ひとよのレビュー・感想・評価
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思っていたよりライトなファミリードラマ
「15年前父親を殺した母親が帰ってくる」
めちゃくちゃ興味を引かれるテーマだけど、殺した動機もはっきりしてたからどんでん返しな展開はないだろうと思いながら鑑賞。
登場人物の葛藤だったりはもっと深掘れるのでは?とも思ったが、俳優陣の演技が抜群。
個人的には佐々木蔵之介がすごくよかった。
白石和彌監督の映画の割には救いのある終わり方だった。
デラべっぴんに救われたかな
テーマは重い。家族内の話から世間の中の話に変わった瞬間に白昼にさらされ違う苦しみが生じる。
暴力を我慢すればよかったというのは結果論。あの状況ではいずれ誰かが死んでいる。
結局は犯罪者の家族を世間がどう見るかだけ。どう見られようと関係ないと言える精神の持ち主だとしても食べていけなくては同じこと。
端から見て普通と思える家庭でも起こりそうなテーマなだけに考えさせられる。
中盤の堂々巡りから結局どう収束させるのかに対しては、アクセントで解決。クライマックスに転じるきっかけになる佐々木蔵之介演じる堂下の存在。ただ、これがまた辛すぎる。これでもかの落差にそりゃ自暴自棄にもなるわと救われなさに同情。
俳優人は秀逸。中でも松岡茉優、蜜蜂と遠雷はいまいちだったが、今作品はうますぎの一言。演技とは思えない自然体すぎで、万引き家族もそうだったが、こういう姿が見たかったと惚れ惚れ。特にデラべっぴんのくだりで、このタイミングで復刻版って何よには、デラべっぴん世代には爆笑の域。絶対に白石監督見てただろうと思いながら。
重いテーマに笑いありで、それゆえに何気ない日常に潜む一瞬の出来事が引き起こす怖さを逆に感じました。
...夜か、夜な。
「どの家にも問題や悩みはある」と云うけれど
本作は情報過多で、すべてが深刻過ぎる
まあ映画なんだから、あれくらいやらないとダメなんだろうけれど
あまりにキツ過ぎた
稲村家は確かに大変だ
でも本作で登場する中で、一番ツラかったのは「カレ」の様な
まさに今夜が、後悔し懺悔し、また絶望し怒りに震える夜になる人が居るかも知れない
…でも他人にとっては何もない、フツーの夜
ひとよ
映画を見た後の気持ちを忘れないうちに
また思い出せるように書きます。
映画の中のそれぞれの物語は、今の自分にとっては非現実的なことで映画やドラマ、ニュースから見聞きする出来事でしかなかった。
親が殺人犯になったり、認知症で徘徊したり、家族が薬をやったり、今もどこかで起こっている現代の問題はいつ自分の身に起こっても不思議じゃない。
映画の中ではMEGUMIが今の自分に近いのかなと思いました。
そういう側になる一夜はそれ以外の人にとっては何気ないただの夜。
明日起きれば世界は180度変わっているかもしれない。
その現実とどう向き合うか考えさせられる映画でした。
「ひとよ」は「人よ」とも呼べると思いますが、人は他の人に助けられて巻き込まれて生きていくしかないと思いました。
以上参考になるか分かりませんが、劇中の録音機のようにいつでも思い出せるように残します
「近い」よっ❗
近い…
近すぎて落ち着かない
場所もはっきりしない(途中まで)
やっぱり落ち着かない…
家族についての映画だけれど
もうひとつ、大切なもの
" 時間 "
『幻の光』を思い出す
静かなそれと狂暴なそれとの違いはあるけれど
カメラは人間から離れない
強引でも暴力的でも…
それが監督の距離なのだろう
だからこそ観る側も一人称として過去を追い越してゆける
家族だから許せないこともある
各俳優陣の熱演が良かった。
特に田中裕子はとても良い。切ないお母さんですが、ひょうひょうとして、強い女性。
兄弟たちの感情が爆発するところで涙。
家族の話。互いに愛し合っているからこそ、許せないこともある。そんな映画でした。
白石監督と音尾琢真もずーっと愛し合っていて欲しい。
更に死ねっ!!
父親の暴力から子供達を守る為、母親が父親を轢き、服役~ほとぼりが冷める15年後に帰って来ると言って自首した15年後の話。
突然帰って来た母親を迎え入れつつ、殺人犯の家族として暮らし鬱積してきたものに戸惑う兄妹達というストーリーで、そこに展開の切っ掛け要員として堂下のオマケストーリーが載っかってくる。
今に至る苦労や本当に救われたのかという疑問等、それぞれが抱えてきたものを振り返り、葛藤し、ぶつけ合い、向き合っていく様は、とてもじゃないけど共感出来るとは言えないが、痛さと哀しさと強さと優しさが伝わってきてとても良かった。
それにしても表情とかちょっとした目線の持って行き方まで、松岡茉優が上手くて感心する。
とにかく役者さんが素晴らしい
よくできた内容で、最初から最後まで気持ちがヒリヒリし続けるかなり濃厚な話。
とにかく見て、それぞれがそれぞれの思いを感じてもらいたい映画です。
配役が良さげなので見たのだけど、とにかく田中裕子さんはじめ、役者さん達がそれぞれの役を見事に演じられているのが素晴らしい。
ホント、いい役者さんを集めたなぁという感じです。
容赦ない
白石監督は容赦ない。
誰ひとり正しくもなく、誰もが後悔している、こんな物語をリアリティたっぷりに描いてみせる。
稲村家を取り巻く人々もみな一様に事情を抱えている。特に対比的に描かれるあるエピソードはホントに救いがない…
そこには答えもないし、救いはまだ訪れていない。
役者陣はみな素晴らしかった。稲村家の4名は言わずもがなだが、筒井真理子も佐々木蔵之介も。音尾琢真が今回はとても良かったですね。安ケンにはかなわないと思っていたけど。
田中裕子を見れて満足なのだけど、、
なんとなく赤堀さんの映画みたいなものを豪華キャストで金をかけてやる、といった趣向の映画。でも白石監督の作品はだいたい「一生懸命やる」というのが全面に出ていて赤堀作品のような繊細さはない。繊細さって押し引きだと思うんだけど、押せ押せなのがいつも残念に感じる。
で、今回は主演の佐藤健がとにかく繊細さがない。メイクもキメキメなんだけど芝居がメラメラ感いっぱいで、この人こんなに芸域狭かったっけ、と思えるほど。松岡莱優はまあ見たことのある松岡茉優で、田中裕子は何をしてても素晴らしいが、舞台劇原作らしいけど、個人的にはチラ見せだけで終わる、そのDVの父親との日々の抑圧があまり家族のキャラクターに落ちきってるように見えなく、田中裕子は素晴らしいのだけど、あと一歩感があった。
観終わって、なぜか「スリービルボード」って素晴らしい作品だったな、と思った。
安心して見られる家族再生の物語
白石監督の作品、母の父殺し。暗くて重い作品を想定していたが、ステキな家族再生の物語。安心して鑑賞できる作品でした。
田中祐子さんって、何を考えているかわからない、不思議な女優さんですね。凄みがあるというか。
松岡茉優は輝いていました。輝き過ぎて少し浮いてた。
父に暴力を受け続けるのと人殺しの子と言われるのとどっちが良い?
ちょっと色々アラが見えてなんかやるせないのだ。白石和彌は昨年も今年も3本撮っている監督である。映画を年に3本撮るのはやはりダメでしょと思うのだが、どうだろうか? 今回は日活が製作のメインということもあってどうしても私が大好きだった藤田敏八と比較してしまうのだが、彼が一番乗っていた73年には4本。74年にはなんと5本も撮っているがそのうち3本は秋吉久美子、あと梶芽衣子と沢田研二で良くも悪くもいわゆるプログラムピクチャーの時代なのだ。タクシー会社で雨の日に親父を殺すというシチェーションはどうしても「青春の殺人者」を想起してしまい、長谷川和彦は生涯で2本しか撮っていないのに、そんな職業映画監督でいいのかい白石さん!(撮りたい気持ちはもちろんわかるが)と思ってしまうのだ。松岡茉優の演技が素晴らしい。彼女に救われた映画である。
最愛の子供のため夫を殺した妻とその子供達の家族再生の物語(ただし、地味)
地味な家族再生の物語で物語としての訴求力はそんなにない。
役者さんは皆、お上手。
あとは、どのくらい役者個人の魅力で客を劇場まで足を運ばせることができるか。
見る人を選ぶ作品だと思う。
どうしようもない・・
人間って、ほんと、どうしようもない生き物です。他の生物と同じようにエゴイストの癖に中途半端に心というやつを持っている。
この・・心が曲者で、やたら傷ついたり、悔やんだり、悲しんだり、憎んだり、勝手に自分にプレッシャーをかけたり、疲れてしまったりする。
だから、人間は何でもかんでも、やり直そうとする。それを再生と呼ぶけれど、それは再生じゃなくて、本当は創出(全く新しい生き方)と呼ぶ方が相応しい気がする。
なぜなら、人は沢山心にダメージを溜めながら、そのダメージを下地に、ひとりの人間を形成していくものだから、過去をやり直すなんてできません。
この映画はそういう心に多大なダメージを負った人たちの未来への希望を表したお話なんじゃないかと思う。そういう人間のどうしようもなさに涙が出ました。
ひとよ、一夜、人よ
優しい映画だと思う。
「あの夜は一体何だったのか」
悲しみや途方に暮れた夜もある。
希望に満ちた夜もある。
「他の人には、どうでも良くても、自分にとって特別だったら、それで良いじゃないか」
でも、いつか皆にとって特別な夜も来るかもしれない。
そして、そんな夜は必ず明けるのだ。
埠頭の朝日のようにキラキラ輝いて。
DVによって引き起こされる悲劇的な事件を背景にしながらも、ひとりひとりの異なる葛藤を大切に描いている。
ともすれば、エゴとも捉えられかねないような行動も、心の揺らぎを暖かく見つめているように思う。
雄二は、母親に買ってもらったICレコーダーでたまたま母親の父を殺した告白を録音してしまって、それを何度も何度もひとりで聞き返して、その呪縛で悩んでいたのだ。
愛情なのか罪なのかと。
優しく、人の弱さや強さも見つめた映画だと思う。
過度に事件に寄らず、嫌がらせの張り紙やタイヤのパンクも、さもありなんと乗り越えるような様。
逆に、いかにもありがちな大樹と二三子の家族の問題は感情の振れ幅をやや大きくしてみせる対比。
弓の抱える家族の問題も実は、皆が抱える悩みのはずだ。居なくなって、ついでに死んでくれたら良いのにという弓の独白を聞くと、この問題の社会での大きさが分かる。
そして、園子と真貴の存在や行動が全体に凛とした前向きな雰囲気を与えている。
僕は、「巻き込まれようよ」という丸井の、決してカッコよくはない言葉で涙が溢れそうになった。
この映画には、世の中の縮図があるような気がした。
観賞後の心が軽くなるような映画だった。
最後に加えて、田中裕子さんはじめ、俳優陣が本当に素晴らしかった。皆んな、大好きになった(笑)←単純。
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