から中盤にかけて当時のパキスタン移民差別やムスリムの家族観がしっかりと描写されている。主人公ジャベドがB・スプリングスティーンの歌に惹かれていく背景の描き方が、作品に厚みを与えている。
 とはいえ、作品全体の雰囲気は教訓的なものではなくあくまで明るく、内気だったジャベドが歌に力をもらって閉塞的な環境を少しずつ打破してゆく姿が観る側に元気をくれる。夢や希望を阻む現実の様々な問題や自分の内面の弱さとどう向き合うか、というテーマは、世代を超えて響く普遍性がある。
 ラストまで観ると、原題の「BLINDED BY THE LIGHT」が腑に落ちる。元の曲の歌詞は物語と無関係だが、言葉のイメージの妙だ。キーアイテムは確かにカセットテープだが、登場人物の髪型や服装、流れ続ける音楽がいちいち80年代こてこてで、明るさとレトロ感に微笑んでしまう。ウォークマンにVHSテープにラジカセ、学校の先生が平野ノラばりで使う箱型携帯電話。
 ジャベドのご近所友達マット役のディーン=チャールズ・チャップマンは「1917 命をかけた伝令」で主役の兵士を演じた俳優だが、シリアスだった前作と打って変わってすだれ前髪とちょいぽちゃボディで気のいい遊び人を好演。彼の次の作品も観たいと思わせてくれた。

 結論としては冒頭のキャッチコピーに偽りなし。でも決してありきたりではない良作。

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ニコ

3.5いつの時代も音楽は若者をたぎらせる

2020年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いつの時代も音楽は若者の心をたぎらせる。そして音楽は人種を超える。イギリスの保守的な田舎の町に暮らすパキスタン系の高校生が、ブルース・スプリングスティーンの音楽に出会って、成長していく姿を爽やかに描いている。保守的な田舎町の人種問題も、音楽と若者というモチーフもありきたりだけど、ありきたりな作品に収まらない、輝きに満ちた作品だ。
ブルース・スプリングスティーンは、青春をテーマに歌ったり、社会派的なメッセージ・ソングを歌うこともあるミュージシャンだが、そんな彼の姿勢と本作の社会派+青春という姿勢は絶妙にマッチしていて、映画と音楽の幸福なカップリングが成立している。グリンダ・チャーダ監督の作品では『ベッカムに恋して』に近い作品だ。あれはインド系の少女の話だったが、こちらはパキスタン系の少年の話。民族的には近い両国には複雑な歴史があるが、その複雑さを『英国総督 最後の家』で描いている。イギリス・インド・パキスタンの3国の関係と複雑さ、引き裂かれた思いなどを背負って、こういう爽やかな青春映画を作るという姿勢が素敵だ。

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杉本穂高

4.0夢をつかむ

2024年5月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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りか

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