ひとよのレビュー・感想・評価
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白石監督頑張れ❗️
デラべっぴん・・・発音はデラ↓べっぴんらしい。GOROの世代なのでべっぴんはよくわかりません。
まさか、タクシー会社の中での話だと思わなかったので、今日は休もうか迷ってたのに観てから仕事することにしました。業界用語で「おばけ」というのは幽霊ではなく長距離の客がふと現れること。ただし、定期便で長距離走るのはもはやおばけではないと思います。
ついつい、タクシー運転手目線でずっと観てたので、ストーリーよりもそちらに力が入ってしまいました。佐々木蔵之介が乗ってた車はマニュアル車でハンドルの横にギアが付いてましたが、そんな古い車はもうどこにも無いと思います。多分、撮影のために古い車をかき集めたんだろうなぁと感じたのですが、終盤まさかの展開に!あぁ、このために古い車を・・・
最近は刺青の残った元ヤクザの運転手も少なくなってるみたいですが、そんな運転手はだいたいが運転が荒いもの。大手の会社は刺青さえ禁止です。知ってる中ではわざわざ消した人が数人いました(笑)。無線の笑えるシーンもあったのですが、普通は他の車の無線は聞こえませんよね。そういった突っ込みどころも満載でしたが、嫌がらせは15年前からあっただろうから、防犯カメラをもっと早くからつけておきましょうよ!とか、24時間体制なんだから派手な嫌がらせもないだろうに!などとも思ってしまいました。まぁ、一番気になったのは、普通なら殺人じゃなくて業務上過失致死だろ!ってことです。1回じゃ死ななかったので、2回くらい轢き直したのかもしれませんが。
家族に殺人犯がいたらどうなるか?などというテーマがあるにはあったけど、どうしても心理面がいまいち届いてきません。筒井真理子の母親など、認知症問題まで取り入れてるし、ツメコミ感もあったためかもしれません。今年3本観た白石作品の中では一番下でした。とほほ・・・
ひとそれぞれ
それぞれの一夜(ひとよ)
親と子は別々の人格である。それぞれに基本的人権がある。だから平等で公平な関係でなければならない。主従関係でもなく、支配と隷従の関係でもないのだ。民主主義が進んでいるヨーロッパでは、親と子が人間同士として対等の関係であるという意識がある程度浸透していて、言うことを聞かないからといって子供に暴力を振るう話はあまり聞かない。
日本は封建主義の精神性がいまだに残っていて、目上の人間という言い方がある。目上の人間を想定するということは目下の人間というものが対義的な存在として想定されているわけで、明らかに差別的な精神性である。差別は形式や作法、礼儀などといった考え方にも通じていて、例えば上座という考え方があり、床の間に限らず、エレベータの立ち位置や飲食店の席でも上座が存在する。おまけにそれを教えることを商売にしている人間さえもいる。差別を商売にしていることが当然のように受け入れられている日本社会は、社会全体が差別構造になっているのだ。
子供の口の利き方や表情について「親に向かって何だ」という非難をする親がいる。「親に向かって」という言葉自体が差別だ。「誰に物を言うとるんじゃ」というヤクザの言葉と同じである。自分が上で相手が下という差別だ。「親に向かって」という言葉を使う親は、差別を子供に植え付ける。「親に向かって」という言葉で暴力を受けた子供は、大人になって子供が出来たら、同じように「親に向かって」という言葉で子供を差別し、人権を無視して暴力を振るう。差別の世襲である。
親が子供に愛情を覚えるのは、飼っている動物を可愛いと思うのと同じである。犬にも猫にも子供にも名前を付ける。名前を付けるとそれに対する愛着が生まれ、愛着している対象との関係性が幸福感を齎す。ものを収集する人の精神構造も同じだ。ゴータマ・ブッダは愛着を、解脱を阻害する煩悩として否定した。
田中裕子は不思議な女優さんだ。どこまでも人を受け入れる母性のような独特の雰囲気がある。母性というのは無条件の愛情だ。封建的で高圧的で暴力的な父性とは対極にある。父性というのは組織の論理のひとつで、子供が共同体に受け入れられるように従順性を植え付ける。それは同時に個性を殺すことでもある。思春期で主体性が芽生えると父性に反発するようになる。そのときに母親が父親から子供を守らないと、子供は歪んだ性格のまま、父性を継承して封建的な人間になる。
本作品は田中裕子演じる母親が父性の暴力に対して行動を起こすシーンからはじまる。それに対して差別社会である日本社会がどのような働きをしたかが描かれる。そしてそういう中での兄妹の振る舞いが物語の中心である。母親の行動は是だったのか非だったのか。
三兄妹はそれぞれにいい演技だったが、特に長男を演じた鈴木亮平がいい。吃音の演技も自然で、父親への憎しみ、家族に抱く愛情、長い間押さえ付けてきたコンプレックスなどがじわっと伝わってくる。生きてくるのが大変だっただろうなと思う。
本作品のテーマは多岐に亘っていると思う。そのひとつが親と子の関係性についてであり、田中裕子が母親の家族、佐々木蔵之介が父親の家族、それに筒井真理子が娘の家族の3つの家族を描くことで、共同体と家族の関係性と家族間の関係性の対比を描く。
佐々木蔵之介は少し無理のある設定ではあったが、力業で役にしてしまった。凄い演技力だ。流石である。筒井真理子もベテランらしく、娘と母親の一夜を演じた。
三者三様の一夜(ひとよ)を描くこと、そして共同体の中の家族を描くことで、日本社会の構造を縮尺してみせた白石監督の名作である。
とても昔風のお金をかけてない良いお話なんだけど?
ダークサイドに落ちきれない人々
家族や仕事仲間のやり取りが魅力的
夢を諦めないで
まず言いたいのは私的には松岡茉優ベストアクト更新で、過去のどの作品よりも俺が見たい松岡茉優でした。投げやりな言動、それがピークに達してる感のあるカラオケシーン。エンドロールで改めてその曲タイトルが現れた時グッときてしまった。過酷な中でも持ち続けた母を信じ続ける芯の強い女性を見事に表現してたと思う。
もちろん彼女が素晴らしい、だけでは片付けることはできない。人間ドラマと所謂エンターテインメントが歪なバランスで共存する白石和彌監督の作品群でもトップクラスで好きだこれは。特筆すべきは一つ間違えたら重苦しいだけの作品になるところに絶妙に?いや結構多目に入れてくる「笑い」が最高なのだ。タクシーの無線を使った掛け合い。内容はヘビーなのに笑ってしまう。デラべっぴん復刻版事件。そんな偶然現実であるか?でも「母」ってそういう部分で何か持ってたりするよね。あるあるだよこれは。
いやあ語り尽くせない。何が正しいか?考えさせられる?いや!あの兄妹、こんなに真っ直ぐに成長したじゃないか!母はやはり正しかったと思いたい!
あと、斎藤洋介、年取ったなぁと思いつつ、15年後、年取ってないっていう笑
気分が重いです…
映画なので、リアリティを求めたら、根本から、この作品は成り立たない。だって、旦那の暴力から、子供たちを守るために、旦那を殺すなんて…。シェルターとか、いろいろあるじゃんって話になっちゃうと、成り立たなくなるので、それは言いません。
これを観ながら、「楽園」を思い出していました。聖母かどうかは分からないけど、子供たちを守りたかった母。でも、世間にとっては、ただの人殺しなんですよね。佐藤健くんが、「残された俺たちの気持ちを考えたことがあるのか」みたいなセリフを言いましたが、好機の目にさらされた子供は大変だったと思います。
結局、佐々木蔵之介さんの件があったから、母親を守ろうとしたけれど、心から許せたのでしょうか。書きかけの原稿を消すってことは、許せたのかな…。
この作品を観ながら、何が正解で、何が不正解なのか、分からないなぁ…なんて考えてました。
とりあえず、「閉鎖病棟」からの「ひとよ」鑑賞だったので、気分が重いです。同日に観るものじゃなかったなぁと、少し後悔してます。
演技派の役者の競演 どの役者の演技も素晴らしい出来 しかし、脚本が...
子ども一人ひとりの受け止め方は違う
凄惨な殺人を起こして15年後に帰ってくる母親を迎える3人の成人した子どもたち その15年の間に起った苦しみは想像できるのだが、怒りや恨み、寂しさなど入り交じった感情がよく描かれていると思いました 親はいくつになっても親で、幼い時の出来事までしっかり覚えている 子どもの方は年齢も違うから異なる受け止め方をしているが、おとなになっていくにつれ、同じ苦しみを共感しているきょうだいだからこそ、異なる受け止め方をしていても、同じ方向を向こうとするところがよかったです きょうだい3人母親を心の中で恨んでいても、きょうだいとして母親に向かう 白石監督ということで構えてみましたが、いい終わり方だったと私は思いました(11月14日 TOHOシネマズ二条にて鑑賞)
もう少しストーリー性が欲しかった
家族の闇
相手の為に取った言動は本当に相手の為になるのか?
決して楽しい内容ではないが、心につきささる作品。題名の「ひとよ」は「人よ」だと思っていたが、「一夜」だったのか?両方を示しているのだろう。たった一晩で人生が変わる。たった一つの行動が家族を崩壊に導く。佐藤健さんの重たい表情、鈴木亮平さんのどもりあるつたない話し方、松岡茉優さんの今まで感じていた清純派イメージを払拭した一皮むけた演技は特に凄くて驚き!田中裕子さんの母の子供に対する思い、佐々木蔵之介さんの変貌姿、みんな素晴らしい演技力でした。俳優の演技力を最大限に引き出した映画のような気もします。父から子供を守る為にとった母の行動は、子供達に重たい影を落とす。犯罪者の家族のつらい境遇をグッと感じた。親は子供を思う為に行動したとしても、果たしてそれは子供にとって本当に良かったことなのか?これは犯罪者家族という非日常の世界かもしれないが、多かれ少なかれ親の思い子供に届かずではないが、食い違いのある親子関係家族関係いえ、家族だけでなく人間関係にはあるのではないか?時が過ぎても一度幻滅し受け入れることができない感情は簡単には戻せない。家族だから・親だから血縁関係の絆があっても受けた傷を癒せるかは本人次第。でも本人の考え方ひとつで状況は変われるのかもしれない。相手の為にと思ってとった言動が実は相手を傷つけてしまっているのかもしれないことを教えてくれる映画だった。
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